便利屋68に降り立つは、傍観者のゲマトリア   作:マスターBT

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雀魂にハマっておりました。
アルちゃんがガチャから引けると良いなと祈りながら、巻物ゲットを目指してます。


これを仕組んだのは誰か……まぁ、いずれ分かるだろうさ

「珍しいですね。カヤ防衛室長の方からこの様な場を設けるとは」

 

「えぇまぁ、先ずはお忙しい中時間を確保して下さりありがとうございますリン代行」

 

「……本日の業務は既に終えていますから。それで内密で話をしたいとの事でしたが」

 

 相変わらず、建前や挨拶などを無視する人ですね……まぁ、彼女がこういう態度に出るぐらいには警戒されていないという事で一先ず安心しておくとしましょうか。

 だとしても折角、出したコーヒーを一口くらいは飲んで欲しいものですよ。

 それをふらふらとやってくる口煩い悪魔から守り通すの結構、手間だったんですから。

 

「分かりました。互いに忙しい身ですし、早速本題に移りましょうか」

 

 部屋の明かりを薄暗くし、すぐ近くの端末を操作して纏めておいたデータ……キヴォトスの治安推移に関してのグラフを投影するとリン代行もすぐにコレがなんであるかを理解しメガネを直すと表情を固くする。

 

「連邦生徒会長が失踪してからというものキヴォトスのただでさえ、低かった治安は更に低下。彼女が残してくれたシャーレのお陰で多少は回復傾向にはありますがそれでも、各自治区での問題は絶えずエデン条約の締結時に起きた様な大規模事件の芽は隠れていると言えるでしょう」

 

 もっともあの事件は解決に関わった当事者から話を聞けていますから、このキヴォトスにおける事件の中でも特例中の特例と言える事は分かっているんですけどね。

 問題はあの事件の裏で悪魔が率いる鴉の集団が解決の一助になっていた事です。

 『先生』であれば、超法規的なシャーレの介入という事で話を流す事も出来ましたが鴉の構成員は各学園から除籍された者、所謂ならず者達ばかり……本来であれば治安を守らなければならない我々連邦生徒会が、自らの定めた法によって弾いた者達より劣っていたなんて笑い話ですらありませんよ。

 

「この事件の最終的な判断はトリニティに委ねられましたが、とある情報提供者によるとシャーレと極少数の人数だけで解決に導いたと聞いています。これはあまりに連邦生徒会として機能していないと私はリン代行にお聞きしたいのですが」

 

「……各自治区で起きた事件は各自治区の生徒会が対応するのが決まりです。それに治安低下の方も、『先生』の活躍でいずれは解決するでしょう」

 

「エデン条約は我々、連邦生徒会も関わっていた案件です。そこにあの様な被害を受けたのですからシャーレに任せきりにせず、何か手を打つべきだったのでは?それに治安の方も回復までの間、エデン条約の様な事件が起きないとでもおっしゃるつもりで?」

 

 まぁ、これは防衛室長でもある私の責任でもあるのですが。

 当時連邦生徒会でも何か行動を起こすべきだと言う派閥と、状況が不透明である以上下手な介入は避けるべきと言う派閥がぶつかり合いリン代行と私は互いに中立ではあったものの、私は防衛室長という立場から前者の側に立ち全体の責任を預かる彼女は後者に立っていた為に完全な結論を出せず我々がグダグダとしているうちに『先生』が解決したのでまぁ、この言い方はどの口が案件なんですよね。

 

「……」

 

 でも、貴女はそれを突くことは出来ません。

 馬鹿真面目で何もかも自分で背負い込んだ方が楽だと思っている貴女に、責任という重荷を私に押し付ける様な選択は取れないでしょうから……はぁ、性格悪いですね私。

 

「……なるほど。リン代行の方針は理解しました。連邦生徒会長が残したシャーレ、踏み込んで言うのなら『先生』に全てを任せるつもりなのですね?」

 

「全て、ではありません。あくまで連邦生徒会の手が足りない部分を補ってもらうつもりです」

 

「ふむ。それがシャーレを託した彼女の遺志だから?」

 

「ッッ!」

 

 やはりそうですか……リン代行が日々激務の中にある事は知っていますが、それにしてもシャーレに任している部分があまりにも多いと思ったら彼女は何処までも居なくなった連邦生徒会長の背を求めていましたか。

 だからこそシャーレの活動を邪魔する様な動きはせず、ただ下から上がってくる報告書と連邦生徒会長の捜索に人員を割いていたと。

 

「……リン代行」

 

「……なんですか」

 

「政治下手すぎません?」

 

「……えぇ。分かっていますよ、これまでも貴女の派閥から何度も邪魔をされていますから」

 

「それは申し訳ありません。でもまぁ、私も妨害されていますしお互い様ですよ。なんてそんな事はどうでも良く……良いんですか?いずれは貴女の行動を問題視する勢力が現れますよ?」

 

 と言うか既に現れて此方に取り込んでいるんですがね。

 元々、機を見てリン代行にはその席を譲って頂こうと思っていましたし反リン代行勢力というのは手駒にするのにちょうどよかったですから。

 

「その旗印がカヤ防衛室長になるものだと思ってましたよ」

 

「奇遇ですね私もつい先日まではそのつもりでした」

 

「今は違うのですか?」

 

「そう聞かれると弱いんですよねぇ……」

 

 あの悪魔と会う前の私が100%実行する気しかなかったのなら、今の私は50%ぐらいで迷いに迷ってるので明確な返事は控えたいところなんですよねぇ……なんと答えたものか。

 調べれば調べるほどに明らかになる代行の馬鹿みたいな仕事量とカイザーコーポレーションの悪辣っぷりに流石の私も一つ返事とはいかず……然りとてここまでの実績が無くせる訳でもないので選択肢は慎重に選ばなければ。

 

「んー……そうですね。この際ですし、私の今の立場を教えましょうかリン代行」

 

「はい?」

 

「貴女が連邦生徒会長代行として足り得るのであれば、私は貴女にとって都合の良い敵であり続けても良いかもと思っています。ですが、もしも貴女にその価値なしと思えば──」

 

 あれ?このやり口、あの悪魔と同じ様な……まぁ、気のせいですねはいそういう事にしておきましょう。

 

「──防衛室長不知火カヤが持てる力の全てを使って、貴女を引き摺り落とすのでよろしくお願いしますね?」

 

 にっこりと微笑んで話を締め括った。

 リン代行の意向はこれで確認出来ましたし、あとはカイザーコーポレーションと……FOX小隊の皆さんとも話をする必要がありますかね。

 

 

 

 

 

 

 

「ククッ……一先ずは及第点と言ったところか。いや、己の罪と向き合う未来も見えてきたのなら祝いにケーキとコーヒーでも見繕うくらいはしてやるとしようかね」

 

 D.U.地区内にある寂れたビルの屋上で盗聴器を耳に嵌めながら笑うセラの姿は、黄昏時という事もありカヤが時折表現する悪魔というものに近く近寄り難い雰囲気を放っている。

 

「また悪巧み?ほどほどにしなよ」

 

「ん?カヨコ課長か。なに、上手くいけば連邦生徒会に伝手が作れる良い機会だとも」

 

「……ほんと交渉が得意だね。いつの間にか仕事を作ってくるし」

 

「ククッ、アルバイトとして貢献しなくてはならないからな」

 

 新たな契約を持ってきて、実質私設部隊を作るアルバイトが何処にいるんだと瞬間的に突っ込みたくなったカヨコだったが、いつもの調子で笑っている彼女にそれを言うのは今更かと溜息だけを溢すと、それだけで嬉しそうな笑い声が聞こえてきてまた更に呆れてしまう──もうそこには悪魔なんていなかった。

 

「私を呼びにきたのか?」

 

「あぁうん。社長が仕事を持ってきてね。依頼主はヴァルキューレ警察学校を名乗る誰かで、依頼内容は正体を隠したままとある書類を守り通して欲しいだって」

 

「……アル社長らしいなんとも怪しさに満ちた依頼だな」

 

 なんでこんな依頼を受けたと問いただしたいところだが、恐らくアルが好む空気感を作り出し口八丁で丸め込んだのだろうとセラは当たりをつける。

 『訳あって名を名乗れないが』とか『君達を一流のアウトローと見込み』とかそんな感じの台詞を並べれば、アルを口説き落とすのはそう難しいものではない為だ。

 

「一応止めたんだけど、本人がやる気でね」

 

「まぁ今に始まった問題ではあるまい。我々らしくいつもの様にやるとしようか」

 

「はぁ、まぁセラもそう言うと思ってたよ。じゃ、行こっか」

 

 差し出された手を握り仲良く二人はビルを後にする。

 この依頼の結果、何処かの防衛室長がまた胃を抑える事になるのだがそれはまだ少し先のお話。




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