便利屋68に降り立つは、傍観者のゲマトリア   作:マスターBT

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ケイとセラのFA書いて貰いました!!可愛いよ!!


何を企んでいる?

「リオ」

 

「ケイから話は聞いているわ。そこの机に資料を用意してあるから目を通して」

 

「ククッ、話が早くて助かるよ」

 

 座り慣れた来客用のソファに座り、リオが用意していた資料に素早く目を通していく。

 やはりと言うべきか、ミレニアムの生徒会長として動いている分憶測を多分に含んだものではあるが彼女は既にこれから起きるであろう滅びにまで手を伸ばしている様だな……ふむ、凡そ文面から予想出来る光景は私が最後に見た光景とも合致する部分が多い。

 

「確証はなかったのだけれどその表情を見る限り、私の予想に間違いはなかったようね」

 

「あぁ。流石はリオだな。アリス嬢とケイを巡る一件以外にもキヴォトスの滅びを予見していたとは」

 

「貴方のお陰でもあるわ。私を信じてくれた貴方が幾つもの滅びを見たと言っていたから元より調べていたこと以上に手を伸ばしたの。生徒会長業務をしていなければもっと詳しく調べられたのだけど、折角悪い大人が一緒に頭を下げてまで作ってくれたこの場所を手放す訳にはいかなかったから」

 

「ククッ、それで良いさ。ケイ」

 

『……はい。なんでしょうか』

 

 スマホを取り出し机の上に置くと、少しだけ緊張した声を発するケイの姿が投影され私とリオは彼女に視線を合わせる……そう怯えるな、今更私達がケイを見捨てる選択を取る訳がなかろう。

 

「私達はこれからくるであろう滅びに『無名の司祭』が絡んでいると予想している」

 

「ケイ。貴女が知っている限りの事を教えてくれるかしら?」

 

 何故、数ある選択肢の中から我々が無名の司祭を選んだのかと語るのならやり口がアリス嬢の時と一緒だからだ。

 ゲマトリアはキヴォトスの神秘を調べ、崇高へと辿り着くためにキヴォトスの神秘を狩り尽くすなんて愚かな選択は取らず、カイザーであれば自らの支配地を更地にすることに旨みはないようにキヴォトスにある程度の災害を招く連中は、キヴォトスが今のキヴォトスであるからこそ意味があるのであって私が未来視で見た光景の様に全てを、キヴォトスに生きる者全てを一切の痕跡なく滅ぼす程の強い思想を持つのは現状、無名の司祭しかいない為だ。

 リオの視点では、少しばかり違ってくるかもしれないがそれでも元より彼らを調べていた彼女にとって未来を知る私が急ぎでコンタクトを取らねばならない相手という条件に合致するのが無名の司祭という感じだろう。

 

『……私は(〈Key〉)です。貴方達によって名前を書き換えられ、在り方を歪められたとしても私が私である製造理由に変化はありません。ですから──』

 

「君に何があろうともどんな運命が待っていようとも、我々はその手を離さんぞ。確かに君の製造理由はキヴォトスを滅ぼすためにあるのだろうが、そんなものは知った事ではない。今、私は君に尋ねているんだケイ」

 

 あの日、ただ自らの知的好奇心を満たすためだけに接触し気がつけば長い付き合いになったケイを今更手放す?

 あり得ん選択だな、そもそも私は一度君にこの命を救われているのだからね。

 

『ッッ……本当にあなたという人は』

 

「ふふっ。相変わらずの人誑しねバイステンダー」

 

「茶化すなリオ。それよりもケイの説得をだな」

 

「私も言葉を用意していたけれど……えぇ、ケイの表情を見る限り私の言葉は必要ないわ」

 

『リオ!』

 

「貴女も知っているでしょう?この人に一度、気を許した時点で勝てないのよ」

 

「……私は傾国の悪女か何かかね」

 

「『悪い大人である事は間違いないでしょう』」

 

 ええい、揃って良い笑顔で言うんじゃない。

 しかし私の予想ではもっとこう暗い空気になると思っていたが、なんだこのふわふわとした空気感は。

 

『……んんっ、分かりました。私とアリスが作られた理由と、無名の司祭の知ってる限りの目的をお話しします。一度しか説明しませんのでしっかりと覚えてくださいね二人とも』

 

 緩んだ空気と自らの表情を直す様にケイが咳払いをするのが少しばかり微笑ましく、少しだけ笑ってしまうとキッと睨みつけられてしまった……分かった分かったちゃんと話を聞くとも。

 

『無名の司祭が信仰する神はかつて、キヴォトスに存在し今は淘汰され、痕跡を残すのみとなった名も無き神と呼ばれる存在です。私とアリス、即ち鍵と女王の役割は彼らの神を淘汰した存在の抹消でした。彼らにとってその存在は邪魔でしかなく、名も無き神を呼び戻せる土台を作れるのならどの様な存在も利用する事でしょう』

 

 名も無き神……ケイの話から推測するにソレを淘汰した存在と言うのはキヴォトスの生徒達だろう。

 神秘という超常の力の裏取りが予想外なところで取れた訳だが、今は此処に思考を割くのは無意味と言えるだろうな。

 考えなくてはならないのは、無名の司祭が何を利用するかだがこれは幸いにも最後に見た未来視によって十中八九『色彩』である事は確か。だが、連中が色彩を自在に呼び寄せる手段があったのなら既にキヴォトスは沈んでいる筈だ。

 

「……色彩を招くような愚か者……あぁ、一人該当者がいたな」

 

 ベアトリーチェ、奴だ。

 彼女がその様な道を歩む未来は確かに見たが、本当に迷う事なく選ぶとは……何処までも気に入らん女だ。

 

『流石ですね。私のデータベースにも色彩を利用した計画が残っています。今からお二人にデータを転送しますので、対策はお任せしますね』

 

「色彩……これに対抗する手段はあるのかしら」

 

「ほぼないな。だが、恐らく無名の司祭がキヴォトスを滅ぼすのであれば色彩そのものではなく、代弁者の様な存在を擁立する可能性もある。何せ、色彩は遍くすべての神秘にとって害悪だ。彼らの信仰する神の神秘すら喰われては何も意味はあるまい」

 

 だとすれば……私を見ていた仮面の男、彼が色彩の代弁者である可能性があるが何故あのタイミングで私と接触した?

 それに時を同じくして私の未来視が機能不全を起こしたのも気掛かりだ。

 神秘と科学、この両方に精通していなければホルスの義眼に干渉することなど不可能だと断じて良い……私と同等或いはそれ以上の力を持つ者が向こうにはいるのか?

 

「……やれやれ、未来視が使えんと考える事が多いな」

 

「その為に私を頼ったのでしょう?一人で抱え込まないで思考を開示して欲しいわ」

 

「ククッ……ソレを君に言われる日が来るとはな。リオ、それにケイ。少しばかり私に付き合ってくれ」

 

 互いが持ち得る知恵を出し合い、今後の対策を詰めていく。

 本来であれば『先生』もこの場に招きたかったが、公的に動ける彼はカヤ防衛室長と共に連邦生徒会の方で話を詰めている頃合いだ。

 

 

 

 

 そう思っていた。

 

 

 

 

『お詫びする術もありません。私のミスですセラさん。連邦生徒会での会議終了後、カイザーが『先生』を拉致しました。私も現在、彼らに囚われどうにかこの連絡を取っています』

 

 よりにもよってこのタイミングで動くか……カイザーコーポレーション!!




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