最強個性で最高のヒーローを目指す僕の話   作:なゆさん

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3話

 さて、無事首席合格で雄英高校に行けた訳だが、そこから春までは、特に変わった事は無かった。強いて言えばワンフォーオールを譲りもう力を出せる期間も定まってしまったお父さんの代わりにヒーロー活動をかなり積極的にこなしていた程度。そんな調子で月日は流れ、入学式当日。今年の定員は何故か37人であり、A組19人とB組18人という人数分けが成されていた。

 僕はA組。一応緑谷君と同じクラスだという事は分かっているが、友達が出来るかはかなり不安である。何しろ笑顔になれないから、第一印象がかなり悪くなってしまう事が多いのだ。ヒーローになるためにこの学校に来たが、仲間、友人は欲しい。できればしっかりと話して僕と友達になってくれるクラスメイトが多いと嬉しいのだが。

 

 

 

 教室に入ろうとしたら、ドアの前に寝袋があった。

 

「…何してるんですか、イレイザーヘッド。」

 

「お前こそ何をしている。時間ギリギリだぞ。それにここでは相澤先生と呼べ。」

 

寝袋から起き上がりながら言うイレイザーヘッド。彼とは何度か会った事があり、共に仕事をしたこともあるのでよく知っていたが、まさか雄英高校でもこんなキャラだとは思わなかった。

 

「すみません相澤先生。お父さんが朝から落ち着かなくて…。」 

 

「あー…なら仕方ないな。さっさと席につけ。」

 

そう言いながら教室の扉を開けるイレイザーヘッド改め相澤先生。 

 

「騒がしいぞお前ら。友達ごっこしたいならよそへ行け。ここは、ヒーロー科だぞ。」

 

教室に入り、相澤先生を横目に空いている席に座る。

 

「ハイ。静かになるのに8秒掛かりました。時間は有限、君たちは合理性に欠くね。」

 

面倒臭い教師ムーブをしだす相澤先生。この人、性格的に考えると生徒の事をちゃんと考えた上で面倒臭い事をしてくる先生だと思うんだよなぁ。担任だとそのクラスは苦労するタイプ。でもこの時間に教室に来るって事は…

 

「担任の相澤消太だ。よろしくね。」

 

やっぱりか。

 

「早速だが、コレ来てグラウンドに出ろ。」

 

雄英高校の体操服を取り出しそんなことを言う相澤先生。とりあえず担任の言うことには素直に従おう。

 

 

 

「「個性把握…テストォ!?」」

 

相澤先生の言葉に全員が驚く。

 

「ガイダンスは!?入学式は!?」

 

続けて女の子、たしかお茶子さんが先生に尋ねる。

 

「ヒーローになるならそんな悠長な行事出てる時間無いよ。」

 

バッサリ質問を切る相澤先生。

 

「雄英は自由な校風が売り文句。そしてそれは先生側もまた然り」

 

そして相澤先生はそのまま、ヤンキー君にボールを渡し、個性を使って投げるように言った。

結果は705.2m。まあ、そりゃそうだよね。

 

「まず自分の『最大限』を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段。」

 

そんな相澤先生の説明を聞き、沸くクラスメイト達。ワイワイ騒ぎ出した。

 

「……面白そう…か。ヒーローになるための3年間、そんな腹積もりで過ごす気でいるのかい?」

 

どうやら相澤先生の癇に障る一言があったようだ。相澤先生が衝撃の一言を口にする。

 

「よし。トータル成績最下位の者は見込みなしと判断し、除籍処分としよう。」

 

なっ!?不味い、緑谷君!まだ調整が成功してない段階でコレは無理だ。流石に入学初日で除籍はヤバい。

 

「生徒の如何は先生(おれたち)の自由。ようこそコレが、雄英高校ヒーロー科だ。」

 

 

 

 クラスメイトや僕の声も虚しく、最下位除籍のテストが始まった。緑谷君は心配だが、よく考えればこの程度の試練、乗り越えなければどの道ワンフォーオールの継承者としては不合格だ。緑谷君には悪いけど、ここは自分で何とかしてもらおう。僕はもちろん全種目一位を目指すけどね。

 まず第一種目50m走。

 

「さっきは話せなかったね!君がウワサのリトルオールマイトか。俺は飯田天哉!君のような人と共に学べる事、光栄に思う!」

 

真面目そうな人が話しかけてきた。

 

「そんなにかしこまられても困るよ飯田君。ここでは同じクラスの仲間なんだ。僕は訳あってどうしても笑顔が浮かべられないんだけど、仲良くしてくれたら嬉しい。」

 

「こちらこそよろしく!」

 

良かった。いい人そうだ。コミュニケーションも上手くいったし、この調子でクラスメイト全員と仲良くなるぞ。

 

「おいお前ら!何やってる、さっさと位置につけ!」

 

相澤先生に言われて位置につく。

 

「よーい、スタート!」

 

合図と同時に全員が飛び出す。僕は個性のお陰で身体能力を100%使える上、寝なくてもいい事を利用して昔から昼も夜も勉強と鍛錬に明け暮れていたので、今やオールマイトに次ぐ身体能力の持ち主なんて言われている。飯田君と同じ個性を持つインゲニウムにも速さで勝った事あるし。まだ未熟な飯田君には負けない。

 

「2秒90!」

 

「3秒04!」

 

結果は僕の勝ち。 

 

「クッ!流石リトルオールマイト!得意分野で負けるとは!」

 

「フフン。僕は君のお兄さんにも勝てるからね。」

 

「おお!兄さんを知ってるのか!あの人は俺の目標なんだ!」

 

「飯田君なら超えられるよ。インゲニウムも君は凄い子だって言ってたしね。」 

 

「兄さんが…!」

 

「おっと、あんまりここで長話も良くない。向こうに行こう。」

 

飯田君との仲が少し深まった。

 

 

 

 その後も記録一位を出し続け、第5種目のボール投げになった。緑谷君はまだ調整が上手くいかず、思うような記録を出せていない。筋トレの効果で、個性無しの体力テストならそこそこ良い結果ってレベルではあるのだけど、クラスメイト達は何か一つは飛び抜けた結果を残しているのでこのままでは最下位確定だ。

 そして僕が投げ終わり、麗日さんの番になった。

 

「悪いけど、八木君の連勝記録もここまでだよ!」

 

自身満々だった。僕はまだ、クラスメイトの個性を把握してないし、麗日さんはこれまでのテストで個性を使っていなかったから麗日さんがこんなにも自身たっぷりになる個性について興味が出てきた。今まで使ってなかったし超パワーって事も無いだろうけど、なんだ?分からない。

 

「セイ!」

 

麗日さんがボールを投げる。フォームは普通。だが、ボールはそのまま落ちることなく上昇し続けた。

 結果は∞。

物に掛かる重力をゼロにする個性か。強いな。この競技以外にも応用の効きそうな個性だ。

 

「ついに八木の連続一位が止まったぞ!!」

 

「うおー!!すげえ!!」

 

「…チッ!」

 

周りは大盛りあがりだ。

麗日さんが駆け寄って来る。

 

「フフン。私の勝ちだね!」

 

「ああ。完敗だよ。」

 

「うっ。これでも八木君の表情は変わらないのかぁ。」

 

残念そうな麗日さん。どうやら僕の悔しがる表情というか、いつもの表情以外の表情が見たかったようだ。なんだか申し訳ない。笑顔に関しては無理だし、元々表情を出すのは苦手なのだ。

 

 

 

 そして、緑谷君の番が回ってきた。あの表情を見るに、調整は諦めてこの競技にかける事にしたようだ。

 緊張しながらも振りかぶり、渾身の力を込め、投げる。

 緑谷君の投げた球は勢いよく突き進み空の彼方へ―――消える事はなかった。

 

「46m。」

 

…相澤先生の個性か。なるほど確かに相澤先生なら今の状態の緑谷君を見逃す筈はない。除籍処分も端から緑谷君を標的にしたものか。

 相澤先生に言われて2球目を準備する緑谷君。だが、多分また玉砕覚悟で投げれば個性を消される。そのままだと除籍処分。どうする?緑谷君。

 ボールを構えて、投げる。個性は使われていない、が、ボールが手から離れる一瞬で指先から衝撃が走り、ボールが加速した。

 最小限の損失で最大限の力を。言うは易く行うは難し、緑谷君はやり遂げた。やはりお父さんが認めただけはある。

 ただアレ、この後の事頭から抜けてるっぽいな。

 

 

 

 体力テストが終わり、緑谷君は最下位だったものの、相澤先生が除籍処分はウソだと暴露し、無事入学初日を終えたのだった。

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