アイに脳を焼かれて書いた作品がここまで皆さんに見て貰えるとは‥‥
ありがとうございます。これからも頑張って参りますので応援よろしくお願いします。
あれから早数年が経過した。
現在の苺プロダクションは、発展を続け芸能界でもそれなりの幅を利かせる会社へと成長。現在は、全体の経営を副社長のミヤコさんが行っている。現社長の
一方で、B小町の解散を経て苺プロダクションは、アイドル部門の活動を休止。今はネットタレントのマネジメントや子役の養成に力を入れている。アイさんもタレント業より多忙なミヤコさんのアシスタントを優先に働いており、会社に大きな貢献をもたらしていた。世間はB小町の復活を望む声が多いが、現状限りなく難しいだろう。正直アイさんのカリスマ性は、社会にとって劇薬と言っていい程の衝撃を与えた。アイさんが脱退した後たちどころに上手くいかなかったのがよい証拠だ。
けれどもルビー姉さんはアイドルになるという夢を諦めてはいなかった。前世からアイさんの輝きに魅入られていた彼女は、芸能科のある高校を目指し、受験への毎日を過ごしている。
「ねぇ、メル。早くアイドルになりたいよね」
「うん、なりたい!!お母さんのようなアイドルになりたい」
かく言う私も、アイドルになろうと思っている。あの撮影以来子役としてCMやドラマに端役として出演しメディア進出も上手くいっていたが、注目度は役者よりもアイドルの方が強い。純粋な気持ちな気持ちでアイドルを目指しているルビー姉さんには悪いがアイドルとして世間の目を浴びれば、自然と有名人との接触機会は増える。そうすれば、アイさんの襲撃の真相を知っている人がいるかもしれないからだ。それに加えて、アイドル業界は伏魔殿だ。アイさんのようなアイドルを目指しているルビー姉さんを狙う輩も多い。家族を守るのも私の使命。一人にするわけにはいけない。
「2人ともアイドルを夢みるのは構わんけどさ、アイドルに夢見るなよ」
「基本薄給だし、30手前で定年だし、日常生活は常にファンの監視が付きまとう。卒業後の業界生存率も低くて結局他業種に就職する人もほとんど。こんなにコストとリターンが見合ってない仕事も中々ない」
諭すような兄さんの言葉も理解できる。実際業界で生き残っていけるのはほんの一握り。常にファンとアンチに揉みくちゃにされる生活を送ることになる。だから兄さんはそんなリスクを危惧して私たちを止めようとしているのだろう。
「だからなんだっていうの?」
「したいことをするのが人生でしょ。コストとかリターンとか言っていたら何もできない。何もできないまま終わる人生だってあるんだよ、私はそんなのいや」
流石姉さん、ブレない。
私としても何もできないまま終わる人生はまっぴらごめん。後悔引きずるのも嫌だ。
「私も理屈で夢を腐らせたくない。全力でやってやるまで」
「はぁ・・・・勝手にしろよ。俺は監督のとこ行ってくる」
半ば呆れながら、兄さんはリビングを後にした。
「絶対なってやるんだから」
「私も絶対アイドルになる」
「ダメだよ」
ルビー姉さんと意思を固める中、話を聞いていたのかアイさんが兄さんと入れ替わるようにリビングへやってきた。
「「なんで!!」」
息ぴったりに姉妹でアイさんに抗議する
「アイドルなんて‥‥絶対ダメ。」
「どうしてアクアだけじゃなくて、ママまで反対するの?小さい時、ルビーはアイドルになれるって言ってたじゃん!!」
母親にまで自分の夢を否定されていると感じたルビー姉さんの声は、より荒ぶっていた。
「ダメなものは、ダメ。絶対アイドルなんてなっちゃだめだから」
アイさんからの言葉に姉さんの表情が真っ赤に染まる。相当怒っていることが目に見えてわかる。
「もうママなんて知らない!!」
そういうと姉さんは、勢いよく自室に戻っていった。
流石に言い過ぎなのでは、と思ったがアイさんも知らんぷりで新聞を読み始めていた。
一体どうしてこうなったんだろうか?
「1,2、3,4,5,6,7,8・‥‥」
「1,2、3,4,5,6,7,8・‥‥」
あの後、アイさんにもルビー姉さんにも話を聞こうとしたがどちらも取り合ってもらえなかった。仕方なく私は、自宅に備え付けてあるトレーニングルームで、身体を動かしている。
アイさんにはアイドルになってはいけないと釘を刺されているが、私自身はやめるつもりはない。ひたすら体力づくりに励み、ダンスに耐えられる身体を目指す
「メル、ちょっといいかな?」
すると気分が落ちついたのか、私の下にアイさんが訪ねてきた。私も動きを止めて、アイさんの傍に寄る。
雰囲気も先ほどよりかは大人しくなり、静かな感じを漂わせている。もしかしたら、何故アイさんがルビーさんのアイドル願望を認めないのか聞けるかもしれない。
「ねぇ、お母さん」
「なに?」
「どうしてお母さんは私と姉さんをアイドルにしたくないの?」
さりげなく聞けたと思う。ふとアイさんの表情を見るといつもの天真爛漫さは息をひそめ、しんみりとした空気をまとっていた。
「ルビーやアクア、メルを危険に巻き込みたくなかったからだよ」
アイさんはそう私に語り掛けた。
「メルが生まれる前にね、ママの大切な人が亡くなったんだ。暴走したファンに襲われた時、その人は危険を顧みず守ってくれたんだ。でもしばらく経った頃、私たちを庇って車にひかれちゃったの。あの人が居なかったらママは、こうやってあなたたちの成長を見れなかったかもしれない」
「アイドルも芸能界も魔窟。油断してたらあっという間に食われかねないサバイバル。ルビーはとっても純粋な子。嘘で出来た私よりも深く傷ついてしまうかもしれないって思うとどうしてもね‥‥」」
「ルビーもアクアもメルも、みーんな私がお腹を痛めて産んだ子供だもん、守りたいって思うのは当然でしょ?」
「お母さん・・・・」
アイさんが危惧している危険は最もだ。実際、アイドルが安全ということは保障されていない。現に未だアイさんを殺すよう唆した奴だっている。不安に思うのも親心として十分理解できる。
「・・・・私も二人がやりたいと思ったことを思う存分やらせてあげたい。私の意見でルビーやメルの人生を縛りたくない。でも、怖い目にも合わせたくない」
やはり今のアイさんは子を思うやさしさと未来への不安で板挟みになっている。
でもだからこそルビー姉さんとはちゃんと話しておくべきではないだろうか。
「‥‥お母さんが私たちのことを思ってくれているのはしっかり伝わってるよ。だけどね、ルビー姉さんも私もアイドルを諦めたくない」
アイドルを諦めたくないこの気持ちは嘘偽りのないの本心。自分にとってアイドルは、家族を守るための盾であり、今世において辿り着きたい新たな領域。ルビー姉さんが前世から一番星に惹かれたように私も一番星を見上げ恋焦がれている。全ては星野アイという『完璧』で『究極』のアイドルに、アイという母に出会えたからこそ始まったのだ。
「私は、メル。星野エメラルド!!星野アイの娘!!」
「そして、姉さんもお母さんの背中を見て育った娘!!アイドルがなんぼのもんじゃい!!」
言いたい言葉をありったけ詰め込んでアイさんへ宣言する。私の覚悟の証明だ。
私の気迫と宣言にアイさんは少しの間面喰っていたが、すぐいつもの表情に戻った。親心として不安に駆られていた表情ではなく、私たちが惹かれた一番星の生まれ変わり、金輪際現れないだろう存在、星野アイとしての顔であった。
ふーっと大きく深呼吸するアイさん。
「メルの思いしっかりと伝わったよ。‥‥わかった。もう一回ルビーと話してみるよ」
「うん。そうした方がいい」
アイさんはトレーニングルームを後にした。
後はルビー姉さんの手に掛かっているが‥‥まぁ、問題ないだろう。
だって、彼女も―――
欲張りなアイドルなんだから
後日、私はアイさん、ルビー姉さんと共にミヤコさんの元へ向かった。もちろんアクア兄さんも立ち会ってくれる。
「本当にいいのね?アイ」
「うん。うちの子たちは周りが思っているよりも強いよ。だって私の子だもん!」
アイさんの言葉を聞きミヤコさんは少し安堵した顔をするもすぐに私たちの方へ顔を向ける。
「‥‥2人とも本気なのね?」
「うん。」
「もちろん」
「貴女達が入ろうとしている世界は、大変な所よ。給料面だってそうだし、私生活だって大変よ。それに売れなくて惨めな思いをするかもしれない」
「ストーカー被害だってありふれた話。それでも―――」
「「だとしてもっ!!」」
「絶対…」「絶対に・・・!!」
「
姉妹で誓った覚悟。それはもう強固で絶対に離れない。
「本気か?」
アクア兄さんが問いかけるも既に本気だ。今更訂正も、後悔もするわけない
「「本気だよ」」
私と姉さんの心意が伝わったのか、ミヤコさんは椅子から立ち書類を一式取り出す。
「なら、2人ともうちの事務所に所属するように。特にメルは、仮ではなく正式な契約よ」
「苺プロは、十数年ぶりに新規アイドルグループを立ち上げます」
ミヤコさんの言葉に私と姉さんだけじゃなくアイさんも驚愕する。
「ミヤコさん、それって‥‥!!」
「ええ。B小町プロジェクト復活よ」
~~~星野宅にて~~~
プライベート用のスマホに着信音が鳴る。
電話の相手は斎藤社長。
誰もいない空間で、
「もしもし・・・」
『よう、俺だアイ』
「佐藤社長、その呼び方だとオレオレ詐欺みたいだよ」
『誰が詐欺師だ。あと俺は斎藤だ、いい加減覚えろクソアイドル』
「もうアイドルじゃありませんよ~だっ」
『それでどうだあの子たちの様子は?』
画面越しに兄妹の安否を尋ねる社長。元気に過ごしていると教えるとよかったと安心したような声が返ってくる。
そろそろ本題に入ろう
「それで何かわかった?」
『ああ。しかも朗報だ。カオリを殺した犯人について、少し情報が入った』
壱護社長が会社から離れる訳。それは私の住居に暴走したファンを嗾けたアイツ。カオリさんが跳ねられて亡くなったあの事故を裏で仕組んだ憎きアイツの所在を調べるためだ。
事故の後、真相を確かめるためにもう一度連絡を取った。でも電話をブロックしているのか、はたまた機種変更したのかわからないが電話も繋がらなくなった。直接問いただそうにも共演NGを掛けて避ける程の徹底ぶり。一連の動きに私は確信を持った
偶然に装ったカオリさんの交通事故。
警察は、どちらも犯人死亡で事件を終わらせてしまったが私たちにとって事件は終わっていない。
絶対に復讐してやると心に誓った。
壱護社長もこの復讐に乗ってくれた。本当は巻き込むつもりなんてなかった。でもカオリさんのお葬式で見せたあの涙。そして大切な妹分の命を奪われたとすれば社長が黙っていられるわけないだろう。
私はカオリさんから愛情を注がれた。誰かを愛したことも、愛されたこともなかったのに。たった数か月ではあったけれど、本当のお母さんから貰いたかったものをカオリさんは渡してくれた。だから、カオリさんを殺したアイツが許せそうにない。
「社長とカオリさんってなんでそんなに仲良かったの?」
『お前の身元引受人になる前からの付き合いだったからな。
としかわからなかった。
『さて、本題だアイ』
「何?」
『カオリを殺した実行犯は、事件後心臓発作を起こして死んだ。…そうお前の時とほぼ同じだ。これはいくらなんでも偶然過ぎやしないか?』
『それとお前の活動休止中の間人気アイドルグループの『双翼』、『戦乙女』がストーカーに狙われるという事件ががあった。それも異様に対象の機密情報を知った上での犯行だ。間違いなく俺たちの時と同じ手口だろう』
社長の言葉から察するに、奴は私の命を奪うのを保留にして他のアイドルたちを狙いはじめたということだろう。彼のことだ、決して諦めたわけではない。今はただ私を殺せずたまったフラストレーションを別の子たちで晴らしているにすぎない。いずれ芸能界で活躍する子供たちにも狙いを定めるに違いない。
社長から情報を聞き、改めて覚悟を決めた。
娘たちを守るためにはアイツをどうやってでも排除する。絶対に逃げ出そうとするから逃げられないよう苦しみと絶望を味合わせてよると誓ったのだ
『今上がっているのはこれで以上だ。何か質問はあるか?』
「ううん。大丈夫。ありがとう」
余計な心配をかけさせまいと得意の嘘で誤魔化す。
そのまま電話を切って、カオリさんが眠る仏壇へ足を運ぶ。
―――カオリさん。絶対に貴女の仇とって見せるから。全て終わったまた
アイシテルっていっぱい言うからね
劇中用語
・双翼
赤羽と青羽から成る大御所アイドルユニット。数年前相方の赤羽が歩道橋の階段から転落するという事故が起き約3年弱ユニット活動を休止していた。
・戦乙女
4名で活動しているグループ。最近、オーディションを勝ち抜いた少女が加入し5人となった。ライブ中証明が落下しメンバーの1人が背中に怪我を負った。後に新人に対し身勝手な恨みを持っていたストーカーによる犯行だと判明。下手人は逮捕された。
余談
どちらもとあるアニメのキャラクターやグループがモデルです。この物語はメルが視点となるため次章からは、オリジナル展開になる可能性大。もしかしたら、クロスオーバーのタグも着くことになるかもしれない。