星を守るは、私の使命   作:光からの使者

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新章、開幕!!
ここからメルのアイドルへの道が始ます。

よければ感想や高評価、お待ちしております。


生きてるって感じ

「ミヤえも――――ん!!早く私をアイドルにしてよ――――!!」

 

 学校から帰って来るや否や、ミヤコさんに泣きつく姉さんの姿がそこにはあった。

 姉さん曰はく、芸能科に所属している生徒は今も芸能界で活躍し続けている人物ばかり。兄さんは、かの最終回で注目を集めた今日あまに出演していたのに対し、姉さんはこれといった実績もないため明らかな疎外感を感じているのだという。

だからこそ苺プロのB小町復活プロジェクトを進めたいとミヤコさんに泣きついているのである。

 

「せかさないで・・・・アイドルグループつくります、はいオーディションってわけにもいかないの。ちゃんとしたグループつくるのにちゃんとしたスカウト雇ったり手続きがあるの」

 

 確かにごもっともな意見だ。世の中にはやるべき手順というものがある。

 変に焦ればそこから崩れる可能性だってありえるのだ。姉さんもその点は理解している筈だ。

 

「でもこのままじゃ・‥‥このままじゃいじめられるッ!!」

 

 嫌な妄想が過ったのかますます頭を悩ませる姉さん。そんな姉さんの頭をアイさんはやさしく撫でる。

 

「よしよし、ルビーなら大丈夫だよ。いじめられるなんて絶対ないよ」

「ママぁぁ‥‥」

 

「そうそう可愛い子なんて見つからないのよ。意欲のある子は粗方持っていかれちゃうし・・・・」

 

 苺プロもアイのドーム公演を皮切りに一躍有名になったとはいえ、芸能界ではまだまだ若輩企業。知名度も実力もまだまだ程遠く、未来ある若い子たちは大手芸能事務所のオーディションに参加することは想像に難くない。ミヤコさんが頭を悩ませるのも無理はない話だ。

 

 姉さんは同じ芸能科のクラスメイトを候補に挙げるもミヤコさんにソッコー不採用を貰っていた。

 

 まぁ、でしょうね。グラドルやってるた事務所の子引っ張ってくるのは不味いと思いますよ姉さん‥‥

 

 頭を抱える私たち。するとミヤコさんがふとつぶやく。

 

「せめてフリーな子がいたらなぁ・・・・・」

 

 その言葉に兄さんが反応した。

 

「フリーなら、いるじゃん。フリーランスで名前が売れてるのに仕事がなくて・・・・・顔が可愛い子」

 

 ‥‥え、いるんですか?そんなドンピシャな人?

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

――今日の夕方、○○公園に来てくれ。

 

――大事な話がある。ルビーも一緒だ。

 

 

 

「じゃあ、またね。メルちゃん!!」

「うん。またね~~」

 

 その日の放課後、クラスメイトと別れた私は兄さんから連絡を受け公園にやってきた。

 公園に着くや既に兄さんと姉さんは来ており、誰かを待っているようだった。

 

「兄さん、姉さん、待たせてごめん」

「あ、メル!」

「別に待ってない。俺たちもさっき着いたとこ」

「それで大事な話って?」

「今もう一人呼んでるの。そろそろ来ると思うんだけど・・・・」

 

 一体誰なのだろう?辺りを見渡すと、木陰から兄さんたちと同じ制服を着た人が出てきた。

 

「おまた・・・・」

「待ってたわ。遅いじゃない」

「あ”?永遠に待ってろ・・・・」

 

 うわぁ・・・・。こりゃまた濃いメンツが来たことで・・・・

 

 姉さんへ露骨な態度を見せるこの人の名は『有馬かな』さん。一昔前に”10秒で泣ける天才子役”で話題になったらしい。

 なんでらしいって?だって私自身彼女に会うのはこれが初めてだ。アイさんの演技を学ぶために拝借してた映画で一度見かけたくらいで、後は兄さん姉さんから話を聞いた程度。それにちょっと前に兄さんが出演したドラマ『今日はあま口で』通称『今日あま』にヒロイン役として出演していたのを見たことがある。

あのドラマは主演を始めとした大根役者っぷりが凄まじく、兄さんが急遽登板した最終回まで酷評。実際兄さんの出演に当たってミヤコさん、アイさん、私、姉さんで見てみたが思わず絶句してしまった。ただ、最終回に関してはかなさん本来の持ち味が発揮されていたことに違いはない。兄さんの不気味すぎる程の怪演が彼女の本領を引きだたせたと感じる程に。

 

 なるほど。兄さんが候補として選んでくるのも納得だ。ただ、当の本人はというと・・・・・

 

「大事な話があるって聞いたんだけど?てか、なんで妹の方もいるの?って、そこにいる星野アイにそっくりな子は誰?」

 

「話があるのはルビーの方。あとこいつはメル。俺たちの末っ子」

 

「はぁッ!?末っ子ッ!?」

 

 

ま、そうなるよねぇ・・・・・。映画にちょこっと出てたくらいで私が2人の妹なんて誰も知らないし気づかない筈だ。

 

驚きのあまり口をパクパクさせているかなさん。あまり刺激しないよう、愛想よい挨拶を試みる

 

「お初にお目にかかります、星野エメラルドと申します。いつも兄さんと姉さんがお世話になっているようでありがとうございます”10秒で舐める天才子役”の有馬かなさん」

 

「混ざってるっ!!」

 

しまった、間違えたみたい。兄さんたちからじゅう・・・でなんとかの天才子役って聞いてたはずなんだけどなぁ・・・・。なにかと忘れっぽいんだよねぁ・・・

 

えっと…。じゅう・・・・10・・・・重・・・!あ、これかっ!

 

「もしかして、重曹で泣ける天才子役さんですか?」

 

「だ・か・ら~混ざってるっ!どうやって重曹で泣くのよ!”10秒で泣ける天才子役”だってば!!」

 

「そうだよ、メル。ロり先輩は”重曹を舐める天才子役”だよ」

 

「あー!”重曹を舐める天才子役”!思い出した!!」

 

「何でよっ!?」

 

 肩書を混ざって覚えられていた挙句、初対面の末っ子である私にまで重曹で覚えられていたかなさんは呆れたようにどっとため息を吐くと、脚を組んだままベンチに腰掛けた。

 

「で・・・何?私も暇じゃないんだから20秒ですませて」

 

(うわぁ・・・・態度露骨ぅ・・・・・)

 

「態度露骨ぅ・・・・」

 

 流石血のつながった姉妹。姉さんも考えることも一緒でしたか。でも、本人の前で言わない方がよいかと・・・

 

「お兄ちゃん。ここでアイドルやらない?って誘ったらそれはもう君はアイドル級に可愛いよって言ってるもんじゃん。すっごく癪なんですけどーー!」

 

「なんのプライドなんだよ。一刻も早く活動始めたいんだろ?なら変に意地張ってる場合じゃないんじゃないか?」

 

 なるほど。兄さんが言ってたフリーで可愛くてアイドルいけそうな子ってこの人のことだったんだ。だから私も呼び出したってわけか。

 

兄さんの説得に姉さんも思う所があるのか、かなさんと向き合う。

 

「有馬かなさん。私たちとアイドルやりませんか?」

 

姉さんはかなさんに苺プロでアイドルプロジェクトを立ち上げること説明。その経緯で彼女をスカウトしたいと打ち明けた。

 

「・・・・これマジな話?」

 

「大事でマジな話」

 

 アイドルは私にとっても姉さんにとっても大事な夢。こんな序盤で躓くわけにはいかない。

 

「私からもお願いします。かなさん」

私も説得の後押しを図る。かつて天才子役と呼ばれたということは十分な素質がある。兄さんの慧眼がその証明だ。

 

「・・・・ちょっと考える時間頂戴」

 

そういうとかなさんは考えこみ始めた。

 

 実際の所、彼女にとって今回の件はかなり危険な橋を渡るも同じ。正直、B小町はアイさんの影響を強く受けすぎてしまった。アイさんの圧倒的なカリスマに魅入られたファンも多い。それが壁になることは確実。重圧だってすごいはずだ。だから彼女が賭けに乗るかはまさしく運次第だ。

 

 固唾を見守る中、何か言いかけたかなさんに兄さんが割って入る。

 

「頼む有馬かな。妹とアイドルをやってくれ」

 

 兄さんの一言にかなさんの表情が一変した。

 

「‥‥でも私そんなに可愛く、、、、」

 

「いや可愛いだろ」

 

「俺も酔狂でアイドルやってくれなんて言わない。有馬はそこらのアイドルよりも可愛いし、有馬なら安心して妹たちを預けられると思ってる」

 

 わーお‥‥流石兄さん。アイさん譲りの圧倒的美貌の使い方をわかってらっしゃる。見てくださいよ、かなさんの顔。あんな露骨に嫌な顔してたのに、兄さんが口説き始めたらすっかり顔を赤らめてるよ…。

 

 これ、兄さんが押せば落ちるのでは?

 

「頼む。アイドルやってくれ」

 

「む…無理!!」

 

「頼む。有馬のこと信頼して頼んでるんだ!」

 

「何度言われたって無理なものは無理!!絶対やらないから!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「苺プロへようこそ。歓迎します」

 

「頭ではダメってわかってるのに、なんで私はいつもこう―――」

 

「いっしょに頑張ろうね先輩」

 

 落ちたな。この人ちょろいわ

 まぁ‥‥相手が悪かったとしかいいようがない。中学3年でスカウトマンやれるんだから余計たちが悪い。

 しかも、スカウト成功の秘訣が人読み来た。顔の良さと押しの弱さに付け込んでくるとはアクア兄さん、恐ろしい人…。

 

「あんたねぇ‥‥。そういうことばかりしてるとその内酷い目に遭うわよ?夜道には気を付けなさい」

 

 同感。兄さん、根っからの善人なんだからあんまりこういうことして欲しくないかなぁ。前世から知っているとはいえ今は血のつながった家族。兄さんも姉さんもアイさんもミヤコさんも。誰も危険な目に遭って欲しくない。

 

 そんなことは絶対にさせない。いや、させるもか。いざとなったらこの身を切ってでも家族を守って見せる。

 

 モチベーションを高めるためにぶつぶつ独り言をつぶやくかなさん。急な方向転換だし無理はないか。

 

「ねぇ、アクアって次の仕事って入ってないの?」

いつもの雰囲気に戻ったかなさんは兄さんの演技を参考にしようと問いかける。

 

「うーーん…あるにはあるよ…」

 

姉さん?なんでそんな渋い顔してるんですか?

 

 姉さんが見せてくれたパソコンの画面には、若い俳優たちと一緒に写真を撮っている兄さんの姿がそこにはあった。

 

「「えっ!?アクア・兄さんが恋愛――ッ?!」

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 兄さんが新たに参加することになったのは恋愛リアリティショー番組『今からガチ恋♡始めます』

様々なジャンルで芸能活動している高校生徒の男女6名が週末にイベンドで交流を深めていき、最終的にカップル成立するのかという番組だ。

 

 モデルにダンサー、女優、ユーチューバー。芸能活動で注目を集めてる分全員顔が良い。これに兄さんが参加しているのか…大丈夫かな?

 

 そうこうしているうちに次は兄さんの登場シーンになった。

 

『アクアです。なんかめっちゃ緊張するわ~~みんなよろしくね!』

 

――――。

 

「「「いや、誰!!」」」

 

「お兄ちゃん陰のオーラ発してる闇系じゃない!」

 

「いくらなんでも作りすぎ!」

 

ええぇ…?

兄さんこんなキャラだったっけ?演技ってのは重々承知なんだけど、温度差ってものがありまして…

 

一同が困惑を隠せない中、出演者の1人ユーチューバーのMEMちょが兄さんに話しかけた。

 

『えぇ~~かっこいい。役者さんって憧れるぅ~~』

 

「あーあ、お兄ちゃんこういうぶりっ子タイプには厳しいからなぁ~。この子はないなぁ」

姉さん、少し落ち着てください。あくまでテレビ、テレビですから!

 

 一方MEMちょに対する兄さんの返し方は―――

 

『MEMちょも可愛いね。めっちゃ照れる』

 

 バリバリの陽キャムーブかましてた。

 

 あははは!なにこれめっちゃ面白い!!これ陽キャ兄さんアリだわ!!これアイさんにも見せましょう。

 

 

「「は?死ね」」

 

 ただ姉さんとかなさんはお冠な様子で陽キャムーブしまくっている兄さんを画面越しから眺めていた。

 

 

「なんだアイツ。あたしには可愛いなんて勧誘の時しか言わなかったくせに~~」

 

「女に囲まれて浮かれてんなぁ‥‥帰ったら説教だわ」

 

おーおー、二人とも手厳しい。

 

「結局お兄ちゃんも雄なんだね」

 

「ちょろそうな雌見つけたらすぐこれだよ」

 

 一応これ、テレビですから‥‥マジじゃないから。‥‥マジじゃないよね?

 

「二人とも。メディア用なんだから落ち着いて。そうしないと番組が成り立たないでしょ?」

「身近な人がデレデレしてるところ見ると腹立つのはわかるけどね。アクアも役者、そういう男を演じる気持ちでそこにいるんだと思うわ」

 

「…演技」

 

 

 流石ミヤコさん。界隈に長くいるだけあってよく知っていらっしゃる。

けれどかなさんは未だ割り切れない気持ちのようだ。もしかして、兄さんに対して何か抱えてる気持ちがあるのだろか?

 勧誘の時も兄さんからの誘いに乗ったくらいだし。

 

 でも確かになんで兄さん恋愛番組に出たんだろう?昔から兄さんは他の児童よりも賢い子でしたから、何か裏があるのかも。それも私や姉さんにも考え付かないこととか。

 

 ともかく、苺プロによる新生アイドル計画は有馬かなを迎えるという上々なスタートを切るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

「仮にも私は妹なわけで、私が嫌いなタイプと兄が付き合うのは嫌なわけ」

「ということで、お兄ちゃんが付き合うべき女性を私が決めます」

 

「勝手にも程がある」

 

 その日の晩。撮影から帰ってきた兄に会うなり、姉さんがひょうきんなことを言い出した。

姉さんがブラコンなのは重々承知でしたが、まさかここまでとは‥‥。兄さんにだってあるんですよ?人権は。

 

 タブレット端末を操作しながら姉さんは画面の女性を見せる。

 

「私の一押しは、ゆきぽん!多分この子は純粋でいい子だよ」

 

 うーんどうだろう?確かにぱっと見良い子そうには見えるけど…

 

「お前は見る目がないから、しばらく恋愛するなよ」

 

「はぁ!?」

 

あぁ…現場で何かあったんですね。ルビー姉さんはどんまいってことで

 

「あとメル、お前もだからな?恋愛する際には一言俺に相談すること、良いな?」

 

Oh…流れ弾ヒットしちゃった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 あれから兄さんは今ガチの収録が多く入るようになった。一方私たちはというとユニット名を考える段階に来ていた。

 B小町じゃないのって?当初はそうするつもりだったんだけど‥‥

 

「あのね。今でもB小町と聞いたら星野アイが出てくるレベルまで人気なの。迂闊に名乗っちゃファンに襲われかねないわ」

 

 という感じで断られてしまった。

 しかし、肝心のかなさんが実績がないことを理由に渋っているためユニット名が決まらないでいる。

 

 そこでミヤコさん提案の下、実績をつくることになった。

 時代の変化に伴う実績作り。動画作成である。

 

 流石ミヤコさん。賢い

 

「社長。ネットを甘く見過ぎじゃないですか?こんな顔だけがいい女と星野アイのそっくりさん、ネットに晒してもいいとこ数千。私のファン入れても1万行くかどうか‥‥」

 

「心配しないで。確かに一昔前なら苦労したわ。でも苺プロは配信者を多く抱えた事務所よ。ノウハウはあるわ」

 

「それに何もアイだけが稼ぎ頭じゃないわ。ちょうどさっき協力してくれる人捕まえた所だから、色々教わると良いわ」

 

「それじゃ、後はお願い」

 

 

「おまかせ」

 

 ミヤコさんに呼ばれ、扉から現れたのはひよこのマスクを被った筋肉モリモリマッチョマンのナイスガイだった。

 

 

「へ、変質者だあ――――!!」

 

 事務所にかなさんの絶叫が響き渡る。

 

「あ、ぴえヨンだ!」

「え、誰?」

 

「小中学生に大人気、覆面筋トレ系ユーチューバーのぴえヨンをご存じない!?うちの稼ぎ頭だよ」

 

「覆面筋トレ系ってのがまず初耳!」

 

あ、貴方でしたか。今世でもぴえヨンさんの筋トレにhお世話になってます。

 

 苺プロ所属だったんだ

 

「ユーチューブあんまり見ないから‥‥こんな感じのが子供には人気なのね…」

「世の中ってやっぱり何か歪よね…」

 

ぴえヨンを見るなりかなさんお得意の毒舌が炸裂する。

 

「ぴえヨンになんて口を…」

「ぴえヨンさんビシッと言ってやってください!」

 

「所詮ネットってインパクト勝負って言うか‥‥テレビの企画を流用したキャラビジネスって言うか…」

 

 

 あれ、ぴえヨンさんの年収って確か―――

 

 

「ぼく年収1億だよ」

 

「ナメた口効いてスンマセンでした」

 

 

 恐ろしく速い謝罪。私でも見逃さないわ

 

 

 かなさんを年収の力でわからせたとこでぴえヨンさんによるユーチューブ講座が始まった。

 

「良いかい。読者を稼ぐにはいくつかのテクニックがあるよ」

 

「毎日投稿?」

「元々の知名度?」

 

 テクニックか‥‥。印象に残る内容とサムネ?

 

「うんうん。そうだねー」

「でも君たちには毎日投稿する根気と知名度、面白いサムネイルを作れるほど編集能力はないよね」

 

 結構ドストレートに言いきりましたねぴえヨンさん。

 

「そこで手っ取り早く登録者を増やす裏テクがあるんだ」

 

「そういうの待ってました、先生!」

「教えて教えて!」

 

 へぇ―、裏テクなんてものがあるんだ。気になるなぁ

 

 

「それはねぇ―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 ぴえヨンさんに言われ苺プロのTシャツとスカートに着替えた私たち。頭にぴえヨンさんが被っているものと同じ被り物を被っている。

 

 そう、ぴえヨンさんの言う裏テクとは彼のチャンネルに出演することだったのだ。

小中学生に人気のぴえヨンさんは知名度が高い。それでいて同じ事務所に所属している利点も生かせる。まさにいいことずくめだ。

 

「というわけで今回の企画~~~。ぴえヨンブートダンス、一時間踊れたら素顔出してよし!」

 

 

 

 

 

『一番宣伝になるのは結局数。登録者を獲得するには有名ユーチューバーとコラボするのが一番効率がいいってわけ』

『君たち一応アイドルだし、寝起きドッキリとかやってみる?』

『あぁ、いいんじゃないですかそれ』

『えっ、初めから寝起きドッキリやるって始めからわかってたらドッキリじゃなくない?』

 

 確かに。あれって生々しいリアクション撮るためにあるドッキリだし、前情報あるんじゃインパクト薄いと思います。

 

 

『え?あんたたちマジで言ってる?』

『本当にアイドルの寝起き撮りに行って男と寝てたらどうするわけ?』

 

『こういうのは事前に通達いってるものだよ』

 

『『そうなの!?』』

 

はぁーー知らんかった。てっきり前情報なしドッキリだと思ってたんだけどなぁ‥‥

 

『でも私たちにとって初めての仕事だよ。』

 

 

 

 

嘘は

 

 

 

 

嫌だ

 

 

 

 

 姉さん、いやルビーさんは昔から嘘に対して何か嫌悪感を持ってるのではと思うことがある。

 何故彼女が嘘を嫌がるのかはわからない。でも、姉さんが何事にも純粋な気持ちを持って行動していることはわかっている。

 

だったら、私は姉さんの想いに――応える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして始まったぴえヨンブートダンス一時間耐久。

被り物被ってるおかげで酸素の供給が全然足りない!!それに体中から汗が滝のように流れてくるので水分が欲しい!!

 

酸欠、脱水、蒸し地獄のフルコース。

心身ともに追い込んでいくブートダンス。でもなんだか心地よくなってきた気がする。

 

そっか、これが生きてるって感じなんだッ!!

 

「きっつい!きっつい死んじゃう!あははは」

姉さんもなんだかんだこの状況を楽しんでいる。姉さんが楽しんでいるのを見ると私も俄然楽しくなってくる。よーし、一時間やりきるぞ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~一時間後~~

 

 無事ブートダンスをやりきった私たち3人は、事務所の床で満身創痍に突っ伏していた。

 

「はい、お見事。それじゃあ着ぐるみ取って自己紹介どうぞ!!」

 

「苺プロ所属、星野ルビー。自称アイドルです!」

 

 

「はい。次の方どうぞ!」

 

「有馬かな!自称アイドルです、こんにちわ!」

「名前だけは聞き覚えがあるよ」

「聞き覚えだけかよ」

 

「さて、最後は君だ。自己紹介どうぞ」

 

 同じく苺プロ所属、星野エメラルドです。自称アイドル、メルって呼んでね!」

 

 

「いや~最初は編集して一時間踊ったようにするつもりだったんだけど、マジでガチったね」

「視聴者には伝わらないとは思うけど、現場の人間は見てるわけで。僕は君らのこと好きだよ」

 

 

「あ、そうだ。大事なこと聞き忘れてた。3人のユニット名とかあるの?」

 

 ふと我に返り、私たちは顔を見合わせる。

 ちらっとかなさんの方を見る姉さん。対してかなさんはどこか認めたような感じがした。

 

「もうルビーが好きに決めていいわよ」

「いいの?」

 

よかったじゃないですか姉さん。やっぱりあの名前にするんですか?

 

「うん。じゃあ私たちの名前は――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

B小町

 

 

 

「え、それ大丈夫なの?」

かなさんが心配する中、事務所のドアが開きアイさんがクーラーボックスを持ってきていた。

 

「3人とも、お疲れ様。差し入れ持ってきたよ」

 

「わーい!!ありがとう!」

 

「あ、ありがとうございます‥‥」

 

ありがとうございます、アイさん。

 

アイさんが持って来てくれた飲み物とアイスに舌鼓を打ちながら、新生B小町の初仕事は幕を閉じたのであった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 ぴえヨンチャンネルに投稿された動画は瞬く間に世間へと拡散された。

 ターゲット層である小中学生はもちろんのこと大人にまで注目をかき集める結果となった。

 

 しかし、同時に新生B小町の存在が世の中に認知されることとなる。

 

「先輩!!これ見てくれよ!!」

 

 

「どうした雪音?そんな慌てて」

 

雪音と呼ばれた白髪の少女は、急いで携帯を先輩に見せた。

 

「‥‥これは!」

「妹に言われ、見て観たらみたら、驚いたんだからな」

「ああ、まさか【B小町】が再び現れるとは…」

 

「どうします?先輩」

「この一件は共有しておく方が良いな。私からもカナデに伝えておく」

「んじゃ、あたしも妹たちに伝えとくかな。もしかしたら妹のライバルになるかもしれないしな」

 

「彼女たちのこれからが楽しみだな」

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

~都内某所~

 

レイレイ、クモクモ何見てるの?」

 

「ぴえヨンチャンネル。更新されてた」

 

「あー、苺プロのね。それがどうかしたの?」

 

 

「それがね。フフッ、中々面白そうな人たちを見つけたの。レイナ、お願い」

「合点招致」

 

紫髪の女性に頼まれたレイナと呼ばれた人物は最後の自己紹介パートを再生する

 

 

 

『苺プロ所属、星野ルビー。自称アイドルです!』

 

『有馬かな!自称アイドルです、こんにちわ!』

 

『同じく苺プロ所属、星野エメラルドです。自称アイドル、メルって呼んでね!』

 

 

「わあ!みんなきゃわわ~!他の人たちにも広めないと」

「ええ。いつか同じステージに立てる日がとても楽しみだわ」

 

 

 

 

 

かくして、本人たちの預かり知らぬところで小さな旋風が巻き起こる。

いずれ旋風は、嵐と成りえるのだろうか。

それは神のみぞ知る。




書きたいこと書きまくってたら思った以上に長くなっちゃった‥‥
ひとまず、原作通り新生B小町の基盤づくりには成功。

最後に出てきた方々は後々登場予定なのでお楽しみに!!

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