ロックマンエグゼ世界でエックス的なナビを持ってしまった   作:黒兎可

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※みゆきさんは出番増やすために色々話が追加されてますので、あしからずです


第10話「もう言ってること滅茶苦茶だよ……」

  

 

 

 

 

 プラグインした直後、画面に映ったエックスマンを見て、サロマさんは凄いびっくりした。

 

「ろ、ロックマン……!? あっいえ、顔立ちとかアーマーは色々違いますか……」

「…………みゆきお姉さんも言ってましたけど、そのロックマンっていうのは何なんですか?」

「ごめんなさい、ガンサイさん。知り合いのネットナビに似ていたもので……」

 

 でも熱斗さん、ロックマンタイプのスキンが売ってるとか言っていませんでしたし……、と不思議がっているサロマさん。

 スミマセン、多分これ父さんがパクってきただけです…………。科学省勤めだということを考えれば、光博士(主人公の父親)にも許可はとってるんだろうけど。まあ実際、多少は手を加えたのかエックスマンの顔は熱斗君よりは僕に寄ってる顔立ちだったりはするんだけど(画風の問題で誤差の範囲だ)。

 

 カメラの電脳は、メットール祭りだった。

 

 あそこもメットール、そこかしこメットール。ご丁寧に黄色、赤(ピンク?)、青と三色揃っている。でも全員が仲良く「メット! メット!」って言って電脳の破壊工作にいそしんでる姿は妙に癒しだ。絶対ヤバい光景なのにのほほんとさせられてしまうのはデザイナーの妙だろう。なんというか、相変わらず可愛いなメットール……。

 僕の場合、エックスマンと視界が半分くらい共有されてるので、間近でひょこひょこ動いてるメットールに幼児的な愛らしさを覚えてしまう。

 でも黒いSPがまだいないので、この時代では生まれてないってことなのかな。……なんかゲームでも見たことない、属性マークがヘルメットについてるメットールもいるけど。

 

「ウッドマン――」

「シエル! ――」

「エックスマン、――」

 

「「「バトルオペレーション、セット――――」」」

 

『『『――――イン!』』』 

 

 まあ、そうも和んでいられないので、すぐさま戦闘に移るんだけど。

 

 ウッディタワーで地道にメットールを処理していくウッドマンと、ショットガンとかクロスガンとかみゆきお姉さんから渡されたフォルダ2で以前とそう差はない戦闘をしていく僕。……入ってるバトルチップの編成が本当に直近の僕のフォルダみたいなことになってるから、ますますみゆきお姉さんのオカルトパワーが満ち満ちている感じがして、怖い。

 ただ違う点が何点かあって、同一チップで揃えていたところがPA(プログラムアドバンス)発動用に多少ばらけていたり、ナビチップが「スカルマン」「スカルマンV2」「スカルマンV3」になっていたり。……これ完全にプレゼントか何かですよね。自分のナビのチップを自分のフォルダに入れないでしょ普通。

 

『パラレルショット!』

 

 そして個人的に目を引いているのがシエルちゃんだ。バトルオペレーションが始まった瞬間に、彼女の周囲に三色のサイバーエルフチックな何かが彷徨い始めた。シルエットは良く見えないけど、それぞれ赤系、青系、黄色系でメットールと対を為している。

 それらを手首から先が変形したハンドガンみたいなのに装填して、シエルちゃんは射撃していた。

 

 でもシエルちゃんの攻撃、ダメージはさほど入っていない。たまに属性一致してるのか大きくのけぞってるウィルスはいるけど、それより目を引くのは状態異常だった。パラレルショットの当たった敵は、混乱したり麻痺したり凍結したり……。

 自分の目の前のメットールを大混乱させた後、ウッドマンの前のウィルスたちを麻痺させたり、かと思えばエックスマンの前のウィルスを凍結させたりと、活躍で言えば八面六臂だ。

 なるほど、直接戦闘には向かない……。サポートタイプのナビと割り切れば、実際高性能といえた。

 

 …………ただこれ、ナビ同士の対戦とかで使われるとちょっとした害悪戦法だな。なんとなく遠い目になって苦笑いが浮かんでしまう僕だ。

 

「…………プログラムアドバンスは、使わないのね」

「うひゃあっ!? えー、あっはい。このチップコードだとオメガキャノン使えそうですけど……、インビジ終了のタイミングが読めないんで」

「そうなの」

 

 そして耳元でしれっとささやいてくるみゆきお姉さんがかなりの妨害要因だった。これ絶対本人わかって遊んでるよね? いや、遊んでるってことはこの時点ではそんなに危険はないってことなんだろうけれど…………。

 

「それよりも、『知ってはいたけど』凄い状態ねガンサイ君。電子チップフォルダを展開すると、画面ほぼ埋まってると思うのだけれど」

「それも、まー、慣れてるんで? というと変かもしれませんけど、はい。

 ……って、知ってはいたけどって何ですかそれ!?」

「フフフ…………」

 

 とりあえず、意味深に微笑んだら大体なんでも許されると思ってないかなこのお姉さん。怖い。

 それはともかく、僕のPET画面を見たみゆきお姉さんの感想は、当事者じゃなければ僕でもそう思うのは納得だ。なにせアニメみたいに立体映像とかでスクリーンが拡大表示とかされないから、スマホサイズのそれにリアルタイムでエックスマンの映像、の上からゲームでおなじみな感じのチップ選択画面が表示されているんだ。

 

 つまりほとんど、画面の隅しか見えない。

 

 普通のオペレーターだったらよっぽど訓練してないと、それこそ一日十時間くらいトレーニングしてるらしい(この時点だとまだそこまでやってない?)炎山とかでもないと無理な芸当だと思うけど、そこは僕とエックスマン。

 意図せずではあるけど、シンクロ率の高い僕とエックスマンは、何度も言うようにプラグイン後は視界や感覚が共有される。

 なのでPET画面の俯瞰視点でなくても、ある程度は戦況を把握することができるんだ。

 

 というわけでエックスバスターとキャノンとショットガンとか、そういう初期タイプのチップで応戦しているんだけど(スカルマン系は使う程じゃない)、流石にそろそろキリがない。というより、一向に減ってる気がしない。

 ウィルスの場合、その場で自発的に涌いてるとすると発生源がフィールドで視界に入らないのは絶対おかしいから、有り得るとすると…………。

 

「別なエリアから入って来てる、とかかな。サロマさん、後お願いします!

 エックスマン!」

『了解!』

「えっ!? ちょ、ちょっとガンサイ君!?」

『わ、私も行くわ!』

 

 カメラの電脳を出てスタジオの電脳へ走るエックスマンと、それを追うシエルちゃん。なおサロマさん、というよりウッドマンは『応!』とこころよく応じてくれたので、特に気にせずリンクから外の電脳へ――――。

 

『…………マーティは、いないね』

『むしろ居てくれた方が良かったんですけど……』

 

 スタジオの電脳もまた、メットールがわんさか破壊活動をして遊んでいた。見た感じ、あのメットールたちもまた別な電脳からリンクを踏んできているらしい。

 

「……とりあえずギミックはなさそうなので、メットールを横凪ぎにしたら後は直進していけますかね」

「シエル!」

『パラレルショット!』

『『『メットー!?』』』 

 

 そのままパラレルショットでメットールたちを混乱させ足止めするシエル。電脳とはいえ口笛を吹いたエックスは、マスクオフしてにこにこ微笑んだ。シエルちゃんは特に得意げになるわけでもなく『急ぎましょう』と促す。

 そしてスタジオの電脳からテレビ局の電脳まで出た時点で、流石にちょっと笑ってしまった。

 

 

 

 そこにあったのは、木馬だった。

 

 

 

 トロイの木馬っていったらいいのか、そんなオブジェみたいなものの口が開いて、中からメットールが、それこそビ〇クリド〇キリメカみたいに行進して「メット! メット!」って出てきている。うん、可愛い。可愛いけどあの木馬は流石にヤバいと思う。

 

「な、なんであんなものが…………」

「わざわざ木馬型にする必要あったのかな……」

『トロイの木馬型ウィルスって言うにしても無茶がありすぎるし……』

『――――』

 

 チャットはしないけどエックスマンがそれはそれは微妙な目でオブジェを見ていた。

 すぐさま接近するエックスマンとシエル。シエルはエックスマンの後方から外れず、前方にパラレルショットを放って道を開けている。

 ただ、それでも追いつかない。あの木馬、メットールの生成速度が秒速6体くらいだ。ステージで言うと2ステージ分である。対してシエルのパラレルショットとエックスバスターで対応しても、せいぜい1秒1ステージ分にならざるを得ない。

 

 それがすでに大量に涌いている状況からスタートしているせいで、絶対的に手数が足りない……、スプレッドガンとかでも全然減らし切れる気配がしなかった。

 

 

 

 そんな状況で、僕ら(僕とエックスマン)の目の前に円盤のように巻かれたビデオテープが飛来する――――!

 

 

 

『そこよー! ビデオマン、ワインドカッターでやーっておしまいッ!』

『いや、やるのは良いけどナルシー、これでボクたちが活躍しても、多分新しいドラマは撮影させてもらえないんじゃ……』

『だーまらっしゃい! そんなの気にする暇があるなら、砂山Dに向けてポイント稼ぐのよ!』

 

 まあ、自分で造形したビデオテープ部分なので、予想は付いていた。ビデオマンと、オペレーターのナルシーさんだ。PET越しで見ても絵面が濃い……。エイリアさんとシエルちゃんが「えぇ……?」と困惑の表情になっちゃってる。

 ビデオマンは僕らの戦闘に割って入った。とはいえ、手数が増えるのは大助かり。

 

『あら、あなた。午前中ぶり。楽しんでくれてるかしら? DHM(ウチ)のパークは』

「それなりに、です。……えっと、撮影現場でウィルス騒ぎがあって、オフィシャルの人もいたから対応してるんですけど、ナルシーさんは?」

『こっちの方もよ! ドラマのカメラとか音響機器が一斉にやられて、お客さん大迷惑だわッ! こうなったら何かないと収支がとれないものッ』

 

 あくまで職場でのウィルスバスティングの延長、という扱いらしい。市民ネットバトラーかどうかはこれならギリギリ関係ないかな……?

 見たところ、ナビの攻撃性能はビデオマンの方が高そうなので、メインの木馬破壊をお願いした。ナルシーさんはこころよく応じて「わかってるじゃない! そういうボーヤはポイント高いわよ!」と甲高い声で煩くなって、ビデオマンは「ゴメンね」とエックスマンたちに頭を下げていた。

 

『じゃあ行くわよ、ビデオマン! バトルチップ「イチジテイシ」、スロットイン!』

『ウィルス生成、止まれー!』

 

 両腕のビデオテープを引っ張ると同時に、木馬付近に出現したビデオテープの線が木馬にがんじがらめになる。すると、どうだろう。口から行進していたメットールが動きを止めている。詰まっている様子もないので、あの木馬付近のメットールも含めて全体の時間が一時停止しているような感じだ。

 何気に凄い能力じゃない!? と感心しつつ、エリアスチールをした上でバトルチップを選ぶ。チップ節約もかねて、あえてベータソードを発動させた。

 ソード、ワイドソード、ロングソード。……やっぱりドリームソードにならないのに、まだ慣れていない。

 

 そのまま動きを止めているメットールたちの付近を横切りながら、ソード2発、ワイドソード2発、ロングソード2発で出来る限りまとめて沈めていく。

 エックスマンが対応しきれない分は、シエルちゃんが状態異常戦法を取った後に追撃のパラレルショットで一部デリートしたりして対応していた。

 

『――――よし! 壊したわ、流石私のビデオマン!』

『――今日はナルシーのオペレートも、いつもより絶好調だったよ!』

 

 あっ、どうやら終わったらしい。エックスマン視点だと、背後で爆発音が鳴った後にメットールたちが一斉に「メットオォォォォ……」と聞いたこともない様な断末魔を上げて、ブブブブと爆発した。

 ……こういう時、PETの画面がチップフォルダなので状況が解り辛い。エックスマン視点だとウィルスバスティングのFPSみたいなものだし。

 

 状況を把握するために一度チップフォルダを閉じようとボタンを操作していると、背後から僕の手首が掴まれた。

 

「み、みゆきお姉さん?」

「………………まだ駄目」

「まだって、それは――――」

 

『――――ちょっとビデオマン、どうしたのアナタ!?』

『ぐ、ぐおおおおおおッ!』

 

 みゆきお姉さんにストップをかけられた直後、まるで何かのフラグを踏んだかのようにビデオマンが苦しんでる声が聞こえる。

 流石に何が起こったかわからないので、エックスマンは背後を向く。すると、壊れた木馬のオブジェから「赤黒い靄」のような何かがあふれ出て、ビデオマンに絡みついていた。

 

「ポリゴン上で実体を持つ密度の、ゼロウィルス……!?」

「何それエイリアさんッ!!?」

『つまり、本当に「トロイの木馬」だったってことです! ウィルス自動生成の悪性プログラムは表面上の擬態、実際の目的は、あれを破壊できるくらいの強いナビをゼロウィルスに感染させること……!』

 

『きぃいいいいいいッ! つまり、私のビデオマンが美しすぎたからいけないのねー!?」

 

「「「「いや、そう言う訳じゃないと思う」」」」

 

「さ、サロマちゃんまで自由ね……」

 

 僕、みゆきお姉さん、サロマさんの三人でナルシーさんのアレなセリフにツッコミ。

 エイリアさんは流石にそこまであけすけに言わないので、ここはちょっと大人っぽいのかもしれない。

 

 ちなみにウッドマンもこっちの電脳までやってきたので、サロマさんもこの場に参戦となったんだけど…………。やがてあのゼロウィルスみたいなのが消えた後、ビデオマンはダラリと腕を垂らしてゾンビみたいなポーズに。

 

『ぼ、ボクは…………』

『ビデオマン、大丈夫!?』

『ボクは――――もっとまともにナビを気遣ってくれるオペレーターと仕事するんだ!』

『ビデオマーンッ!?』

 

 なんか言ってることは、日ごろの鬱憤が爆発したみたいな感じになってる……。

 

 でも目がなんかギンギラと真っ赤に染まってるから、暴走状態っぽい感じではあった。

 彼は僕たちを見て、すぐさまビデオテープを回転させる――――録画再生!? 投影されたのは、半透明のエックスマンの姿が2つ。

 

『『エックスバスター!』』

『――――っ!?』

「ちょ、ちょっと!?」

 

 流石に予想外のタイミングでの攻撃だったので、僕もエックスマンも準備が整っていない。ウッドマンがいちはやく前に出て、エックスマンとシエルちゃんを庇ったのはサロマさんの判断が早かったからだろう。投影されたエックスマンが消えるまでの間、延々とビデオマンは愚痴を零していた。

 

『僕は……、もっとまともな精神をしたオペレーターと仕事するんだ……、ナルシーみたいに偏屈で厭味ったらしくて独善的で自己中心的で陰口いっぱい愚痴って来てパワハラして新人を追い詰めたりするようなオペレーターなんてもう沢山だッ!』

『ビデオマンあなた、そんなこと考えてたワケっ!?』

『そのために、全てのナビをデリートして! 僕がオペレーターを選ぶんだー!』

 

『もう言ってること滅茶苦茶だよ……』

「もう言ってること滅茶苦茶だよ……」

  

 流石にデリートするかどうかはともかくとして、このままにしておくわけにもいかないだろう。僕たちの後から、ノーマルナビとかも少しずつプラグインして様子を見に来てる。多分局の関係者たちなんだろうけど、そこまで被害が及ぶといくらなんでもまずいだろう。

 

『うぅ……』

「ウッドマン、しっかりして!」

「サロマちゃん、プラグアウトを……! ゼロウィルスに感染したナビとの戦闘は、ゼロウィルス感染の可能性が高くなります」

「で、でも…………」

 

 動けないウッドマンにシエルちゃんが肩を貸して運ぶ(意外と力持ちだ)。その際、周囲のナビに警告をしながら退散してくのを横目に、エックスマンはバスターの豆鉄砲(チャージしてない状態ってこと)をビデオマンに射撃してアナライズ。

 

 ナビネームはそのままビデオマン、HPは 310 。また微妙な数値だな…………。こっちに来るまでに戦闘したせいかもしれない。

 

「行くよ、エックスマン。バトルオペレーション、セット――――」

『――――イン!』

 

 

 

「……さて、少しは楽しめるのではないかしら。ダークマン(ヽヽヽヽヽ)

  

 

 

 そんな僕らから少し離れた位置で、みゆきお姉さんが何を呟いたかは聞こえなかった。

 

 

 

 

 


・ナビネーム:シエル

・外見:ピンク系のコートを着用した司令官風のシエルちゃん(ロックマンゼロ)。周囲にサイバーエルフ的な何かが浮かんでいる

・ナビマーク:輝く花弁(システマシエル風)

・初期HP:1300(エイリアが過保護にアップデートするため高い)

・主武装:パラレルショット(+20)。チャージが基本で、周囲に漂う3つのサイバーエルフ的な何かがランダムに正面の敵に突撃していく。それぞれ火属性混乱、電気属性麻痺、水属性凍結の効果がある。なお障害物無視攻撃なので、対戦だとストーンキューブなどで防御不能(オジゾウサンすら通過する)。

・特徴:本来は研究用のナビで戦闘向きの性能を(性格含めて)していない。穏やかで研究熱心だが、エイリア相手にはたまにMADなことを言うこともある。

・特記事項:HPが妙に高かったりチャージショットに異常付与デフォルトだったりするのはエイリアの過保護っぷりによるもの。なのでゲームとかで実際に戦うと超強力ではないが地味に面倒なタイプ。

・特記事項2:遠距離主体になっているのはマーティがゼロウィルスに感染した反省もあってのこと。マーティのデータが一部流用されており、関係は妹のようなものだが性格は全然違う。

 

オペレーター:エイリア・C・防守

 

 

 




アンケート、次回か次々回あたりで締める予定ですので、まだの方はお早目にです…!

トランスミッション時点で登場するボスナビを何作目から出しましょうか(2体予定)

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