ロックマンエグゼ世界でエックス的なナビを持ってしまった   作:黒兎可

11 / 53
後のシリーズ? に向けてちょっとずつ色々積み重ね中な今回です…!
※今回の描写に併せて、前回微妙に少しだけ書き直してますので、あしからずです……


第11話「最後まで注文が多いオペレーターだよ」

 

 

 

 

 

 ビデオマンのテープハンド(バスターアップパーツ相当)は僕の自作だからどう言ったモーションが発生しうるかはある程度推測がつく。だからと言って、その推測が全て相手の攻撃に当てはまるかは別問題なんだけれども。

 それは、まずさっきビデオマンがやってたような、地面にテープを貼る動作。本来は腕からテープをバスターみたいに飛ばすーという設定で作っていたんだけれど、多少そこから自主改造したらしい。

 

 このテープはダメージよりも行動阻害が目的らしく、四方を囲まれると流石に面倒だった。

 

「エックスマン! 『スプレッドガン』、データスロットイン!』

 

 なので、とりあえず電子フォルダのチップ選択画面で周囲ごと爆撃するチップを選び転送。周囲のテープをちぎって前進。エリアスチール(アスタリスクコードが実装されたので選べた)で一歩踏み込み、テープラインが貼られるのをまず妨害。

 と、目の前にテープ芯みたいなものが投げられ……、これには見覚えがあるので後退、エックスバスターのチャージをする。ちなみに僕はラピッド(連射)とチャージ(チャージ速度)を重点的に上げてる。なのでエックスバスター2連射でも、形成されたビデオテープの巻き尺みたいな円盤は、破壊まではできず弾く程度だ。

 

 いや、そもそもゲームとかで戦ったこと無いから、実際あのビデオ破壊できるかどうか不明なんだけどね、僕。

 

 一応CGモデルのアニメーションで爆発はいれたけど、さてどう動作設定されているものか…………。

 

『エックスバスター!』

 

 まぁ、考えるだけ無駄か。

 とりあえずビデオ自体は避けて、エックスバスター2連射――――だけど、これは案外簡単に当たった!? 威力上げをしてないけど、「ほげェ!?」って汚い声を上げるビデオマン。転がるビデオマンとは独立して、ビデオテープのワインドカッターだったかはまだ回っている。

 

 シエルちゃんが後方で何か色々やったせいか、カメラの映像確認画面に電脳での戦闘映像が映し出された。

 

 独立して攻撃判定がまーだ残ってるって、これ、ビデオマンのチャージ技かな……?

 威力の感じからして、テープラインが通常バスター、ワインドカッターがチャージバスターの扱いのようだ。

 

 ということは、ビデオマンは拡張性がかなり低くなっているはずだ。

 

 一般にナビのカスタマイズというのは、あまりやりすぎるとそのナビの拡張性を大きく阻害する。…………ナビの「.exe(ドットエグゼ)」が読み込めるメモリの限界の関係で。いや、それでも明らかに前世と言うか、現実世界からは想像がつかない単位が飛び交ってるんだけどね……(ゼタバイトとかペタバイトとか聞いたこと無い数値)。エクサメモリも、多分処理コア部分がエクサなだけであって、実際はロナとかもう本当に全くわかんないレベルのメモリを有してるんだろう。

 ともかく、例えばバトルチップ以外でのバスター変更とか、ナビ専用の固有チップを大量に作るとか。ソード系に特化すると、そのナビの専用PETでは砲撃系バトルチップが使えなくなったり、みたいな。

 そういったナビ専用に高い攻撃力の武装とか、あるいは他の機能をガンガンカスタマイズしていくと、その分ナビが読み込めるバトルチップの種類が減ったり、動きが鈍くなったり、あるいは専用チップしか使えなくなったり。……みゆきお姉さんのスカルマンとかも、その典型だと思う。

 

 エックスマン? いや、エックスマンは主に外見変えることしかやってないので、あのアーマーはメモリあんまり使わないんだ。光学エフェクトとかアニメーションとかもほとんど入れてないし(被弾は結構真面目に作った)。

 あとエクサメモリ(ロックマンに搭載されてる、他のネットナビを何体か記録しておつりがくるレベルの巨大メモリ)ほどとは言わないけど、エックスマンも結構良いメモリ拡縮ソフトが導入されているらしいので、基本機能にあまり困ったことは無かった。

 うん、その割になんか妙に無口なんだよねエックスマン……。もはや単なる性格だ、と思ってる。

 

 ちなみにこの手の分野でぶっちぎりの天才というか、尊敬するのは大山デカオ君(主人公の親友)だ。

 僕みたいな知識経験のブーストもなく、小学生の年齢で市販品を込とは言え(ガッツアームとか)、ほぼゼロからあそこまでナビのデータをコンセプト通りに構築するのは、どう考えても異常極まりない。お父さんの手とか借りてる可能性もあるけど、そこまで子供のナビにかかりきりになれるのは光博士くらいだと思うから、多分本人だろう。

 自分のナビへの愛情ありきだとは思うけど、正直言って尊敬する。自分でエックスマンのアーマーを作り始めてから、本気でそう思った。

 

 のけぞりはする。のけぞりはするけど、バリアとか他のチップを使う気配はない。

 

『きぃ~~~~! 早い所ビデオマンを倒して! じゃないと私、お仕事干されちゃうわ!

 でもビデオマン、負けるんじゃないわよ~~!』

 

「いや、どっち応援してるの!?」

『いや、どっち応援してるの!?』

 

 僕とエックスが同時に突っ込む。みゆきお姉さんは無言、サロマさんは「大人があれで良いんですか?」ってエイリアさんに聞いてる。エイリアさんはエイリアさんで「な、ナビへの愛情は本物だということで……」と困惑しながら苦笑いしてた。

 まあ、エイリアさんもマーティのことは大事みたいだから、きっとデリートさせないために色々頑張ってるんだろうし…………。気持ちはわからないでもないってことだろう。

 

 それはそうと。

 

「バトルチップ『ワイドソード』、データスロットイン!」

『――――!』

 

 意外とビデオマン、遠距離主体の攻撃が多い割にいっぱい接近してくる。しかもテープの範囲上。

 なので、タイミングさえ見極めれば、横方向に出てくるビデオマンにワイドソードを当てるのは難しくないのだ。……まあゲームだったら多分、エックスバスターみたいに2マス範囲攻撃とかだと思うから、実際はもっとややこしい感じになるんだろうけれど。

 

 基本はそんな風に、タイミングを見極めて攻撃、また攻撃のルーチン動作。インビジも織り交ぜて、相手の攻撃タイミングをずらしたりしながら、ダメージを最小限に。

 操作性は全然違うんだけど、なんとなく久々に「ロックマンエグゼ」をやっているという感覚を味わっている。

 

 そうそう、こういう感じのバトルのノリがロックマンエグゼだよなぁと、後方に離れながらエックスバスターで牽制――――。

 

『――――君のオペレーターは良いオペレーターだ。このビデオテープを作ってもらった時から、その気遣いと拘りぶりでよーくわかってる!』

 

「出来不出来じゃないんだよなぁ……」

 

 ナビパーツのモデリングって作り方と設定さえわかれば、それこそ後はどこまで時間をかけるか、拘るか、みたいなところあるし。それこそ有名になったりすれば、そのモデリングが一部市販のチップに組み込まれたり、とか。あのあたり権利関係どうなってるんだろう……。

 

 そう考えると科学省が監修してる系のチップに描かれているロックマンはともかく(アレは光博士の趣味だと思う)、チップトレーダーとかで出てくるガッツパンチ、チップに描かれてるのがガッツマンっていうのがいかにヤバいかって話だ。

 多分地元のトーナメントとかでガッツマンの顔が売れて、って流れだとは思うんだけど…………。

 

『そうじゃないんだ……、商売だからというのはあるかもしれないけど! それでもそこには、僕やナルシーのアイデアへのリスペクトがあった!』

『まあ確かにー? 数値設定とか、バトル外機能へのテクスチャーの転用とか、色々やりやすく作ってはあるわよねー? そう言う所も気に入っちゃってるわ!』

『だよねナルシー!』

 

「……暴走してるのに仲良しね」

「我々は何を見せられてるんでしょう、みゆき先輩…………」

『オレもわからない、サロマ……』

 

 みゆきお姉さんとサロマさん(ついでにウッドマン)の、アニメだと何かのエージェントみたいなことやってた二人組の愚痴はともかく。

 

 いや、ビデオマンがナルシーさんに文句を垂れてる割には、お互い意見は一致していて凄い変な気分になるし、なんなら僕が褒められていてどういう顔をしたらいいんだろう……。

 エックスマンもマスクオン状態だけど、なんとなく変な顔してるのはわかるし。

 

『そう、だから! 僕は君を倒して、キミのオペレーターを僕のものにする!』

『いや、流石に無理よビデオマン! せめて専属ナビコーディネイターとかで我慢なさい!』

『キミの言うことは聞くつもりは無いよ、ナルシー! 変なオッサン!』

『なんですってー! レディに向かってなんて言い様! オペレーターの顔が見てみたいわ!』

 

「「「貴方です、貴方」」」

 

 僕らのツッコミに、エイリアさんは曖昧な笑顔。名前とか容姿は海外の人っぽいけど、ちゃんとしたそのアルカイックスマイルはまさしくニッポン人的だった。

 

 ただ、笑ってられるのもここまで。

 

 ビデオマンはビデオテープを展開すると、『ロクガサイセイ!』と大声で言う。と同時に、エックスマンの目の前に、さっきの投影されたエックスマンが――――!

 

「……二体?」

『さっきよりも密度が濃いよ、ガンくん!』 

 

 エックスマンが言う通り、現れた二体のエックスマン(目が赤いので偽物とはわかる)は、ウッドマンにエックスバスターを放ったエックスマンとはまた少し違うように見える。

 

 その予想通りって言ったらいいのかな。片方がエリアスチール、もう片方がワイドソードを構えて「同時に」チップを使ってきた。

 接近してくるワイドソードの偽エックスマン。ロングソードじゃないから一歩後退したけど、同時に放たれるエックスバスター2連射! フレンドリファイヤはしないらしく、偽エックスマンを貫通してエックスマンに――――!?

 

「…………、ガンサイ君!?」

「ガンサイさん!」

「一体何が……、し、しっかりしてください、ガンサイ君!」

 

 のけぞって、思わずその場で後方に吹っ飛ばされた。いや、フルシンクロしてないのに後ろに動いてしまったのは、たぶんエックスマンの動きに感覚が釣られたからだ。

 エックスバスターの直撃を躱せないと判断したエックスマンは、ショットのエネルギーが拡散してダメージ数値に変化する際、衝撃を和らげるために少しだけエックスバスターを放ち、後ろに跳んだんだ。戦闘時のダメージ計算には全然関係しない行動だ。

 つまりそれは、僕への痛覚ダメージを減らすため…………。

 

 とはいえ倒れたエックスマンに、ビデオマンが追撃してきてるのでナシの礫だ。というかなんだろう、大きなタイヤにゴリゴリ色々削られるみたいなダメージが胴体に……ッ。

 

 近くに居たサロマさんと、エイリアさんが遅れて駆け寄ってくる。みゆきお姉さんはPETを見て「早くリカバリー、出来る……!?」とらしくもないくらい大声で確認してきた。

 そうだ、このままだとエックスマンがデリートされてしまう。フルシンクロしてる訳じゃないから死にはしないだろうけど、それでもこの調子だと、本当に「死ぬ」レベルの感覚を味わいかねない。

 

「バトルチップ……、『リカバリー+50』、データスロットイン…………!」

「こんな時まで無茶をしないで……って、どうやってエックスマンを見ているんですか、ガンサイさんっ!?」

「わっ! 何も見えない!」

 

 PETでずっとバトルチップセレクト画面を開き続けてるのに、二人とも横から見て気付いたらしい。凄いびっくりしてるけど、生憎それに応じてる時間はない。

 頑張って上半身だけ起こすのを、横から介助してくれるサロマさん。……なんとなくお花の良い匂いがする。

 

『やり、にくい――――ッ!』

 

 僕のバトルチップ補助はあれど、エックスマンはほぼ独力で偽エックスマンの攻撃を避け続けていた。ただいまいちタイミングが上手くとれないらしく、時折被ダメージしている。

 コピーエックスマンたちは、ソード系の攻撃以外は威力がそこまで高くないので、優先順位としてはビデオマンの方が重い。その分、二体で「同時に」バトルチップを使って連携してくる、偽エックスマンに色々と良いようにやられてしまっているらしかった。

 

 くそう、ビデオマンの今のHPだと、スカルマンV2とかV3とか当てれば何とかなりそうなのに…………。

 

「………………」

 

 みゆきお姉さんの視線が一瞬鋭くなったのもわかるくらいに、エックスマンは劣勢。

 だからといって下手にナビを投入しても、そのナビまで暴走したらたまったものではない。

 

 あの時みたいに、ブルースが都合よく乱入してくるような事態は起こらない――――僕がゼロウィルスに巻き込まれ続けてるって言う、気持ち悪いくらいの逆ご都合主義みたいなのはともかく。

 

 万事休すとは言い難い、ギリギリまだこの状況を挽回できる方法はないわけじゃない。

 

 問題は、そのバトルチップを準備する時間が――――――――。

 

 

 

 次の瞬間、偽エックスマン二体の目の前に黒い影のような斧が振り下ろされた。

 

 

 

 斧だけ、ただその一撃で、片方のエックスマンは姿を消す。

 何!? と叫んだビデオマン。……誰の助っ人かはわからないけど、そのままビデオマンがまたエックスマンを投影するより前に、5枚のキャノンをコード順にスロットイン……!

 

『「プログラムアドバンス、オメガキャノン!」』

 

 偽エックスマンが斧を迂回して攻撃をするよりも早く、エックスマンは瞬間、インビジ状態に。投影されたエックスマンはさっきまで僕が使っていたチップしか使ってこないから、物理無効で充分対処できる。

 その状態のまま、ひたすらビデオマンへ向けてキャノンを放ち続ける。どうやらロクガサイセイだったか、偽エックスマンの再投映はその場から動いたりしたら出来ないらしい。腕を構えたまま、いいように被弾する。

 

 大体5発受けた時点でのけぞったので、インビジが解除されるよりも先に、次のチップをデータスロットインする。

 

『――――キッシェッシェ!』

『ワォ! ホラーマン!?』

『キィィィ!? 何よその長いアゴはーッ! やっておしまいビデオマン!』

 

 チップ効果で生成されたスカルマンに対する感想、それなんですねナルシーさん……。何と言うか、本当この人キャラ濃いな…………。というか本当、暴走していても自分のナビへの愛情は残っているのかな。

 

 そんなことを思いながら、最後のエリアスチールとワイドソードで切り込む。流石にエックスマンが直接来ると思ってなかったらしく、その場で一歩後退して斬撃を躱すビデオマンだったけど、左右に逃げなかった時点でスカルマンの射程圏内だ――――。

 

『くっ……! って、首がない…………!?』

『上よビデオマン、逃げて~~~~!』

『む、無理だよナルシー! 君は最後まで役に立たない!』

『こっちの台詞よビデオマ~~~~ンッ!』

 

 仲が良いんだか悪いんだか。そんな断末魔を上げながら、ビデオマンはスカルマンのシャレコーベイに押しつぶされ、行動不能状態に。

 

「早く、ナルシーさんプラグアウトを! 今なら給電すれば、まだ間に合います!」

 

 エイリアさんが「その場合、PETの電源はシャットダウンを――――」とか色々言おうとしたけど、ナルシーさんは……。

 

『嫌よ、何でそんな反逆したビデオマンを守ってあげなきゃいけないのよッ』

 

 そんなことを言って、プラグアウトさせず、ただただそのままビデオマンがデリートされるのを見ている。

 

 僕は、衝撃を受けた。あのコピーマンのオペレーターさんでさえ、暴走していてもナビへの愛情は本物だったというのに。同じくらいこだわりを持っていたはずのナルシーさんは、眼前の自分のナビを助けないというのか――――。

 息を呑むサロマさん。何も言わず無表情のみゆきお姉さん。

 

 唯一、エイリアさんはそのナルシーさんの言葉に、理解を示した。

 

「…………バックアップから復元、するんですね」

『ええ。それならウィルスなんて関係ないでしょ。ナビって言うのはプログラムだから、そういう所で融通利かさないと』

「……だけど、それは…………ッ」

 

 サロマさんが声を荒げようとしたけど、後が続かない。みゆきお姉さんですら「代理のナビがないなら、そういう選択肢も…………」と呟いている。

 そうだ、こういう人も居るんだ。

 ネットナビは人間の友達、パートナーであり、家族であり、かけがえのない存在であるという今の時代であっても。それでもネットナビはプログラムだと、どこかで冷徹に計算する人が。そうしなければ、日々食いつなぐことが出来ない職業の人もいるということが。

 

 ただ、そういった側面だけで括るべきではないと。直後のナルシーさんの行動で、少し思ってしまう。

 

『…………だから、アンタがデリートされるまでは、最期まで見届けてあげるわよ。……全く、ホントあなたはヘナチョコなんだから』

 

 そう語るナルシーさんは、それでも、どこか寂しそうで。

 

『は、はは…………、ナルシー、最期だから言うけど、もうちょっと周りの目は気にした方が……』

『無理にしゃべるんじゃないわよ。いいビデオマン、業界人として散り際は、派手に大きく! もしくはしっとり感動的に、よ!』

『…………最後まで注文が多い、オペレーター、だよ……、次の僕には、もっと優しく――――』

 

 それだけ言って、ビデオマンはデリートされた。ブブブブ、と爆発音が鈍く響き、僕が仕込んでいたアニメーション通りの爆発エフェクトも混ぜた虹色の爆炎をまき散らして。

 ……この人、性格にそこそこ問題はあるんだろうけど、それでも今の立場で、自分のナビとの信頼関係はちゃんとあるんだと。

 

 それと同時に、それでも、どこかやるせない感覚で、変なことに巻き込んじゃってごめんなさいねと謝るナルシーさんに、僕たちは言葉を返せなかった。

 

 

 

   ※  ※  ※

 

 

 

 メトロライン、デンサンタウン行。

 テレビ局で遊んだ後、ガンサイたちと別れたみゆきは、自分の「黒と紫と青の」「スカルマンのナビマークではない」PETに向けて、微笑んだ。

 

「愉しめたかしら、『ダークマン』」

『――――――――』

 

 音声は、彼女がイヤホンをしているため聞こえない。だが確実に、『闇色に満ちた』画面内で、不気味に光る何かを頭に持つネットナビと、会話をしていた。

 

『――――――――』

「………………不満? でも、言ったはずよ。あなたが『S』に、ウラの管理者に負けたその理由を。今日のエックスマンには、全て詰まっていたはずだけれど」

『――――――――』

「感謝してくれるだけの、義理はあるのね。意外。……だったら、教えてあげるわ。あのビデオマンは、絆の力を軽んじたから負けたの」

『――――――――』

「……私がそんなことを言うのは、おかしい? あら心外」

 

 くすくすと微笑みながら、黒井みゆきは暗い笑みを浮かべる。

 

「おそらく今、この電脳時代。魂の繋がりに最も敏感なのは、私よ?」

 

 その表情は、ガンサイが時折彼女に恐怖を感じる時のその不気味さをともなったもので。

 

『――――――――』

「あら? それを言ったら『S』に負けた時点で貴方、取り返しがつかない永遠の敗北者だと思うのだけれど」

『――――――――』

「強がったって無駄よ。私に拾われなければ再生に半年はかかったでしょうし。

 それも含めて、ある意味で絆の力、ということよ。オペレーターの力、私が指示した貴方のシャドーウェポン、それだけじゃなく途中での補助をしていたナビ2体に、決まり手のスカルマン」

『――――――――』

「負けたって挑み続ける限り、真の敗北ではない。……そう言う意味では今日のビデオマンは……。オペレーターとの絆はあったけど『あの』ビデオマンでなければ絶対に駄目だ、という絆ではなかったということ。

 たとえ蘇ったのだとしても、宿ったものが『本当に同じ魂であるか』、そんなもの本人にさえ証明できないのだから」

 

 嗚呼だから。黒井みゆきは、「独りだけの」車両内で、虚空を見上げてくすくす、「黒く」笑う。

 

 

 

「貴方は決して、エックスマンをデリートされたらいけないのよ、ガンサイ君。――――それは、本当の意味であなたとエックスマン、二人(ひとり)の魂の死を意味するのだから」

 

 

 

 その矛盾したニュアンスを含む一言に対する返答は、どこからもない。

 少しクサすぎたかしら、と、みゆきは目を閉じて咳払い一つ。一人芝居めいた挙措に羞恥心を覚えたのか、やや赤面していた。

 

 

 

 

 




※ナビ拡張関係周りは、ゲームでの戦闘描写を前提に設定合わせした感じになってます

アンケート締め切らせていただきます! ご投票ありがとうございました!
3確定、1、2で少し検討いたします!

トランスミッション時点で登場するボスナビを何作目から出しましょうか(2体予定)

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。