ロックマンエグゼ世界でエックス的なナビを持ってしまった 作:黒兎可
入口、エレベータの所の受付さんにエイリアさんが色々と話をしていた。
どうやら、どこかの研究室へと行く相談を付けているようだ。
ちょっと暇になってしまったから周囲をきょろきょろ見回すけど、ぶつぶつ呟いてる、たぶんゲームだと研究者モブみたいな感じになりそうなげっそりしたおじさんたちが行ったり来たりしてる。白衣をまとった不摂生の塊みたいなものがヨタヨタフラフラ徘徊してる絵面は、壮絶な研究職へのネガティブキャンペーンだ。
そういえば主人公の父親もインスタント食品とかが大半だったっけ、食事。
いやしかし、どう見てもここエグゼ3の時の科学省の建物と全然違うよね……。昔もそう思ったけど、いったいどういう扱いなんだろうこれって。
メタなことを少し思い出しつつ、飽きたのでPETのエックスマンに話しかけた。
「……検査って言ったけど、エックスは何か聞いてる? 父さんと夜に話してたよね」
『――――――――』
「いや、チャットもなしにスマイルだけ返されてもさぁ……」
『――――聞いていたけど、注意だけだったからね』
「注意?」
『うん。僕の読み込んでるデータの中に一部、ブラックボックス箇所を設けてるらしいんだけど、そこのパスとハッシュ……、解除するために必要な暗号コードみたいなのを絶対に開示しないこと、とかね。そこさえ解凍されなければ、僕が「瓦解することは無い」から、検査レベルならなんとかなるかなって。ガンくんもそれなら大丈夫! ガンくんは死にません!』
「えっ、何それ怖い、どういうこと?」
『――――――――』
「いや、何か言ってってさぁ、ちょっと」
意味が解らないこと言われたし、その意味の分からないことの結果が普通にヤバそうなことを言われた。
瓦解って何さ、瓦解って何!? 何なの、エックスマン確かにロックマンに似てるし、父さんが僕に渡した時の注意とか色々含めて何かあると思ってるんだけど、珍しく真顔でこっちに話してくるし、相当ヤバイとかそんな次元じゃないヤバい感じの話だったりするの?
寒気を覚える僕に、半笑いのエックス。
そんなこっちはおかまいなしに、受付の方からエイリアさんがやってきた。
「はい、準備が終わりました…………、って、どうされました?」
「あー、まぁ、何でもないです」
『うん。何でもない、何でもない』
「はぁ、なら良いですけど……、では、エックスマンさんを――――」
「『そこはエックスって呼んでください』」
『息がぴったり…………』
シエルちゃんが言った通り、こういう時の感想は妙に一致するし、発言も一字一句シンクロしがちな僕とエックスマンだった。
さて、そんな訳で僕たちはエレベーターに乗って…………、エレベーターの場所も全然違うな。本当、建物の構造とかどうなってるんだろうこれ。そもそもエグゼ3だと官庁街じゃなくて、科学省内に直通だったし。
個人的にはサロマさんとかマサさんとかと顔合わせできるので、今のマップ構成の方が好きだったりするけど…………。
そしてたどり着いた階層、手前の案内のところで受付さんが「光主任が御待ちです」とエイリアさんや僕に微笑んだ。
光主任? えっ光博士? えっちょっと待って?
今までもそうだけど今回、超特大の原作キャラクターとの遭遇になるの!? てっきりエイリアさんがエックスマンを診察するものだと思っていたんだけど、なんでこっちに!!?
よく見れば受付のところに出てる部屋案内も「光研究室」ってなってる! 完全に主人公のお父さんの研究室だよ!?
色々衝撃を受けて動けなくなってる僕の手首をつかんで、「こっちですよ?」と微笑んで誘導してくれるエイリアさん。受付さんもなんだかフフって小さい子を見る目なんだけど、いや、僕そんなに小さい子供って訳じゃ……。
『色々きょろきょろしてるから、お上りさんみたいに見えるんだよ』
「才葉だって結構都会な方だと思うんだけどなぁ…………」
『ガンくんビビリだからねー。初めて来た場所で頼れる人少ないから心臓ばっくばくなんだー、やーいやーい』
「後で覚えてろよエックス…………?」
そして相変わらず僕を煽る事が楽しいらしいエックスマン。PETの音声越しでシエルちゃんが『あ、あんまり言うのもどうかしら……』と窘めてるけど、言われた直後にチャットに切り替えて「やーいやーい」とか言ってくるから、我がナビながら良い根性してる。
ここです! と、エイリアさんが一言。
自動ドアが展開して、奥の椅子に座る背中。
エイリアさんが声をかけると、立ち上がって、とても見覚えのあるお人が、こっちに来て、嗚呼…………。
「そうか、君が当麻さん、いや鐘引博士の……。初めまして、僕は光祐一朗。最先端機械工学研究室の主任研究員だ。君のお父さんは、最先端電波技術研究室で立ち位置的には上下関係はないから、気軽に光博士と呼んでくれ」
こうして、全く警戒していないタイミングで
※ ※ ※
「君のエックスマンは、ロックマンと共通のメインフレームを使っていてね。もちろん最適化の過程で外形は少し変わっているけど、僕の息子のネットナビと、親戚……みたいな関係になるのかな?」
「メインフレーム……、ナビの外形に関するデータ一式、でしたっけ」
「良く知ってるね! そう。正しくはメインフレームワーク、ネットナビの構成データについての諸々、モジュールや外形モデル含めて一通りさ。
元々、鐘引博士から、パルストランスミッションシステム使用後、君の経過観察用のネットナビが必要と言う話があったんだ。なにせパルストランスミッション、人間の意識を電脳に置いての手術なんて、たぶん世界史上初の試みだったからね。それ相応にリスクはあるし、結果的にその懸念は正しかったと記憶してるよ。
……さて、立ち話もなんだし、奥に行こうか。ガンサイ君に、エイリアちゃんも」
「光博士、ちゃんではなくせめてさんと呼んでくださいっ」
「ハハハ、ごめんごめん、キャスケット防守博士」
揶揄うように微笑む光博士。物腰は柔らかいし、テレビの描写を見る限りナルシーさんみたいにパワハラ上司とかでもないし、でも今後のゲームを考えると彼がPETひいてはネットナビ社会に与える影響は絶大だ。
まあ、そんな彼の恩恵を一番に受けているのが、原作主人公の熱斗君だったりするんだけど。
そこに別に嫉妬することもないので、僕はエイリアさんを談笑する光博士を、ゆるーく見ていた。
……ま、それを言ったら僕の父も科学省の研究者なんだし、言えばPETも新型を用意してくれそうではあるけど。
バトルチップだけは何故か基本チップしか揃える気がないみたいで、僕に渡されたのもそれが基準になっていた。お陰でチップのパワーが足りないこともあり、今まで中々ネットバトルとか、そういう方に意識が向かなかったりした。
それはまあ、僕個人として原作キャラに関わるフラグになりそうだったから、ネットバトルから遠ざかっていたっていうのも理由の一つで、ありがたい話ではあったりした。
その結果がゼロウィルスと関係するナビとの連続戦闘に加え、ゲームでの名前付きキャラクターたちとの遭遇にもなっていたりするから、果たしてどこまで意味があったか自分でも疑問なんだけどね。
だからといって今からまた遠ざかるかというのも違う気がする。そもそもゼロウィルスに感染したナビが暴走するのって、きっと外伝作品か何かだったとしても、原作主人公だって同時に事件解決しているはずだろう。
ってことは、そんなこと関係なくインターネット上で大掛かりな事件が起こったら、僕が巻き込まれる可能性は高いのだ。
実際「ご都合主義か!」ってくらい巻き込まれてるし。スカルマンに、コピーマンに、ビデオマン。……ビデオマン、うーん、…………。
色々思い出してセンチメンタルになった僕。まあ、エイリアさんたちの後はちゃんとついて行ってたから、迷子になったりはしなかったけれども、だからちょっとびっくりした。
いつの間にか、施設が「エグゼ3」のパパさんの研究室のそれになっていた。
えっ、さっきまで役所とかのお偉いさんがいそうな部屋だったのに、なんかいつの間にか近未来的なタイル張りだったり、大型のコンピューターだったりとか、なんか「いかにも!」みたいな未来の技術の研究室みたいな、そんな場所になってる。
どういうこと!? ちょっとぼうっとしただけで、いつの間にか景色が全然違うんですけど!
思わず後ろを振り返ってみても全然違う気がするし、ちょっと、僕個人の正気度がおかしくなっちゃいそうだ。
『――――――――途中で自動ドア、いくつか通ったからだと思うよ』
「え? あー、うん。わかった、わかった」
ぼうっとしてたから途中の道中を見逃した、だから景色が一変してたことに気付かなかったということらしい。エックスマンは「だからそのお上りさんみたいな顔やめたら?」とまた煽ってきたので、ハハハと半笑いしながら画面に軽くチョップ一発。
「そっちの扉は資料室になっているから、あまり近づかない方がいい。『幽霊が出るかもしれない』からね」
「どういうことですか、博士…………?」
「科学省の都市伝説、みたいなものですよ、ガンサイ君。ここの資料室を始め、科学省の様々な所には
ゲームをやってると冗談でも何でもないような話を「まぁ迷信だと思いますけど!」と楽し気に紹介してくるエイリアさん。一瞬リアクションが遅れたせいで、怖がってると勘違いされたらしい。ニコニコそれは楽しそうに微笑んで「あら、怖いんでしたらお手々繋ぎますか?」と、今度は手首じゃなくて掌をとられた。
……みゆきお姉さんより、感触が柔らかかった。
「…………別に怖くはないですけど、エイリアさんテンション高くないです?」
「そんなこと~、ありませんよ? ええ、オフィシャルネットバトラー嘘つきません!」
『――――』
「あー、……」
「ほ、本当ですからね!」
『……ごめんなさい、ガンサイ、エックス。エイリアってばここ科学省だと、いつも妹扱いされてきたものだから、お姉さんぶりたいの。
マーティにもよく愚痴っていたって、ログが残ってるわ? 「私より後に入省してきた新人のくせに、私の事ずっと微笑ましそうな目で見ています……」とか』
「ちょ!? シエル、あなた何てこと言うんですか!」
繋いでた手を離すと、腰のポーチに西部劇のガンマンみたいに入ってるPETを取り出して文句を言うエイリアさん。確か十三歳で入省したんだっけ、この人。当時からこの性格だったんなら、そりゃ、確かに誰からも可愛がられそうだ。
「ははは、仲が良いのはいいことだけど、そろそろ準備が終わるからね。二人とも、こっちに来てプラグインしてくれ」
そう言うと光博士、僕とエイリアさんを一番手前の大型コンピュータに誘導した。なにかピコピコ光ってて、いかにも近未来的な装置。
「このワークステーション内の電脳が、今モニターに映ってる」
「…………なんだろう、ワープ装置?」
「ちょっと違うけど、全身を解析するっていうのは合っているかな。シエルちゃんはその隣に、ネットナビによる補助ウィンドウがあると思うから、そこからエックスマンの解析に演算領域を分けて上げてくれ」
『わかりました』
電脳の中もなんだかSF映画とかにありそうな、いかにも! な感じの映像になってて、正直僕の語彙だと上手く言い表せないや。
なので、とりあえず早い所プラグインを済ませよう。
「プラグイン! シエル
「プラグイン! エックスマン・トランスミッション!」
いつものようにお約束の口上とポーズを決めてプラグイン。……やっぱりエイリアさんのポーズ、絶対おかしいって。有線式なのに端子引き抜いた上でプラグインとか全然してないし、その割に凄いコントロールで受けの端子に刺さるし…………。
半透明のカプセルの中で、腕をファラオマンみたいに交差して組んだエックスマン。なんだろう、僕のプラグインポーズにあやかって腕でエックスの字を主張したいのかな? 追加アーマーをはずしたエックスマンはほぼロックマンそのものだから、それでドヤ顔してるエックスマンは妙にシュールに見える。アニメだとロックマン、ファラオマンにデリートされかかってたし…………。
そんなおふざけをしてるエックスマンはともかく、光博士が解析を始めるよ、と言ったので、しばらく暇になってしまった。
画面に急にばー! っと黒いウィンドウが流れていく。画面の右側には、シエルちゃんが見ているらしいウィンドウも表示されていて、そっちもパラメーターが色々計測されていた。
そんな数値表示、僕は流石に何を示してるのかとか全然わかんない。だから隣のエイリアさんを見てみる。
彼女はそれこそ真剣に、じっと画面を見ていた。……と、少し視線が細くなる。睨むように、パラメーターが一向に増加しない棒グラフみたいな一点を凝視してる。
と、僕が見てるのに気づいたのか、表情を柔らかくしてからこっちを見て、少し微笑んだ。
「どうしましたか? ガンサイ君」
「手持無沙汰で……。何やってるか全然わかんないし」
『――――――――』
エックスマンは画面越しに僕を見てにっこり微笑んでる。チャット機能が使えたら、またいらんこと言って煽ってくるだろうと予想が付くさわやかスマイルだ。
そんな僕たちを見て、シエルさんはくすくす笑った後「ではちょっとだけ雑談しますか」と話を振ってくれた。
まあ、話題が色々問題だったんだけど。
「あくまで興味本位なんですが――――――――エックスさんって、本当にネットナビなんですか?」
………………………………。
「ちょっと何言ってるか分からないですね(サ〇ドイッチマ〇)」
「えっ? あ、あー、確かにわからないですね、すみません。
解析データの中の、プログラムが参照してる
「やっぱり何言ってるか分からないです……」
えっこれでも駄目? みたいな顔してくるエイリアさんだけど、生憎こっちは全然専門じゃない。ナビのカスタムパーツについてなら多少は知ってるけど、そのくらいでしかないんだ。
慌ててから「えーとですね……」と指を一つずつ数えるように折ったり、「あー」とか「うー」とか唸りながら考え込むエイリアさん。こういう仕草は本当、子供っぽくて、そう言う所が妹扱いされる要因なんじゃないかなって思ってしまった。
「メインフレームの話なら、光博士の方が詳しいと思うんですけど」
「そっちじゃないんですよ。メインフレーム以外の、言うなればナビの核、魂のような部分なんです」
「魂…………」
割れた魂。ロックマンのように二つの魂を重ねるのではなく、それは常に一つがそこにあり続けてるだけ――――。
みゆきお姉さんの言葉が、なんとなくフラッシュバックした。
「ナビの個性を決定するための教師データや、人格の元になるパーソナルコード、後は主流になってるAIとか、UIとして機能するためのベーシックな受け答え用モジュールなど、外形以外にも色々必要になってくるものはありますね? 流石にいくら特殊なナビだとしても、そういう部分は変わらないと思うんですよ。
例えば、最も一般的なモジュール『バトルオペレーション』とか。戦闘するナビは百パーセントこれを呼んでいますし。
たまに『特殊なデータを参照しているがために』、そこが膨大だったりするナビもいないわけじゃないですけど」
エイリアさん名指ししないからたぶん見たことは無いんだろうけど、おそらく件のロックマンとかもそういうタイプなんだろうなーと思ってしまう。
ロックマン、主人公のネットナビの正体について関係してくる部分なので、知ってるとおかしいから口にしないけど。
「だから、疑問なんです。エックスさんのモジュールの参照率が、例えプロテクトをかけてあるとしても、シエルの分析力で逆コンパイルして確認できる範囲で見ても、明らかにコード数が少ない。依存関係になっているモジュールも、読み込んでいる訳ではなく『ひな形がそうだったから』参照する形になっているだけで、実行ファイルとしては使用していない。
もしあの通りのコードで成立しているナビならば、古い券売機くらいの性能しか発揮できないと思うんです。なのに普通に動作している以上、そこにはもっと膨大なシステムが裏側にある…………、ブラックボックスになってる部分のメモリ占有率でも説明がつかないくらいの」
「………………………………」
よくわからないけど、何かヤバイって言われてるのはわかった。
元々、エックスマンが何かしら厄い話に関係してるって言うのは察しているから、ここは何も下手なことを言わない。
ブラックボックス化してるところを除いたとしても、とさっき言ってたから、やっぱりそのブラックボックスとやらが問題の部分なんだろうとは思うけど。でも、だからって視えてる地雷を解体できるような度胸、この僕にはないんだ。
わざわざエックスマンが僕の生命についてすら煽ってきた以上、絶対ロクでもないことが裏側に潜んでいるはずだし。流石にその予想が出来るくらいの付き合いは、僕とエックスマンにはあるのだ。……、一年ちょっとだけど。
なので、エイリアさんの質問には、適当に応えられる部分だけにしておく。
「元々エックスさんって、お父様から貸与されたナビだったんですよね? お話は聞きました」
「聞いたって、えっと、事故とか――――」
「さきほど光博士がおっしゃっていた、手術のことも含めて。……大変でしたね」
「ま、まあ、そこは今ちゃんと生活できているから問題なし、ということで。……貸与というか、経過観察も含めてって話で渡された感じですかね」
「そうですか。……PETの電源は、お切りにならないんです?」
「あー、エックスマンに給電するのを停止するなー、みたいなこと父さんに言われてるんで。やるんなら、家族がいるところでだけにしておけ、とか」
「家族がいるところ?」
「はい。あとは、凄い特殊なナビだからデリートだけはされるなーとか」
そんなに語ることが少ないせいか、有用な情報を得られなかったからか、エイリアさんは微妙な表情だ。一旦会話が途切れたので、僕のターン! と彼女に質問をした。
「むしろ、光博士が分析してるのが意外というか。てっきりエイリアさんが一から十までやるのかなーって思ってました」
「私もそのつもりだったんですけど、鐘引博士……、ガンサイ君のお父様と話した際、交換条件としてそう言われまして」
父さんが? 聞き返した僕に、エイリアさんも不思議そうな顔をした。
「確かに光博士は、現在ゼロウィルスについてシエルと一緒に解析をしていますから、耐性を持つと言われたエックスさんを分析するのは色々役に立つかもしれませんけど……。でもわざわざ、こうして無理に時間をつくってまでする必要がある作業に思えなくて」
「はぁ……」
これは、アレかな? さっきの口ぶりからして、どう考えてもエックスマンの誕生にメインフレームの提供以上に関わってるよね、光博士。ってことは父さんも、下手にエイリアさんに色々エックスマンを弄り回されるより、エックスマンの「ヤバイ所」をしっかり知ってる光博士の方が、安全にエックスマンを診れると判断したってことだと思う。
やっぱりエックスマン、そんなにヤバいブツなのかな…………。
しばらくして、光博士は「そうか、やられた!」と両腕を上げて唸り声をあげた。直後、腕を額に乗っけて「あ゛~~~~」と疲れた声を上げる。
「あー、単純なことだったのか…………。なるほど、これは『耐性』なんかじゃない、エックスマン固有の理由だ。そして、実際参考にできるけど、この感じだとロックマンと、せいぜいブルースで試作して見るくらいか……?」
「どういうことです? 光博士」
声をかけて来たエイリアさんを見て「しまった!」みたいに頬が引きつった光博士。咳払いをして僕を一瞥すると、頭を左右に振ってからまた画面へと視線を戻した。
「ああ、エイリアちゃん。
…………エックスマンは、僕の息子のナビ『ロックマン』と同様のメインフレームを使っているけど、内部構造はかなり異なっていてね。動作に使われるアルゴリズムは、有機的で可変的なものを採用しているから、通常のネットナビとはかなり異なるんだ」
「異なるって、おっしゃられても色々限度があると思うんですが……」
「そこは、本題じゃない。話を進めるよ。
そんなエックスマンだからこそ、他のナビとは似通った構造でありながら読み込むモジュールの数が『圧倒的に少ない』んだ。そしてこれが、ゼロウィルスに感染していても、本体性能が低下せず、暴走せず、また外部にウィルスを漏らすことがないっていうのに繋がっている」
「ちょっと何言ってるか分からないですね(サ〇ドイッチマ〇)」
やっぱり思わずツッコミを入れてしまった。エイリアさんと光博士、顔を合わせて「あ~ ……」みたいなリアクション。いや、オペレーターの僕が素人なんで、判る説明お願いします。
「つまりエックスマンは、ゼロウィルスが感染しているのだけれど、その感染している身体の部分で『増殖できない』ってことなんだ。ずっと、感染したらその場所、状態で動きがストップしている。……どこかにデータを送ってはいるようだけれど、それ以外の活動が全くできていない。
で、ストップしているっていうことは、ゼロウィルスが増殖する時に媒介にしているモジュールがあるってことなんだ。それが分かっただけでも、今日来てもらって本当に助かったよ――――――――」
『――――ブロオォォォン! 誰か! 俺のフルスロットルエンジンをメンテナンスしてくれー!』
研究所、突然そんなことを言いながらリンクとかを色々ぶっ壊して…………、研究室の電脳に穴を開けて、赤が強いマゼンタっぽい色したF1カーみたいなのが、爆走して目の前をぐるぐる周回している。
知らないナビ……、ナビ? だけど、でもなんか格好良かったぞ今のッ!? っていうか何? 破壊工作かなにかっ!?
とりあえず「止めてくれ!」って言われたので、エックスマンに画面越しに目配せ。こっちの意図を把握してるのか、カプセルを扉を開いてすぐさま外に出たエックスマンは、エックスバスターを構えてアナライズ。
ターボマンZ……、HP450? いやターボマン、全然知らないぞアニメでも見たこと無いし。誰だこいつ!? しかもZってことはゼロウィルス感染者。またか、一体何回遭遇するんだこれ…………。
「バトルチップ『ウッドマン』、スロットイン!」
「えっ!? 何でサロマちゃんのウッドマンのチップを持ってるんですかガンサイ君!」
エイリアさんが何故かびっくりしてたけど、単にテレビ局での別れ際に「お近づきの印に……」と一枚くれただけだったりする。
ともかく、形成された疑似ウッドマンのウッディタワーで四方を囲まれたターボマンは、でもウッディタワーを「燃やして」、そのまま直進して電脳をまた破壊して、どこかのエリアへと飛んで行った。
追わないとダメかな、これ…………。
というわけで、科学省編のボス1/2はターボマン(バトルチップGPより)です! 果たして知名度はどれくらいあるのか…
もう一体はアンケート結果が反映される予定になります!