ロックマンエグゼ世界でエックス的なナビを持ってしまった   作:黒兎可

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久々お姉さん。


第30話「お見舞いよ」

 

 

 

 

 

「お見舞いよ。…………はい、これ。食べ物はまだ流動食だと聞いたから、魔よけのバトルチップ『フォレストボム3』。ついでにスカルマンのV2、V3も物理チップを作ってきたから、フォルダに実装するなら――――」

「いや、あの、ありがたいんだけど、何でみゆきお姉さんまでここに……? 多分一般公開されてるような施設じゃないですよね、この病室」

「『臨床試験室』の一室とは伺ったわ。……まあ、あまり関係はなさそうだけれど」

 

 翌日。光博士が正式にオフィシャルからの協力依頼を受けたり(今までは正式な命令とか依頼じゃなかったらしい)、ゼロの解析後の修繕をエイリアさんが開始したりとか、そういうのはあったけど。

 朝に目を覚ましたら、病院めいた科学省の例のベッドで、当たり前のようにみゆきお姉さんが横に立っていた。幽霊みたいな気配のなさから突然の出現、思わず「わーッ!」と、左手を突き出して右手を添える構えをしてしまった。別に僕がエックスになったわけじゃないっていうのに、昨日はずっとエックス視点だったせいで、ついエックスバスターの構えをしてしまった。

 

 それがツボったのか、しばらく笑い上戸みたいにお腹を抱えていたみゆきお姉さん。ミステリアスさが消し飛んだ姿は、何と言うか、年相応に綺麗なお姉さんって感じだった。……服装とかお帽子? とかは普段通りというか、ゲーム通りのみゆきお姉さんだけど、三つ編みだけは解いているのは相変わらず。

 それでしばらくして落ち着いた後の会話が冒頭のだ。

 特にはぐらかす訳でもなく、みゆきお姉さんは「エイリアさんから聞いたわ」と答えた。

 

「…………もともと意識がなかったのは伺っていたし、週末とかにお見舞いに来ていたりしたもの。意識が戻ったら、それは来るわ。今日、日曜日だし」

「普通、休日って稼ぎ時なんじゃ……」

「だから臨時休業よ。………………まあ、『オトモダチ』のお見舞いくらい融通を利かせないと」

 

 ダウナーな感じに微笑まれてるけど、髪を解いてるせいもあって普段よりストレートに美人さんって感じで、ちょっとドギマギする僕。とりあえず手元のバトルチップに視線を落とすと、「ボッチでムッツリとか救いようがないよね……」とチャットで煽って来たエックスに、一瞬イラっときて画面を閉じた。

 ちなみに、体感的には初お見舞いだ。ここの場所が場所だから、学校側とかには表向き遠い病院とかそういう風に言って色々誤魔化しているらしく、お見舞いは「普通は」無理だった。……だから別に、元々そういうのがなくっても誰も僕のお見舞いには来ないだろうとか、そういうのを気にしないで色々助かったーとか、そんなのは思ってないんだ、僕は。うん、絶対思ってないんだ。

 

『――――ガンくん、』

「皆まで言うな、なんだよエックス」

「とにかく、意外と元気そうで何よりだわ。リハビリもあるでしょうし、その時にはちゃんと食事がとれると良いわね。そうね………………、サロマのお弁当でも買ってこようかしら」

「本当にありがたい感じです! 普通に美味しいので!」

「フフ。…………そういう食いつきは、ちゃんと男の子って感じね」

 

 あーそうそう、と。みゆきお姉さんは、スカルマンのPETを取り出した。前に見た、何かダークな感じのPETじゃなくって、ちゃんとスカルマンのナビマークのだ。どうやらゼロがデリートされかかってから、ゼロウィルスの活動が沈静化されたらしく、科学省が例のゼロアビリティを正式なワクチンとして配布し始めた、ということらしかった。

 ともかく、画面に表示されてるのは、えっと、依頼なのはわかるんだけど……?

 

「この間の拡張アームパーツの他に、ビデオマンと新規のお客さんから依頼が来ているわ。現在休業中だと言って、スケジュールは先になると納得してもらったけれど」

「な、何かスミマセン……」

「………………責めているとか、そう言う訳ではないわ。ほら、今転送するわ」

 

 そして彼女のPETから電子メールで添付されて送られてきたものを、閉じたエックスマンのPETを開いて確認……、エックスが凄い「図星をつかれたからって大人げない……」みたいな視線を送って来てるのを無視して、電子メールを開いてもらう。

 

「……………………、普通にお見舞いのメールですね」

「ええ。…………また仕事をお願いします、みたいなものね」

 

 ビジネス文書みたいで堅苦しいけれど、とみゆきお姉さんが言う通り。ナルシー・ヒデからのそのメールは、一日も早い回復を祈ってますー、とか、何か色々とすごく「あの」オネェなキャラクターを一瞬忘れるくらいには、しっかりとしたお手紙みたいな内容だった。

 なんか、そのキャラクター性が全然にじんでないメールに、肩透かしを食らったって言うか、何だろう。仕事の依頼をしてきた時は、メール文面からもうあのキャラクターが炸裂してる感じだったから(背景薄ピンクで薔薇の画像とか張り付けてあった)、新鮮すぎてむしろ釈然としないというか。

 

「他にも匿名で、鏡? みたいなナビマークの署名で、あっちの口座に『見舞金』名目でゼニーが振り込まれていたりしたわ」

『――――――――コピーマン?』

「かもね。……いや、何でそういうの知ってるんだあのオペレーターさん」

 

 というより、コピーマンとそのオペレーターさんについてはあの一件以降は全然つながりがないから、本当に「何で?」と言う感想。

 

「詳しい事情は知らないけれど……、案外あなたを心配してくれる横のつながりも、ないわけではないわ。サロマも、マサさんも」

「サロマさんたち?」

「マサさんは貴方が運び込まれたのを、物販中に目撃しているらしいわ。サロマも情報はそこから。…………あの子だって、今日は都合がつかなかったから来れないだけ。そういう繋がりはしっかりしてるのよ」

「そういう繋がりと言ってもですね………………」

「オペレーターが自分のナビチップを渡すのは、お互いの繋がりが一定以上だってメッセージだもの。貴方に自覚が薄くても、もう皆、お友達みたいなもの。

 …………だから、そう寂しい顔をしなくても大丈夫よ」

 

 友達……、友達か………………。

 

「…………同年代のお友達がいなくて寂しいかもしれないけれど、そこは我慢かしらね。どうせ数年もすれば、あんまり意味が無くなるわ」

「いや、だから僕って何も言ってないでしょ色々と!?」

「言わなくても判る事は多いわ。リアルタイムに()てるならなおさら。

 だから、貴方が今悩んでるのも少しわかるもの」

「オカルトなパワー的な何かで?」

「……オカルトテクニックかも?」

「その違いって意味あるんですかね」

「さぁ? 好きにして。

 …………………………自分で悩みたいというのなら、私は具体的には聞かないけれど」

 

 そう薄く微笑むみゆきお姉さんの視線に耐えられず、僕は視線をPETのエックスマンに向けた。エックスマンもエックスマンで、多分今の僕と似たような顔をしてる。つまり、陰鬱というか落ち込んだ顔だ。

 目の前で、バンチョーマンがデリートされた。僕とエックス、ゼロを庇って。

 僕たちが主に自分たちの生存ばっかり考えて、行動自体に命をどこまでかけるかとか、そんなの全然気にせず「ゲーム的に」イベントを進行させてる、と言ったらいいのかな。そんな感覚だったからこそ、少しだけ「勝手に」身近に感じてた名人のナビを、僕たちの目の前で失わせてしまったというのが、どうにも苦い。

 名人は気にするなとは言っていたけど、そうじゃない。

 

 単純に僕とエックスの視点から見て、付き合いは短かったけど「名人」と「バンチョーマン」のコンビは、偉大なる先輩みたいな、親しみのある先輩みたいな、そんな感じだったんだ。

 多少強引なところもあるし、「僕の知る」名人とこの世界の名人は全然違うのだけれど。それでも、そんな二人ともっと仲良くなりたかった。これから仲良くなりたかったというのが、心残りで、そして疵になってる。

 

「本当によくわからないんですけど、僕とエックスを信じるからって、自分から身を犠牲にしたナビがいるんです」

「………………ええ」

「そのナビがどうしてそんなことをしてくれたのかっていうか、そういうのがわからないし……オペレーターさんに、だからその分、申し訳ないと言うか。後――――」

『――――そんなに期待をかけてもらっても、一体俺たちに何が出来るのか』

「正直、全然わからないっていうか――――」

『――――だからもっと、(ボク)たちを助けてしまったばかりに……、みたいな、そんな感じがするんだ』

 

 僕とエックスの言葉に、みゆきお姉さんは「うーん」と人差し指を立てて口元に当て、上を向いて少し唇を尖らせて悩んだ風のポーズ。……なんか、凄い可愛い。ギャップ萌え? みたいな感じがする。

 ただ、続いて出て来た言葉はちょっと、リアクションに困った。

 

「………………案外、何も考えていなかったかもしれないわ」

 

「……いや、それは」

『――いや、それは』

 

 いくら何でもそこまで考え無しなことってある……?

 

「ほら、『その場の雰囲気に呑まれる』みたいなのって、あるんじゃないかしら。案外そう言う『魔が差した』っていうのが、最後の最後で何か行動を起こすときの、引き金になることも多いわ。…………だって今だって、貴方たち一人(ヽヽ)の魂の行き先に、『ワイヤーフレームみたいな』大きな顔をした魂が、乱雑に絡みついているもの。

 ……そういった全く想定していないような要因とかが、魂の行方に影響を及ぼすなんて、色々あるもの」

「独り? えっと、あとワイヤーフレームみたいな顔?」

「………………そちらは本題ではないわ」

「えっ? あー、はい。…………つまり、えっと、どういう?」

 

 すっと手を伸ばしてきたみゆきお姉さんは、僕の頭を撫でて微笑んで。

 

「………………貴方は、周りから心配されたりしたら、それをちゃんと理解できる子。だから行動しなかったり、逆に変な形で行動出来てしまうこともあるけれど。

 でも、最後に決断するのは、やっぱり貴方なの。そこに誰がどう絡んできても、その『引き金を引く』としたら、貴方しかいない」

「…………」

「どうしても危険なら、後先考えず頼っても良いわ。だから――――――――これから先に来る『魂の衝突』に、貴方がどう動いても。色々視えてしまう私くらいは、せめて全部肯定してあげる」

 

 だから好きにして良いわ――――と。言ってることはよくわからなかったけれど、それでもみゆきお姉さんが励まそうとしてくれてることだけはわかって。

 でも気恥ずかしくって、ありがとうございますって、でも小さい声になっちゃった。

 

 丁度そんな時、PETが震えて着信の「ピピピ」という音が鳴る。エックスマンが、エイリアさんからメールが来た、とチャットで流してくれた。

 

 

 

   ※  ※  ※

 

 

 

「それで、何故みゆきお姉さんまで……?」

「頼れと言ったもの。…………フフフ、こういう時は空気の読める女よ」

「介助してくれ、とか言いませんでしたが」

「それでも………………、私の方が適任だと思うわ。いざとなったらプラグインもできるし、もうわかってると思うけれど『貴方の事情』に、オカルト的な側面から正解を知っているもの。…………実際の所は何があってそんな歪な形になっているのかはわからないけれども」

「……………………」

「…………薄ら寒さを感じているのなら、こう考えたら良いわ。そんな私が自分からサポートを買って出るくらいには、今の貴方は危険よ」

 

 だから感想みたいなのは一言も言ってないんですよみゆきお姉さんさぁ……。後それって、普通に恐ろしいフラグなんですがそれは。

 そんな僕の、とにかく何でも知ってそうで空恐ろしいっていう感想を、嘲笑うように背後で車いすを押してくれてるみゆきお姉さんだった。階の移動とかはリハビリもかねて僕の方でちょっとやってるけど、肩が震えて力が上手く入らなかったら「はい」と二の腕を支えてくれたり、背中が痒いなーって思って手を伸ばそうとして全然力が入らなかったら「ここかしら?」って僕が何か言うよりも先に率先して手を伸ばしてくれたり…………。こういうの前もあったけど、やっぱりこの人って絶対何かヤバい存在なんじゃ……? 助けてもらってて失礼千万ではあるんだけど。

 

 エレベーターを降りた階は光博士の研究所とは別な階。……「ビッグデータ分散解析研究室」って札がかかってるけど、どう考えてもエイリアさんとかシエルちゃんの得意分野なので、もしかするとここがエイリアさん本来の研究室だったのかもしれない。

 ノックすると自動ドアが開き、みゆきお姉さんが僕を押す。

 研究室の中では、エイリアさんただ一人がこちらに背中を向けていた。複数の画面には、何か解析してるっぽいシエルちゃん、すーすー寝息を立ててるアルエットちゃん(可愛い)、あと再生したっぽい身体が黒ずんでるゼロの姿。目のあたりは光がともってなくて、とてもじゃないけど元気とは言い難そうだ。

 

 僕たちが入室したのを察知して、エイリアさんはこっちを振り向く。

 頭には電子ゴーグルみたいなのを付けてて、なんというか、ちゃんと「未来の科学者っぽい」感じだった。

 

 まあすぐゴーグルを上げるんだけど。恰好は普段通りというか、ピンクと赤がメインで出ている感じだ。

 

「いらっしゃい、ガンサイ君。さきほど送ったメールの件ですが――――――って、えっ? えっ? えっと、みゆきちゃん?」

『意外な組み合わせ、って程でもないかしら』

 

 笑顔で出迎えた直後、ちょっと意外そうな感じで驚くエイリアさんと、割とナチュラルなシエルちゃん。まあ多分、最初にエイリアさんと会った時もシエルちゃんは持ち運ばれていたんだろうし、みゆきお姉さんと接点が多いのは知ってるんだろう。けどまさか、ここまで一緒に来るとは思って無かったって言うのもあるんだろうし、そこは僕もよくわからないので、みゆきお姉さんを見た。

 エイリアさんに勧められて椅子に座るみゆきお姉さん。そのまま彼女は僕と視線が合ってから、少し逡巡して答えた。

 

「………………タイミング的に、私が運んだ方が話が早そうだったから、というだけ。詳細は知らないけれど『オーバーホールの件で相談』とあったから、この子が自力で車いすの準備をして動くより、私が動かした方が早いと判断したわ」

「それは実際そうなんですけど……、えっと、やっぱり、ラブ?」

「「違います」」

 

 というより年齢を考えてくれませんかねエイリアさん? 小学生と高校生ですよ。まだしもサロマさんの方が違和感が少ない(中学生)。

 ちなみにみゆきお姉さんが言ってたのがどういうことかと言うと、科学省内だと車いすの自動制御を使うと、全然速度が出せないという理由だ。衝突回避とか色々理由はあるんだけど、そんな訳で人が人力で手押しした方が、移動速度が早かったりする。昨日、名人が押してくれてたのもそんな理由からだった。

 

 まあそれはおいといて。エイリアさんからのメールは「ゼロのオーバーホールの件で相談」ということだった。

 何かしらトラブルが発生してる、ちょっと相談したいからこっちに来てくれ、という話だったんだけど、ゼロのボディが黒ずんでたり、その部分から青白い粒子みたいなのが散ってるのを見て、何となくヤバそうっていうのはわかった。

 

「『魂』が離れかけている……、侵されているといったところかしら」

「? あー、えっと、これって、何が起こってるんです?」

「…………メインフレームのバグ化です」

 

「「バグ化?」」

 

 こういうと少しグロテスクですが、とエイリアさんは断りを入れてから、ゼロのボディが映されているディスプレイを指さす。

 

「もともとナビのメインフレームというのは、他に依存しているデータパッケージを表面上覆う外皮の役割を果たしてはいますが……、本質的には、ナビの形の本体のようなものです。どう言ったら良いでしょうか……、誤解を招きますが、簡略化するために言うと。つまり外皮ですが、それ自体が姿形の意味も兼ねています。

 このメインフレーム、システム的にバグを引き起こすことは結構あるのですけど、メインフレーム自体に強大なバグが発生すると、砂嵐のような電子ノイズがかかります。

 現在のゼロの状況というのは、それがさらにひどくなり……、人間で言えば、外皮を剥がされ内側にある筋肉とか神経とかがむき出しになりかかっている、と言う状態です」

 

「怖い!?」

『怖い!?』

 

 エックスと僕の感想が重なる。「実際はそこまでグロテスクなことではないんですけれども」と苦笑いするエイリアさんは、どっちにしても危険な状態です、と話を続ける。

 

「現在のゼロは、このバグ化が猛烈な速度で浸食しています。……おそらくドリームウィルスに、内部データを多くカット&ペーストされてしまった関係でしょう。

 このままいくとゼロウィルス精製能力『だけ』の塊のような存在となり果ててしまい、もはやナビとしての活動や改造は不可能になります」

「そんな……、どうにかならないんです?」

「方法はあります。だから、そのためにガンサイ君を呼びました」

 

 エイリアさんは、僕の顔を見据える。……みゆきお姉さんは特に反応してないので、特に理由はないけど一安心。

 

「現在のゼロは、メインフレームに問題があるんですが、どちらにせよゼロのメインフレームをネットナビの型にする際、フォーマットのような形で一度分解する必要がありました。だから現在、ゼロの記憶データや疑似人格プログラム……どちらかと言えばメモリーエンザプログラムと言った方が良いでしょうか。疑似人格プログラムに相当するそれを、ゼロのメインフレームから分離してある状態です」

「詳細説明はいいんで、結論をお願いします」

「えっと、ちょっと複雑なのでもう少しだけ続けさせてください。

 ええと……、つまり、現状のゼロに対応するメインフレームを作り直せれば、それで問題がないということです。江口君のバンチョーマンのメインフレームについて相談されていたのを思い出して、アイデアとして思いつきましたが、バグ化していない最低限のデータを元に、異なるメインフレームに組み込めれば、それでゼロをネットナビとしてリフォーマットすることが出来るはずなんです」

 

 だから、と。エイリアさんは僕のPETを見て。

 

「――――同条件の、つまりメインフレーム内部に『もう一つ』ネットナビが存在するような型のメインフレームは、バンチョーマンがデリートされた今、わかっている範囲で2つあります。あなたのエックスマンと、光博士のロックマン。

 光博士については、ドリームウィルス対策に追われてもはや電話も通じず、ロックマンも個人的なツテがありません」

「つまり、エックスマンを――――」

「ええ。もう一度、あなたのエックスマンを解析させて欲しいんです。

 それでナビの内外のデータのインターフェイスなどが割り出せれば、何とかできるはず――――――――」

 

『――――エイリア、来るわ!』

 

 えっ? と。僕と、エイリアさんと、空気を読んで黙っていたみゆきお姉さんが、叫んだシエルちゃんのディスプレイの横、電脳空間を俯瞰視点で見ているようなディスプレイに注目して。そこにリンクゲートから現れたネットナビを見て、エイリアさんは言葉を失った。

 

「マーティ……!」

『…………おやおや、エイリア。シエルもアルエットも皆勢ぞろいじゃないかぃ』

 

 二足歩行で人魚のようなデザインの、ちょっと勝気そうなネットナビ。そこに現れたのは、ゼロウィルスに感染してその後に失踪して事件を起こしていた、ウィルスを洗脳できるネットナビ、マーティ。

 マーティは驚愕してるシエルちゃんを見て苦笑いしたり、未だぐーすかぴーと眠ってるアルエットちゃんを見て「大物だねぇ」とくすくす笑った後。バグ化しつつある、カプセルに入ってるゼロを見て、槍を構えた。

 

 

 

『さて…………、コイツが親玉だったんだろう? アタイにあんな真似させて只で済むと思うんじゃないよ、ウィルス風情が! きっちり落とし前をつけさせてやる!』

 

 

 

 あっこれ拙い奴だ。完全に戦闘態勢に入ってる。エイリアさんが「止めて!」と大声を出すより先に、僕と、ついでに便乗してみゆきお姉さんも一緒に、プラグインの体勢をとった。

 

 

 

  

 


【作者メモ】

・お見舞い:小学校には事情が事情なので詳細情報は共有されてない。みゆきお姉さんはエイリア経由で、マサさんサロマさんは本編言及通りで情報を知った。

 

・フォレストボム:きっと何かを()て用意してるみゆきお姉さん。

 

・意外とお堅いナルシー:キャラ付けの面も大きいので、テレビマンとしては案外普通の振る舞いも出来たりする設定。

 

・ワイヤーフレームのデカい顔:お ま た せ(特に理由もない怪し気な笑い声)

 

・教授がすぐ動かない:ドリームウィルスが強化された影響。原作ゲームだとすぐ量産できる体制にはいっていたらしいけれど、本作だと直前までゼロのデータを吸い出していたので、そのデータを他に回す必要にかられてる

 

・バグ化中ゼロ:受けたダメージが大きすぎて、ゼロのウィルスとしての本来の機能だけが表出しかかっている。色が黒いのはお約束。

 アニメでいうとバグスタイルのニュアンス。

 

 

 




次回、マーティ(真)戦(予定)
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