ロックマンエグゼ世界でエックス的なナビを持ってしまった   作:黒兎可

35 / 53
後半ちょっと駆け足ですが、真面目にやるとダレそうだったのでご容赦ください汗


第35話「悩む必要もないな」

 

 

 

 

 

 ウラインターネットの一角。とある区画から歪んだ先にあるリンクゲート。そのリンクゲートからは、外部のアドレスパス越しだというのに延々と謎のプレッシャーがインターネット内に放たれていて、並のナビじゃ進むことを躊躇ってしまう、らしい。

 そんな場所が、例のドリームウィルスが潜伏するエリアへの入り口だ。

 ドリームウィルスは現在、ウラインターネットの一部区画を間借り、というよりも浸食してその生存域を確保しているらしい。

 

『ファイアウォール……、暴走状態だったマーティの処理能力を利用してコンパイルされた特殊な防衛プログラムが設置してあったようですが、そちらはあのロックマンが破壊したようです』

「やっぱりオペレートとバトルのセンスが高いよねぇ、熱斗君たち」

『だね』

 

 エイリアさんから目的地の説明を受けながら、僕とエックスマンは電脳世界を走る。流石にいくら急いでるからといっても、ダッシュアタックを乱用したりは普通、流石にできない。ただ拡張用バトルチップ『ダブルジャンプ』が例の名人フォルダに入っていたので、これと併用していた。

 ダブルジャンプ……、アニメでも見たことのないチップだけど、効果としてはそのまま2段ジャンプだ。ゲームだと多分メットガードみたいな感じで、発動時に二段ジャンプして攻撃を回避したりとか、そんな効果になるんじゃないかな。ただこの現実的な電脳世界において、二段ジャンプの効果は非常に高い。

 おかげで空中に飛び上がったエックスは、踏み込むところもないだろうにキルオシンを足に装着して、ライダ〇キックみたいに水平にスライドキック移動していた。

 

 僕たちに説明するエイリアさんは、テレビ通話越し(PCにPETを繋いでいるので軽くデュアルディスプレイ状態だから、PET画面の方はエイリアさんの顔を映していた)に僕たちの反応に「あれは正直、ちょっと異常です……」と困ったように笑っていた。

 さっきみたいに落ち込んだり余裕のない感じじゃないのは一安心だけど、目元がやっぱり赤く腫れた感じになっていて、何とも言えない気分になる。

 

「じゃあ、作戦を再確認しますけど…………」

『はい。先ほどロックマンたちが向かったのとは別なリンクゲート、「ウラインターネット管理用」のパスコードで通れるリンクゲートから、ドリームウィルスがいるルートの裏側へと向かってもらいます。

 その奥に、ドリームウィルスを遠隔で操作するためのパケットのライン、通信の認証などが確認できると思いますので、その場所で先ほどメールに添付したファイルを使用してください』

 

 管理用パスコードとか何か僕みたいなのが知ったらまずそうな話をぽろっと零すエイリアさんのそれはスルーするとして。

 言われた通り、作戦概要と一緒に添付されていた軽い圧縮ファイルを展開すると。キューブ型の内部から出て来たのは、何だろうこれ……。円筒状の手のひらサイズのアイテムだ。少しE缶? に似てる。

 

『簡易のリンクゲート生成装置です。光博士の遠隔通信プログラムを参考に作りました』

 

「簡単に作りましたとか言ってるけど、えっそんな簡単にできるものなんです……?」

『どう考えても普通の技術力じゃないよね』

 

 僕とエックスに、エイリアさんはテレビ電話ごしに「えっへん」と胸を張る。……うん、何度か接触したりしたせいで知ってはいたけど、けっこう大きい……。

 いや、そんな煩悩はともかく。才葉のセントラルシティエリアだったりグローバルエリアだったりを抜けた先、エイリアさんに指示されるままに移動した先には、オレンジボディにブルー系アーマーを装着したような、オフィシャルのネットナビが大量に集まっていた。

 見る限り、作戦会議をしているような感じではないけれど、これは……?

 

『どうする?』『いや、でも責任問題になるだろう、このままだと』『いくら天才児だからって、炎山は何を考えているんだ!? 民間人のナビたちを素通りさせろとか!』『というかあの中に一人、一番最初にロックマンに倒されたナビがいたような……』

 

 おっと、それは一体どういう……。オフィシャルの人たちの会話を聞きながら、思わずうなってしまった。アタリをつけるなら、多分それは熱斗君のお友達たちみんなのナビだ。ロールちゃんだったりガッツマンだったり、アイスマンとかグライドとかもいるかもしれない。まあそこはともかく。

 エイリアさんが通話のウィンドウ越しに声をかけると、オフィシャルの人たちは僕とエックスマンの方を見る。思わず「ど、どうも……」と両手を上げてしまったけど、別にやましいことがあるわけじゃないんだ。うん。一般市民的なビビリ感情みたいなのが発動したというか……。

 

『やましくはなくても、やらしくはあるよねガンくん』

「やかましいッ」

 

 ディスプレイにチョップ1発入れるようなポーズを取って、思わず苦笑い……、できなかった。エイリアさんが「あれ?」と不思議そうな顔をしながらも、僕を見てはっとしたように自分の胸元を隠したからだ。あの、いや、別にそういう期待をしていたわけではないので、その……。いやゼロとは言いませんけど、そこは流石にちょっとくらいは許してください。

 

『と、とにかく! 先ほど炎山君が先行してロックマンの後を追うように入っていったのなら、今のうちに彼のエックスマンをリンクの内側に通してあげてください。ルート誘導はこちらで行います』

『し、しかし、我々にも警察から一部権限を認められた民営自警組織とはいえ、自らすすんで民間人に頼るわけには……』『いえ、そろそろ一般にも無料で「市民ネットバトラー」の試験が解放されるころです。オフィシャル監督の下で、一つのテストケースになるかもしれません』『どちらにせよ反対だ。まだ子供だぞ? オペレーターも。荷が重いし、最悪デリートなんてことになったら大きなトラウマになってしまいかねない――――』

 

 エイリアさん、この感じだと事前に話を通しはしたけど、全体の納得はとってなかったな……? 思わず半眼で彼女を見ると、胸を隠す様に抱いた姿勢のままだったけど、「あー、……」って引きつった笑いのまま、視線は右上を向いていた。

 

 流石に埒が明かなそうなので、名人とバンチョーマンの話を引き合いに出した。名人のナビであるバンチョーマンに近い特性をもっているので、ゼロウィルス由来のものなら効果があまりないだろうという話だ。

 そしてびっくりすることに、それでオフィシャルの人たちに意見が通ってしまった。「名人のナビと一緒なのか」「だったら大丈夫だ、何せ名人なのだから」とか、名人という名前に対する信頼感が重すぎて謎だ。本人がいたら「止してくれ本当……」とか言って、その重圧から落ち込みそうだけど、少なくともエイリアさんより人望がありそうだ。なんならそのせいで、エイリアさんまた涙目。デフォルメして可愛く描けそうな感じ。

 

 そして通してもらったウラインターネット。始めて来るけど……、テクスチャーが表のグローバルエリアと、あんまり変わらないと言うか。微妙に暗い感じにはなってるけど、3に出て来たあの毒々しい色合いになってない。

 あれ? ひょっとしてここってもしかして、1の時点では表のインターネットと同じように、ほとんどデザインに差がないエリアだったんじゃ……。

 

『ウラのウィルスは表のウィルスよりも強大です。わかっているとは思いますが、不意打ちからバトルオペレーションを仕掛けられた場合、最悪命にかかわります。細心の注意をしてください』

 

「さ、流石に命までは落とさないと思いますけど……。気絶するのはもうアレなんで、はい」

『――――――――』

「エックス?」

『――――――――何でもないよ、ガンくん』

 

 何でもないとはいうけど、エックスはテレビ通話越しのエイリアさんに、珍しく無表情を向けていた。何の感情もないと言うより、何かを見極めようとしている感じと言うか。……せっかくエックスと視界が共有されてるので、改めてまじまじとエイリアさんを僕は見てた。

 ……こうしてみるとマーティに似てるのは当然なのかもだけれど、前髪の感じとかシエルちゃんをデフォルメしなかったらこんな感じになるんじゃ? みたいな要素もあるなぁ、エイリアさん。考えてみたらマーティもシエルちゃんもアルエットちゃんも、みんな髪の色は金髪だし、目は青色だった。そしてそれは、エイリアさん本人にも共通する要素。

  

『…………あ、あの、何か?』

『――――――――俺は何でもないよ。ガンくんは違うけど』

『えっ?』

「余計なことは言わないっ。

 じゃあ、誘導お願いします――――」

 

 そしてエイリアさんの指示通りに、意外と素直な道順(少なくとも以前のデンサンタウンの迷宮じみた電脳空間よりはマシ)に沿って、右へ左へ行ったり来たりしているんだけど……。

 

「…………ウィルス全然」

『遭遇しないね…………』

 

 僕とエックスの感想が重なる。そう、行く先々で黒い斧とか、黒い剣とかが地面に刺さってたりという物騒な絵面はあったんだけど、それだけだった。ものの見事に移動中、いっさいのウィルスと出会いすらしない。途中でみゆきお姉さんから「ロックマンが再生ナビたちを全員倒して、先に進んだわ」とメールが来たりするのに返信できちゃうくらいには、本当に何も道中に起こらなかった。

 流石にちょっと不自然すぎる。エイリアさんも最初は「今日は乱数が良いようですね」とかRTA(人力スーパータイムアタックプレイ)みたいなこと言ってたけど、流石に段々と表情を強張らせていた。まるで何か、あるいは誰かに誘導でもされているような、その感じ。ただ目的地はエイリアさんの指示する先そのもので、そのことがますます不気味だった。

 

『…………とにかく先に進みましょう。そこのリンクゲートの奥……、そうそう、そこの壁です。コードの転送と通路ロックの解除はこちらでやりますね。

 シエル?』

『――――う、うん、わかったわ。……ゼロ、無理しないでね』

 

 音声だけだけど、どうやらここからは少しシエルちゃんがサポートしてくれるらしい。

 ただそれはそうと、おそらくマーティと戦っているんだろうゼロに対するその一言は……。というかたぶんCVとかもあっち、つまり「ロックマンゼロ」シリーズの方と一緒な感じがするから、こう、ものすごい色々な僕の内心の色々な部分にクリーンヒットしていたりした。

 

 僕のPET越しに状況を確認しながら、エイリアさんがシエルちゃんに指示を出す。それに応じてシエルちゃんが色々やってくれたのか、目の前にあったエリアの壁? パスコードで通れるやつじゃなくって「本当に壁」になっているそこが、古の遺跡が仕掛けを解いたことで展開するみたいな「ゴゴゴゴゴゴ」とか音を立てて、開いた。

 中にはリンクゲートが一つ。それだけ。エリアの横道もなく、本当に「裏口」というような、そんな感じの場所になっていた。

 

 そこに足を踏み入れて、転送された先には――――――――。

 

  

 

『――――やぁ、ティンクル♪ 待っていたよ。来ると思っていたさ』

 

 

 

 そこにいたのは。いや、その場所はさっきロックマンが戦っていたようなコロシアムみたいな電脳空間なんだけど、その中央に立っていたのは……、全体的に色合いが紫っぽいオーバーレイのかかったような、スターマンだった。

 

「スターマン……? 何で君が」

『君は、バンチョーマンが倒したはずじゃ……?』

 

『番長、嗚呼……。いや、実際一度倒されているよ。だから僕はバックアップというわけさ。

 ただ普通と少し違うのは――――――――ドリームウィルスを介して再生したから、「あの時の記憶」も全部残っているということさ』

 

 何、だって? びっくりして言葉が続かない僕とエックスマン。

 エイリアさんは、そんな僕たちに代わってスターマンに言う。

 

『つまり、あなたはドリームウィルスによる再生強化ナビ、ということですね』

 

『嗚呼、そうさ。やれやれ、まったく。まるで流れ落ちた星を中心にすえて人工衛星を組み直して打上げ直したみたいな、そんな不自然な感覚がずっと残っているよ。

 でも仕方ない。僕は「パパさん」の邪魔になる相手は、絶対にここで止めると決めているんだ』

 

 パパさん……。

 

「『教授のこと?』」

 

『…………嗚呼そうさ。君たちに教授を名乗っている、あの人。あの人から全てを、家族を奪い去った電脳世界を消すためだったら、僕は何だってする。

 流れ星に願い事を言わないパパさんの、輝く一等星に僕がなるしかないんだ』

「どうして、そんな…………、君だって消えちゃうじゃないかッ」

『わかっていないなぁ。君は。そして「エックスマンも」。嗚呼そうだろうとも、君たち二人は絶対わからない。まだ、あのバンチョーマンの方がそこを弁えていただろう。

 いいかい? 哀れな子羊たち――――ネットナビにとって、オペレーターの願いをかなえることは、何があっても一番重要なことで。それこそが本来、僕たちナビの生きる意味であり、目的であり、そして幸せでもあるんだ』

 

 ロックマンが好戦的なのも、光熱斗や光祐一朗たちの役に立つことが幸せだからさ、と。笑いながら、得意げに、誇らしく。そして真剣なまでに。

 スターマンは不敵に笑い、当たり前だと。それが当然で、それこそが自分の「本物」なのだと。そう伝わってくるような、真剣な気持ちを僕たちに向けて来ていた。

 

「……わからないって言われても、それは、だってわからないよ。僕は人間だし、エックスはエックスだ。君がたどり着いたその気持ちというか、それとは別なことを考えて――――」

『違う違う、違うんだ! そうじゃない、そんな「表面的な話じゃない」!

 でもそれは、僕が君たちを警戒する本質ですらない。……パパさんは光一族への執着が、ドクターワイリーから引き継いだように強いけれど。僕が真に警戒するのは、君たちみたいな存在だ。

 君たちみたいな本来なら路傍の石、あるいはそれに毛が生えたような存在――――ただ、どんなに小さな存在でも、宇宙(ソラ)を流れれば一筋の流星となって、強い熱を放つのだから。自ら宇宙に躍り出たのなら、それがどんな動きをするかわかったものじゃない。

 イレギュラーは、全力で、僕が駆逐する』

 

 ごめん、ちょっと後半言ってることがよくわからない……。申し訳ないけど、エックスも僕も一緒に微妙な表情になる。ただ逆に、エイリアさんは目を見開いて、エックスマンへと警戒するスターマンを凝視していた。

 

『まさかあなたは、ゼロウィルスのデータから――――』

『バンチョーマンという先例があったからね。……まさかあんなカラクリだったとは、予想もしていなかったけれど納得だ。あれは「ネットナビに感染するウィルス」なんだ。「ニンゲンに感染するようなものじゃない」』

 

「ごめん、やっぱり意味がわからない……」

『――――――――』

 

 おや? エックスマンの表情が強張ったのがわかる。また微妙に僕たちの感想がズレた。

 ただどういうことか細かく問おうとするよりも先に、スターマンは指を弾く。

 

 同時に、複数のプラグインエフェクトのようなものが飛び散って――――。

 

 紫がかったスカルマンが、両腕を振り回してジャグリングし。

 黒ずんだコピーマンが、自分の周囲にナビマークの鏡を飛ばして。

 むしろショッキングピンクみたいなビデオマンが、腕を組んでニヤニヤ笑い。

 毒々しい色をしたターボマンが、黒い炎を纏い。

 紺色に発光するフラッシュマンが、両腕を振り上げて。

 どう見ても闇落ちしてる感じのブルースが、腕をソードに変形させて。

 属性変化しなさそうなマーティの背後に、大量のドリームビット。

 

 そしてスターマンは、ギラギラとチャージを開始して。

 

『生憎、僕に出来る最高のもてなしはこれが限界さ。パパさんのようにうまくは出来ないけど、ゼロウィルスを組み込まれたドリームウィルスも「融通が利く」』

 

「ぼ、ボスラッシュ……!」

『ガンくん、気を抜かないで!』

 

 ちょっと気が遠くなりそうだったのを取り直して、無理ゲー感を感じながら「バトルオペレーション・セット!」『イン!』と、二人で声をそろえた。

 

 

 

   ※  ※  ※

 

 

 

『――――バーニングゴール!』

「いやターボマン、バーニングボディまとったまま車に変形してダッシュアタックってちょっと酷くない!? ダメージも何か連鎖してるしさぁ!」『快太君が言ってた切り札ってこれかもね……。もし変形できたらこれを使ってたと』

 

『ミラーブーメラン!』

「鏡の数が……」『増えてるね……』

 

『チョウソクサイセイ!』

「ちょッ!? ブルースの動きを超加速させるの止めてッ!」『超スピード!?』

 

『――――――――』

「何も言わないけど動きのキレが全然違う……」『それこそ加速とかしてないくせにッ!』

 

『バトルチップ「ダークソード」』

「ブルースも何そのチップ!?」『掲示板で噂を聞いたけど、ダークチップってやつかな』 

 

『LA~♪ LA~♪ LA~♪』

『一斉攻撃は無理だよガンくん~!?』「ぷ、プログラムアドバンス、『システマシエル』!」

『くそう、あのアタイの偽物め……。歌が上手いじゃないかい』『マーティ、あなたツッコミを入れる所はそこなの……?』

 

『キッシェッシェ――――』

「『むしろスカルマンが一番変わらなくて安心すらする!』」

  

 戦闘は、連戦じゃなかった。

 全員での同時戦闘だった。つまり1対8の、しかも敵は超強化されてる状態での暴力戦だった。……うん、ナビ自体は違うにしても、ロックマンたちってこれを正面から切り崩して勝利してるんだよね。うん。やっぱり主人公様は主人公様ということかな。バトルの経験値とセンスが全然ちがうや……。

 

 半ば諦めムードに入りそうになってるけど、それでもなんとかデリートされないでいられるのはシステマシエルのお陰かな。光博士のパッチのお陰か、前みたいに眠くなったりはしないし、痛みもやっぱりそんなに強くない。

 だから状況としては、ひたすらエックスが嬲り殺されかけ続けているだけだ。

 

『そろそろ終わりにしないかい――――リュウセイグン!』

 

 そしてスターマンがキラキラメテオの流星を降らし始めたあたりで、システマシエルのオーラが消し飛んだ。あれ、超強化されてるから1発100ダメージとか余裕で超えているのかな……。

 システマシエルのオブジェクト本体も、また追加で降り注いだメテオで壊れる。

 

 それと同時に、エックスマンのHPが一気に削られ始めて――――――――。

 

『…………ガンサイ君、リンクゲートのプログラムを、そこで起動してください! 早く!』

「えっ!? いや、僕どうしようもないというか――――」

『やってください、「ガンサイ君」――――!』

 

 エイリアさんは、エックスを見てそう言った。エックスマンの視線越しに言われたみたいに思えて、僕は冷汗をかく。

 焦ったように言うエイリアさんのその語調に押されて、わけもわからずプログラムの上部をひねって、その場に投擲。

 

 巨大化するエネルギー缶みたいなカプセルは、リンクゲートの形状をとって。

 

『はっは! 無駄だよ、今更何をしたところで僕に勝てるとでも? 本物のマーティでも呼ぶかい? 残念だったね! その程度でどうにかなるほど、この強化ナビたちは貧弱では――――』

 

 

 

『――――そうか。だが、「悩む」必要もないな。この場合は』

 

 

 

 リンクゲートから飛び出した、赤と黒と白のシルエット。金色の髪みたいなのをなびかせたそれは、右手に独特な三角形みたいな形状の刃をとり。

 

『ゼットセイバー!』

『ッ!』

 

 目の前にいたスターマン目掛けて、ヒッフッハッ! と三閃。例によってテレポートみたいなのをしたスターマン。ワイドソード、ロングソード、ファイターソードっぽい動きのまま、その射程圏にいたフラッシュマンのコピーはデリートされた。

 その見覚えのない「小柄な」シルエットを前に、スターマンたちは後退して様子を窺う。明らかに、明らかに場違いのように現れたこのナビに警戒をしている。

 

 誰だい君は、とそのナビに問いかけるスターマン。僕とエックスマンは、目の前の彼に、本人に思わず聞いた。

 

 

 

「『君は、ゼロ?』」

『……………世話をかけたな。だが、借りは返す』

 

 

 

 そう言ってゼットセイバーを構えたそのネットナビは。間違いなく僕とエックスが我儘をもって助けたゼロで。同時に見る人が見れば、誰がどう見ても、「ロックマンゼロ」のゼロのような姿をしたナビだった。

 

 

 

 

 


【作者メモ】

・名人の人望:老若男女問わず大人気。エイリアさんは泣く。

 

・遭遇しないウィルス:誰のお陰なんでしょうかねぇ……。

 

・スターマン:本作では教授こと星河博士の家のネットナビ。扱いとしてはアイスマンのような感じをイメージしてもらえればわかりやすいかもです。

 自律型ネットナビだけどオペレーターを持つネットナビとして、自分の幸せのために全力で戦っている。

 

・ボスラッシュ:お約束。

 

・復活ゼロのデザイン:ロックマンゼロのデザインを要所要所エグゼナイズしたようなデザイン。ナビマークは左手の甲のみ。

 何でこんな姿になってしまったかは、多分次回解説。

 

 

 




次回、ツインヒーロー(予定)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。