ロックマンエグゼ世界でエックス的なナビを持ってしまった   作:黒兎可

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長々戦闘になりすぎるので色々調整した結果こんな感じになりました…


第37話「ゾンブンに死合おう、エックス!」

 

 

 

 

 

『やぁエックス。僕はこんな日なんて待ち望んではいなかったけれど、目出度い再会じゃないか。バンチョーマンもきっと、君と再会できて喜んでいるよ』

 

「それ、は――――――――――」

『――バンチョーマンの、中身?』

 

 僕とエックスマンの言葉が連なり、それが聞こえたのかカプセル内部のバンチョーマンの中身らしきナビはうめき声をあげる。苦しんでいるようでもあり、しかし同時に、なぜかその光景に僕は違和感を抱く。具体的に何が変かと言われると判らないけれど、しいて言うとそのバンチョーマンの中身のポリゴンが、テクスチャーが、どこか「浮いている」ように見えることだろうか。

 

 くつくつ笑うと、スターマンは口癖もすっかり忘れたような口調で、嘲笑うように言う。

 

『君たちと同じように、彼には随分手を焼かされたからねぇ。ボロボロになったメインフレームの下にまさか「汎用型ロボット用操作プログラム」が入っているとは思わなかったけれど、これならゼロウィルスが侵食できないのも納得だ。

 そもそもの構造がネットナビじゃなくって、ネットナビという入れ物に別な何かが入った存在だったんだからね』

「別な何か……?」

『それは勿論、君たちにも言えることさ。だが…………、だからこそこのバンチョーマンは、こう使うことが出来る!』

 

 言うと同時に、スターマンの手前のパネルがクラックされ、下から赤く発光する球体が飛び上がる。それは徐々に姿を変え、小さく歪んだ赤いドラゴンのようなものに。手には地球儀を抱え込んだそれは、バンチョーマンのカプセルの上部へと回り込み、同時にカプセル周辺から伸びたケーブルみたいなのに絡みつかれ――――。

 僕たちが疑問を口にするよりも先に状況が動いたので、それは後回し。急いでエックスバスターを撃つエックスマンだったけど。

 

『――ッ、駄目だ。バスターが完全に無効化されてる……!』

『それは、ドリームウィルスの本体だからねぇ! 本来なら巨体に回しているエネルギーを全身に纏ったそのオーラ、「ダークネスオーラ」の耐久力は実に300!

 君は大人しくそこで見ていると良い。バンチョーマンが、新たな姿を手に入れる様を――――』

 

 ケーブルから紫色の何かが大量にバンチョーマンのカプセルに流し込まれているのが見える。あれは、バグの欠片……? なんとなくそんな感じがエックスマンの視界越しにわかる。

 バグの欠片はどんどんカプセル内の液体みたいなデータソースに溶けて、カプセルが光り輝き、爆発する。

 

 腕で顔を庇うエックスマン。やがて煙が晴れたころには、そこには白いアーマーを身につけた、バンチョーマンのような顔の、しかしバンチョーマンではないナビがいる。顔、目元の模様も色が暗くなり、額に小さいナビマークが張り付いている。

 

 そんなバンチョーマンへ、赤い発光体となったウィルスは背中から内側に入る。

 びくん、と震えたバンチョーマンは、首をガクガク動かして、そして目を光らせた。

 

『もはやこれはバンチョーマンなんてダサい名前のネットナビなんかじゃない! 精神を破壊された殺戮ロボット型ネットナビ――――サイコマンさ!

 僕、ひいては教授の望みを叶えるためのね!』

 

「バンチョーマン……」

『バンチョーマン……』

 

 腕を組んだそのナビ、サイコマン――――バンチョーマンだったそのネットナビは。まるで超能力でも使ったみたいに空中に浮かびあがり、やや高い位置からエックスマンを見降ろした。

 僕たちの表情の何が面白いのか、スターマンはくつくつと肩を震わせて笑っている。

 

『君たちとの妙な縁も今日限り、すべては墜落した隕石みたいに燃え尽きてもらうとしよう。それでは君たちとサイコマンに、僕が知る限り最上級の罵倒を送るとしよう――――』

 

 スターマンが言い終わるよりも先に、サイコマンが手のひらをエックスマンに向ける。咄嗟に何かを感じ取ったエックスマンは、エックスバスターを3連射。同時にサイコマンの手から光弾みたいなのが放たれ、エックスバスターとぶつかる。

 相殺はされず、後退することでかわすエックス。弾丸は追尾せず、エックスマンがさっきまで居たパネルに着弾した。

 

 エックスバスターの識別でアナライズが自動でかかり、ステータスが表示される。

 サイコマンΣ()。HPは、1000。

 

 戦闘態勢に入った僕たちに、スターマンは声を上げて嗤った。

 

『―――――――――勝手に戦え!』

 

「バトルオペレーション・セット――」

『――イン!』

『フッフッフ……、フハハ……ッ、フハハハハハハハハハハ――――――――ッ!』

 

 とんでもなくこう、色々いっちゃいけないような発言をしたスターマンにツッコミを入れる余裕もなく、僕とエックスはサイコマンとのバトルオペレーションに集中する。

 

 サイコマンは初手でバリアを張ってきた。判定が300なあたりはさっきのドリームウィルス本体を少し思わせる。

 

 空中に浮かんでいるサイコマン。あの感じからして地形判定系の攻撃はちょっと効くか効かないか怪しい。まあパネル変更系の攻撃はシエルちゃんくらいしかほぼないから大丈夫といえば大丈夫なんだけど、もしかするとフロート性能もデフォルトで持っているかもしれない。

 サイコマンはそのまままた掌を向けて光弾を放って来た。なるほど、バンチョーマン時代のオーラフィストに相当する攻撃らしい。動きはともかく、弾の移動速度とか攻撃判定には覚えがある。

 

「バトルチップ『スプレッドガン』、データスロットイン!」

『――――――――!』

 

 上空に向けて放つエックス。攻撃自体はバリアで防がれてるけど、違いダメージを受けたからと言ってバリアを張り直すようなことをしない。普通に耐久限界まで削れるってことだ。このあたり名人と一緒に戦っていたバンチョーマンと違う。

 と、そのままバンチョーマンが今度は右手を変形させてこちらに突撃してくる。ファイターソード? でも初動が1テンポ遅いのはバンチョーマン時代から引きずっているらしい。

 

「バトルチップ『フレイムソード』、データスロットイン!」

 

 威力的にはこれで相殺できそうだけど、動きがほぼダッシュアタックのノリなので衝撃でダメージが入る。……えっと、50入ったから本来なら150か。伊達や酔狂じゃなくやっぱり強化されてるよこのバンチョー、じゃなかったサイコマン。

 

 とにかくダメージが蓄積するのは確定だから、エックスバスターのチャージでちまちま削りつつ、定期的に回復系チップを入れる。

 システマシエルはたぶんあの攻撃、ブレイク系性能が付いてると思うから、設置するのは悪手だ。わざわざ回復効果までついてるシエルちゃんのチップを無駄遣いしたくない。

 

 スターマンは傍観してバトルオペレーションに乱入してくることもないので、地味に戦闘を続ける僕たちとサイコマン。

 やがてサイコマンのバリアが消えたと同時に、スカルマンのチップを召喚した。

 

『キッシェッシェ――――!』

『ヌゥ!?』

 

 バリアがなくなったから、シャレコーベイの一撃は回避できずに喰らうサイコマン。のけぞって地上に下りて来たのを見計らい、シエルちゃんのチップを重ね掛ける。

 

「『お願い、シエルちゃん!』」

『――――――――♪』

 

 いつかのバンチョーマンのチップみたいにしゃべることもなく、パラレルショット砲撃。その場から動かなくなったけどのけぞってる訳じゃないから、あれは混乱が入ったかな。

 

「バトルチップ『エリアスチール』、ダブルスロットイン!」

『――――これで射程圏だね!』

 

 接近しながらチャージショットを放つエックス。2連射、のうち片方がヒットするから20ダメージ入る。ダメージ自体は微々たるものだけど、ちょっとずつちょっとずつ蓄積していこう。

 いまのところサイコマンは追加でバリアを張る気配はない。だからこの隙にとドリームソードを叩き込む。

 今の所バトルチップの引きは悪くないけど、元がバンチョーマンだから油断しちゃいけない。名人がいなくても、もう向こうを半分減らすのでこちらも回復系チップが底をつきかけている。

 

「バトルチップ『シャークマン』、スロットイン――――」

『フハハハハハハッ!』

 

 まだ一気に畳みかけようとしたら、サイコマンが不敵に笑いあげて「マントを身にまとった」。鳥の羽根みたいなひらひらとしたもので、それをみて嫌な予感を覚える。

 チップフォルダを出すけど、インビジはまだ来ていない……、「ADD」して間に合うか!?

 

『ストライク・オーラ――――――――!』

 

『ッ!? ぜ、全体攻撃か! これは――――――――』

「――――いや、連続攻撃! でも躱す隙間がない!?」

 

 空中からそのマントをばさっと振って、無数の光弾が形成。形成されたそれらが無差別にフィールドに振ってくる。メテオをより高速にした感じといったらいいかな。人力で避けるのはかなり難しいと思う。

 実際、頑張って避けたけど何発か喰らってしまった。HPは180、こころなしか少し息苦しい。

 

 でも、それでも――――――――。

 

『強いには強いけれども――――』

「――――勝てない相手じゃない」

 

 これは僕と、エックスマンと意見が一致していた。

 実際問題、単純な威力だけならバンチョーマン時代よりも強くなっている。強くなっているんだけど、それでもバンチョーマンの時にあったような底の知れなさを、サイコマンからは感じ取れなかった。

 それが何なのかって推測すれば……。今の自我のない状態のサイコマンは、あの名人と一緒に戦っていたバンチョーマンではないから、というのが大きいかもしれない。

 もちろん、単純にオペレーターの有無による戦略の幅だけじゃない。バンチョーマンは名人と一緒に数年は戦っていた、だからそこにあった二人の絆というか、戦闘経験というか、とにかくそういったものが全部抜け落ちた、いうなれば「只の」戦闘用ナビみたいな状態なんだ。

 

 それがますます、バンチョーマンはもう居ないという事実を思い知らされるようで、少しナーバスになるところもないわけじゃないんだけど。

 

 

 

 ――――存分に悩むと良い。悩みに悩んで悩み抜き、その上で出た結論に責任をもって、引き金を引くのを躊躇うな。

 

 

 

 あの時の、別れ際のバンチョーマンの言葉が脳裏を過る。

 どっちにしても、バンチョーマンだって、サイコマンだってこのままで良いとはとうてい思えないんだ。だったら今、僕とエックスマンがやらなきゃいけないことは一つ。

 

「スカルチェーン、ウッディタワー、トリプルアローに、ええと、ウッドマンも重ねられるか。ウッドマンV3、クアドラプル・データスロットイン!」

『大盤振る舞いだね、ガンくん――――――――って、あれ?』

「あれ?」

 

 そして、その割と知らないチップを含んだ変な組み合わせで生成された、知らないプログラムアドバンス。「Tエージェント」とか出てるけれど、何のTだろう。サンダーとかではないだろうし、雷系のチップは使ってないから。

 まあ、物は試しだ。出来てしまった以上は確実に当てるため、サイコマンのバリアをエックスバスターでちまちま削ってから当てよう。……うん、こっちもHPが100を切りそうだから、あんまり余裕ないんだけどさ。

 

 でも、なんとか100を下回る前にバリアを剥がせたから、そのタイミングで発動すると――――――――。

 

『キッシェッシェ』『うおおおおおおッ!』『デヤァ!』

 

「あれ!? スカルマンとウッドマンとシャークマン!!?」

『あれ!? スカルマンとウッドマンとシャークマン!!?』

 

 この組み合わせを見て、何か不思議と納得してしまった。あ、そうか、Tってトリプルってことね。トリプルエージェント。じゃなくて……。

 

 流石にいきなり疑似ナビが3体召喚されたことに、サイコマンどころかスターマンも驚く。

 手始めにまずシャークマンがパネルにダイブして、前方列すべてに鮫の尾びれが突撃――――そのすべてが「分身したシャークマン」であり、空中のサイコマン目掛けて飛び掛かった。

 続けてウッドマンのウッディタワーがランダムに3回出現して、うち2回、シャークマンに噛みつかれてその場から動けないサイコマンに当たり。

 トドメとばかりに空中に浮かび上がったスカルマンの頭部、だけど、普段のシャレコーベイとは何か違う。具体的に言うと、大きく口が開いて、そのままサイコマンを噛みつぶす様に、ガチャリと高速で挟み込んだ。

 

『ぐおォォッ!』

 

「い、今の一連ので400ダメージ入ってるんですけど……」

『……ヒット1発100ダメージとして、シャレコーベイは威力なかったのかな? って、あれ…………?』

 

 地面に落ちて来たサイコマンのHPが、1ずつ、しかも高速で減っていく。ナビカスのバグみたいな挙動というか、ポイズンアヌビスみたいな感じのアレというか……。

 毒状態みたいな感じだし、ひょっとすると最後のスカルマンの一発がそれなのかな。こちらを見て何故かサムズアップして消滅していくナビたちに、思わずサムズアップを返してからバスターのチャージを始めるエックス。

 

 HPはこれで110と215。まずまずといったところまで削り切ることが出来た。

 バスターでちまちま時間を稼ぎながら、HP減少を待つ。

 

『……全く、何をやっているんだサイコマン! ほぼ僕が勝手にやったこととはいえ、不甲斐なさすぎるぞ、今すぐ大気圏突入したいかい?

 キラキラメテオ―――――――――ッ!? 何だと、これは……!』

 

「あれは……?」

『来る途中にも見たね、ガンくん』

 

 空中から飛来した斧を避け、さらに追撃に横から飛んで来る西洋剣みたいなのをかわすスターマン。おかげで向こうは向こうで攻撃できないみたいだけれど、「一体誰だ!」とは言ってもその相手は出てこない。

 状況はわからないけど、今のうちに――――――――。

 

 突撃してくるサイコマンを躱し、チャージショットの二発目をあてる。バリアがはがれているので、そろそろ例の空中爆撃(ストライクオーラだったっけ)を使ってくるだろう。

 今のうちにインビジブルをかけておいて、撃ってくるその隙に…………。

 

「バトルチップ『ラビリング』、データスロットイン!」

『――――――――!』

 

 攻撃中にキャンセルが入った場合は流石にバリア解除はしばらく据え置きだろう。ましてや確定麻痺が来るなら――――。

 ただ難点としてはチップフォルダの攻撃系チップがもうロクなものがないってことくらい。リカバリーはあと+50が1枚だけだし、ソードとキャノンが3枚ずつ表示されている。何でロングソードとか来てないのさ、当たらないよもうエリアスチール解除されてるし……。

 

「でも行ける! あとは時間との勝負だ! バトルチップ『キャノン』、ダブル・データスロットイン!」

  

 身動きできないでいるサイコマンにキャノン2連射、からのエックスバスターの豆鉄砲連射に入ったエックスマン。威力は全然上げてないけど連射性能はそこそこ高くしているから、あとはエックスの連射速度とバンチョーマンの回復までのラグの勝負。HP減少バグは丁度止まってしまったから、30発……、いけるか!?

  

「『うおおおおおおおおおお―――――――――!』」

 

 思わずといった感じで、僕とエックスは一緒に叫んだ!

 視点の半分がエックスと一緒なのも手伝って、完全に「僕が」エックスになったような、そんな錯覚を覚える臨場感で、思いっきり連射する。

 10、9、8、7――認識に頭を使う時間すら惜しんで、連射、連射。

 

 果たして残りHPが2の状態でバリアは張られ。振りかぶったサイコマンの手がこちらに向けられ。

 

「まだだ……! まだもう一回やるよエックス!」

『――――――――!』

「障害物にはなってくれるはずだ、バトルチップ『バンチョーマン』、スロットイン!」

 

 もうここまで来たら、後はチップを使っての戦闘にならない。ルール違反気味だけど、データのチップフォルダではなく物理チップのバンチョーマンをスロットインして、盾代わりに呼び出した。

 盾代わりにする、そのはずだった。

 

『…………ふむ、なるほど。こうなったか』

 

 えっ? と、僕とエックスの声が重なる。

 呼び出されたバンチョーマンの疑似ナビは、サイコマンの放った光弾を左手で受け流し、払い、そしてサイコマンの方を見て興味深そうにつぶやいた。

 

『所詮まだ「分体」だからな。あちらほど「増殖」は簡単にはいかないのは、世界中にはびこるネットワークのフォーマットの違いか。……とはいえ悪い事ばかりではなかった。

 それはそうと、江口がいないなら「良心を咎めない」からやりやすいな。ふんッ!』

 

 そしてそのままオーラフィストを飛ばして接近し、バリアに連続でダメージを与える。通常のバンチョーマンの動きだけれど、威力が上がっているのだろうか、攻撃終了時にバリアが砕け散った。

 

 バンチョーマンはこちらに視線を向け、何も言わなかった。

 だけど、それが何を言わんとしているかは察しがついた。

 

「エックス!」

『――――エックスバスター!』

 

 そして放たれたバスターで、サイコマンのHPはゼロとなり。

 それを見届けた疑似ナビのバンチョーマンは「よくやった」と、一言だけ残してその姿を消した。

 

 

 

   ※  ※  ※

 

 

 

『認めない……、認められない! 何をしているんだドリームウィルス、それでも教授の、パパさんの傑作だとでも言うつもりか!』

 

 斧の追撃をかいくぐったスターマンがこちらに来て、倒れ伏したサイコマンへ向けて叫ぶ。倒れたバンチョーマンは身動き一つとらず、しかしその背中から例の赤い、ドリームウィルスの本体が出て来て。

 

『もっと力を出せ、ドリームウィルス! 究極プログラムの力と、バグの力、そしてダークチップの力で、もっと強く――――――――、ッ!?

 な、何をしてるんだ、僕は要らない、僕はそんなもの要らない……!』

 

 サイコマンから抜け出たドリームウィルスは相変わらずダークネスオーラを張っていて、そしてさらに「ケーブルなんて関係なく」、その全身から降り注ぐ紫色の光は、サイコマンとスターマンの両者を包み。

 ぶくぶくと、映画のAK〇RAのアレみたいな肥大化を始めたサイコマン。それに巻き込まれるように引き込まれ「止めてくれェ!」と叫ぶスターマン。

 

 エックスバスターを構えたエックスは、それを止められず、止めようとすると下手をすれば僕たちすら巻き込まれかねないので、警戒しながらその変貌を見続け。

 

 膨れ上がった全身は、ドリームウィルスみたいな形をしてるけれど、全体的にメタリックブルーな姿に。頭部はドリームウィルスのそれに狼をイメージしたアーマーがとりつけられたような形になり、胸の中央にはスターマンの頭、狼の頭部の中心にはサイコマンの頭。

 スターマンの頭はむき出しだって言うのに、サイコマンの頭は半透明のバイザーに覆われ、まるであそこだけコックピットか何かのようだ。

 

 そんな姿になった二人のナビに、再びドリームウィルスは赤い光となって、スターマンのいる胸の中央に呑まれていった。

 

『…………フフフフフフ、フフフフフ、フハハハ、ハーッハハッハッハハハハハハ――――!』

 

「サイコマン……?」

『バンチョーマン……?』

 

 困惑する僕たちに向けて、その頭上で大笑いしたバンチョーマンか、サイコマンか、あるいはそのどちらでもない誰かは。

 

 

 

『――――さぁ、ゾンブンに死合おう、エックス! 「あの時のように」! そして「これからのように」! 戦いと! 苦悩と! 破壊と!』

 

 

 

『……ガンくん』

「うん、行くよエックス! これがきっと…………、ラストオペレーション・セット――――」

『――――イン!』

 

『そしてその果てに、お前達()この世界の可能性を知ることになるだろう!』

 

 明らかに暴走している、正気ではないだろうことを言うバンチョーマンに。いや、果たしてそこにバンチョーマンの意識はあるのだろうか?

 それすらわからない強大なウィルス相手に、僕とエックスは引き金を引いた。

 

 

 

 

 


【作者メモ】

・ドリームウィルスの本体:こちらはドリームウィルスRの第二形態のアレとなります。能力的なものについては本作仕様なのであしからず・・・。オーラについては3編で少し何かやるかも。

 

・残骸バンチョーマン:メインフレームが破損して中途半端再生だった中身の何か。「汎用ロボット~」とスターマンが言っているのは、決して戦闘用だけに作られたプログラムではないため。ただおそらくこの世界で、その正体を正確に理解できる人間は……、光正もしくはドクター・ワイリーくらいのはず。

 

・サイコマンΣ:お 待 た せ (サイコシグマ)。見た目は完全にサイコシグマをエグゼナイズしたビジュアルなので、顔はそのまんま。ドリームウィルス本体からバグの欠片とダークチップのエネルギーを注いで崩壊したメインフレームを魔改造して作り替えた姿。2のコピーフォルテ的な理屈で作られたメインフレーム。

 攻撃パターンはサイコシグマとファルザーを半々にした感じ。これはメタ的な意味で事象が収束しているから、みたいな感じです。デフォルトでバリアを張るのはバンチョーマン時代からのお約束。

 

・PAトリプルエージェント:本作限定PA。アニメ組のコラボ技で、イメージとしてはグランプリパワーみたいなノリ。スカルチェーンがチップフォルダに入っているのはシリーズ的におかしいのだけれど、おそらくみゆきお姉さんがスカルマン用に持ってるものを細工してたと考えられる。最後のチップはスカルマン、ウッドマン、シャークマンのいずれかで発動可能。

 威力は1ヒットにつき100で、シャークマン3列パネル攻撃→ウッディタワー(4仕様)、スカルマンの頭部による一定時間HP減少バグのコンボ。

 

・スターマンを妨害するダークシャドー的な何か:一体何ークマンなんだ…。

 

・物理フォルダから追加チップ:本作では本来はルール違反、というよりはネットナビに負担がかかるので、チップフォルダ外のバトルチップを装填するのは推奨されない。ナビが読み込めるチップのメモリ容量を超過した場合、データがクラッシュする可能性がある。

 

・ドリームベルガーΣ:お 待 た せ(ウルフシグマ)。トランスミッション編ラスボス予定。スターマンのオーダーに従い、自分の本来の姿に対して周囲にある素材を取り込んだ…結果乗っ取られた(?)。

 見た目はドリームウィルスRをブルー系の色合いにして、スターマンとウルフシグマっぽい頭部アーマーを組み込んだビジュアル。HPはドリームウィルスSPに対応するので2000だけど、サイコマンを取り込んでいるためオーラじゃなくてバリアなので多少は戦いやすいかもしれない……(フォルダ編成による)。

 意識が正気に戻ってるのか戻っていないのかは……、果たして!

 

・タイチョーに気づく気配のないガンサイ:本編で触れるか怪しいのでここで言及しちゃうと、ガンサイのエックスプレイ歴が例の友達かの家に遊びに行った時に少しだけやらせてもらったソウルイレイザー序盤1ステージくらいなため。名称だけチラッと知ってる程度なので、そこまで重要視していない。あまりにエックス系の知識が少ないのだった。

 

 




次回、ダブルヒーロー(予定)
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