ロックマンエグゼ世界でエックス的なナビを持ってしまった   作:黒兎可

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あけましておめでとうございます&こちらではお久しぶりにございます。
とりあえず気分転換に、見切り発車ですがちょっと打ち進めてみます……。

前半熱斗君視点、後半主人公視点


ロックマンエグゼ2
第45話「めっちゃ可愛い」


 

 

 

 

 

 おれ、光熱斗!

 小学校はいよいよ夏休み! 友達のデカオやメイル、ガッツマンやロールと一緒に、今日はオフィシャルスクエアに遊びに行ってたんだ。

 そこで何だっけ? 市民ネットバトラーってやつのしかく試験ってのをやってるらしい。

 オフィシャルみたいな特権とかはないけど、いろんなところに顔を出しても文句言われないためには必要、みたいな?

 デカオのやつがとりたいって言ったから、せっかくだしってことで俺も試験を受けてるさい中。

 

 デンサンエリアのどこかに「勇気のデータ」と「希望のデータ」っていうのを隠したから探してこい! って言われたんだけど、このくらいラクショーラクショー!

 

『熱斗くん、あんまりおごらないの』

「どういう意味だよロックマン。さっきだって星河のやつからもらったパネルスチール、ちゃんと有効活用したじゃんか!」

『もう、そういうことじゃないよ。自分を信じすぎて、気分が大きくなり過ぎちゃいけないってこと。

 だからテストの前日までホームページを改造して、全然勉強しなくって成績落としたりしたんじゃないかな? ぼくまでロールちゃんたちに叱られちゃったし』

「げげぇ!? それは言わないお約束だぜロックマン……!」

『どこで覚えたの? その言い回し。もう』

 

 今日だってそのせいで、せっかく夏休みに入ったばっかりだってのに宿題ちょっとやらないといけなくなったし。「夏休みの友」とか、まだ全然見たくないんだけどー。

 とりあえず、簡単に終わらせられそうなウィルスバスティングの復習だけやっておいた。

 バトルネットワークが1から2になって、ちょっとだけ仕様が変わったりしてるけど(データチップのフォルダが「ADD」してチップ要領を削減すると拡張できる仕様になったり)、そのくらい大したことないんだよな……。

 

 むしろロックマンのHPが、完全に100に戻ったことの方がショックだしー。

 バトルネットワーク1より2の方が拡張されてるから、規格が十分の一になったとかで、バトルチップとか追加メモリとかも集め直しになってる。

 

「またHPメモリとか買わないといけないのかぁ……。小遣いもちょっとママにとられちゃったし」

『フォルダコンプリートするんだ! って言って大人買いしちゃったからね。あんまり使い方が荒いと、ママだって貯金しなさいって言うと思うよ』

「でもやっぱ、ギリギリだぜ? バトネが変わる前に、もうちょっとでフルコンプできそうだってなったら、そりゃー集めるだろー」

『熱斗くん、ぼくそういうのはちゃんとした方がいいと思うなー。お金遣い。メイルちゃんも大変だ』

「べ、別にメイルは関係ないだろ! もう」

 

 色々ぐちぐち言いながらネットワークを歩いていると、すごい腕がデカいのが見える。ガッツマン、デカオのナビだ。

 

『ユウキのデータはどこでガッツ! キボウのデータはどこでガッツ!』

『ガッツマン、心の目で見るんだ……、俺達なら出来る!』

『ココロってどこでガッツ!? どうやったら見えるでガッツ!?』

 

 う~ん、そこで根性論出してもな~。

 ロールもガッツマンもオフィシャルの、サブライセンス? だっけ、の試験を一緒に受けてるけど、このままいけばおれ達が一番か? よし、頑張るぜ! なんなら「勇気のデータ」っていうのはもう手に入れてるしな! 別にトラップがあったわけじゃなく、普通に置いてあったやつだし。ちなみにモノとしては、画像とテキストデータが圧縮された奴だった。

 そんな感じで移動しながら、サブチップ商人からついでにHPメモリを購入! アップデートと同時にロックマンのヘッドライトが点滅して、うんカッコイイぜ!

 

『で、ロールちゃんは何やってるの?』

 

『ロック! えー、えっと、道に迷っちゃって……』

『デンサンの掲示板情報だと、こっちの方に「希望のデータ」があるって聞いてたんだけど、エリアの見た目全然違うからこう、何だろう……。熱斗も迷わないでね?』

 

 そしてサブチップ商人のすぐ近くできょろきょろしてるロールに、その背後に浮かぶディスプレイのメイル。

 あははって笑って困ってるみたいだけど、迷子になるほど複雑か? デンサンエリア。秋原エリアよりは間延びしてるしって思うんだけど、それを聞いたら「ちょっと、本気で言ってるの!?」って怒られるし。

 

『ちょっと前までデンサンエリアって、完全に迷路だったじゃない! アレに比べたら使いやすくなったって思うけど、逆にわかりにくくなっちゃったわよ!』

「わ、悪い悪い……。いや、確かにそうだけどさー」

 

 そう、バトルネットワーク1から2に切り替わって、電脳世界の見え方もマップの配置も全然違う感じになって、端的に言うと綺麗ですっきりした感じになったんだ。

 明らかに使いやすくなってておれはこっちの方が好きだけど、そのぶん前の方になれてると()()()()もあるってことだな。

 

 そんな風にメイルと電脳ごしで話して、きげん直せよって言ったら「じゃあ今度、デートだからねっ」って言ってすぐ楽しそうになるし。

 何だよもー、コロコロ表情変わるなー。

 

「……あっちのは、マサさんの店のやつか? 何か絵とか描いてるし、魚の」

『あそこ行くと、みゆきさんのお店の電脳じゃない? たぶん。前の名残ちょっと残ってるし』

「看板も出てるなー」

『いや熱斗くん、違うみたいだよ? えーっと、「ナビのカスタマイズパーツ、請け負います」って看板に出てるし』

 

 へー、と思いながらなんとなくロックマンのヘッドの黄色いところを見てると、ロールが「あー!」って指さして驚いてる。

 ロックマンは別に驚いて無いけど、何だろ、「あー」って感じの顔してるな。

 

『ロックが、二人!?』

『えっ? あそこ、みゆきさんの骨董店のワープゾーンよね……? 何で?』

 

 俺もそっちの方にディスプレイを向けたけど、それを言われて「あー」って納得した。

 

()()()()だな」

『エックスだね~』

「あっちも夏休みか?」

『そうかもね、熱斗くん』

 

『『エックス?』』

 

 不思議そうな二人に紹介しようかなってことで、ロックマンと顔を見合わせるおれ達。とりあえず近場のリンク(ショートカットリンク)から、あっちの近くにあるリンク(ショートカットリンク)に簡易ワープ。

 これ便利だよなー、前はこういう所にちゃんと道が張ってあって、いちいち行き来しないと何処にも行けなかったんだけど。

 

 ま、それはどうでもいいか。

 とりあえずロックマンごしに二人に声をかけてみたら。

 

『『うわあああああああああ熱斗君とロックマンだァ!?』』

 

「相変わらずビビリだなー、二人とも息ぴったりだし」

『あそこまで完全勝利したら怖がられても仕方ないよ、熱斗くん……』

「そっかー? あんなのよくあるだろ。

 何にしても、ひさしぶり!」

 

 何週間かぶりに顔を合わせた二人に笑いながら手を上げると、やっぱりちょっとビビりながらロックマンっぽい青いネットナビと、その背後のディスプレイに映るガンサイは少し震えながら手を上げてきた。

 ……何で左右反対なんだ? お前ら。

 

 

 

   ※  ※  ※

 

 

 

 世界が変わり、僕たちの物の見え方も変わって────そして僕は、利き手が逆になった。

 いやいきなり何言ってるんだって話なんだけど、実際そうなんだ。僕がこの鐘引(かねびき)ガンサイという少年として「ロックマンエグゼ」の世界に転生して何年か。いわゆる「1」が終わって「2」が始まる時期、だと思う。バトルネットワーク……、いわゆる「ネットナビが活動する電脳世界」が、そのバージョンを1系から2系に引き上げたらしい。

 それに伴って僕が住んでる才葉シティ(大体愛知県くらい?)のネットワーク、セントラルエリアを始めとした才葉エリア全域も見え方が様変わりしている。何と言うか、全体的に基盤っぽい外観のデザインになったというか、緑色になったというか。ちょっとグリ○ドマンを思い出す色合いになっていて、僕個人としてはちょっとテンションが上がっていたりした。

 

『ま、集め直しだけどね? 色々。バトルチップとか、カスタマイズパーツとか』

「それ言ったらお終いだよ、エックス」

 

 僕の言葉に、僕のネットナビであるエックスマン(名前相変わらずダサい)は肩をすくめる。見た目はいわゆる「ロックマンエグゼ」を青くして、ボディにアーマーを色々カスタマイズしたような感じだ。ちなみに、ロックマンのパチモンみたいなナビマークのエンブレムを持ってるのはたまたまだけど(なんとなく「Xって読めるデザイン」)、デザインは色々気を遣うのでこうしてわざわざ追加パーツで別にみえるようにしている。

 

 今日は夏休み初日。終業式が終わってすぐ家に帰って、みゆきさん(ある意味バイト先?)のお姉さんの家のネットワークにショートカットから移動して、ご挨拶してきた。もっともスカルマンがネットワークの店番してるだけで、みゆきさんは忙しいらしく家にいないとか。

 ちょっと寂しいなーと思いつつ、スカルマンが受けてくれた新しく入ってきた依頼────ネットナビのナビパーツについての案件を見てみる。所詮は素人に毛が生えたくらいのウデだと思ってるけど、僕は僕個人としての特殊な事情から、一般の人が作るよりもより細かいデザインの調整が可能なのだ。

 

 それがウリで固定客が多少ついてくれたりしてる。「ロックマンエグゼ4」(たぶん)のビデオマンとか、あと変装してるっぽいから確定じゃないけど「ロックマンエグゼ3」のコピーマン(?)とか。

 つい先日、チェスの駒風のナビの攻撃モーションのカスタマイズも納品したし、さて今度の依頼は何だろうなーって思って見てみれば。

 

「…………えっ、やいとちゃん?」

『ガンくん?』

 

 エックスが聞いて来るけど、何でもないって言っておく。

 やいとちゃん。綾小路やいと。デンサンシティ(大体関東地方)、「ロックマンエグゼ」主人公たる熱斗君が暮らす秋原町の天才児だ。実は飛び級してるのか、明らかに子供たちの中で飛びぬけて幼い。おうちも富豪らしく豪邸で、ネットナビのグライドも執事然とした性格付けでプログラムされている。

 そんなやいとちゃん、みゆきさん経由で依頼をしてきてくれてるらしい。何でも「アメロッパの友達に自慢したいから、和風で豪勢なカスタマイズパーツを作ってくださいな」とのこと。何か文章が変だけど、気取ってるってことなのかな……? なんとなく脳裏に、でこっぱちで不機嫌そうな女の子の「ハン」って鼻で笑って来そうな口調がよぎる。

 

「でも、どうしよう。一回会いに行った方がいいかなあ。お金持ちだとチャットとメールだけでやりとりしてると、トラブル起きそうだし」

『偏見強いんじゃない? ビビりすぎて余計なところまで気を回し過ぎだと思うけれど』

「そうかな」

『伊達にぼっち拗らせてないよねー、先入観のない転校生にすら気遣われてたし。やーいやーい』

「止 め ろ ォ!」

 

 思わずエックスにそう言いながら、デンサン骨董店の電脳から外に出る。

 デンサンエリアのネットワークは、全体的に青みがかっていて才葉エリアとはまた違った風情だ。オフィシャルエリアは秋原エリアに近いから、ひょっとするとロックマンたちと遭遇することも────。

 

「よっ!」

『やあ!』

  

「うわあああああああああ熱斗君とロックマンだァ!?」

『うわあああああああああ熱斗君とロックマンだァ!?』

 

 思わずエックスと絶叫して、その場でのけぞってしまった。

 椅子から落ちた僕に苦笑いする熱斗君、つまり原作主人公。その短期間で世界を救った回数と頻度とレベルとを合わせればギネスに行きそうな、ポケモ○のサ○シくんばりの人生を送ってる僕らが主人公たちだ。関わるまいと今生で決めて人生設計してたけど、ひょんな事件から巻き込まれるように関わってしまい、今では知人くらいの付き合いになってる。多分、年賀状は送らないけどメールが届くくらいの間柄だ。

 容姿についてはどっちもゲームやアニメと変わらないので割愛しておくけど、ロックマンの額の黄色い四角形のところをピカピカ光らせてくれてるので、僕としてはちょっと笑ってしまう。

 

『光らせ所、考えるとけっこうカッコイイぜ!』

「いや、確かにそのアニメーション仕込んだの僕だけどさあ……」

『何だよ、ガンサイ。カッコイイだろ?』

 

『────────無意味に光ってるとハゲてるように見えちゃうからね、ガンくん。ハーゲーハーゲー』

 

 ちょっとエックス!? と思わず叫ぶ僕に「うぎっ」とか変な声を上げて表情を歪める熱斗君。エックスことエックスマン、基本的にこういう場合に容赦がない。誰に対して容赦がないかと言うと、僕に。

 この場合は僕が言いたいことを直に代弁することで、間接的に熱斗君より僕を煽ってると言う非常に拗れた性格してるんだ。父さん一体何を考えてこんな性格に設定したのか、小一時間問いただしたいくらいだ(忙しくてあんまり家に居ないけど)。

 

 ただここで、熱斗君が怒ったりとか次のリアクションとるよりも先に、ロックマンが。

 

『バレちゃったか…………』 

「『『……って、何が!!?』』」

 

 思わず僕、エックス、熱斗君の三人で「いやあ」と右手で頭(ヘルメット)をかいてるロックマンに突っ込んでしまった。ちょっと照れてるように笑ってるし、えっ何の話……?

 

『ま、まあ、僕のヘルメットの下がどうなってるかってことは置いておいて。久しぶり! 二人とも夏休み入ったのかな』

『ちょっと待ってくれロックマン()()()や、そのところ詳しく……』

『詳しくしなくていいから! あ、もしかして二人ともオフィシャルスクエアに行くの?』

 

 あからさまに話題を逸らそうとしてるロックマン。いや、まあモデリング的な事情で言えば、わざわざ内部に精緻な髪型とか再現するデータを突っ込んでると、その分見えないのに組み込んでるから余剰リソースになるし、そういうところでメモリのスリム化を図ってても不思議じゃないんだけど…………。

 ちょっと興味はあるけど、流石にロックマンのリアクションが想定外だったのかエックスも珍しく気遣った感じに、饒舌に応対していた。(オレ)によくぼっちだとか何だとか言ってる割に、エックスもエックスで結構無口というかコミュニケーションを普段はとらないんだけど。でもここ最近は、色々口を開くようになっていた。

 

『ちょっとバイト関係で調べ物があったりしたけど……、どうする? せっかくだしオフィシャル行く?』

「あ、もしかしたらマーティとエイリアさん居るかもしれないしね。お休み入ったから、挨拶行こうかな……?」

 

 オフィシャルネットバトラーは国家公認のネット犯罪対応特別資格。何か事件があったときとかに、プラグインしてウイルスや悪性ナビ(と仮に俗称する)のネットナビとバトルしたりして、事件解決をすることが出来る人をさす。ネット警察にも資格者は当然多く、オフィシャルと言うとそのあたりを暗に同一視して呼んでることが多い。

 で、僕にはそんなオフィシャルにお世話になってるお姉さんがいて。ちょっとくらい顔出ししないのも不義理かなあという謎の不安感が過ったので、熱斗君についていくことにした。

 

 ちなみに熱斗君は熱斗君で、「市民ネットバトラー」のサブライセンス(C級、つまり英検とかでいう5級とか)の試験を受けてる最中らしい。

 こっちはこっちで、自衛のために事件解決とかしても後でネット警察やオフィシャルに事情聴取されたりしないって、そのくらいの権限? な資格だ。

 で、当然のように「ガンサイは持ってるのか?」と聞いてくる熱斗君なんだけど……、実は持ってる。というか、B級を半強制で()()()()()()

 

 ──ちょっと特例ですけど、私の権限でガンサイくんには市民ネットバトラーとして活動できるようにさせてもらいます!

 ──だ、だって、C級だとあなたの活動歴が私の方で確認できませんし……。

 ──ととと、とにかく! ガンサイ君のことは私が! 責任を持ちますから! 何かあったら気楽に頼ってください!

 

『迫真だったね、エイリアさん』

「あの溢れ出るポンコツ臭よ……」

 

『どうした?』『どうしたの?』

 

 なんでもないよ、とりあえずと脳裏に浮かぶ金髪美人でスタイルが良いハーフっぽいお姉さんがあたふたするイメージ映像を追い出しておいた。うーん、あの人大丈夫なのかな? 色々と脇の甘さが()()()()()小学生として心配になると言うか……。

 まあキナくさいことには巻き込まれたりしてないようだし(何かマーティ(※エイリアさんのナビ)がぼそっと「生娘」どうのこうのって言って赤面して絶叫されてた)、ある意味で希少価値かもしれないね。あの純真さと言うかは────。

 

 と、そんな道中、バトルオペレーションが起動して、ウィルスが襲い掛かって来た。メットール、メットール、メットールのメットール3体……、うんまあ序盤のエリアらしいといえばらしい、かな?

 

「バトルオペレーション、セット────」

『────イン!』

 

 熱斗君たちじゃなくて僕たちの方に引っ掛かったらしく、一旦ロックマンに離れてもらう。

 ウィルスバスティング用のエリア規定のプログラムが走ったことで、エックスが立っている足場の付近がゲームで見慣れた色合いに。エグゼ3とかで出てる感じになったけど、なるほど、エグゼ2の頃にこの色合いになったのか……。

 そして、「相変わらず」僕の視界の半分は、エックスマンが見ている情景に。色鮮やかになったネットワーク(ちょっと目が痛い)の上にいるメットール相手に、エックスはわざわざロックマンみたいなファイティングポーズをとっていた。

 あ、そうだ。せっかく相手がメットールなら……。

 

「バトルチップ、メガキャノン・スロットイン!」

 

 そうえいば2系になってから使ってなかったな、ということで、メットール相手にバトルネットワーク1系のころのメガキャノン、攻撃力120のバトルチップを使用してみた。

 視界の中でエックスの左腕が変形し、橙系の色をしたキャノン砲に。

 ただ…………、グラフィックが荒いと言うか、解像度が釣り合っていないような?

 

 そしてアナライズされた相手の情報、キャノンが当たった後の残りHPを見て、思わずエックスと一緒にうめいた。

 

「威力12っ!? しょっぱいッ!」

『威力12っ!? しょっぱいッ!』

 

 いやだって、メガキャノンっていったら大体の低級ウィルスを一掃できるくらいの威力はあるバトルチップなんだけど、それがそのまま十分の一ダウングレードした威力にしかならないとかさあ……。熱斗君も「遊んでないで早くしようぜー!」とか言ってるし。

 仕方ないと、とりあえず2系の「キャノン」をスロットインしておく。一体はこれで倒して、残りはカスタムゲージのメモリ処理が追い付いてないな……。

 

 エックスマンにチャージをさせつつ、ゆるーいショックウェーブの波を回避してる僕とエックスマン。

 

「『エックスバスター!』」

 

 つい声が出ちゃうのもお約束。2段階のバスターで、1発につき威力は通常20。二発両方とも当たると40ダメージだけど、巻き込めたメットールは1体だけだな。

 ええっと……、避けながらとりあえず、ソードのバトルチップを────。

 

『────痛いっ』

「大丈夫、エックス?」

 

 一発喰らったけど、大丈夫。「僕にダメージのフィードバックが生じたりはしない」。今回のエックスのアーマーはアプリケーションの構成の関係上、父さんに買ってもらったHPメモリ4本に依存している。なので今回の初期HPは、180スタート。メットール1のショックウェーブは10なので、170。

 うん、だいぶ余裕あるな。HPが100切ってないって、もうそれだけで安心感が凄い。なので気楽に、僕はそのままソードをスロットインした────────()()()

 

「やっぱり使い辛いな、右手PETだと……」

『いきなり利き手が変わるとか、父さんも想定してなかったろうからね』

 

 バトルオペレーションが終了して、ウィルスチップを入手。ゼニーじゃないのがますますしょっぱいけど……、まあいいかな。今回はまだまだ慣らしだ。

 

 

 

 僕が転生者である都合なのか、はたまた僕を転生させた神様っぽい女の人の趣味なのか。ネットバトルの最中、僕とエックスはフルシンクロではないにしろ、それに近いような状態にはなっているらしい。

 PETでの俯瞰視点と同時に、エックスと視界を共有してしまうような状態がその一つ。そしてそのせいで、フルシンクロみたいにナビの損傷が肉体にそのまま転嫁されるようなことは起こらないけど、それでも痛覚だけはフィードバックするみたいなことがたびたび起こっていた。

 それに業を煮やしたのが、件のオフィシャルお姉さん。科学省の研究員の顔も持つ彼女は、同じく科学省勤めなうちの父さんと共同で、エックスマンにパッチを一つ当てたらしい。

 

 その甲斐もあってか、前よりちょっと違和感はあるけどバトルして気絶するような、そんなことは起こらなくなっていた。

 流石にエックスがデリートされると問題があるらしいけど……、これに関してはエックスが「大手術した後」の僕のバイタル管理に関係してるアプリも実行してる都合らしいので(よくわからない)、とりあえず「そういうものだ」と納得している。

 

 そして、そのパッチってのを当ててから、どうしてか僕は左右の間隔が逆になったというか、使い慣れてるイメージがずれたというか。でも言うとオフィシャルお姉さん、エイリアさんがまた徹夜とかしそうだったので、今のところは内緒にしていた。

 

 

 

 まあそういう訳で、()()()()()()()()()に続き全く詳細を知らないエグゼ2の時系列、今回こそ平和に平和に過ごしたいものだなーと思いながらロックマンたちについていった結果。

 

 

 

『桜井メイルです。よろしく~』

『ロールよ、えっへん! ……本当にロックそっくりね。ま、よろしく〜』

 

「『めっちゃ可愛い……、だと…………!?』」

 

 

 

 生身ではないにしろ、電脳のディスプレイ越しに映る原作ヒロインのメイルちゃんがこう、語彙が崩壊する位可愛すぎて僕もエックスも素っ頓狂な声を上げてしまった。いや本当、尋常じゃないくらい可愛いんだって、道行く人かなりの確率で恋に落とされるレベルだよ、可愛いって本当! 世界壊れる!

 ロールちゃんも可愛いと言えば可愛いんだけど、あくまで人工的なキャラクター然としてるところがあるというか。それに対して現実の、肉体を持つメイルちゃんの可愛さが飛びぬけてると言うか、これ世が世なら誘拐されても不思議じゃないレベルの可愛さで、何かこう色々大丈夫!?

 もはや暴力だよこの可愛さ!

 

 語彙とかテンションとかがぶっ壊れた僕らに「か、かわ……? えっそんなに?」と困惑するメイルちゃんと、スルーされたみたいで不満そうなロールちゃん。「えぇ~?」と普段見慣れてるらしい熱斗君は適当なリアクションだったけど、そんな熱斗君に苦笑いするロックマンと視線を合わせて、エックスは一緒に肩をすくめて。

 

 僕は僕で、なんとなく脳裏にバイト先の店主ことみゆきお姉さんが半眼で見てくるイメージが脳裏に過って、かろうじて正気に戻った。

 

 

 

 

 


【作者メモ】

・バトルネットワーク1→2:

 正式にエグゼ2の電脳世界へ。バトルシステムも移行し終わってるので、トランスミッション編のどっかのおまけで言及した通り、アップデートにしたがってシステムが一新されている(2系になって使用できるメモリ空間が10倍になったので、1系で使っていたものが相対的に十分の一になっている)。当然迷路状態だったデンサンエリア相当箇所も繋ぎ直しまくって経路が整理されているが、一部慣れた人には上述メイルちゃんのいう通り。

 

・転校生:

 そのうち出て来るけど、夏休み2週間前くらい(トランスミッション編ほぼ終了後すぐ)に転校してきてるし、顔も何か「見覚えがある」ので主人公は不思議がってる。

 

・コピーマン(?):

 トランスミッション編以降、たまーに別なナビに変装して顔出ししてる。

 まだメインフレーム(ナビのボディ)全体のデザインとかは依頼してない。とはいえエックスが「なんとなく」正体を密かに見破ってるので、毎回毎回ほぼ一番欲しいところを押さえた依頼品を作ってるので無事リピーターに。

 

・チェスのピースのようなプログラム:

 アキンドシティからの依頼なので、言及してはいないけど何かを察してる主人公(エグゼ3的な意味で)。

 

・エイリアさんのライセンス付与:

 実際出来るのかどうか現実目線で考えるより、このあたりはご都合主次的なイメージ。しいて言えば、マリンハーバーでオフィシャルのシステムアップグレードに無休となあなあで連日徹夜したりさせられたあたりを突いた可能性……と言い出すとだいぶアレになるのでこれ以上は危険や!

 

・忙しいみゆきさん:

 そのうち。だけど留守番がスカルマンなので、つまり……?

 

・ヘルメットの下:

 ナビカスプログラム「ユーモアセンス」ネタ。歴代ユーモアセンスによって暴かれるそのヘルメットの下は、果たして……!

 

・可愛いを超えた可愛い:

 とにかくメイルちゃんってヒロインはエグゼプレイヤーの少年の心に忘れられない何か残しとるんや。その数……実に500億人……!

 真面目考えると、本人が熱斗達にべったりなので男子と遊ぶ機会も多く、同学校だと惚れるよりも先に友達感覚が先行してるイメージ。なので外部の炎山とか相手には……。

 

・圧を駆けて来るみゆき姉貴のスタンド:

 トランスミッション編終盤の出来事の関係で、エイリアよりみゆきさんの方がイメージとして出て来てる。エイリアはぽんこつな部分が強すぎるせいで、ファーストキスを奪ってる割にいまいち本気度が理解されていない。

 

 

 

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