ロックマンエグゼ世界でエックス的なナビを持ってしまった   作:黒兎可

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マーティ戦、もしくは?????戦


第6話「自覚なかったんですか?」

 

 

 

 

 

 マーティのHPは 800 初期値が表示されているので、時間が長引けば長引くだけこちらが不利だと考えられる。

 とりあえずエグゼ3のようなカウンター的な動きは狙う意味もないので(バグのかけらを拾った覚えもない)、色々と気にせずに攻撃して良いだろう。

 

 まあチャージ中ということは数秒は反撃されないだろう。広げたチップの中からみゆきお姉さんからもらったナビチップを選んでスロットイン。

 

『アタイの銛捌きについてこれるか―――――いって何だそりゃ!?』

『――――キッシャッシャ!』

 

 目の前に再現データのスカルマンが呼び出される。……あっ、何気に今生、初使用のナビチップだ。どうやら暗転したりして確定攻撃というわけではないらしく、何をしでかすのかとマーティはチャージをとりやめた。

 ……おや? 以前マーティ、スカルマンを操って僕らにけしかけていたのだから、こちらも知らないってのは少しおかしくないだろうか。

 

 いくらゼロウィルスによる性能低下でも、記憶力が低くなるとかそんな話はなかったはずだし。

 まあとにかく、暗転しないってことはエックスマンも動けるので、今のうちにバスターをチャージしておこう。

 

 マーティはスカルマンが攻撃モーションに移るよりも先に斬りかかってきた。

 

『はぁ! おっそいんだよ攻撃がさァ! 消え失せなっ!』

『――――』

 

 シャレコーベイを頭上に射出するとほぼ同時にマーティの袈裟斬り。ナビ本体は耐久が設定されていないのか、一撃で構成されていた電脳体が消し飛ぶ。

 その様に大笑いするマーティだったけど。

 

『ハハハ! 他愛ないじゃないかいっ――――って、ほげッ!?』

 

 頭上から落下してきた巨大化した頭部(150ダメージ)に軽く押しつぶされていた。

 

 確信した。このマーティ、本物か偽物かはともかく先日の記憶(記録?)は全くないと見て良い。

 バラバラに散らばってるキャノンを適当に選びながら、エックスマンはエックスバスターのチャージを二連射。シャレコーベイが消えると同時にのけぞりからの無敵判定が解除されるのを見計らってのショットは不意打ちめいて極まった。

 

『このッ! カワイイ顔して容赦ないじゃないかい』

『――――』

『何とか言いな!』

 

 ごめんなさい、エックス何故か無口なんです……。でもいざ口を開いたらチャットのように煽り散らし始めると思うので、そのあたりはトントンかなって思う。まあ、僕もそんなことはマーティに言わずにバトルチップを投入するんだけど。

 

 今回はネットバトルとかじゃないので完全にウィルス駆除の思考だから、フォルダ(物理)は惜しげなく選んで使っている。なので「キャノン、A、B、C、D、E」とかだって余裕なのだ。

 想定としてはゼータキャノンの後にキャノン2発。こっちの硬直解除の後でも多少は対応できるだろうという想定だったのだけど――――。

 

 

 

 スロットインして生成されたプログラムアドバンスは、オメガキャノン1。

 

 

 

 あー、なるほど、と。初代のチップフォルダ関係の編成の緩さと言うか、そういうのに疑問があったけどそういうことか…………。3では同一バトルチップで成立するプログラムアドバンスはゼータキャノンとかだったけれど、5枚で生成するとオメガになるってことか……。どうしよう、意図せず知らないものが発動してしまった。

 

「…………まー、たぶん技の持続時間がもうちょっと長くなるとか、そんなところだよね」

 

 ベータソードの時よりは落ち着きながら、僕はそのオメガキャノンを発動した。

 

 画面の上、あるいはエックスの視界の端に表示された秒数は、10秒。瞬間、エックスが物理無効(インビジ)状態になったのをみて、僕の予想がおおむね当たりだと確信した。

 

「エックス!」

『――――ッ!』

 

 そのままキャノンを連射するエックスマン。マーティは距離を取ってチャージを始めようと思っていたみたいだけど、三連射くらい当たってさすがに怯んだ。とはいえ無敵時間も無視してひたすらにキャノンを撃ちつつ、僕は僕で次のチップを選びつつ……。

 おっと! ひらりと躱してこちらに踏み込んできた。振り下ろされるマーティの銛。その刃がこちらを斬るモーションに入ったと同時に、その延長線上にキャノンを構えるエックスマン。

 

 激突――――同時に狙撃。銃口がつぶれる形になったけど、マーティの方にも爆裂した分のダメージがいったので、ここは痛み分けだ。

 

『…………ったく、少しはやるようじゃねぇか』

 

「声、野太い!?」

『声、野太い!?』

 

 オメガキャノンが解除されたタイミングでメットガードをとりあえずスロットインしておくと、マーティの声がいきなり変わった。女性声優が男性声優になったくらいいきなり切り替わったので、思わずエックスマンと僕は一緒に驚愕した。

 

 ざざー、と、僕のPETを中継して通話がかかる。エイリアさんからだ。エックスマンに許可をしてもらって、パソコン画面に表示してもらった。

 エイリアさんは慌てた様子で、でも僕らと対決しているマーティを一目見て鋭く睨む。

 

『連絡ありがとうございました、ガンサイ君

 …………そしてそこの、マーティの姿をしたネットナビ。あなたは誰ですか。

 戦闘時であれば、マーティは「属性チェンジ」を何度も行って攻撃をしているはずです。色が赤のままなど有り得ません』

『あんな能力、使えても使いこなせるかってんだよ! オペレーターすらナシでよくやるぜ「あの女も」な』

 

 属性チェンジ……、お、おう。まさかのボス特性だった。エグゼ的には全然お目に掛かれない感じの能力だ。

 そして、そんなことを言われたマーティ、マーティの偽物は。やっぱり野太い声でフフフと笑って、その場でくるっと一回転し姿を変えた。

 

 現れたのは、全く別なナビ。人間でいうと成人男性みたいな体格(グライドとかを参考にするといいかも)をした、真っ黒なボディに鏡のようなナビマークをいくつも左右対称に張り付けた姿。マスクオフのメット装着型。顎髭がちょっと尖ってて、そして頭をはみ出す大きなメタルピンクのサングラスと、首に巻いた赤いマフラー。

 誰だコレ、本当に見たこと無いぞ……? アニメにも出てきていないし、心当たりがない。

 

『フン! 最近この辺りを荒らしてるあの女の姿をしていれば、大概の奴は恐れをなして逃げるかプラグアウトするかと思っていたんだがなぁ』

 

 そんな僕たちを前に、彼は腕を組んで鼻で笑った。

 

 

 

『俺はコピーマン。訳あってここの電脳を制圧させてもらう』

 

 

 

 その名乗りに、エイリアさんはおろかエックスマンさえ置き去りにして僕は一人で勝手に驚愕していた。

 

 えっコピーマン!? エグゼ3に出て来たウラインターネットの序列3位のコピーマン(ガッツマンV3)じゃん!!? 一体何やってるのこんな所で!??

 というか何その見た目、それ本体? ヤクザマンとかみたいな別なネットナビの姿パクったりしてないよね? 意外と格好良く見えて来るのは僕の感性がバグってるせいだろうか……。

 しかもゼロウィルスにまで感染してちょっと大丈夫? 君、登場は3だけのはずだよね、そこまでにデリートされたりしない……? 何か色々不安になってくるんだけど。

 

 と、そこまで思い返して「おや?」と思った。 

 

「あの、つかぬこと伺いますけどコピーマンさん」

『ん? どうした、そこの何かえらい格好良いカスタマイズナビのオペレーター』

「あ、ありがとうございます。……って、そうじゃなくって。訳あってここの電脳を制圧するとか言っていましたけど、ゼロウィルスをまき散らしながら制圧しても何も得るものはないんじゃないですか? 最悪、コピーマンさんも暴走しちゃいそうですし」

 

 僕の一言に、得意げにニヤニヤしていたコピーマンが硬直した。

 

『…………は? え? ゼロウィルス? いや、俺はたまたまあの女の姿と能力をコピーして、ウィルスを操ってただけなんだが』

「でも、ここの先生たちのネットナビもゼロウィルスに感染してるから、コピーマンさんも結構重篤なゼロウィルス患者なんじゃ?」

 

『――ちょ、ちょっと待て!』

 

 あっ、エリイアさんと違ってサウンドオンリーだけど、多分コピーマンのオペレーターが出て来た。声、無駄にイケメンな感じだ。

 

『お前ら、それ本当に嘘じゃないよな? えっ、マジかよ……』

『オフィシャルの私が、ネット犯罪をしている貴方に言うのも妙ですが、本当のようです。今までの状況証拠から見て間違いないかと』

「というよりも、自覚なかったんですか?」

『いや、そこで転がってる連中も妙にプラグアウトしない奴ら多いなとか思ってはいたけど…………』

 

 まあ特効薬のない未知の感染症みたいなものだから、重篤化したり重症化するかどうかに個人差はあるけど、というやつかな。いつ何が発症してどうなるか分からないという意味で、ウィルス怖い…………。

 

 コピーマンも流石に焦り始めているけど、それでもオペレーターさんに確認をとっているあたりちゃんとしたネットナビらしいネットナビだ。

 

『お、おい、そうは言ってもどうするんだよ! 依頼を受けた以上はしっかりやらないとランクが――』

『そもそもお前が「俺に作戦があるから任せろ!」って言ったんだろコピーマン! 途中までは上手く行っていたからあんまり言う話じゃねぇけど!』

『――くそッ、こうなったら早い所プラグアウトして……………………』

 

 あっ、そんなフラグみたいなことを言うと――――。

 

 若干メタなことを考えた僕の予想通りと言うべきか。表示されていた「SOUND ONLY」のアイコンに話しかけていたコピーマンは、突然頭を抱えてその場で膝をついた。

 

『おい、大丈夫かコピーマン!』

『ぐ、あ、ああああああああああああああッ!』

 

『いかにもゼロウィルスの症状が進行してるっぽい感じだね』

「いや、エックス全然知らないでしょ? ゼロウィルスの進行でどうなるのかとか」

『でもガンくん、テンプレな感じじゃない? これ』

 

『随分と余裕がありますね、二人とも…………』

 

 エイリアさんのツッコミはともかく。唸り続けた後、コピーマンは特に姿が代わることは無かった。ただアナライズ結果が「コピーマンZ」になっていたので、完全に暴走状態に入ったと見て良いだろう。HPはさっきまで削った分が反映されてるのか、420 になっていたけど。

 

 そしてそれを見てて思ってしまった。あれ? コピーマンが感染してるってことはひょっとして現在、ウラインターネットってゼロウィルスがパンデミック中だったりするんじゃ…………。

 

『おい、コピーマン! しっかり返事しろ――――』

『あああああああ、煩せぇ!

 おい、お前! お前だお前、随分格好良い姿してんじゃねぇか……、その顔、その姿、そのアーマー! 全部、全部全部、オレに寄越しな!』

 

 おっと!? 言いながらエックスに襲い掛かってきたコピーマン。身体に張り付いていたナビマークの鏡を4つくらい取り外して巨大化、ブーメランかフリスビーみたいにこっちに投げて来た。

 

 メットガードで正面のそれを弾くエックスマンだったけど、背面に回っているのには一瞬反応が遅れる――――痛ッ!

 膝をつく僕に、周囲の先生が「大丈夫か!?」と慌てて声をかけて来る。大丈夫じゃないんで椅子お願いしますと頼んで、背中を押さえながら画面と「エックスの視界」とを見た。

 

 ダメージは 50、スカルマンのオニビよりは低い。

 

 でも、どうやらコピーマンの攻撃は違った意味を持っていたらしい。

 

『さっきの御返しだ! 攻撃用バトルチップ「スカルマン」、リロードイン!』

 

『――ッ』

「えっ!?」

 

 エックスマンの背中を斬った鏡には、スカルマンのバトルチップグラフィックが映っている。その鏡を胸のナビマークの鏡と合体させると、コピーマンの姿がスカルマンに変化した!?

 

「エックス!」

『――――!』

 

 スカルマンの姿になったコピーマンからボーンストーカーだったっけ? 両腕をブーメランにするものが放たれる。不意打ちをされ返す形で、エックスはダメージを受けた。これも80だから相当痛いんだけどッ!!? 冗談じゃない、すぐさまリカバリー+30を2枚スロットインして回復をはかりながら、エックスバスターをチャージ。

 続いて放たれたオニビを回避しつつ、エックスバスター1発の後に回復、もう一発の後に回復と牽制しながら状況を分析する。

 

「コピーマンのオペレーターさん! まだ繋がってる?」

『クソっ、せっかくの臨時収入だったってのに………、って、何だよお前』

「コピーマンがエックスマンの使ったナビチップをコピーして別なナビになったんだけど、あれって何ターンくらい持つの? と言うか他にも、もっと色々、何か攻略法みたいなの!」

『そんな話されて答えると思ってるのかお前!』

 

「答えてくれたら、コピーマンはデリートしないで行動不能にするから、すぐにプラグアウトして!」

 

『何ィ!?』『えっ!? 駄目ですよガンサイ君! オフィシャルの前で何てことしようとしてるんですか!』

 

 いわば司法取引の様な話だったんだけど、僕の一言はコピーマンのオペレーターさんもエイリアさんも予想外だったらしい。

 いや、でもちょっと考えて欲しい。

 

「いや、ここまで一応戦えてはいましたけど、僕、小学生ですから! 世界を何度も救ったりするような、ゲームとか漫画とかアニメみたいなこととか出来ないですから! っていうかバトルチップの種類が少ないんで、とにかく情報が欲しいんですよ!

 じゃないとエックスマンもデリートされちゃいそうですし!」

『そ、それは…………ッ』

 

 そもそもマーティがゼロウィルスに感染している以上、彼女もかけつけてバトルに参加するみたいなことは出来ないだろう。実際、教師たちのナビを切り捨てていたマーティ(コピーマン)のそれは、相当強い事だけは一目でうかがい知れた。そこに属性チェンジみたいな能力も合わさると考えると、色々怖いというか何と言うか…………。なので早々、速攻で勝負に出た僕とエックスマンだったんだけど、ともかく。

 

 コピーマンのオペレーターは、まだ悩んでいるのか唸り声が聞こえる。あと一押し必要か、何か、何か…………。そうだ、ナビのカスタマイズだ! 外見とかの話!

 

「コピーマンだって、あれだけしっかり外見カスタマイズして戦ってるんだから、愛着とかいっぱいあるんでしょ! バックアップあっても、デリートされる前と後とじゃやっぱり違うんじゃないんですか!」

『そ、そりゃお前…………』

「悩んでる時間あるんですか、僕らもそろそろリカバリーが切れそうなんで、決めるなら早く――――! エックスマン!」

『――――エックスバスター!』

 

 ギリギリでシャレコーベイを回避したエックスの二段バスターにのけぞったコピーマンは、その姿を本来のものに戻す。300、くそ、100 前後しか削れてない……。こっちが 80 だっていうのに、正直チップパワーが違いすぎる。

 

 その状況も見えているだろう、コピーマンのオペレーターは。「あー、クソがッ!」とか叫んでから、僕に大声で怒鳴った。

 

『標準装備だ! 標準装備だけで戦え!

 リカバリーとかレギュラーのチップに関しちゃコピー出来ないから、大容量とかレアチップ以上使わなければもうコピーされねぇ!』

 

 苦渋の決断、とはいえ。それでも自分のナビに対する愛情みたいなのを少し感じられて、僕とエックスマンは口元が少し緩んだ。

 ありがとうございますと言ってから、改めて残りのチップ15枚を見る。

 使用済のチップの再チャージ時間を考えると…………。

 

『うーん、泥仕合確定?』

「だね」

 

 ため息をつきながら、とりあえず残り2枚になったリカバリー系のチップを装填しつつ、僕らはコピーマンの攻撃パターンを観察しはじめた。

 

 

 

 

 


・ナビネーム:コピーマン

・ナビマーク:カメラのレンズと鏡を合わせたようなもの

・外見:ちょっと頭身の高い標準ナビタイプの身体に、ナビマークが腕に3つ(手の甲に一つ、肩一つ、肘の横側に一つ)、脚部も同様のノリで3つ、胸部に1つ。ドンブラザ〇ズのロボタ□ウみたいな顔面をはみ出るメタリックピンクなサングラスに、紫色の顎髭をしたちょっとチンピラみたいな容姿。

・初期HP:1000(今回は連戦したので減っていた)

・主武装:コピーミラー。身体のナビマークをブーメランのように飛ばす(劇中4つ、ゲームなら3つをブーメランのようにして時間差で全マス攻撃)。要は時間間隔の長いヘルブーメラン。

・特徴:バトル中に使用したメガクラス以上の使用済チップをコピーしてくる。持ったまま使用せず次のターンに移ったりしても、使用済扱いとする。

・特記事項:エグゼ3のコピーマン(捏造)。またこの姿も本来のコピーマンの姿かどうかは不明

 

・オペレーター:不明(SOUND ONLY)

 

 

 




アンケート引き続きお願いします…!
>ボス数体のうち2体分をどうするか? 的なアンケートです。誰が出るかはお楽しみに…?

トランスミッション時点で登場するボスナビを何作目から出しましょうか(2体予定)

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