ロックマンエグゼ世界でエックス的なナビを持ってしまった 作:黒兎可
揃いつつある色々なフラグ
「幸いさっき私の出る収録分は終わったので、後は江口君に任せるばかりです……。嗚呼こんなことしてる場合じゃないのに……」
『だ、大丈夫よ、エイリア! マーティもきっと、無事に帰って来れるわ!』
「その解析がマーティがいないから中々進んでいないんじゃないですかー!? 光博士が今突貫で頑張ってますけど、あんまり妻帯者の人に無茶させる科学省の体質って良くないと思うんですよ、私!」
やっぱりと言うべきか、シエルはゼロのシエルちゃんらしい歌姫ボイス(比喩)でエイリアさんを慰めているのだけど、本当にエイリアさん二十三歳なのかと疑いたくなるくらいの錯乱っぷりだ。
すごい子供っぽいというか、大人のお姉さん感が薄いというか。
なんなら明らかに年下のみゆきお姉さんの方がお姉さんしてるように感じるのは、僕のセンスの問題だけじゃないと思うんだ。
あ、そういえば思い出した。
「エイリアさん。そういえばなんですけど、あの後って僕、オフィシャルからの事情聴取みたいなのってなかったんですけど、大丈夫なんですか?」
「うぅ……、って、へ? あー、はい! そこは大丈夫です。あの後、学校のサーバーから事件のログはこちらのシエルがとったので、追加で何か調べるという話は出回らなかったかと」
もっと言ってしまうとですね、と、エイリアさんがらしくない感じでちょっと厭らしい笑みを浮かべている。
「……炎山君の泣き所なんですよ、一般市民のネットバトラーにこういう事件解決されるのって」
「な、泣き所?」
「ええ。以前に事件解決のために色々アレなことを仕出かしてた炎山君が、それをした上で邪魔な一般人のナビとオペレーターに先を越されて事件を解決しちゃったりですね。
なので、下手に市民がそういうのに関わる可能性がある場合、むしろ遠ざけたがるようになったみたいで」
『そのせいでブルースのオペレーターは、今まで以上に訓練に打ち込むことになって、今日のエイリアのゲスト出演につながってるの』
『――――』
エックス、無言で「あーなるほどそういうことね大体わかった」みたいな顔して首肯。
エイリアさんはシエルちゃんの言及で膝をついた。ちょっと炎山に対してストレスが溜まってたのかって感じの愚痴だったみたいだけど、回り回って今の自分の首をしめたことになったのでってところかな。
こういう感情表現を全然取り繕わないものだから、本当に23歳? と何度でも疑問に思ってしまうんだ。
「……ロックマンかしらね」
「…………」
そして僕の背後でくすくす微笑みながら、しれっとそんなことを言ってくるみゆきお姉さん。例によって何かオカルトパワーして(動詞)察知したのか、それとも何かあるのか。まあゲームだと多分、熱斗君たちとバトルしてるとは思うので、そっち側の面識は有るんだろうけど、その後についてはどうなんだろう。
まあその炎山がトレーニングに打ち込むようになった理由は実際、みゆきお姉さんの言う通りなんだとは思うんだけど。ロックマン、および光熱斗。つまり主人公たちだ。
そっちの方はそっちの方で着々と何かのフラグが積みあがってるような気がして変な寒気がする。こっちはこっちでゼロに関係する名前みたいなのが集まって来ててもっと変な感じがする。どっちにしても、僕の心中は穏やかじゃなかった。
そんな僕に関係なく、みゆきお姉さんは一歩出てエイリアさんに手を差し伸べる。
「…………良かったら、この後一緒に見回りますか? 変装していれば大丈夫のはずですし」
「うぅ……、えっと、はい? あ、見回り、ですか? その、特にそういう任務が入っている訳ではないので、意味はないといいますか――――」
「なので、そういう言い訳をして、少しは気晴らしした方が良いかと、ということです。…………正確には占ってみないとわかりませんけど、この調子だと今までとは比較にならない大きなミスを犯してしまいそうですから」
占い? と不思議そうにしたエイリアさんだったけど、みゆきお姉さんがPET(この間のとカバーの色が違う、もっとなんか闇属性っぽい色)の画面を見せた。
と同時に、エイリアさん目を大きく見開いて「あーッ!」て指を指す。
「あ、あ、あなた、みゆみゆさんですか!? 電脳占いでほぼ情報ナシのところから的中率脅威の8割っていう! 噂でしか知りませんけど!」
「……目立つのは嫌いなので、その、声のトーンを小さく」
「あっスミマセン…………」
エックスマンが「すごいハンドルネームで占いしてるんだね、みゆきお姉さん」とチャットで言ってくるけど、正直同意だ。ほぼ本名の綽名というか、親しみやすさが半端じゃないレベルの名前である。そういう所のセンス含めて、みゆきお姉さんのキャラなのかもしれないけど。
案外冗談が好きと言うか、変なことを真顔で淡々とするキャラのイメージはアニメのなのかな?
※ ※ ※
みゆきお姉さんの提案に数秒悩んでいたエイリアさんだったけど。「これ以上後輩から逆パワハラされるのは……」と凄い顔しながら、どこかにメールを送っていた。PETから『あら~……』というシエルちゃんの何とも言えない声が聞こえてきたので、それはもう凄い葛藤があったんだろうなとは思う。
「済みません、二人とも。気を遣わせてしまいまして……。せっかくの、あ、あ、逢引き中だったというのに」
「「だから違います」」
「えっ?」
そんな訳で僕とみゆきお姉さんにエイリアさんを加えた三人編成の勇者パーティじみた何かで、テレビ局の他のイベント会場を歩き回ることにした。
……したといっても、後残りのイベントって3か所くらいしかないんだけどね。
一つはドラマ撮影体験(ついでにエキストラもやれるらしい)で、一つは朝ま〇生テレビみたいなのの生収録というか。今日の議題は環境問題らしい。で、最後の一つはネットナビにSAS〇KEみたいなことをさせていく感じのやつを実況中継する番組で、飛び入り参加OKということらしい。
最後のは後日テレビ放映するということで、みゆきお姉さんはパスの一言。エイリアさんも「炎山君だけじゃなく科学省の人にも何言われるか……」と震えていたので、必然的に前者二つになった。
なお、時間的に少し覗くだけで済みそうな討論番組の方に先に行ったのだけど。
『――――ですから! そういうことではないのです! 温暖化、寒冷化など色々ありますが、私たちもあくまで自然の一部! 身の丈に合わないだけのエネルギーを使い続けたら、大変なことになるかもしれません! 否定をしているんじゃないんです、それを念頭において、自然と共存していきましょうということです!』
『だが、そんなことを言っていたらアメロッパに限らずあっという間に他の国の産業に追い抜かれてしまうではないか! 現に既にPETやネットナビ、バトルチップの国際規格は――――』
登壇というか、カメラがズームアップして喋ってるのは、これまたアニメで見覚えのある人だった。ちょっとアイヌっぽい感じの恰好みたいなのをした少女は、サロマさん。確かアニメだと、ウッドマンのオペレーターだったはずだ。
そしてみゆきお姉さんも、僕同様にサロマさんを見てリアクションをとっていた。僕は驚いたリアクションだったけど、みゆきお姉さんは呆れ半分だ。
「サロマ、何やってるの貴女……」
「えっと、知り合いですか?」
「………… 一応、学校の後輩よ。デンサンタウン近隣で定時制の学校って、私が通っているところしかないもの」
アニメみたいな繋がりではないっぽい? けど、何かしら顔見知りではあるらしい。
なおエイリアさん、僕たちの会話を聞きながらそっと一言。
「サロマちゃんは環境活動グループでトップはってますからね~。私も、科学省で何度かお弁当を買ったりしてますので、顔見知りです」
そういえばエイリアさんも科学省の人だから、そっちで面識があるのか。
ちなみに僕も表向きの理由でサロマさんのことは知っている。彼女、科学省や水道局の入ってる庁舎近隣でお弁当を売ってるんだ。
前に母さんに連れられて官庁街へ父さんの職場を見学させてもらった時に、そのお弁当を父さんが買ってきて三人で食べたことがある。実際、美味しかった。
そんな彼女たちの激論を見てる。論争、というか、意外とサロマさんの言ってることが過激じゃない感じで不思議なやりとりだ。このあたり彼女の育ちなのだろうか。アニメでウッドマンって味方として出て来た覚えがあるので、たぶんゲームでも悪の組織とかに回ったりしたことはないんだろうとは思ってる。
『だから計画的に調整する必要があると思うのですよ。現代社会のネットワーク技術の発展にエネルギー関係の問題はどうしてもつきまといます。もちろんそれは我が国だけではなく、全世界に対して何かしら決めないといけない、ということにはなるんでしょうが……、難しい問題です。理想論だけを追い求めたところで、国によっての経済格差は存在しますし――――』
『技術格差が経済格差とイコールである以上、我が国だけでどうこうというのは――――』
いや、本当にあの人何歳なんだろう? 話してる内容とか、テレビのワイドショーで女性コメンテーターがやってるのとかより凄い専門的っぽい感じだし。少なくともみゆきお姉さんよりは若い、はずだよね。
「みゆきお姉さんって何歳なんです?」
「………………いきなりぶしつけ」
「あっ、ゴメンナサイ」
「…………まあ、良いわ。16 よ。ちなみにサロマは 13」
他の女性にはそういうことを自分から聞かないこと、と、ほっぺたつっつかれながらマナーの御指導。
……というかサロマさん13歳!? 中学生じゃん、どうなってるんだこの世界の若年層の労働関係の法律!!?
「それを言ったらガンサイ君のアルバイトもどきもツッコミが入るわよ」
「だから僕なにも言ってないですよね!?」
「顔に出てるわ。お弁当売りで働くには若すぎるって」
「……な、仲良いですね、二人とも」
エイリアさんのちょっと微妙そうな問いかけに、僕とみゆきお姉さんは「「別にそんなことは」」と応じた。
仲が良いというより、みゆきお姉さんが一方的に色々察して先回りしてくるので、結果会話がスムーズに進んでるっていうのが正解な気がする。
そうこう雑談しながらギャラリーの奥の方で生の収録を立ち見していたのだけど。彼女たちの映像にラグとかノイズが時々走っていたのが、段々と大きくなって画面がフリーズした。
おや? と思ってみると、局の奥の方でテンガロンハット被ったプロデューサーさんなんだかディレクターさんなんだかが慌ててる。……あれ? なんかあの人、エグゼ3で見覚えがあるような、ないような……。テレビだと割と普通に一般人枠で出てた気がするけど、ゲームで見覚えがあるっていう一点で微妙に変な気分になる。
名前を覚えてないけど、ビーチストリートのテレビ局関係者で名前付きのキャラって、確か悪役だったような…………。
「あー困った、こりゃ普通にウィルスにやられてるな…………。俺のナビって今ちょうどアップデートしてるところだし、誰かいないか?」
「俺も苦手なんスよウィルスバスティング……」
「よ、ヨカヨカの方なら……」
「あー! 駄目だ、こうなったら、誰か腕の良い人いないものか…………」
カメラの周りに集まって来た関係者たちが、あーでもない、こーでもないって言い合ってる。
どうやら普通に機材トラブルみたいだけど、ゼロウィルス関係の話が結構あったから、どうしても疑ってしまう僕はちょっと警戒しすぎだろうか。
どうしましたか? って、撮影中断となったのでサロマさんがそっちの方に足を進めた。事情をとりあえず聴いてるみたいだけど、ついでとばかりにエイリアさんもいつの間にか彼女の後ろに立ってる。
「…………、わかりました。簡単なウィルスバスティングでしたら、私もできます。ねぇウッドマン」
『おう!』
「あー、サロマちゃん実力ってどうだい?」
「先日のアップデートでメモリ率は落ちましたけど、それでもそう簡単にやられるほどでは――――」
「――――だったら、適任がいますね。ガンサイ君! ガンサイ君!」
えっ!? と、大声とは言わないけど明らかにこっちを見て、声をかけて手を振ってるエイリアさん。「こっちに来い」と言わんばかりのそれである。
左右を見回して周囲の視線を浴びて、ついでにみゆきお姉さんが顔を赤くして視線を伏せて「この視線、厳しい…………」と僕の背中に隠れてた。
こ、これは…………、エイリアさんが耳打ちして、バックヤードの方にカメラを移動させるテレビ関係者の人たち。流石にこの視線が集中してる状況はみゆきお姉さんが限界そうなので、僕もエイリアさんたちの後に駆け足で続いた。
サロマさんが「先輩!」とみゆきお姉さんの登場に驚いたりしたけど、その後の会話よりも先にエイリアさんがこの場を仕切っていた。
「作業としては普通のウィルスバスティングではありますけど、昨今のゼロウィルス関係の問題もあります。今回はオフィシャルの私がいるので、その監督下でウィルスバスティングしてください」
「わかりました」
首肯するサロマさんだったけど、僕の方を見て「あら、見覚えがあるような、ないような……?」というリアクションだ。
ちなみにサロマさん、流石にエイリアさんみたいに、僕とみゆきお姉さんを見比べてデートだ! とか騒いだりしないので、やっぱりエイリアさんよりお姉さんっぽいのが何だろう……。落ち着いてる分大人びて見えるというか。身長はエイリアさんより低いはずなんだけど、漂う雰囲気は十分大人っぽいというか。
あとやっぱり、エイリアさんはウィルスがマーティに操られている可能性を懸念してるらしい。
それは良いんだけど……、完全に僕、巻き込まれてる状況だった。
「あのー、えっと、僕、強制参加だったりします?」
「で、出来ればお願いしたいかなぁと」
そんなことを言うエイリアさん。サロマさんは不思議そうにエイリアさんを見ていて、みゆきお姉さんは調子を取り戻したのか無表情に戻っていた。
手を合わせながら、僕に頭を下げるエイリアさん。
「済みません、状況的に一番適任なんです…………。ウッドマンだと属性攻撃によって場合によっては不利になってしまうかもしれませんし、そういう意味では他にナビが何体かいる必要があると思うんですよ。
なのでシエルも今回はプラグインさせますけど……、シエルって解析用のナビなので、直接戦闘は向かないんですよ」
『ごめん、本当はマーティの方がそういうのに向いているの……』
なので今回はサポートメインにさせてもらえれば、みたいな話をしてくるエイリアさんとシエルちゃん。そう言われるとちょっと断り辛いけど、どうしたものか……。エックスマン、属性は無属性だし、ナビ性能で言うと普通のウィルスバスティングには不自由しないくらいの性能ではあるので。アップデートに伴ってアーマーのベースになってるHPメモリも最新版に更新したし、そういう面での問題もない。
あとはバトルチップの火力不足についてだけど……、ひょっとして、と思ってみゆきお姉さんを見ると、アニメとかだったら顔の鼻から上を少し暗くした感じの微妙に悪い笑顔で「フフフ」とか言ってきた。
さっき先行投資として渡された電子チップフォルダ、ひょっとしてこれを見越して……?
いや、オカルトパワーってどこまで見越してるんですかあなた。やっぱり何というか、綺麗なお姉さんだけど、こういう所は苦手だ。
ただ、流石にタダでやるのもどうなんだろう……。
そんな僕に、エックスマンがチャットで「報酬案」を出してくれた。うん、まあ、それくらいならエイリアさんでも受けてくれるかな?
「…………じゃあ、あの。これが終わったら少し相談したいことがあるんで、それでお願いします」
「へ? あー、はい。大丈夫です。では、よろしくお願いしますね? ガンサイ君」
「ガンサイ、さん、ですか。よろしくお願いします」
頭を下げて来るサロマさんにこちらも返して、三人でカメラのプラグの前に立つ。
本当は接続端子は1つだけだったんだけど、エイリアさんが拡張コネクタをとりつけて、5つまでPETをプラグインできる状態に。
「……そういえば、先輩は戦わないんですか?」
と、それぞれPETを構えた時点でサロマさんがみゆきお姉さんに聞いた。
彼女は、スカルマンが入っているPETよりもダークっぽい色合いのカバー(闇堕ちカラーっぽい?)のPETを展開して、ナビに相談している。
「………………どうするかしら、――――マン」
『――――――――』
「…………どうやら気が乗らないらしいわ。悪いけれど、頑張って」
「あ、はい」
では改めて。
「プラグイン! エックスマン・トランスミッション!」
「プラグイン、ウッドマン! トランスミッション!」
「プラグイン! シエル.
三者三様にポーズをびしびし決めて……、このあたり口上も含めてもはやお約束だ。
ただちょっと、エイリアさんのポーズ付けそれどうやってプラグインしてるの!? いや絶対むりでしょ、ってすごい感じの動きでプラグインしてたのがかなりびっくりした。
ちなみに僕とサロマさんは無線式、エイリアさんは有線式。
「……科学省の人だから、無線式とか最新版だと思ったんですけど、違うんだ」
「通信の信頼性は、やっぱり有線式が圧勝ですので」
エイリアさん、なんだかちゃんと玄人っぽいことを言ってる気がした。
【折り畳み式PET(1、2モデル)でのプラグインポーズ】
・サロマ:
「プラグイン、ウッドマン!――――」
引き抜いた無線プラグをペン回しの要領で回して持ち直し。
「――――トランスミッション!」
そのまま振りかぶってプラグイン。
・エイリア・C・防守:
「プラグイン! シエル.
自分に向けていたPETを持ち替え、仮面ラ〇ダー龍〇のカードデッキみたいにPETの画面を前方に突き出す。
「――――トランスミッション!」
その直後にPETを左腰に構えてプラグ面を正面に向け、右手を回して居合抜きみたいな動きでプラグの先端を飛ばしてプラグイン。
相当無茶な動き。
アンケートもうしばらく募集します
トランスミッション時点で登場するボスナビを何作目から出しましょうか(2体予定)
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