炎に誘われる蛾のように俺は彼女に惹かれた。   作:こーーーーーー

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難産だったー。
元もこちらも1話構成だったのがこうして2話構成になってすみません。
これでついにエンドです。


そこにはもう面影はない

 監督から話を聞かされてから数日後に事務所に正式なオファーがきた。

 そして今日、ついに映画の撮影が始まった。

 

「アイさんと夜月さん入られまーす!」

 

 スタッフの言葉共に足を動かす。

 

「よろしくねレーイ」

「ああ、よろしくなアイ」

 

 

 

 

 とある地方都市で、難病を抱え余命を申告されたアイドルを夢見る少女と、そんな少女を助けようともがく研修医の先生が主役の映画だ。

 少女役をアイが、先生役を俺が務める。俗にいう悲恋小説というやつだ。

 俺もアイも出演するにあたり原作である小説を読んだ。

 悲恋というように、最終的にこの作品は少女の死で幕を閉じていた。

 

 

 

 

 

「どうですか監督?」

 

 なんの問題もなく撮影は順調に進んでいく。

 俺は休憩時間に煙草を吸っている監督に声をかける。

 

「120点だよ全員。お前もアイも。アクアとルビーにまでかける言葉が見つからない」

 

 そう、なんと俺とアイだけではなく、子役としてアクアとルビーにも監督は声を掛けてくれたのだ。

 

「アクアとルビー、どうですか?」

「どうですかって、120点だよ。アクアはお前に似て器用でこちらが求めるピッタリの演技をしてくれる。ルビーはアイに似て自分を見せる、目を引き付ける事を感覚で出来ている。はっきり言って二人ともあの歳で出来る事じゃねーよ。間違いなくお前らの子はお前らに似て天才だよ」

 

 俺は視線を後ろに向ける。そこにはアイとアクアとルビーがいる。

 

「にしても、時間って経つのはえーよな。お前を起用する様になって十年くらいたっただろ」

「そうですね」

 

 俺と監督の関係の長さはイコール映画俳優としての長さだといっても過言ではない。

 もともと劇団に入って舞台役者としてやっていた俺だったが、そんな俺を映画の世界に引き込んだのが監督からのオファーだった。その映画をきっかけに俺の名は世間に広まっていった。

 

「監督、ありがとうございます」

 

 俺は監督に頭を下げるとお化けでも見たかの様な声を出してきた。

 

「なんだよ急に改めて。びっくりしたなあ」

「俺もアイもアクアもルビーも一番最初の作品は監督のでしたから。だから、一応ケジメとして、一家の主として言っておきたかったんですよ」

 

 監督は紫煙を吐いて、煙の先を見送る。

 

「・・・撮影が終わったら酒でも飲みに行くか。レイ」

「ええ、そうですね・・・」

 

 

 

 

 

「アクアとルビー。ちょっと来い」

 

 俺とルビーが出演する最後のシーンが撮り終わり、休憩していると監督に呼ばれた。

 

「せっかくだ。自分の親の演技を生で見ておけ。あの頃はともかく今ならよくわかるだろ」

 

 監督のすぐ隣に立たされる。監督の視線の先には準備中のアイとレイがいる。

 これから行われるカットは車椅子に乗る少女とそれを引く先生が何気ない会話をしながら散歩するシーンだ。このシーンは物語も半ばで、日に日に弱っていく少女と何も出来ない無力感に打ちひしがれる先生が映し出されていく場面だ。俺はその場面に心当たりがあった。

 

「それではリハーサル始めます!」

「よく見とけよ、アクア、ルビー」

 

 その監督の言葉を追うように撮影現場である病院の中庭にカチンコの音が響く。その瞬間、ついさっきまで楽し気に話をしていたアイとレイの、二人の空気が物凄く重く変化した。

 

『ねえ、先生―――』

『・・・』

 

 このシーンはぐったりと弱り、ただ椅子に座って運ばれている少女を前面に出すシーンでもあるが、それと同時に先生が抱える無力感も見せなければいけない。

 少女にだけ目がいってもダメ、先生が強すぎてもダメというとても難しい事を要求されている。

 

「―――」

 

 だからこそ絶句してしまった。アイの引き付ける演技にではなく、レイの引く演技に引き立たせる演技に言葉をなくした。

 別にレイの演技を見たことがないわけではない。アイやルビーと一緒にレイの出演作品は毎回一緒に見ていたし、初めて撮影現場に行った時にもレイの演技は見ていた。俺自身が監督の下で演劇をやってようやくレイの、自分の父親の凄さを実感した。それと同時にアイの凄さも再認識した。共演者を飲み込むような引く演技をレイが出来るのは、それでもアイが飲み込まれないほどに人の視線を引き付けているからなのだろう。

 

「―――だから、どうしてだよっ!」

 

 次のシーンでは少女は出ておらず、先生が少女の担当医から明日が余命だと知らされて感情的になるシーンだ。さっきと打って変わり荒々しくなる先生と正反対の達観している担当医。

 担当医を演じている役者もこの道何十年という大ベテランだ。だが、そんなベテランがする引く演技よりもさらに激しい引かせる演技をレイはしていた。

 つくづく思う。アイの隣にはレイ以外に考えられないと。

 その後も撮影は予定通りに進んでいき、三時間後には今日の撮影が終わった。

 撮影が終わったのと同時に隣にいたルビーは涙を流し始めていた。理由は分からなかった。俺はただルビーの手を握ることしか出来なかった。

 ルビーの涙の理由を知ったのは映画が完成してすぐの事だった。

 

 

 

 

 

 

 撮影最終日に現場へと作者が足を運んでくれた。

 時間があったので、俺とアイは主演ということもあり作者にこの作品について聞いた。

 この作品は作者が看護師をしていた病院で聞いた医師の実体験が元ネタらしい。もう、この話をしてくれた医師は帰らぬ人となったからこそ、この話を書いたらしい。

 だからこそ、小説と台本を変えたらしい。

 

 

 

 

 

 

「あんまり、海の方にいくなよー」

 

 アクアがルビーに引っ張られながら海に連れて行かれるのをパラソルの下から見守る。

 映画の撮影も終わり、ちょっとした息抜きとして俺達は夏ということもあり沖縄に来ていた。

 宿泊者限定のビーチがあるホテルを予約して、二泊三日の、初めての家族旅行に来ていた。

 斎藤夫妻には旅行先で何があるか分からないと物凄く反対されたが、なんとか説得して承諾してもらった。

 アクアもルビーも初めての海ということで必死になって遊んでいる。

 ついこの間あった、関係者試写会があってからアクアとルビーの距離感が近くなったというか、親密になったような気がする。前までは仲のいい兄妹くらいの距離感だったが、今は付き合いたてのカップルみたいな距離感になっている。父親としては悪い男に引っかかる心配はないがどうしても気にはなってしまう。

 

「おまたせー」

 

 後ろを振り返るとそこには唾の広い帽子を被った水着姿の女性、アイが立っていた。

 

「ごめんね、遅れちゃって」

「別にそこまで待ってねーよ」

 

 アイはくるりとパレオをはためかせて一回転すると尋ねてくる。

 

「似合っている。可愛いよ」

「ふふ、ありがと」

 

 パラソルの下に入り、俺の横に座る。アイがアクアとルビーに対して手を振っていた。

 

「海って気持ちいいね。私初めて来た」

「ドラマやMVの撮影で来なかったのか?」

「そういうのでは何回かあったけどさあ、こういったゆったりっていうのはなかったから。だから初めてなの」

 

 アイはごそごそとバッグを漁ると一つの薬用品を取り出した。日焼け止めクリームだ。

 

「だからさあ、レイとこういうのもしてみたかったんだ。塗ってよ」

 

 日焼け止めクリームを俺に渡すと、シートの上でうつ伏せになり寝ころんだ。白い肌がよく見える。

 クリームを掌に絞り出して、手に馴染ませる。そーっと優しくアイの背中に触れるとキャッ、と声を出してきた。

 

「もー、エッチなんだからー。レイは」

「塗らねえぞ」

「ウソウソ、お願いだから塗ってよ」

 

 アイは鼻歌を歌いながら俺に身体を預けてくれる。

 

「今日はありがとうねレイ」

「どうした急に?」

 

 気持ちよさそうな表情をしながらアイは口を開いた。

 

「うんん、今日だけじゃない。私がドームでライブした時から、アクアとルビーを産んだときから、ずっとずっとその前からありがとうね、レイ」

「・・・俺だってアイにはいつも助けになっている。ありがとうはこちらもだ」

「それでも、ありがとうレイ」

「・・・どういたしまして。愛しているよアイ」

 

 細い体にクリームを塗りながら夏の陽気を肌で感じる。

 

「だからさあ―――」

「ああ!パパズルい!私もママに塗るー!」

 

 ルビーがアクアを引き連れて戻ってくる。

 アイは笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

「カンパーイ」

 

 時刻は23時を回り、窓からは墨汁を撒かれたように黒い景色が見えた。

 アクアとルビーをすぐ傍の隣のベッドで寝かしつけると、俺とアイは事前に買っていた酒類で晩酌を始めた。

 

「いやー、にしてもついにアクアとルビーに私たちの馴れ初めを聞かれるとはねー」

 

 隣に座るアイが身体をくっつけてくる。

 

「そうだな。こんな話を自分の子供にするとは思っていなかったよ」

 

 俺とアイの出会いはもうかれこれ十年以上前の話だ。劇団ララライでのワークショップで出会った。

 当時はお互い全く売れておらず、芸能界に埋もれる有象無象でしかなかった。

 それでもアイは当時から人の目を奪っていて、俺も奪われた一人だった。

 

「あの時レイが話しかけてくれてありがとうね」

「仕方ないだろ、他のやつは話しかけようとしなかったし。さすがに修正しないとやばいレベルでお前下手だったんだから」

「もー、酷ーい」

 

 トスン、とアイは俺の肩に頭を乗せる。頬が若干赤みを得ており酔っていることが分かる。

 アイが言ったように最初は俺から声を掛けた。だが、それはアイの演技が下手からというだけではない。所詮ただのワークショップだ、別に演技が下手でも仕方ないし、はっきり言ってどうでもいい。それでも、声をかけた理由はアイツがいたからだ。

 隅っこに座るアイを興味津々の表情でアイツは見ていた。それを見て、俺の身体は気づいたらアイの前まで動いていた。

 未だに考えてしまう時がある。もしあの時俺が声を掛けていなかったら、アイツが声を掛けていたらどうなっていたのかと考えてしまう。もしかしたら、アイの事をもっと―――

 

「幸せだよ、レイ」

 

 アイがそんな言葉を口にした。

 

「私の周りにはアクアがいてルビーがいて、レイがいる。こうして家族旅行もできたし、私は間違いなく幸せだよ。ありがとう、レイ」

「・・・俺も幸せだよ。ありがとうなアイ」

 

 アイは一見抜けている所がある様に見えるが実はしっかりしている。だからだろう、俺が何考えていたかアイにはわかってしまうのだろう。

 俺は考えていたことを酒と共に流し込んだ。 

 

 

 

 

 

 

 

「もー、そこまでお酒強くないのに」

 

 レイが飲み始めてしばらくすると酔いが回ったのか、倒れるように寝てしまった。

 

「ほら、寝るならベッドまで行こー」

 

 身体を揺するが起き上がる気配はない。そんなレイの姿に思わず笑みが零れる。

 しっかりしているように見えるがレイは案外抜けている。

 世間では冷静でクールなポーカーフェイスがかっこいいと言われているがそんなことはない。むしろレイは表情に良く表れる。

 私はレイの寝顔を肴にしながらお酒を飲む。

 未だにあの時の事は、レイが話しかけてくれた時の事は鮮明に思い出せる。

 とある雑誌の取材で知り合ったプロデューサーに招待された劇団で私はレイと出会った。

 そこまで興味はなかった。仕方なくという感じ行ったし、そもそも演技にそこまでの思入れがない。

 一人隅で座っている時にレイが来た。未だにその時のなんて声を掛けていいか分からないといった表情を覚えている。

 

『なあ、ちょっといいか?』

 

 その言葉の後に続いたのは連絡先の交換でも、ご飯の誘いでもなく、私の演技に対するダメ出しだった。このセリフはもっと強くだとか、もっと胸を張ってだとか言われた。

 

『おっ、今の凄く良かった。そっちの方が美人に見える』

 

 何回か練習をしてようやく、レイに褒められた事を覚えている。

 私にとって演じるということは嘘をつくことでしかなかった。自分に嘘をついて、周りに嘘をついていた。でも、レイのその時の言葉は本当の私に言ってもらえたと思った。本当にうれしかった。

 それから私はレイと交流を持つようになった。劇団のワークショップには必ず参加するようになり、レイと二人でご飯にも行くようになった。いつも私から誘っていやいやながらもレイは必ず来てくれた。

 だから、私はレイの二十歳の誕生日にあんな事をしたのだと思う。

 劇団の女性陣からレイは人気があった。顔がよくて、スタイルも良くて、性格もいいのだから、常に女性陣の一番人気はレイであって、よく更衣室とかで「レイ君に今度告白するんだー」とかいうのをよく聞いた。その事実が我慢ならなった。

 当時の私はレイの事をどう思っているかよくわからなかった。けれども、レイが他の女に取られるたくなかった。

 だから、私はレイの誕生日に、私のちょうどその日の時に彼を酔わせた。彼に襲わせた。

 案の定私はアクアとルビーを身ごもった。

 最初はレイに身ごもったことを伝える気はなかった。アクアとルビーは私一人で育てるつもりだった。この子達は私の我儘で作ったのだから、彼の事を我が子から感じられるだけで十分だった。でも、入院中気づけば私は彼に連絡していた。連絡してすぐ来てくれた。

 

『お前を好きで愛しているに決まっているだろ。俺は好きでもない奴と飯を食に行かねーよ。だから、お前は俺の事を愛さなくてもいいから、俺にこの子たちの父親をさせて欲しい」

 

 嬉しかった。一人で育てる覚悟はできていた。それでも、レイからそういわれて滅茶苦茶嬉しかった。

 多分その時から私はこの気持ちに気づけていたのだ。

 彼は私の横にいてくれたから。私を横にいさせてくれたから。

 

「ありがとう。本当に本当にありがとう。―――」

 

 私はあなたがいたからこの気持ちに名前を付けることが出来たのだ。

 

 

 

 

 

 

 その後も沖縄の街や水族館などを見て回り気が付けば、2泊3日の家族旅行は終わりを告げた。

 沖縄から帰ってきて一週間が経った頃、映画の完成披露試写会を迎えた。

 そして―――

 

『熱愛発覚!B小町の絶対的センターアイと大人気俳優夜月レイの同棲生活!』

 

 俺達の秘密が世間にバレた。

 

 

 

 

 

 週刊誌の一面を飾ったこの記事はテレビニュースに、スポーツ新聞に、SNSのお陰で瞬く間に広がった。

 

「いいか!絶対にこの件の質問には答えるなよ!わかったな、アイ!レイさんも!」

 

 朝一でうちまで飛んできた壱護社長は何度目か分からない忠告を飛ばしきた。

 朝のテレビ番組は全てこの話題で持ちきりで、SNSのトレンドでは上から下まで独占している。

 街頭インタビューではアイのファンと思われる男性が「いやー、裏切られた気分ですよ」と語り、SNS上でも批判的な投稿が数多存在している。

 本来なら、事務所が正式な会見を開くまで何もしないことが正しい事なのだが、今日が映画の公開日であり、これから完成披露試写会が待っている。

 流石に主演の二人が穴をあけるわけにはいかず、壱護さんはこれ以上炎上させないために必死になっていた。

 

「わかってるよ、ねレイ」

「・・・ああ」

 

 お互い別に別に家を出て、会場へと向かった。

 

「それでは続きまして、本作の主演を務めていただいたアイさんと夜月レイです!」

 

 司会者に言われ、俺とアイは舞台裏から壇上に上がる。

 館内が盛大な拍手に覆われるがそれで隠し切れないほどの声が聞こえてくる。

 

「この二人だろ。朝のニュース」「生で見ると滅茶苦茶可愛い―な」「出来てんのかな?」「デマなのかなやっぱ」「二人が写っている写真SNSに沢山上がってたぜ」「どーせ、週刊誌の合成だろ」「なんか裏切られたわ」

 

 会場のあちこちから様々な話が飛び交っている。横を向くとアイはにっこりといつもの笑みを浮かべていて、反対側には監督が我関せずといった面持ちをしていた。

 

「それでは、本作の監督を務めていただいた五反田監督に話を伺いたいと思います」

 

 司会者に話を振られると監督は一歩前に進みマイクを口元に持っていく。

 

「監督を務めさせていただいた五反田です。皆さんこの度は完成披露試写会に足を運んでくださりありがとうございます」

「五反田監督、本作はどういった所が魅力ですか」

「そうですねやはり一番の魅力としまして原作との差異ですね。こちらは原作者先生からの提案であり、我々は出来るだけ原作とのギャップを表すように制作しました。その変化を可能と出来たのは演じていただい皆様のお陰であると思っております。そのため、原作を未読の方はもちろん、原作を読んだ人も楽しめると自負しております」

「五反田監督、ありがとうございまし」

 

 司会者がそれではと続けアイに尋ねて、俺に尋ねた。

 順調に進んでいき、舞台裏で壱護さんがホッと一息ついているのが見てわかる。

 

「すみません、一つよろしいですか」

「はい?どうかいたしましたか?」

 

 司会者が予定のないことに驚きを隠せずにいた。

 

「まず初めに皆さんこの度は来ていただきありがとうござました」

 

 一歩前に出る。

 俺がこれから何をやるのか分かったのか、監督とアイはクスクスと笑っている。

 

「こうして、お時間をいただいたのは他でもなく今朝、週刊誌や新聞で報じられた私とアイさんの熱愛疑惑についてです」

 

 その瞬間、会場に疑心暗鬼の声が今まで以上に活性化した。

 

「この記事に書かれていることは全て事実であり、私とアイさんは昨年結婚しております。この場をお借りしてご報告させていただきます」

 

 司会者は予定にないことで慌てふためいている。舞台裏にいる壱護さんは絶望して膝をついて言る。

 監督は必死に笑いを堪えている。

 そしてアイは、

 

「はい、私とレイは結婚しております!」

 

 一歩前に出てくれた。

 

「愛してるよアイ」

「うん―――」

 

 

 

 

 

 

 

 俺の突然の発表にSNSでは今朝以上の盛り上がりを見せ、夕方のニュースでは朝以上に俺たちの話題で持ちきりになった。

 SNSは当然俺たちに対する罵詈雑言を見かけたが朝ほどの勢いはなかった。むしろ、賛成する応援するコメントが物凄い勢いで流れた。

「俺は二人を応援する」「あの二人が付き合うのはもう運命だろ」「最初は反対してたけどあの映画を見せられたら応援するしかない!」「否定してるやつら今すぐ映画見てこい」といったコメントが完成披露試写会以降数多く見られ、公開日を過ぎた頃には否定的なコメントを見ることはなくなり、世間から最も熱いおしどり夫婦という地位を得た。

 

 

 

 

 

 それは作者に話を聞いた時だった。

 

「だって、感動的に話されるのがムカついたんです。せっかくならハッピーエンドで終わらせたいじゃないですか。もう、亡くなっているからこそ、私にはこれくらいの事しか出来ないんですよ」

 

 原作では少女の死と共に作品を終わらせていたが、映画は違う。

 治らないと思われていた少女の病は奇跡的に完治し、アイドルとしてついにドームまで行き先生との結婚で幕を閉じていた。

 この話を思い出すたびに、完成品を見終わった後に泣き崩れていたルビーと横で支えていたアクアの事を思い出す。

 そしてこの作品は最優秀作品賞を取り、監督は最優秀監督賞取った。

 俺とアイも最優秀主演男優賞と最優秀主演女優賞を獲得した。

 さらにアイはB小町として最優秀音楽賞も獲得した。その後アイはアイドルを卒業した。

 俺は何故卒業するのかアイに聞くと、私はもうアイドルでやりたいことを全部やり遂げたからと答えた。

 アイは最後に歌った映画の主題歌で歌いたかった言葉を、気持ちをようやく言えたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 そして、俺たちはようやくこの日を迎えた。

 後ろにはアクアとルビーが、ミヤコさんが、監督が、俺の両親が、その他にも様々な方が座っている。

 ギィ、という音と共に重厚な扉が開かれた。

 壱護さんと共に一人の女性が歩いてくる。

 白いドレスを身に纏った女性は俺の横まで歩いてくる。

 ヴェールを取り、彼女の顔を見る。そこにはもう昔みたいな少女の面影はない。

 

「愛してるよレイ(あなた)。―――やっと言えた」

 

 目尻に涙を浮かべてアイは笑う。

 

「ああ、俺も愛してるよ」

 

 俺とアイは祝福を受けながら永遠の愛を誓った。

 

 

 





いやー、ついに終わった。
もともとは短編1話のつもりだったのがこうして増えていった。
ようやくハッピーエンドを書き上げられた!
俺に出来ることはここまでだ。後は任せたぜェ!


読んでいただき、ありがとうございました!
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