書き終わったそばから投稿するの術(鉄は熱い内に打て)
『日本ウマ娘トレーニングセンター学園』
通称トレセン学園。
日本のウマ娘のレース及び興行を取りまとめているURA*1が直営する、競争バ育成専門学校であり、中高一貫校である。
中高一貫校である理由は、ウマ娘が劇的に身体能力を活性化させる時期*2が、一般的に12歳~20歳の間とされているためであり、基本的にURAが開催する公式レースにはこのトレセン学園に所属していないと出走することはできない。
そんなトレセン学園─通称『中央』や『中央トレセン』と呼ばれるところに私は入学した。
⏰
サイレンススズカ12歳*3、学生です。
徐々に本格化の兆しが見えてきたのか、最近良く服を買い替えなくてはならないので不便です。
早い娘ではもう本格化も始まり、来年にはデビューするようなウマ娘も居るらしいですが、私はそこまでの本格化は来てないみたいです。
この調子だと本格的なデビューは2,3年後とかになりそう。
それはそれで、ゆっくり鍛えられるので良しということにします。
そんな私も今日からトレセン学園の生徒です。
入試は余裕のよっちゃんでした。
筆記試験はトレーナーばりの知識を詰め込んだ私に小学校卒業程度の常識問題など相手ではなく、実技も一緒に走った娘に対して大差をつけての1着。
不安だったのは面接ですが、聞かれたことに緊張しながら答えてたら学園長だと言う小さい女の子がウンウン頷いていたので、印象は良かったのだと思います。
それにしても、学園長さんはどこかで見覚えがあるような気がしたのだけど、もしかしたらボクの頃に縁のある人だったのかもしれません。
⏰閑話休題⏰
そんな私は、いま行われている入学式において新入生代表として挨拶することが決まっています。
なんでも入試で素晴らしい成績を収めた生徒が選ばれているようで、この事からも私の試験の点数が良かったことが窺えます。エッヘン
『次に新入生代表の挨拶。新入生代表、サイレンススズカ』
「はい!」
っと、私の出番です。
と言ってもつい最近小学校を卒業したばかりのおこちゃまです。先生方が作った無難な台本を読んで、最後に一言自分の言葉を言えばいいだけなので、特に緊張もなくトコトコと壇上に上がります。
『春の息吹が感じられる──────』
無難に貰った台本を読みながら会場内を見渡すと、見渡す限りのウマ娘ウマ娘ウマ娘。
新入生が約500人。ものすごい数です。来賓用の席も大半が親戚のウマ娘であることもあって、1000人くらいのウマ娘と多分300人くらいの人が会場の中に居ます。
事前に調べたところ、中央の入学数は500人ほどでも、レースで結果を出せなかったりなんなりで徐々に減っていって、高等部に入るころには同級生は半分くらいになっているらしいです。
そうして中央に所属する全生徒数がだいたい2000人くらいになるそうな。一応高等部に行けばレース専科以外にもトレーナー専科やサポート専科などもあるそうですが、トレセン学園自体の学費が高いので、よほどの思い入れが無い限りは他の私立の学校へ転入する人が多いそうな。
『────以上、新入生代表、サイレンススズカ』
と、無難に挨拶をスラスラ読み終わってペコリと頭を下げます。
私はまだ身長が150cm無い程度しかないので、台から降りて頭を下げると見えなくなっちゃうけど、しょうがないです。礼儀なので。
身長……というより足の長さが短いと、ストライド走法での1歩で進める距離が短くなっちゃうので、個人的にはもっと身長は欲しいです。
でも大きくなりすぎると足にかかる衝撃が大きくなってしまうので、悩みどころさんですね。
なんて考えながら自分の席に戻ります。
すでに500人の新入生の中で代表挨拶を任されるほど、期待を背負ってしまっている私。きっと私はこれからどんどん同級生の娘と戦って、負かしてしまうのかもしれません。
でもそれを悪いと思ってしまうのは、相手に失礼なのでしません。常に全力でなくとも本気で負かします。それが、
恙なく進んでいく入学式を眺めながら、私はそんな事を考えていました。
⏰
初日は授業などなく、明日以降の説明とオリエンテーションで一日が終了し、寮に帰ってきました。
中央トレセン学園は地方からやってくる娘もいるので、基本的には寮住まいになります。
寮は美浦寮と栗東寮があり、学校側の判断で振り分けられるらしいです。
私は栗東寮に振り分けられました。
ボクの頃のお家がどこか覚えてませんでしたが、もしかしたらボクの頃も栗東って名前のお家だったのかもしれません。*4
そんな寮では基本的に先輩後輩で二人一部屋になるように部屋分けがされているらしく、私も例に漏れず高等部の先輩と同室になってます。
「ただいま帰りました」
声をかけながら寮の部屋に帰ってきましたが、返答はありません。寮の部屋には誰もいないからです。
それもそのはず、私はオリエンテーションが終わって帰ってきましたが、先輩はすでにデビュー済みのウマ娘でバリバリ現役なので毎日特訓をしているからです。
帰ってくるのは寮の門限である22時ギリギリになることも珍しくありません。
(んー、どうしよっかな~)
などと制服を脱ぎながら考え込みます。
走りに行くにもトレセン学園の芝コースはもしかしたら新入生や在校生がすでにいっぱいかもしれません。
今日は入学式にふさわしく爽やかな風が吹く、気持ちのいい晴れなのできっとみんな気持ち良く走っているに違いありません。
幸い小学生時代のストイックな生活をつづけたお陰で、私は大分自分の走衝動*5を制御する事ができていますので、走りたいけど我慢できないというほどではありません。
「ん、今日はトレーニングルームでも見に行こう」
ジャージに着替え終わり、そう独り言ちながら私は部屋を出ました。
こんな天気のいい日なので、逆にトレーニングルームは空いているだろうと考えたからです。
トレセン学園のトレーニングルームは雨の日でも過不足ないトレーニングが積めるよう、最新のトレーニング機器が並んでるらしいです。
でもそこはウマ娘、やはり天気のいい日はお外を走り回りたいモノです。精々トレーニングルームを利用しているのはトレーナーのメニューで器具を使う筋トレを指示されているウマ娘程度でしょう。
(そういうウマ娘の筋トレバランスも見学できるし、良い考えかも)
と私は自分の慧眼を褒めたたえ、上機嫌になりながらトレーニングルームへとルンルンステップで向かいました。
⏰
(うーん、結構期待外れだったかも……?)
そんな失礼なことを考えているのは、私サイレンススズカです。
寮に帰ってきて、夕食を食べながら私は今日のトレーニングルームで見た先輩ウマ娘たちの肉体を思い返していました。
決してやましい意味ではありません。単純にアスリート目線で筋肉の鍛え方や付き方を思い返しているだけです。
トレーニングルームは予想通り少ない数のウマ娘が使っている程度で、快適に色んな器具を使うことができました。
そんな最新機器をタダで使える嬉しさでニコニコしながら、部屋にいる数少ない先輩ウマ娘の肉体を近づいた時チラリと観察してみたのですが、ちょっと拍子抜けというか期待外れな結果でした。
確かにこんな晴れの日に筋トレしてるだけあって、かなり鍛えられていました。確かに小学生の時の同級生や、クラブに通ってるとドヤ顔してたクソガキ*6よりはバランス良く鍛えられてました。
(でも私や先輩ほどじゃなかったな)
そう思ってしまうほど、私や同室の先輩ほど美しい筋肉量やバランスはしていなかったのです。
先輩とはお風呂も一緒に入る仲なので、先輩ほど直接観察したわけではないので、今日観察した先輩ウマ娘も体操服の下にはウットリするほどの黄金比に鍛えられた筋肉が隠されているのかもしれませんが、それでも服の上からみた限りそこまで鍛えられているとはとうてい思えませんでした。
(そもそもベンチプレス80kgで苦しそうだったし、さすがにウットリする筋肉とか隠されてなさそう。80kgぐらいなら今の私でもそこそこ頑張れば持ち上げられるし)*7
トレセン学園入学初日からなんだか夢を打ち砕かれたような気がして、モヤモヤした気持ちのまま寮室へ帰った私は、その旨を同室の先輩に打ち明けていた。
「──と、いうわけなんです。ダンスパートナー先輩」
そう、私と同室の先輩はダンスパートナー先輩である。
ボクの頃も現役当時になんどかレースしたこともある縁のある先輩だ。ちなみに馬の頃の先輩の馬主はボクと同じおじさんである。
「あっはははははっははっは!」
私のモヤモヤを聞いたダンスパートナー先輩は、一瞬キョトンとした顔をしたと思ったらすぐさま大声で笑った。
「なにが面白いんですか?」
「いやいや、ゴメンね! うーん、確かに私と同室になっちゃったら勘違いもしちゃうかもね! と思って!! それにスズカちゃんの世間知らずっぷりというか、唯我独尊っぷりが面白くって!」
ダンスパートナー先輩は笑いながら弁明をするが、よほど面白かったのか涙を拭ってお腹を押さえながら笑い転げている。
数分ほど先輩が落ち着くのを待つと、先輩は呼吸を整えてからしゃべりだした。
「いやね、スズカちゃん。私、それにスズカちゃんも、結構ウマ娘としては奇特な方なのよ?」
と言ってから我々が奇特な理由を先輩は上げていく。
曰く、昨今はだいぶ体幹トレーニングの効能が浸透してきたが、それでもまだ日本では『走れば速くなる』という思想が強いらしい。
そしてウマ娘、とくに現役のウマ娘というのは扱いづらい思春期であるということと、レースで活躍するウマ娘は一般的な平均より気性難と呼ばれる事が多いこと。
思春期で気性難なウマ娘に、走ることを封じ筋トレをさせるのはベテラントレーナーでも至難らしくトレーナーとウマ娘の間に強い信頼関係が必要らしい。
しかも体幹トレーニングは長い時間をかけて肉体改造が必要であり、契約を結んだ当初からそんなトレーニングを課すほど信頼関係が結ばれているのはかなり特殊な事情がないとありえないらしい。
「つまり私とトレーナーはそういう特殊な事情に当てはまるわけなんだけども、そうですらなく自分で自分を律して体幹トレーニングを積んでるスズカちゃんはもっと奇特なわけなのよ」
そもそも、と前置きをしてダンスパートナー先輩は話を続ける。
「ウマ娘の気性難って、つまるところ拘りが強かったり、ウマ娘としての本能が強かったりするらしいのよね、それがレースでは負けん気に繋がるわけだからレースで活躍するウマ娘は総じて気性難が多くなりがちなわけ。んで、本格化ってのはそのウマ娘としての本能が一番強く出る時期だという説があってね、その時期に走ることを禁止するのは至難の業ってことらしいのよ。ま、全部トレーナーの受け売りなんだけどね」
そういって、長々と語って喉が渇いたのか、ダンスパートナー先輩は水を汲みに洗面所へ向かいました。
「むぅ」
一人残された私はつい呻いてしまう。
確かに、走りたい気持ちを抑えるのは辛い。それは私も理解できる。でも私はそれよりも怪我をして走れなくなる恐怖の方が勝っている。だから今走ることを我慢できるのだ。
ではなぜ私はそこまで怪我を恐れるのか。それはボクの頃におじさんがかけてくれた言葉があるからだろう。あんなにボクを大事に思っていてくれたおじさんがあそこまで怪我を恐れていたのだから、ボクも恐れるようになったと考えていいだろう。
つまり、ボクは滅茶苦茶、かなり、とーーーーーっても特殊な事例であるのだ。
ダンスパートナー先輩の言い分は頷ける部分ばかりだ。というよりダンスパートナー先輩の言葉だからこそ聞く価値があると言える。
ダンスパートナー先輩は、シニア1年目4月初頭の現時点において、すでにG1を11勝しているまさに現役最強ウマ娘と言っても過言ではない大スターだ。
しかもクラシック級だった去年に至っては、
桜花賞・オークス・アイルランドオークス・ヨークシャーオークス・秋華賞・エリザベス女王杯・有馬記念
と7つのG1を取得した化け物だ。
なぜか日本でティアラ三冠に挑戦中に欧州に行きオークス3冠のうち2冠を奪うとかいう、あたおかローテを怪我無く走り切った鉄人である。
エリザベス女王杯も含めてダンスパートナー先輩は前人未踏のティアラ6冠と呼ばれている。
そんな一般人が聞けばウソかと思うようなローテーションを走り切り、その中の悉くで勝利を収めた先輩とそのトレーナーの間には強い信頼関係があったのだろう。
トレーナーが施すトレーニングへの信頼。トレーナーの指示を疑うことなく実行する信頼。走り切れるという信頼。走り詰めであっても勝ちきれるという信頼。
きっと私が想像するより遥に強い信頼関係で結ばれていたはずだ。
「ま、そんなわけで私たちはかなり特殊なわけよ」
洗面所から帰ってきたダンスパートナー先輩は寝る準備を整えながら、そう言って思考の海に潜っていた私の肩を叩き思考の海から引きあげた。
「さ、今日はもう寝よ。明日から授業始まるんだしさ」
「……はい」
ダンスパートナー先輩の言葉に従い私も寝る準備を始める。
寝る準備が終わり、暗くなった部屋で布団に潜り込むと、寝る寸前にダンスパートナー先輩が独り言のように、でも私に聞こえる大きさで言った。
「スズカちゃんも、スズカちゃんのことをわかってくれる良いトレーナーに出会えると良いね」
私はその言葉に返さずに、そうなれば良いなと思いながらゆっくりと眠りに落ちていった。
ダンスパートナー先輩も箱庭世界では自己所有した結果バカみたいに強くなった馬です。
それと私事が混ざるのですが、ちょっと悩んでいる事があるのでアンケートにご協力お願いします。
スズカのトレーナーはオリジナルトレーナーで良い?
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良いよ
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ダメ(沖野Tが良い)
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ダメ(ハナさんが良い)
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ダメ(奈瀬ちゃんが良い)