苦手な方は回れ右でお願い致します。
故にご了承願いやす。
私は照明と客席からのサイリウムによって光り輝くステージに幼馴染の4人と共に立っていた。
長いようで意外にも短いと思えるライブもいよいよ最後の曲となる。
ボーカル担当のMCが終わり演奏が始まる。
この時、私の意識は暗転した。
目の前に飛び込んできたのは
「……知ってる天井だ」
なんてベターなセリフを呟けるくらいに見慣れた自室の天井だ。
これにより、先程までの光景は『夢だった』と実感は出来る。
「夢……か」
夢で良かったと強く思う私である。当然ながら今見た夢は完全に『悪夢』として分類されるからだ。
別に音楽とがが嫌いなわけじゃない。
寧ろ、自分で自己満足だけども作詞作曲をして歌っていたりするし、『好き』と言っていいだろう。
だけど、どうしても他人とバンドを組む事……それだけは
「絶対に嫌」
もう、これだ。これに尽きる。
お父さんがああなってしまった原因でもあるバンド活動。
――そして、私の全てを奪った忌むべきモノ。
だと、いうのに。
「どうして……嫌いになれないんだろう」
あんなに忌むべきなのに。
自分から進んで絶対に関わりたくはない。
そう思っている筈なのに。
心の奥底で仲間とバンド活動を臨む自分がいる。
今私がずっと思っていることはメッキの虚偽で本心は正反対。
誰よりも仲間とのライブを望んでいる。
孤独は何よりも嫌いなモノ。
「……そんなわけ、ある訳無いじゃん……」
例え、仮にもそれが私本来の想いだとしても。
認めるわけにはいかない。
私が一度受け入れてしまえば、アイツ等と同じ穴の狢な気がするからだ。
「……気分悪くなる」
舌打ち混じりに呟く。
気分……と一概に言っても色々とあるのだが。
気が滅入るのは紛れもない事実。
「……ご飯食べたら憂さ晴らししよ」
私は今日の行動を決め、朝食を摂るためにダイニングへむかった。
因みに今日は月曜日で普通に学校がある日なのだが、私は不登校である。
朝食を食べ終えた私は防音設備の整った部屋へと移動する。
この部屋はお父さんが生前に使っていた。
私のお父さんは人気もそこそこあったバンドのベーシストで作詞作曲もやっていた。
小さい頃の私はそんなお父さんの作業中に突撃しては自分なりに作詞作曲も学んでいた。
正直、あの当時は理解出来ているかはあやふやだったけれども。
お父さんが死んでから、理解出来てるなんてなんともな感じではある。
出来るなら自分で作った曲をお父さんに披露したかったっていう願望が無かったなんて事はない。寧ろ、したかった方が強い。
部屋のお父さんが使っていた作業机を見てふと思い出してしまう私である。
それと同時にお父さんが生前に良く言っていた単語が脳内に反芻される。
『
私は指で銃を作って撃ち抜く真似をしながらその単語を呟いた後に椅子へもたれかかる。
撃ち抜く夢も無いのにさ。
何言ってるんだろ、私は。
夢を見つけろ、って事なんかな。そうだとしたら困難極める代物なんだけど。
そんなに簡単に夢が見つかっていたら苦労はしてない。
まただ。
こういう系を想い浮かべると心の中のモヤモヤが広がってくる。
「胸糞悪っ……」
等と普段は絶対に口にしない様な語調になる位不機嫌にはなる。
これはさっさと憂さ晴らしをせねばならないね。
私はベースを片手に自分で作詞作曲した曲の演奏を始めるのだった。
暫く何曲か演奏していた私は熱中していたようで、壁の時計を見ると既に昼を回っていた。
「もう、こんな時間になってt……」
ここで私の言葉は途切れた――否、途切った。
私の目前には何時の間にか居る拍手する幼馴染の姿が。
「……何時から居たの、つぐ」
「6曲目あたりから」
「どうやって入ったの」
「合鍵」
「……それの許可は?」
「勿論、無断だよ!」
「……なんで来たの」
「え、ひまりちゃんの学校の課題届けに来たんだよ!」
「学校は?」
「今日は午前中で終わってるよ」
成程ね。だったらもう一人くらい居るはずだけどな……。
一応聞いてみるか。
「
「撒いてきた!」
「…………」
思わず唖然となる私である。
なにこの娘。昔はこんなじゃ無かった筈なのに。
何時からこんなじゃじゃ馬娘に成り果てたのだろうか。
私がなにか間違えたのかなぁ……。
私はすかさず応答する。
「……もしもし?」
『ひまりか?あたしだけどさ……』
「巴? 何か用……って言うまでもないか」
『ああ。実は逃げれちまってさぁ……何処に居るか知らないか?』
「つぐなら居るよ。現在進行形で私の家にねぇ」
『そっか。解った。午後になったら回収に行くから』
「今じゃないんだ……」
『ごめんな?あたしも色々と忙しくてさ……』
「良いよ。別に。コッチで相手しとくし」
『悪いな。本当になるべく早めに行くからさ』
「解った。またね、巴」
『ああ。またな、ひまり』
通話相手は巴だった。
取り敢えず巴が来るまでつぐの面倒を見なくてはならないことが決定した。
さて、どうしようか……。あ。
「つぐ、ご飯食べる……?」
「えっ?良いの?」
「良いよ。一人分作るのも二人分作るのもそんなに変わらないし」
「わーい。ありがとう!ひまりちゃん」
喜ぶつぐ。
屈託のない笑顔なのは昔と変わんないね……。
それはそれで安心かもね。
なんて思っていたら
「ねぇ、ひまりちゃん」
つぐに呼び止められた。
「どうしたの? つぐ」
「私のお願い聴いて……くれない?」
「『お願い』……? 内容にもよるけど、話してみてよ」
「うん。じゃあ単刀直入に言うね? ひまりちゃん、私とバンド活動しない?」
「え」
私はつぐのお願いを聞いて固まってしまった。
……ナニイッテルノ、コノコハ。
続く→
次回はつぐみ視点で進む予定でありますが、どうなるかは未定。
投稿が何時になるかも解らないですが気長にお待ちください。
ではでは。