俺氏、アイドルと付き合うことになる   作:atacs

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今回から宮崎編が始まります。


第30話

side主人公

 

あの騒動から数日が経った。あれから小西が謝罪をしてきた。これで一応この騒動は幕を閉じた。まだ怪しい気もするがこれからも先輩後輩の関係でやっていきたい。

 

 

◇◇◇

 

「「「え!?今度宮崎に行くだって!?」」」

 

俺、アクア、ルビーの3人は驚いた。

 

「そうなの。新しいMVを撮影しに行くんだ。ってかみんな驚きすぎw」

 

「だって、俺の地元だからさ」

 

「そうなの?じゃ、次郎も一緒に来る?」

 

行きたい!でも一緒に行くのは色々まずい…どうしようか。

 

「ママ、宮崎のどこに行くの?」

 

「社長が言うには確か‥

 

 

 

 

 

 

 

    高千穂

 

            だったかな」

 

「「「!!」」」

 

「みんな驚いちゃってどうしたの?そんなにすごいとこなの?高千穂ってとこは」

 

「いや、そこは俺の地元だからさ」

 

「そうなの!?何でもっと早く言わなかったの?」

 

「言わなくてもいいかなって思って、っていうかアクア、ルビー高千穂って場所知ってんのか?そんなに驚いてたけど」

 

「い、いや別に〜」

 

「前、テレビで高千穂のことをやっていたんだ。それで気になっていたんだ」

 

「そうだったのかアクア」

 

ほんとアクアはすごいな。まるで大人みたいだ。

 

「でみんな宮崎に行く?」

 

「私は行きたい!」

 

「僕はどっちでもいいかな、次郎兄さんも行くなら考える」

 

俺はどうしようか…。久しぶりにばあちゃんに顔見せたいし兄さん探しに何かしらの進展を期待できるかもしれない。他にもあの子のお墓参りもしたいからな。

 

「俺も行くわ」

 

「じゃあ佐藤社長にみんなのチケットも取っといてって電話するね」

 

こうして初めての家族(?)旅行が決まった。

 

 

数時間後

 

あぁいい風呂だった。それにしてもアイが俺の地元の高千穂でMVを撮るなんてな。何かの偶然なのか?ま、いいや。

ん?ルビーが床で寝転んでやがる。そんなだと風邪ひくぞ。ベッドまで運んでやるか。そう思ってルビーを持ち上げるとアイのスマホが転がり落ちた。ルビーは何を見ていたんだ?ルビーを寝かせてからスマホを見るとどこか知らないところに電話をかけていた。この電話番号どこかで見たことがあるんだよな。どこだっけ。少し考えると…

 

ここって兄さんが勤めていた病院の電話番号じゃん。何でルビーがここにかけたんだ?不思議だな。

そう思いながらも俺は眠ったのだった。

 

 

 

◇◇◇

 

旅行当日になった。今回はB小町のMV撮影なのでメンバー全員集まった。メンバーを見るのは初めてだったので新鮮だった。メンバーに怪しまれるかと思ったが社長の知り合いってことで話が通っていたみたいだったので何とかなった。ありがとう斉藤社長。

 

 

機内にて

 

俺は社長と隣同士の席となった。

 

「雨宮君、どうして君もついてくるんだ?俺は君は来ないと思っていたよ」

 

「俺の地元が宮崎の高千穂なんですよ」

 

「そうなのか、帰省も兼ねているのか?」

 

「それもありますね。後兄さん探しに何か進展があればいいなって思って」

 

「前から気になっていたんだが君とお兄さんってどういう関係だったんだ?」

 

「俺と兄さんの関係ですか?」

 

「ああ」

 

「…俺って母親に育てられなかったんですよ」

 

「まさか虐待とかそういうのか?」

 

「そういうのではないんですけど、俺の母さんは俺を産んだ時に死んじゃったんですよ。出血があまりに多くて。それで俺と兄さんは祖母と祖父と一緒に暮らしたんです。祖父母は俺たちのことを愛してくれていたんですよ。でも母親、父親がいないっていうのは小さい時の俺にはだいぶきつくて、よく塞ぎ込んでいたんです。でも兄さんがよく俺を元気づけてくれたんです。一緒にゲームをしたり、悩みを相談したり、勉強を教えてもらったりと色々したんです」

 

「兄弟仲はかなり良かったんだな。話を聞いてて思ったんだが父親はどうしたんだ?」

 

「…父親は母親がいなくなってから別の女を作ってどこかに行っちゃったんですよ。ま、兄さん曰くどうしようもないやつだったみたいなのでいなくなって正解だったのかなと思いますね」

 

「なるほどな」

 

 

 

 

ま、他にも行く理由があるんだがね。

 

 

天童寺さりな

 

彼女は兄さんが研修医をしていた頃に仲良くなった女の子だ。彼女は重病を患いわずか12歳という若さでこの世を去った。兄さん曰く彼女のことをさりなちゃんと言って親しい雰囲気だった。兄さんがアイのファンになったのも彼女から勧められたからだそうだ。

 

 

ある日のことだ。

 

『さりなちゃんの親全然来ないんだよ。しかも住んでるのが東京だっていうんだ。普通なら通いやすい都内の病院に入れるはずなのに。何を考えてるんだ?』

 

『もしかして、あまりさりなちゃんのことを愛していなかった…とか?』

 

『バカ言え!親っていうのは子供を愛するものだろ!』

 

『そうだよな…』

 

 

そしてしばらくしてさりなちゃんの容態が悪化し始めた。兄さんは親が来ないことに憤っていた。上司にも掛け合って来てもらおうともした。だが彼女の親は来なかった。最後を看取ったのは兄さんだった。さりなちゃんが亡くなった時の兄さんは今まで見たことないくらい落ち込んでいた。

 

『…………』

 

『…兄さん、大丈夫?』

 

『あ、ああ…』

 

『親御さん、来なかった…?』

 

『来ていたらこんな顔してない』

 

『だよな…ん?兄さんそのストラップは何?』

 

『これはな、さりなちゃんがB小町のライブに行った時にガチャで出てきたものだ』

 

その景品にはアイの顔と「アイ無限恒久永遠推し!!!」と書かれていた。

その後兄さんはそのストラップを肌身離さず持つようになった。

 

さりなちゃんの葬儀は一応行われたが家族は来なかった。さらにお墓を作ろうともしなかった。それを聞いた兄さんは自費でさりなちゃんのお墓を建てて失踪するまで定期的にお参りしていた。兄さんが失踪してからは俺が帰省した時に毎回お参りしていた。毎回行くたびに家族が来てくれているといいなという期待をしたが花束やお線香がなかったので一度も来ていないようだった。

 

さりなちゃん…もし来世があれば家族愛に溢れた優しい家庭で育っているといいな。




小西はカミキと連絡先を交換している。

今日で推しの子アニメ最終話とか時の流れが早すぎる。
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