俺氏、アイドルと付き合うことになる   作:atacs

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第31話

side主人公

 

ひさしぶりに我が地元の宮崎に帰ってきた。アイはメンバーと先に行ったのでアクアたちと飛行機を降りてきた。

 

「次郎兄さんはこれからどうするの?」

 

「とりあえず墓参りかな」

 

「え!?次郎兄ちゃん、ママのMV見学しないの!?一生に一、ニ回しか見れないんだよ!?」

 

ルビーが興奮気味に話してきた。別に見てもいいんだが他にやるべきことがあるからな。

 

「俺は大丈夫だからさ、早く行きなさい」

 

「次郎兄ちゃんと一緒に見たかったのに〜」

 

「さ、アクアも行ってこい」

 

「僕は次郎兄さんについていく」

 

「いいのか?つまんないよ?」

 

「大丈夫」

 

「…そうか」

 

…変なやつ。

 

 

 

sideアクア

 

僕は墓が気になったので次郎についていくことにした。

 

「まさかアクアが連れて行ってくれって言うとはな」

 

「そんなに変?」

 

「アクアもルビーと同じくらいアイのこと好きだろ?まるでドルヲタかってくらい。だからアイについていくと思ったよ」

 

「そうかな。でも次郎兄さんも行った方が良かったんじゃない?母さんの旦那さんだし」

 

「待て、あいつお前たちに俺のことを旦那って呼んでるのか?」

 

「知らなかったの?よく僕たちに言ってるよ。絶対に結婚してやるって。婚姻届も準備してるし」

 

「あいつアイドルってこと忘れてるんじゃねえのか」

 

次郎は洞察眼が昔からあるが恋愛関係になると一瞬でクソ雑魚になる。困った弟だ。そんなんだからアイに監禁されたり、毎日のようにアンナことやコンナことされるんだぞ。昨日だって中々に激しかったし。ルビーも少し引いてたぞ。

 

「あぁどうしよう…」

 

次郎はかなり悩んでいる。ま、頑張れよ。遠くから応援してるぞ。

 

その後車はどんどん高千穂に向けて進んでいった。だんだんと見慣れた景色になっていったので懐かしく感じた。

 

「次郎兄さんがお参りするお墓って誰のなの?吾郎さんの?」

 

「違うな。兄さんの墓はまずない。失踪しただけでこの世のどこかにいるかもしれないからな」

 

「じゃあ誰のお墓なの?」

 

「兄さんが昔受け持っていた患者の女の子の墓だ」

 

さりなちゃんのお墓参りか。でも誰もさりなちゃんの墓参りをしてくれてないと思っていたが次郎がしていてくれたとは。

僕は少し安心した。

 

 

 

side主人公

 

今年もさりなちゃんのお墓には誰も来ていなかった。何だかとても悲しい気分だ。俺たちは花束を入れる花立や線香置きを洗って花束を入れて線香をあげたて墓に水をかけた。そして合掌した。それにしても今日はやけにカラスがいたな。何でなんだ?

 

 

墓参り後

 

「今年も誰もいなかったか…」

 

「次郎兄さんはこれからどうするの?」

 

「とりあえずお前をアイのとこに送って、その後に兄さんが昔働いていた病院に行って兄さんの知り合いの人を見つけて色々聞くつもりだよ」

 

「僕も次郎兄さんについていくよ」

 

「マジか。でも俺についてきてもつまらないぞ?それでもいいのか?」

 

「ああ」

 

「わかった。じゃ行くか」

 

 

 

 

◇◇◇

 

「久しぶりですね、新山さん」

 

「先生の弟さんですか。久しぶりですね」

 

新山裕子

兄さんが勤めていた宮崎総合病院で働いている看護師だ。よく兄さんの近くにいた。

 

「そちらは、お子さんですか?」

 

「あ、ああこの子は親戚の子でしてね、ここに行きたいってうるさいので…」

 

「そうなんですね。坊やお名前は?」

 

「斉藤愛久愛海です」

 

「な、なかなかにすごい名前ですね」

 

「そ、そうですね」

 

「と、とりあえずここでは何ですから」

 

俺たちは応接室に通された。

 

「何故わざわざここまで来たんですか?」

 

「少し兄のことで聞きたいことがあって」

 

「そうでしたか。先生はまだ見つかっていないんですか?」

 

「…そうですね。そこで頼みがあるんですが失踪する直前の兄さんのことを教えていただけませんか?」

 

「…もう4年前のことなのでちゃんとは覚えていませんが、あの時は双子の赤ちゃんを身籠った女性の担当をしていましたね」

 

その後もその時期の話をしていった。

 

「その患者さんが妊娠する少し前あたりから不審な男がいましたね」

 

「え?」

 

俺は耳を疑った。

 

「姿はどんな感じでした?」

 

「見たのが夜だったのでよくわかんないですけど男が2人だったと思います」

 

男が2人…か。

そういえばカミキも友人とこの時期に旅行で宮崎に来ていたな。何か繋がりがあるような気がするが……。

 

その後も新山さんから色々な話を聞こうと思ったが仕事があると言って戻ってしまった。監視カメラとか調べた買ったんだがな。

 

「もうこんな時間か」

 

時刻は4時を回っていた。

 

「もう遅いから帰るか」

 

「次郎兄さん、最後にさ吾郎兄さんが失踪する直前の帰路を辿って見ない?」

 

「まだ4時だから大丈夫か。少しだけだぞ」

 

「うん」

 

アクアの提案で兄さんが失踪する直前の道のりを再現することになった。

 

「でも吾郎兄さんが失踪する理由なんてないよね?大人気アイドルの星野アイが患者なのに失踪するってありえないよね?医者だったら尚更じゃない?」

 

「まあな」

 

「ということは帰宅中に何者かに襲われたんじゃない?」

 

「…かもな」

 

「吾郎兄さんの家ってこっちの方だよね?」

 

「ああそうだな」

 

俺たちは兄さんの家への道のりを歩いた。こいつ何で兄さんの家を知ってるんだ?誰にも教えてないぞ。

 

「もし、吾郎兄さんが襲われたとしたらこんな道じゃないと思うけどね」

 

「そうか。ここの通りは車の数が多いとは言っても兄さんが帰った時間帯は車が全くと言ってもいいほど通らない」

 

「でも人を襲った時に他の人に見られた時のことを考えたら別のところで襲いそうだね。例えばあっちの道とか」

 

アクアが指差したのは小さな未舗装の道だった。

 

「多分吾郎兄さんは何者かに声をかけられて追いかける時にこの道に入った気がする。行ってみよう」

 

「はいはい」

 

俺はアクアに手を引かれる形で道をどんどん進んでいった。

 

「ハアハア…ちょっと待ってくれアクア」

 

「次郎兄さん、なんかばててない?」

 

「仕方ないだろ、お前ほど若くないし、ちょっと休憩させてくれ」

 

俺は近くに座って水を飲んだ。

 

「次郎兄さんは結構洞察眼がある感じだけど吾郎兄さんが亡くなったっていうのは気づかなかったの?」

 

「…あんまりそのことは考えたくなかったんだよ。兄さんは俺を救ってくれたんだ」

 

「…救った?」

 

「ああ。俺はな、父親、母親がいなかったんだ。それがあったから普通の家族っていうものが羨ましかったんだ」

 

「そうなんだ」

 

「あれは小学校の頃かな。授業参観の時だった。他の人たちは母親なり父親が来ていたんだ。でも俺ん家だけばあちゃんが来た。何というか悲しかったな」

 

「悲しかったんだ」

 

「まあな。悲しいだけなら良かったんだがな」

 

「うん」

 

「俺に父親、母親がいないことがクラスの他のやつにバレたんだよ。それでいじめられたんだ」

 

「いじめられてたんだね」

 

「ああ、それは結構辛かったな。それで家から出れなくなったんだ。家から出なくなった俺を元気づけようとしたのか兄さんは少ない小遣いで当時人気だったゲーム機を買ってきて、一緒にやらないかと言ってきたんだ。渋々やったらいい気分転換になったんだ」

 

 

 

◇◇◇

 

『次郎、一緒にゲームしないか?』

 

『…そんな気分じゃないからいい』

 

『いいからいいから』

 

俺と兄さんは一緒にゲームをした。配管工のゲームだった。ただ兄弟でゲームをしていただけなのにとっても楽しかった。

 

『次郎、どうして引きこもってんだ?』

 

『…ばあちゃんとかに言わない?』

 

『言わない』

 

『…実は…』

 

俺はこうなったいきさつを話した。

 

『何でもっと早く言わない』

 

『だって…みんなを心配させちゃうかもって』

 

『こんなことしてる方がみんなを心配させているから』

 

『あっ』

 

『ようやく気づいたか。次郎、ほいこれ』

 

『これって…』

 

『ICレコーダーだ。学校に持っていけ。それでいじめられた時に音声を録音しろ。そして先生にこれを突き出せ』

 

『わかった』

 

俺は兄さんの助言の通りにICレコーダーを持って学校に行った。

 

『お、父親、母親のいない可哀想な可哀想な次郎がやってきたぞ〜』

 

いじめっ子とその取り巻き数人が俺の近くまでやってきた。

 

『あれ、今日はいつもよりも静かなんだな』

 

『根性ねえなw』

 

『やっぱばあちゃんっ子だから甘えられて育てられたんじゃねw』

 

奴らはこれでもかと俺のことをバカにしていた。いつもなら言い返したりするが兄さんが

 

『いいか、とにかくこのレコーダーにいじめっ子の声を記録させとくんだ。で、放課後そいつらが帰ったら先生にこのことを言うんだ』

 

俺はこの助言の通り我慢してあいつらの声を録音した。そして放課後先生に提出した。

その後いじめっ子たちは校長を交えた面談となりかなり怒られたようだ。

 

 

◇◇◇

 

「…というわけなんだ」

 

「次郎兄さんも結構苦労したんだね」

 

「まあな。でも兄さんがいなかったらもっと大変なことになってたかもしれん。自殺してたかもしれない。それくらいきつかった。そんな崖っぷちのところを兄さんが助けてくれた。だからとても感謝してるんだ」

 

「…そうなんだね」

 

アクアとこんなこと話してしまった。これは誰にも言うつもりはなかったんだがな。でもアクアには何故か話せてしまう。何でだろう。聞き上手なのかな。そう思いながら時計を見ると、

 

「あ、もうこんな時間だ。そろそろ戻らないと、アイを心配させてしまう」

 

と立ち上がった時に車のキー落としてしまった。

 

「鍵落としたよ」

 

「マジか」

 

キーを拾うとした瞬間…

 

 

カア!

 

 

カラスがキーを咥えてしまった。

 

「あ!車のキーが!」

 

カラスは奥の方へ行ってしまった。

 

「待て!このクソカラス!焼き鳥にしてくれる!」

 

俺とアクアは慌てて追いかけた。

 

「‥待って次郎兄さん、速すぎる…」

 

「俺に掴まってろ!」

 

アクアを抱っこして全力でカラスを追いかけた。

 

カアカア!

 

「クッソ!こいつ挑発してやがる!」

 

「あっちの方に行ったよ!」

 

「わかってる!」

 

少し走って行くと謎の祠があった。

 

「どこ行った?」

 

カアカア!

 

祠の奥からカラスの声が聞こえた。そっちか。とっちめてやる。そう思いながら祠の奥に入ると…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白骨化した死体があった。




とうとう見つけちゃったね。
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