side主人公
「本当にアクアが兄さんだったとは...」
「驚いたか?」
「そりゃ驚くよ。前からアクアが年の割に落ち着いているなとか兄さんが昔読んでた本が置いてあったり、俺が刺されたときに応急処置したとか怪しい点はあったけど」
「やっぱり気づいてたのか」
「そりゃそうだ。俺を誰だと思ってる」
「ハハハそうだったな。刑事さん。それよりなんでアイから離れたんだ?」
「そ、それは...」
「まさかお前...本当に浮気でもしたのか?」
「兄さんと違ってそんなことしてない。ただ...」
「何か聞きづてならない単語が聞こえた気がしたがそれは置いといて…一体何があったんだ?」
兄さんが俺の顔を覗き込むように聞いてきた。
「...アクアとルビーの父親のことでな...」
「!?お前僕たちの父親を知ってるのか?どんなやつなんだ?」
兄さんも父親のことが誰か気になっていたようだ。
「...カミキヒカル」
「カ、カミキヒカル...?そいつがアイを孕ませたのか(生んだのはアイでカミキではない)?」
「ああ」
「なるほど…だがそれだけでお前がこんなことになるとは思えないが…」
「…カミキが兄さんを殺したんだよ」
それを聞いた瞬間の兄さんの顔はアイの遺伝子を継いだのかと疑うくらい驚いた顔をしていた。
「僕を殺したのは…リョウスケ…だろ…?まさか…!」
「そう、そのまさか。たしかに実行犯はリョウスケだった。しかし、それを指示したのはカミキだったんだよ。俺はそれを盗み聞きして知ってしまった。で、俺思っちゃったんだ。もし、アイがカミキに入院先を教えなかったら兄さんは死んでなかったんじゃないのかって。そう思うとアイのことを見れなくなってしまって...」
「......」
「......」
少しの間沈黙が続いた。
「次郎」
兄さんが真剣な眼差しで俺のほうを向いてきた。
「お前の思っていることはよくわかった。僕がもし、次郎の立場だったら同じことを考えていたかもしれない。でも僕は死んでない。推しのアイドルのもとに転生して今は二度目の人生を謳歌出来ている。それにアイだって出産の前に父親に連絡くらいは普通する。それがとんだサイコ野郎だっただけだ。
だから次郎、僕は大丈夫だ」
「に、兄さん...」
「それにアイだって次郎と付き合い始めてから何か変わってきているぞ」
「へ?」
俺はそれを聞いて驚いた。
「次郎と付き合う前と後のライブとかの笑顔とか違うぞ」
「まじ?まあ、最近笑顔のことが多いけど…」
「お前、ここ最近のアイドル活動とか見てないのか?」
「最近忙しくて…」
「ったく、情けない弟だ」
兄さんは呆れていた。仕方ないだろ最近忙しかったんだから。
「アイは前は観客に喜ばれる笑・顔・を作っていたんだ」
確かにこの前初めてアイのライブに行った時にアイは人に喜ばれる顔をしていた。普通はわからないが俺は刑事をしているからそう言ったことには人一倍敏感だ。
「でも、お前と付き合うようになってからのライブを何度か見たが自然な笑顔が増えた。実際ネット上でも自然な笑顔が増えたって言われてる」
兄さんは携帯を出した。
「兄さん、その携帯は誰のなんだ?」
「ミヤコさんからこっそり借りてきた」
「ちゃんと後で返せよ」
「わかってる」
兄さんはとあるサイトを見せてきた。
『アイ前よりかわいくなった希ガス』
『わかる』
『たしかに。最近のアイなんか変わった』
『自然な笑顔が増えた気がする』
といったようなことが書かれていた。
確かに付き合い始めた頃よりも自然な笑顔が増えた。最初はいまいちわからなかったがこれで何か腑に落ちた。
さらに兄さんの話を聞いてから段々とアイへの不信感が消えていった。
「次郎、帰ろう、僕たちの家へ。アイが待ってるぞ」
「そうだな」
◇◇◇
その後俺たちは家に帰った。アイは俺がまた浮気したと思っていたみたいだ。実際今、正座させられて尋問を受けている。
「次郎、今の状況わかってる?」
「はい...」
「はいだけじゃわからないいよ?ちゃんと説明して」
いつもの倍くらい黒星を輝かせながら聞いてくるので威圧感が半端ない。
「俺がいきなり手紙を置いて行って家を出ていったからです...」
「よくわかっているみたいだね」
ん?待てよ。俺こう勘違いされないようにするために仕事関係でここにいられなくなった的なことを書いた気がするんだが。
「こうならないようにするためにあの手紙を書いたのにみたいな顔してるね」
こいつエスパーかよ。
「ど、どうしてあの手紙が噓だってわかったんだ?」
「アクアが教えてくれたからだよ。本当に助かっちゃった★」
おい兄さん!なんでそれを教えるんだ!兄さんのほうを向くとそっぽを向いた。このクソガキ!お前後でお尻ペンペンな。
「ママ、私もうお腹ペコペコ」
「あっ!もうこんな時間!次郎、この続きは後で...ね?」
「はい,,,」
◇◇◇
夕飯後兄さんたちが寝てからまたさっきの続きをすることになった。
「さっきの続きだけど本当に浮気なの?」
「違う」
「じゃあなんでここを出ていったの?」
「それは...」
さすがになんて言えばいいのか迷うな。カミキの件を言うのはかなりまずい。これはできるだけ避けたほうがいい。
「最近大き目めな事件が起きてかなり忙しくて帰れなくて...」
これならどうだ?
「噓」
一瞬でばれた。だがあれを言う訳にはいかない...!
「いや、本当d「噓」?」
「無理矢理押し通せばいいと思ってるでしょ?そんな手通用しないよ。私はずっと噓を塗り固めてアイドルをしてきたんだよ。そんな簡単な噓バレバレだよ。もし、これ以上噓をつき続けるならこれとか使わないといけなくなるんだけどなぁ」
アイはどこからか二つの瓶を出した。
「これ何か知ってる?」
「さ、さぁ」
「こっちの白い錠剤が入ってるのは前次郎に飲ませたやつの倍の強さの睡眠薬でこっちのピンクの方は媚薬。このまま次郎が噓をつくとこの二つを使って次郎を調教して私のいうことしか聞けないようにしようかなと思ってるんだけど」
「カミキのことを調べていました」
怖いから話してしまった。まあまた監禁されるよりましだろう。