もしもザフト水泳部の新米が連合に盗まれずミネルバに加入したら   作:ちゃーらんき

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引き続きブラコン……じゃなかった、『ブレイク・ザ・ワールド』になります。


災厄の襲来

 

 ボギーワン追撃戦を終えたのも束の間、ユニウスセブンが動き出すという非常事態を受けその破砕作業の支援に向かうこととなったミネルバ。

 シン、ルナマリア、レイが出撃準備を進める一方で、オーブも含めた地球全土が滅びかねないこの一大事を前に居ても立ってもいられなくなったアスランがアーモリーワンで使用した、現在パイロット不在でミネルバに置いているザクへの搭乗と破砕任務へ参加する許しを求め直談判してきた。

 

 アスランの身分はすでにオーブの民間人である。

 アーモリーワンにてザクを占拠した件はカガリを守るためにやむをえなかったため黙認されているが、流石に2度目は無理がある。

 タリアは当然そんなことは許可できるはずがないと退けたが、ユニウスセブンの破砕を成功させるために出せるモビルスーツは1機でも多い方がいいと、特例としてデュランダルが許可を出した。

 

 こうしてミネルバからはインパルスとザク3機、艦載されている全てのモビルスーツが出ることとなる。

 直前になってアスランが参加することを聞きシンたちは驚いたものの、大戦の英雄であるアスラン・ザラの上げてきた伝説的な戦果の数々は知っているので、戦闘というわけでもないしデュランダルが許可したならいいかと特に反対はしなかった。

 

 そして破砕作業の支援をするためにモビルスーツを発進させようとしたタイミングで、イザーク隊からサトーたちテロリストの襲撃を受け戦闘が発生していることを知らされることとなった。

 

「戦闘!?」

 

「どういうことだメイリン」

 

「はい、現在ジュール隊が複数のジン・ハイマニューバ2型からなるアンノウンと交戦中。アンノウンは破砕作業を妨害し、設置されたメテオブレイカーを破壊しているとのことです」

 

 レイからの問いに、ジュール隊より齎された情報を伝えるメイリン。

 破砕作業の支援任務から一転、再び殺し合いの戦場に出ることとなり、すぐに戦闘用装備への換装が行われることとなる。

 

 また、エラム隊の方でも破壊されたはずのリジェネレイトをはじめとするモビルスーツ3機に襲撃を受けている情報が入った。

 こちらはリジェネレイトの他、エールカラミティとゲルプレイダーという連合製のモビルスーツも含まれており、呼びかけに応じず攻撃を仕掛けてくるという明確なエラム隊に対する敵対行動をとってきたため、交戦状態に入ったという。

 ジンの一群とこの3機のモビルスーツの関連性は不明だが、どちらもユニウスセブンの破砕任務に従事するザフトを襲っていることから少なくともどちらもザフトの敵であることだけは明白であり、彼らアンノウンとジュール隊及びエラム隊が交戦していた。

 

「どういうことだ?」

 

「わかりません。しかし本艦の任務がジュール隊の支援であることは変わりなし。換装終了次第、各機発進願います」

 

 説明を求めるアスランに、メイリンは現在わかっているのはここまでであること、戦闘を想定することとなったがミネルバの任務がジュール隊の破砕支援であることは変わらないので換装次第発進するようにと答える。

 

 正規のザフトであるシン、ルナマリア、レイはもちろん戦場になろうとも出撃命令が出ている以上ユニウスセブンに向かうことに変わりはない。

 ウィザードシステムの換装を行ったレイが、ザクをカタパルトに乗せる。

 

「レイ・ザ・バレル──ザク、発進する!」

 

 最初に準備を終えたレイが出撃し、次にルナマリアのザクがカタパルトへ送られガナーウォーリアの換装に入る。

 

 そして民間人であるアスランは、破砕作業ならばという特例でザクに搭乗する許可をデュランダルにもらった立場である。

 テロリストが相手とはいえ、相手を殺したり逆に殺される可能性がある戦場に他国の民間人が出るとなれば話が変わる。

 

「状況が変わりましたね、危ないですよ。おやめになります?」

 

 ガナーウォーリアを装備しカタパルトに機体を乗せたルナマリアが、アスランに下りるなら今のうちだがどうするかと尋ねる。

 

「バカにするな。俺から言い出したことだ、戦場になったからといって逃げるつもりはない」

 

 しかし、もとより危険は承知の上。

 戦場になったからといって、ユニウスセブンの破砕から下りるわけにはいかない。

 ザクから下りるつもりはないと返した。

 

「シン・アスカ──コアスプレンダー、行きます!」

 

 ルナマリアとアスランがそんなやりとりをしている一方で、出撃準備を整えたシンが発進し、その後に射出されたチェストフライヤー、レッグフライヤー、シルエットフライヤーとともにレイのザクを追う形でユニウスセブンへと向かっていった。

 

「失礼、大戦の英雄であるあなたを案ずるのは余計なお世話だったかもしれませんね」

 

「……英雄など、そんな大層なものじゃないさ」

 

「……ルナマリア・ホーク──ザク、出るわよ!」

 

 レイとシンに続き、ルナマリアのザクもミネルバより発進。

 

 最後に換装を終えたアスランがザクをカタパルトに乗せた。

 

「進路クリア。発進どうぞ!」

 

「アスラン・ザラ──出る!」

 

 ザフトの機体を駆使する一時、オーブのアレックス・ディノからザフトのアスラン・ザラに戻り、かつての大戦の英雄はユニウスセブンへ向かって飛行していった。

 

 

 

 

 

 ミネルバからシンたちが発進した一方、ユニウスセブンでは──

 

「こんなひよっこ共に!」

 

「うわああぁぁぁ!?」

 

「我らの思い、やらせはせんわ今更!」

 

「隊長──ッ!」

 

 大戦を戦い抜いた精兵と、戦場を知らぬ新兵。

 技量の差は歴然であり、母艦から飛ばされた戦闘用の武装を確保して反撃に出たもののジュール隊は一方的にやられ被害を増やす一方であり、メテオブレイカーの防衛もままならない状況だった。

 

「ええい下がれ! ひとまず下がるんだ!」

 

 設置などしている場合ではない。

 しかしこれ以上破壊されては破砕しきれなくなる。

 イザークからメテオブレイカーを守るように指示が飛び、ディアッカの方もメテオブレイカーを戦闘宙域から離脱させて、武装が届いた機体から迎撃に参加し他の機体はメテオブレイカーを破壊されないよう遠くへ運ばせていた。

 

 メテオブレイカーの運搬は新兵たちに任せ、ディアッカはライフルが届いた機体とともにザクウォーリアをジンの前に出してメテオブレイカーを守る形で立ち塞がる。

 

「そこを退け!」

 

「やらせねえよ!」

 

 他のゲイツが一方的に落とされる中にあって、大戦を戦い抜いてきた英雄の1人であるディアッカだけはサトーたちのジンを相手に渡り合っており、友軍を守りながらの戦いのため撃墜こそできていないが何機かに損傷を与えていた。

 

「このザク、他のひよっこ共とは違うか……!」

 

「くっそ、動きが速い……!」

 

 しかしディアッカのザクだけでは限界がある。

 砲撃を抜けたサトーの操るジンが、メテオブレイカーとそれを運ぶゲイツに一気に距離を詰めて斬機刀を振るい、恐怖でかたまり回避もできなかったゲイツの胴体を両断した。

 

「隊長、助けて──うあああぁぁぁ!」

 

「やべえ!? これ以上やらせるかよ!」

 

「くっ──!」

 

 すかさず運び手を失ったメテオブレイカーに狙いを定めるサトーだが、そうはさせるかとディアッカからビーム砲を撃たれたことで、回避のためにメテオブレイカーから距離を取った。

 

「誰かあのメテオブレイカーを拾え! これ以上破壊されるわけにはいかねえぞ!」

 

 運び手を失いユニウスセブンにゆっくりと落ちたメテオブレイカーを拾うように指示を出し、それまで守り抜くためにザクを飛ばすディアッカ。

 間一髪のところで別のジンが撃ってきたビームをシールドで防ぎメテオブレイカーを守ったが、手一杯のジュール隊に落ちたメテオブレイカーを拾いに行ける余裕のあるものはおらず、むしろディアッカが抜けたため他の輸送しているメテオブレイカーの守りが薄くなってしまった。

 

「俺がこのザクを抑える! その隙に他を落とせ、残りはカカシだ!」

 

 ディアッカを抑えれば他は技量の劣るひよっこのみでメテオブレイカーを容易に狙えるようになると見たサトーが、落ちたメテオブレイカーを守るためにその場に止まらなければならなくなったディアッカを狙う。

 その間に他のジンが未熟なパイロットばかりのジュール隊と他のメテオブレイカーに狙いを定め、ディアッカという要から離れてしまったジュール隊のゲイツを瞬く間に落としていった。

 

「うわあああぁぁぁ!?」

「来ないで──きゃあああぁぁぁ!?」

 

「ベンとアニがやられた!? ダメです隊長、抑えられません!」

 

「応援はまだかよ!?」

 

 メテオブレイカーの守りがガラ空きになり、ジンが狙いを定めて迫ってきた。

 

「落ちろ、腑抜けた裏切り者ども!」

 

「ひっ──」

 

 もうダメだと、メテオブレイカーを運ぶ新兵が目を瞑る。

 

 直後に斬機刀で切り裂かれ死ぬと思った新兵だが──

 

「何だと!?」

 

 ジンがゲイツを落とそうとした刹那、上からビームが飛んできてジンの攻撃を妨害しゲイツを守った。

 

 邪魔をされたテロリストが、ビームの飛来してきた方向を向く。

 そこにはバルカン砲を肩に備える青いザク──イザークの乗るスラッシュザクファントムの姿があった。

 

「イザーク!」

 

「何をしているんだディアッカ!」

 

 ボルテールから出撃したイザークとシホたちの増援が到着し、メテオブレイカーを狙うジンにビーム突撃銃を撃ち追い払う。

 イザークはメテオブレイカーの防衛に尽力していたディアッカに理不尽な罵倒を一度飛ばしてから、メテオブレイカーを運びながら逃げ回る隊員たちに破砕作業を再開するように指示を出した。

 

「ジンはこちらで抑える。工作隊は破砕作業を進めろ! これでは奴らの思う壺だぞ!」

 

「了解!」

 

 牽制射撃でメテオブレイカーに張り付いていたジンを一度追い払うと、シホらとともにそれを守るように展開。

 イザークたちが盾となったことでメテオブレイカーを設置する余裕ができ、工作部隊は再び設置作業に取り掛かりはじめた。

 

「やらせるか!」

 

 当然、サトーたちも黙って見ているわけにはいかない。

 メテオブレイカーに狙いを定めてジンを飛ばすが、行かせないとイザークとシホの乗るザクが立ち塞がる。

 

「メテオブレイカーに張り付かせるな!」

 

「支援します!」

 

「邪魔だ──何ッ!?」

 

 ザクが相手でも構うものかとイザークたちに向かうジンだが、テロリストはその2機のザクを操るパイロットもヤキンを戦い抜いた精兵であることを知らなかった。

 2機相手でも突破できると挑むも、シホは冷静にビーム突撃銃を発射し、回避したところにイザークが肩のビームバルカン砲で攻撃して更なる回避でバランスを崩したところに近接装備の大型ビームアックス“ファルカス”を振るいシールドを持つ腕を破壊。

 

「シホ!」

 

「トドメ!」

 

「馬鹿な──!?」

 

 シールドを失ったところでトドメにシホがビーム突撃銃を発射してコクピットを撃ち抜き、テロリストたちのジンを1機落とした。

 

「グゥレイト! さすが、息ぴったりだぜ!」

 

「無駄口を叩いている暇はないぞ!」

 

「分かってるって!」

 

 イザークたちがきたことで、調子を取り戻してきたディアッカ。

 サトーのジンを蹴り飛ばし、バランスを崩したところにすかさず近接装備のトマホークで斬機刀を握る腕を切り飛ばした。

 

「ぐっ──! おのれ、ナチュラル共に媚びるデュランダルの犬風情が……!」

 

 武装を失ったことで、サトーがディアッカのザクから離れる。

 逃がすかとディアッカが長距離ビーム砲で狙い撃つも、サトーも持ち前の腕で回避し離脱していった。

 

「逃がすかよ!」

 

「そのようなものにあたるか!」

 

「くそっ、ジンでここまでやるかよ……」

 

 性能では圧倒的に劣るはずのジンでゲイツやザクを圧倒し、自分とも性能差を覆し渡り合う技量を見せつけたサトーに、ディアッカは一体何者なんだとこぼす。

 そしてぼさっとしている暇などないと、イザークたちの到着でこちらに来る余裕ができたゲイツにメテオブレイカーを任せて、交戦しているイザークたちの方へと向かった。

 

 

 

 一方エラム隊の方では、エールカラミティ、ゲルプレイダー、リジェネレイトからなる3機のモビルスーツの襲撃を受けたことで、部隊を二手に分けた。

 ジュール隊の援護には僚艦のディドロを送り、こちらに襲撃を仕掛けてきたアンノウンにはエラム率いる旗艦ヘルダーが対応。

 隊長のエラムも出撃し、ユニウスセブンに近づかせないよう迎撃したのだが──

 

「くっ──!」

 

「オラオラオラァ! どぉしたどぉしたぁ!?」

 

「う、うあああぁぁぁ!?」

 

 リジェネレイトから降りてきたゲルプレイダーとエールカラミティの2機のモビルスーツがエラム率いるモビルスーツ部隊にしかけてきたことで、これに抑えられリジェネレイトの突破を許してしまう。

 

「撃滅ッ!」

 

「速い──ぎゃあああ!?」

 

 そしてそのエールカラミティとゲルプレイダーは、コーディネイターでも耐えられないだろうGがかかるような無茶な動きすら取りながら、平和に浸ってなまくらになったザフトの兵士たちでは追いつかない速さで動き、4対2という数的不利を物ともせずエラム隊を圧倒していた。

 

 リジェネレイトとの接敵からわずか2分。

 その2分で4機いたはずのエラム隊のモビルスーツは次々に撃破され、気づけば隊長のエラムのみ。

 

「な、なんなんだこいつらは……!?」

 

「潰れろ、無様になぁ!」

 

「こんな、ところで──!」

 

 そのエラムもゲルプレイダーによって頭部を砕かれ、コクピットを短距離プラズマ砲“アフラマズダ”に撃ち抜かれて爆散、パイロットもろとも宇宙の藻屑に変えられてしまった。

 

「隊長ォ──!」

 

「艦長、カラミティが!」

 

「滅殺!」

 

「うあああぁぁぁ!?」

 

 そして、モビルスーツが全滅したことで丸裸にされたヘルダーに標的が映る。

 見逃すはずもないエールカラミティがスキュラに艦橋を撃ち抜き、まずはブリッジが壊滅。

 

「──終わりだ、沈みやがれぇ!」

 

 そしてゲルプレイダーの頭部に搭載されている高火力武装の100mmエネルギー砲“ツォーン”に推進機をやられ撃沈した。

 

「……次行くぞ。ラルフはそのままユニウスセブンに向かいナスカを沈めろ。俺とケーシュはケツを向けてるあのローラシアだ」

 

 瞬く間にヘルダーを沈めたエールカラミティとゲルプレイダーは、ユニウスセブンに向かうディドロに標的を移す。

 リジェネレイトにジュール隊のボルテールを狙うよう指示を出すと、エールカラミティを操縦するリーダー格のパイロットはゲルプレイダーとともにディドロへと向かっていく。

 

 ヘルガーが沈められたのはディドロの方でも観測されており、数の差を感じさせない圧倒的な強さでエラムたちを撃破したエールカラミティとゲルプレイダーがこちらに接近している状況に、ディドロもモビルスーツを出撃させることにした。

 

「リジェネレイトが来ます!」

 

「迎撃しろ!」

 

「だめです速すぎて捉えられません! ……リジェネレイト、本艦右舷を通過!」

 

「何!? ……狙いはジュール隊か! 行かせるな!」

 

 リジェネレイトはディドロからの砲撃を掻い潜ると、ジュール隊の旗艦であるボルテールに狙いを定めて減速することなくディドロの横を通過。

 リジェネレイトからの攻撃を想定していたディドロの方は拍子抜けしたが、艦長はすぐにリジェネレイトがジュール隊を狙っていることを察しメテオブレイカーを守るためにリジェネレイトを狙うよう指示する。

 

「エールカラミティとゲルプレイダーが来ます!」

 

「くっ……モビルスーツを出せ! 対空防御!」

 

 しかし、そのディドロにエールカラミティとゲルプレイダーが迫ってきたことでそちらへの対応をせざるを得なくなり、リジェネレイトへの攻撃を断念して2機のモビルスーツを迎撃する。

 

「エラム隊長の仇ッ!」

 

 出撃した2機のシグーは隊長の仇を取るべくビームガンで立ち向かうが──

 

「当たるかよ!」

 

「速い──なっ、いつの間に後ろにッ!?」

 

「オラ、ペシャンコになれよォ!」

 

「うあああぁぁぁ!?」

 

 1機はゲルプレイダーに一瞬で背後を取られてスーパーミョルニルに潰された上に、ツォーンでコクピットを撃ち抜かれて撃破。

 

「こいつ──!」

 

「遅いな……死ね!」

 

「馬鹿な──!?」

 

 もう1機はエールカラミティの機動に翻弄され捉えきれず、ビームガンの照準を合わせる前に距離を詰められ、ジャベリンモードを展開した空戦用複合兵装“アドラー”によりコクピットを串刺しにされて一撃で撃破された。

 

「ゼオン機、グラハム機、ロスト!」

 

「エールカラミティとゲルプレイダーが接近!」

 

「ぐっ……!」

 

 これによりディドロも僚機を失い丸裸にされてしまう。

 先ほど沈められたヘルガーと同じ運命を辿ることになるだろう状況に、艦長の黒服が表情を焦りで歪める。

 

 そのブリッジの様子を楽しむかのように、艦橋の前に出てくるエールカラミティ。

 胸部のスキュラが光り、艦橋を吹き飛ばす一撃を発射しようとしてくる。

 

 万事休すか……

 ブリッジのクルーが死を覚悟した時──

 

「────ッ!」

 

 エールカラミティに向けて複数のビームが飛来し、それを察知したエールカラミティが回避したことで、ディドロは間一髪のところで窮地を脱した。

 

 エールカラミティが離れた直後、そのビームを発射してきたモビルスーツにゲルプレイダーが飛んでいく。

 ゲルプレイダーと接敵したそのモビルスーツは、ツォーンを肩の装甲で防ぎ、ビームランスでスーパーミョルニルの攻撃を往なしてゲルプレイダーを躱すと、ディドロを守るように2機のモビルスーツの前に立ち塞がった。

 

「戻って正解でしたね、艦長」

 

「アビス──ユノか!」

 

 ヘルガーが沈められたのを見て、ディドロの救援のために戻ってきたモビルスーツ。

 それはアーモリーワンで強奪を免れたセカンドステージの1機である、ユノが搭乗するアビスだった。

 

「なんだぁコイツ?」

 

 見知らぬガンダムを前に、ゲルプレイダーのパイロットは警戒する。

 

「レイダー……にしては装備がかなり厳ついね」

 

 ユノの方もヘルガーを易々と沈め、今まさにディドロも沈めるところだったゲルプレイダーに対し、見たことのある機体だが知ってるそれよりだいぶ厳つい装備だなと警戒しつつ敵の機体を冷静に見て分析した。

 

「ユノ、もう1機いるぞ」

 

「分かってるよ」

 

 ゲルプレイダーと睨み合うユノに、ディドロから敵はもう1機いると通信が入る。

 アビスの3連装ビーム砲で邪魔をして、ブリッジのクルーとディドロに乗っている知り合いの整備士を救った時の、艦橋を狙っていたモビルスーツ。

 

「さてもう1機はと──は?」

 

 分かっているとディドロに返答し、一度は距離を取ったがまたディドロを狙ってこちらに飛んできていたそのモビルスーツの方へ目を向けるユノ。

 そこには再びディドロを狙うために接近してきているその敵機の姿があり──

 

「カラミティ……?」

 

 その機体を見た瞬間、ユノの目の色が変わった。

 

 カラミティ。

 祖母を失ったあの日……フリーダムと切り結び飛び回る、オノゴロで見た光景が蘇る。

 兄を失ったあの日……ボアズに核ミサイルを撃ち込まれた時、ピースメーカー隊に随行していた姿が蘇る。

 婚約者を失ったあの日……サトーから聞いた、アランの乗っていたゲイツを落とした機体の特徴を聞かされ、記憶にある機体と合致した時の……大切な人たちを奪ってきた、憎悪を向けたモビルスーツの記憶が蘇る。

 

 武装が違う。

 カラーリングが違う。

 それに、その機体はヤキンにて撃墜された。ジャスティスによって。

 

 だから、それは仇のあのカラミティじゃない。

 それは頭では理解していたが……

 

「──カラミティ!」

 

 だが、その機体を見てユノは感情を抑えられなかった。

 噴出した怨嗟の炎は、そのモビルスーツを大切な人たちを奪ってきたカラミティに重ねる。

 

「お前だけは、絶対に許さないッ!」

 

「ユノ!?」

 

 エールカラミティを見た瞬間、ユノは目の色を変え怒りの咆哮をあげると、エールカラミティめがけてアビスの武装を一斉に発射した。

 

「あん……? やる気かコイツ!」

 

 一斉斉射をその機動力で潜り抜けてきたエールカラミティは、ユノの攻撃を挑発と受け取る。

 そしてディドロから標的を変え、アビスに突撃してきた。

 

「面白い、受けて立つ!」

 

「ベルニス、テメェ! そいつは俺の獲物だ!」

 

 それを見たゲルプレイダーも、最初に睨み合っていたのは俺の方だぞとアビスへ仕掛ける。

 

 アビスを駆るユノは、エールカラミティとゲルプレイダーの2機を相手にし、ジュール隊の元にはミネルバから派遣されたシンたちに加え、さらなる混沌をもたらすこととなるリジェネレイトが向かった。

 

 その間にも、ユニウスセブンは地球に向かって落下を続ける。

 

 地球の運命は、如何に──

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