もしもザフト水泳部の新米が連合に盗まれずミネルバに加入したら   作:ちゃーらんき

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引き続きユニウスセブンでの戦闘になります。



割れる墓標

 

 イザークたちの到着とサトーの撤退。

 これによりやられる一方だったジュール隊は持ち直し、メテオブレイカーの設置作業が進められ、ついにユニウスセブンに大きな亀裂が入る。

 

「固定よし!」

「よし!」

 

 メテオブレイカーの掘削と起爆。

 ユニウスセブンに入った亀裂が大きく広がり、巨大な残骸をふたつに割った。

 

「グゥレイト! やったぜ!」

 

 サトーたちの妨害により予定よりも大幅に遅れたものの、ユニウスセブンを割ることに成功しディアッカがガッツポーズをとる。

 ようやく1回目の破砕が成功したことで、ジュール隊と遅れて到着したエラム隊やミネルバの方でも多くの隊員が歓喜の声を上げた。

 

「おのれ……!」

 

 一方、ユニウスセブンの落下を目指していたテロリストたちの方は墓標を砕かれたことに苛立ちを見せる。

 これ以上は砕かせてなるものかと工作隊を狙うが、そうはさせるかと合体しモビルスーツとなったインパルス、ルナマリアとレイのザクも到着と共にテロリストたちの前に立ち塞がり、メテオブレイカーに届かない。

 

「こちらミネルバ所属、インパルス! これよりジュール隊を援護します!」

 

「援軍感謝する! 来て早々だが、工作隊の防衛に入れ」

 

「はい!」

 

 到着したミネルバの部隊に、イザークが工作隊の防衛とテロリストの迎撃を指示する。

 シンたちはそれに従いメテオブレイカーの設置作業をする部隊を狙おうとするジンの前に出て、ビームライフルやビーム突撃銃にて攻撃を開始した。

 

「当たらない……くそっ、早すぎる!」

 

「ああもう、ちょこまかと!」

 

「旧型と見て侮るな、かなりの手練だ」

 

 3機の一斉射撃で接近するジンを狙うが、精兵の操縦するジンは巧みにそれを回避する。

 射撃が得意ではないと自負するルナマリアや狙撃よりも近中距離戦闘を得意とするシンだけでなく、射撃の成績もトップのレイですら掠めることもできず、近づかないようにするのが精一杯である。

 

「それでいい! 目的はユニウスセブンの破砕だ、戦闘じゃない」

 

 さらにそこへ人手不足で作業が遅れていたメテオブレイカーの設置の方に回り配置を終わらせてきた、アスランのザクが到着した。

 

「アスラン!?」

 

「貴様、こんなところで何をしている!」

 

 そしてアスランのザクの通信はディアッカとイザークの方も受信している。

 ザフトを抜けオーブに亡命したはずのかつての戦友の予想外の登場に、2人は驚きの声を上げた。

 

「そんなことはどうでもいい! 今は作業を急ぐんだ」

 

「あ、ああ!」

 

「分かっている!」

 

 しかし今は懐かしい言い合いをしている暇はない。

 アスランの言葉にディアッカはいきなりの予想外の再会にまだ戸惑いながら、イザークは「貴様に言われずとも分かっている!」と一瞬隊長の仮面が剥がれかつてのライバルであり戦友に対する態度に戻った。

 

「相変わらずだな、イザーク」

 

「貴様もだ!」

 

「やれやれ……」

 

 戦友の懐かしさを覚える昔と変わらぬ突っかかり方に、アスランは穏やかな声になり、イザークもそっちこそと口調こそ乱暴だがどこか嬉しそうな声で答える。

 そしてその2人のやりとりを聞き、ディアッカがお互い様だよというかのようなため息をこぼして、2人のザクの隣に自身のザクを並べた。

 

「ザクが何機こようが、我らの怨念払えると思うな!」

 

 かつてクルーゼ隊の元に集い、そしてヤキン・ドゥーエの戦いを乗り越え大戦を終結に導いた英雄たちが、再び同じ戦場に並び立つ。

 その中に誰が乗っているかを知らないジンが、無謀にも立ち塞がるザクを撃破せんと挑みかかる。

 

「ヤキン以来だな、こうして3人揃うの」

 

「行くぞ! メテオブレイカーをやらせるな!」

 

「俺が隊長だ! 民間人が指図するな!」

 

 ビームガンをシールドで防ぎ、迫り来るジンに3機が同時に向かっていった。

 

「何!?」

 

 交錯する直前、並んで飛ぶ3機のザクが示し合わせたように散開する。

 

「おっと!」

 

「そこだ!」

 

 ジンはディアッカのザクに狙いを定めようとするが、振り向きざまにアスランのザクがビーム突撃銃で正確にビームガンを撃ち抜き武装を破壊。

 

「イザーク!」

 

「やかましい!」

 

 爆発で視界が塞がれた一瞬の隙に距離を詰めたイザークのザクファントムがビームアックスでシールドを構える暇も与えず縦に切り裂き、2機目のジンを終戦後のブランクなど全く感じさせない3人の連携で瞬く間に撃破した。

 

「こいつら……!」

 

 この3機のザクは他とは違う。

 あの地獄の大戦を戦い抜いた精兵であるテロリストたちの方も、仲間が一瞬で機体の性能ではなくパイロットの腕と連携で撃破された光景を見て、只者ではないことを感じ取った。

 

「連携して仕留めるぞ!」

 

 このザクを落とさなければメテオブレイカーを狙えないと見たテロリストたちが、標的を工作隊からイザークたちに切り替え、集団で向かっていく。

 

「来るぜお二人さん!」

 

「ああ。俺が右を、イザークは左、ディアッカは援護を!」

 

「俺が隊長だ! 民間人が指図するな!」

 

 対してイザークたちの方も連携ならば負けないと、一瞬のやりとりで担当を決め、アスランが右のジンを、イザークが左のジンへ向かい、ディアッカは2人を援護するため長距離ビーム砲を構えた。

 

 イザークのザクファントムが突撃しながら肩のビームバルカンを乱射する。

 回避したところにディアッカの発射する長距離ビーム砲が直撃し、盾を構えたジンの腕を破壊。

 爆風で視界が塞がれた隙にイザークのザクファントムのビームアックスが胴体を両断して、さらに1機を撃破する。

 

「何だと!?」

 

 アスランとイザークが割れたことで、連携するつもりが分断された隙にあっという間に仲間を落とされ驚くテロリスト。

 そこへアスランの駆るザクがビーム突撃銃を撃ちながらブースターで加速し距離を詰めてきた。

 

「そこだ!」

 

「ぐぅ!?」

 

 ジンがシールドでビームを防ぐ隙に接近したアスランが、そのまま肩のシールドをぶつけてジンを吹き飛ばしバランスを崩す。

 同時にビーム突撃銃でビームガンを持つ方の腕を撃ち抜き武装を破壊。

 

「そらよ!」

 

 アスランが離脱したところにすかさずディアッカが長距離ビーム砲を撃ち込み、コクピットを貫きジンを撃破した。

 

「すご……」

 

「これが、ヤキン・ドゥーエを生き残ったパイロットの力……」

 

 まるで攻撃が当たらなかった相手を連携で瞬く間に3機も沈めたアスランたちを見て、ルナマリアとシンがその技量に思わず見惚れる。

 

「ぼさっとするな、2人とも! まだ作業は終わっていないんだぞ!」

 

「し、してないわよ!」

「ご、ゴメン!」

 

 動きの止まった2人にレイが叱責を飛ばしたことでようやく2人も我に帰り、接近するジンへ向けてそれぞれの武装を向けた。

 

「ナチュラルにすり寄るデュランダルの犬ども! 我らの怨念、思い知れ!」

 

 イザークたちに歯が立たないことを受け、標的をメテオブレイカーからシンたちに変えてきたテロリストの1機。

 もはやユニウスセブンの破砕を阻止するよりも、裏切り者と蔑むザフトを1人でも道連れにするため、未熟なパイロットを標的にしてきた。

 

「こっちに──」

 

 自分たちを狙うジンの接近に気づいた3人も迎撃するが、テロリストはジンのスラスターを駆使して3機同時に撃ってくるビームを掻い潜り距離を詰めてくる。

 

「なっ──!?」

 

 しかし今度はそこへ別の方向から放たれたビームがジンを貫き、3機にたどり着く前にジンを撃墜した。

 

「一体何が──うわっ!?」

 

 別の友軍の援護かと思いそのビームの飛来した方向を見ようとしたシンだが、3機を狙うジンを落としたそのモビルスーツはそのままシンたちの方に狙いを定めてビーム砲を乱射してきた。

 

「何だよあいつ!」

 

 テロリストを落としたと思ったら、今度はザフトを狙ってくる。

 そんな不可解な攻撃を仕掛けてきた第三者のモビルスーツ。

 

 それは紫のカラーリングを施された、他のモビルスーツをはるかに凌ぐ巨大な機体。

 

「……殲滅開始」

 

 エラム隊を襲った所属不明の3機のモビルスーツの1機、リジェネレイトだった。

 

「嘘だろ……!?」

 

「馬鹿な……なぜあの機体がここにいる!?」

 

 ファーストステージシリーズのモビルスーツ。

 ヤキン・ドゥーエで撃墜されたはずの機体の登場に、イザークたちも目を疑う。

 

 リジェネレイトは飛行用のモビルアーマー形態からモビルスーツの形態に変形しユニウスセブンに降りると、巨体に備えるビーム砲やロングビームライフルを周囲のザフトのモビルスーツに向けて無差別に発射してきた。

 

「うわああああ!?」

 

 高威力のロングビームライフルが、破砕作業を進めていたゲイツを撃墜する。

 それにより動かそうとしていたメテオブレイカーの固定が外れ、1機が倒れてしまった。

 

「やめろ!」

 

 すぐにシンがやめさせようとリジェネレイトに攻撃を仕掛ける。

 それに対しリジェネレイトはメテオブレイカーから標的をシンたちに切り替えると、ビーム砲を発射しつつ巨大なビームソードを抜刀して向かってきた。

 

「来るぞ!」

 

 巨体に見合わぬ急加速で接近してくるリジェネレイトに、レイが2人に警告するとともにファイヤビーのミサイルを発射し迎撃を試みる。

 シンとルナマリアもそれぞれ別方向に散開し、この突然の乱入者に対して3方向から同時攻撃を仕掛けた。

 

 各々の攻撃はリジェネレイトの巨大な機体に命中し、肩や腕を破壊する。

 ビーム砲を搭載する左肩部にルナマリアの長距離ビーム砲が直撃し、巨大なビームソードを展開する腕はインパルスのビームライフルに撃ち抜かれ、リジェネレイトの武装が落ちた。

 

「レイ!」

 

「これで──!」

 

 すかさずレイがビームトマホークを抜き、ビームソードを失ったまま距離を詰めてきたリジェネレイトに切り掛かり、胴体部を切り裂く。

 

 リジェネレイトの機体が爆発する。

 あれだけの損害なら落としたはずと確信する3人だが──

 

「──新規パーツ接続」

 

「ぐっ──!?」

 

 リジェネレイトのパイロットが乗るコアは、通常のモビルスーツとは異なり本体の後方。

 そしてリジェネレイトは破損した箇所を切り離し無数の予備パーツに交換することですぐに戦線に復帰する機能を持つ。

 インパルスの合体機構の元にもなった、再生を冠する機体名の通りにすぐに換装したリジェネレイトはすぐに武装を再編すると、ザクファントムを巨大な腕で掴み上げビームソードで両脚を切り落とし、爆発の噴煙の中からインパルスめがけてザクを投げ飛ばした。

 

「レイ!」

 

 レイのザクが投げ飛ばされてきたことに驚きつつも、背後にまだ作業中のメテオブレイカーがあったこともありインパルスでザクを受け止める。

 流石に支えきれず転倒してしまったが、メテオブレイカーにザクをぶつけられるという最悪の事態は防いだ。

 

「反則じゃない、あんなの……!」

 

 そして煙の中から出てきたのは、まるで何事もなかったかのように再生を果たしたリジェネレイト。

 先ほど撃ち抜いたはずのビームソードを両腕に展開し、悪態つくルナマリアのザクに狙いを定めスラスターで向かってきた。

 

「──ッ!」

 

 ルナマリアは長距離ビーム砲で迎撃するも、直撃した箇所のパーツをすぐに切り離し予備を換装することで損害を気にせず進むリジェネレイトを止めることができない。

 

「ルナ!」

 

 インパルスを立て直したシンがルナマリアが狙われているのを見て、やらせるかとビームライフルでリジェネレイトを攻撃するが、スラスター部にビームを直撃させて破壊しても、こちらも予備のパーツがすぐに飛んできて換装するし、パイロットもその間機体を難なく制御し姿勢を崩さなかったため、リジェネレイトを止めることはできなかった。

 

 間合いを詰めたリジェネレイトが、構えようとした長距離ビーム砲の砲身を掴み押し退け、もう片方の腕に展開するビームソードを振り上げる。

 

「舐めるなぁ!」

 

 それに対しルナマリアは掴まれたビーム砲を離すと、ビームトマホークを抜いて逆にリジェネレイトの懐に飛び込み、ビームソードを振り下ろしてくる腕を受け止め一瞬の隙を作るとリジェネレイトの頭部にビームトマホークを叩き込んだ。

 

「格闘戦の方が得意なのよ!」

 

 銃でもモビルスーツでも射撃は得意じゃないと自負するルナマリアだが、一方で格闘戦は彼女の得意分野。

 ならば何故毎回砲撃戦用装備ででたがるのかという不粋なツッコミは無しで。

 間合いを詰めた近距離戦は彼女の土俵であり、リジェネレイトに臆さずその懐に入り込んで一撃を叩き込んでみせた。

 

「まだまだぁ!」

 

 トマホークが突き刺さった状態のリジェネレイトに、さらに機体の重量を乗せたシールドバッシュを叩き込む。

 モビルスーツ1機分の重量を乗せた突進を受け、リジェネレイトはバランスを崩し背中から倒れ込んだ。

 

 そしてすかさずリジェネレイトにまたがり、頭からから引き抜いたトマホークを振り上げる。

 

「貰った──え!?」

 

 そしてトドメと言わんばかりにトマホークを振り下ろそうとした時──突如としてザクウォーリアがトマホークを振り上げた状態で停止した。

 

「嘘、また故障!?」

 

「ルナ!? どうしたんだよ!」

 

 こんな時にまた故障かと思ったルナマリアだが、計器に異常はない。

 それを見てなら何で操縦が効かないのかと戸惑うルナマリアだが、次の瞬間彼女の意思に反してザクは勝手に動き出し、トマホークを近づいてきたインパルスめがけて投げつけた。

 

「危なっ!? 何すんだよ!」

 

「待って違う! 機体が勝手に動いて──きゃぁ!?」

 

 トドメを刺そうとしたところで突然停止したルナマリアを心配して近づいてきたら、いきなりトマホークを投げつけられるという味方からの奇襲攻撃を受け、何とかシールドでトマホークを受け止めたシンが何すんだよとルナマリアに文句を飛ばす。

 しかし機体の操縦がいきなり不可能になった上に、勝手にザクが動き出すという状況に陥ったルナマリアは違うと叫び、ザクを止めようと効かなくなった操縦桿を動かそうとしてリジェネレイトから飛び降りた衝撃に振り回され悲鳴を上げた。

 

「ウィザードシステム換装部、コネクター接続」

 

 リジェネレイトのコアユニットと末端ユニットを接続するコネクター。

 リジェネレイトを構成する多数のパーツと接続するためのこのコネクターは、本体バッテリーから供給されるビームライフルやウィザードシステムの換装ユニットなどの外部ユニットと接続するためのプラグがある機体に繋げば本機の無尽蔵にエネルギーを生み出す核エンジンから電力を供給できるようになる他、接続した対象の機体の制御を掌握できるという機能を持つ。

 ルナマリアのザクが乗ってきた時、リジェネレイトは密かにそのコネクターをザクに繋いでおり、ザクの制御をコクピットから奪ったのだ。

 

 つまり、今のルナマリア機はリジェネレイトのパイロットの思うがままに動く状況にある。

 ザクのコクピットからではどうすることもできず、立ち上がったリジェネレイトをインパルスから守るように立ち塞がると、リジェネレイトが渡したロングビームライフルを状況がわからず手が出せなくなったインパルスに向けて発射した。

 

「どうしたんだよルナ!」

 

「わかんない! ザクが勝手に動いてるのよ!」

 

「ザクが勝手に……!? あのモビルスーツの仕業か!」

 

 まるで寄生するかのように、あるいはNTRを見せつけるようにガナーウォーリアのウィザードパックを引き剥がしたザクの背中にコネクターを繋ぎ、変形して合体するリジェネレイト。

 その巨体を無尽蔵のエネルギーをザクに供給する、砲台とブースターを兼ね備えた豪勢な背面装備にすると、制御を奪ったルナマリアのザクでインパルスに向かってきた。

 

「緊急脱出は!?」

 

「ダメ、脱出装置も作動しない!」

 

 高出力のロングビームライフルをトマホークが突き刺さっているシールドで防ぎながら、シンはルナマリアに対してザクから脱出できないかと訊くが、緊急脱出機能もリジェネレイトに奪われてしまっているため無理だという答えが返ってくる。

 そうなるとコクピットに閉じ込められているルナマリアは人質も同然となっていた。

 

「お姉ちゃん!」

 

「よくもルナを……! 待ってろ、すぐに切り離して助けるから!」

 

 リジェネレイトはザクの背中に張り付いている状態のため、ビームライフルではルナマリアのザクに当たってしまう可能性がある。

 ルナマリアの言葉でリジェネレイトにザクの制御を奪われたことを察したシンは、リジェネレイトを引き剥がしルナマリアを救うためにビームライフルからビームサーベルに装備を変更し、ザクの撃ってくるロングビームライフルを交わしながら背後に回り込もうと試みた。

 

「……迎撃」

 

「くっ……!」

 

 しかし、背後をとろうにもリジェネレイトはビーム砲で弾幕をはり、すぐに向きを変えてザクを前に出してくるため、単機では近づくことができない。

 

「誰か、インパルスの援護をお願いします! お姉ちゃんを助けてください!」

 

 機体を乗っ取られ人質に取られたルナマリアと、それを命懸けで助けようとするも苦戦するシンの姿に、メイリンは思わずオペレーターの責務を忘れ助けを求めた。

 

「メイリン、気持ちはわかるけど優先するべきはユニウスセブンの破壊よ。勝手な通信はやめなさい」

 

「す、すみません……!」

 

 勝手なことをするなとタリアが注意する。

 リジェネレイトはテロリストと異なりメテオブレイカーが標的ではないのか、インパルスに標的を移して以降は作業を進めるジュール隊には攻撃していない。

 もちろんタリアもルナマリアを見捨てるつもりなどないが、現状はインパルスにリジェネレイトを抑えてもらうしかなかった。

 

 イザークたちの方も戦闘中であり、援護する余裕はない。

 彼らの妨害によって予定より大幅に遅れている作業を急ぐためにも、ディアッカとアスラン、シホもメテオブレイカーの設置に参加しており、インパルスの援護に回せる戦力はない。

 

「シン……お願い、お姉ちゃんを……!」

 

「大丈夫だメイリン! 絶対……絶対、助ける! 諦めたりなんかしない!」

 

 涙声になっているメイリンに、絶対助けると言い聞かせるシン。

 

 とはいえ単機では背後のリジェネレイトを狙えない。

 どうすればいいかと、ビーム砲やロングビームライフルの攻撃を回避しながら、シンは何とかリジェネレイトの隙がないかを探る。

 

 

 

 

「エラム隊ディドロ到着! 追加のメテオブレイカーです!」

 

 一方ジュール隊の方では、ユノのアビスが2機のモビルスーツを抑えている間に、追加のメテオブレイカーを運んできたディドロがジュール隊の方に合流してきた。

 

「ヘルガーはどうした!?」

 

「所属不明のモビルスーツの襲撃を受け、ヘルガーは撃沈。エラム隊長も……」

 

「そうか……よく運んできてくれた。設置を急ぐぞ!」

 

 エラム隊の旗艦の所在を尋ねるイザークに、ディドロの艦長が沈められたことを伝える。

 エラム隊も襲撃を受けていたことはジュール隊にも知らされていたため、エラムたちが戦死したことを聞いたイザークは彼らの無念を晴らすためにもユニウスセブンを砕くと、合流してきたエラム隊の生き残りも指揮下に加えてさらにメテオブレイカーの設置を進めていく。

 

 しかしそこに武装を失い一度離脱していたはずのサトーらテロリストの生き残りのジンが迫ってきた。

 

「これ以上はやらせん!」

 

「娘の墓標、落として焼かねば報われぬ!」

 

「諦めの悪い奴らめ、メテオブレイカーを守るぞ!」

 

 インパルスの援護に向かおうとしたところで再び仕掛けてきたテロリストにより、そちらの迎撃を優先しなければいけなくなる。

 近づかさせるかと再びヤキンを生き抜いた精兵同士がぶつかろうとしたところ、別の方向から飛んできたレールガンの攻撃が合流したエラム隊のゲイツを撃ち落とした。

 

「何!?」

 

「レイダーだと……!?」

 

 新たな乱入者は、アビスと交戦していたはずのゲルプレイダーだった。

 

 ヤキンにて刃を交えたブーステッドマンの駆使する、連合製モビルスーツ。

 武装など異なる箇所は多いが、アスランたちにとってそのガンダムは強く印象に残る機体であった。見間違うことはない。

 

「ナチュラルが、邪魔をするな!」

 

 新たな乱入者からの攻撃。

 それに対して、娘の仇だと言わんばかりに切り掛かっていったテロリストのジン。

 

「ザフトは全員落ちろォ!」

 

 エラム隊を襲ったモビルスーツ。

 それはテロリストの仲間ではないらしく、攻撃してきたジンに対してレールガンにて攻撃し、それを回避したところに回避先を予測していたかのような完璧なタイミングでツォーンを撃ち込まれ、流れるような動きで精兵の駆使するジン1機を撃墜した。

 

「…………ッ!」

 

 歴戦の兵士である仲間を一捻りで落としたゲルプレイダーに挑むのは分が悪いと見たのか、サトーは再び離脱する。

 するとゲルプレイダーの標的はザフトの方に移り、機首をイザークたちに向けてきた。

 

「ええい、今度は連合のモビルスーツだと!? リジェネレイトといい、何が起きている!」

 

 いったいこの戦場に何がきているのか? 

 この新たな敵もユニウスセブンの落下に関わっているのか? 

 テロリストを落としたが繋がっているわけではないのか? 

 疑問が尽きぬ中、それでもメテオブレイカーを守るため、イザークたちはこの新たな襲撃者を迎撃するべく対峙した。

 

「俺とイザークで抑える! ディアッカは援護を!」

 

「分かってるって!」

 

「だから貴様が命令するな!」

 

 新たな敵に、即座に連携をとる元クルーゼ隊の3人。

 ゲルプレイダーの発射してくるツォーンを3方向に分かれて回避すると、アスランとイザークが左右から挟み込むようにして攻撃を仕掛けていく。

 

「当たるかよォ!」

 

 ゲルプレイダーは持ち前の機動力でそれを易々と回避。

 しかし当然アスランたちもこの程度で落とせる敵ではないと見ているため、イザークはビームバルカン砲で追撃し、当たらぬよう加速して避けるゲルプレイダーにその進行先へとディアッカが長距離ビーム砲で狙撃を仕掛ける。

 

「面白ぇなテメェら!」

 

 完璧なタイミングと狙いでビーム砲を撃ったディアッカだが、それを見たゲルプレイダーは当たる寸前にモビルスーツ形態に変形してスラスターを逆噴射し急停止させることで回避した。

 

「嘘だろッ!?」

 

 あんな避け方してはコーディネイターでもGで意識が吹っ飛ぶはず。

 驚くディアッカを尻目に、そこから急上昇したゲルプレイダーがイザークのザクファントムへスーパーミョルニルを射出する。

 

「くっ──!」

 

 同時にすぐさまその動きに対応してビーム突撃銃を撃ってきたアスランのザクにもレールガンを撃ち込み、ゲルプレイダーは左脚を、アスランのザクはビーム突撃銃を被弾して失った。

 

「おっと、相打ちかぁ……面白ぇなぁ!」

 

 相打ちとはいえ、己の操るゲルプレイダーに当てるザフトがいたことに、ゲルプレイダーのパイロットが口角を上げる。

 

「調子に乗るな!」

 

 そこへビームアックスでスーパーミョルニルを弾きそのまま距離を詰めてきたイザークのザクファントムが、ビームアックスを振り下ろしてきた。

 

「はっはぁ! テメェも面白ぇな!」

 

 十時を切るように縦横に大きく振るわれて繰り出される2度の斬撃に、一つ目の縦の斬撃は下がって回避し、距離を詰めて仕掛けてきた二つ目の斬撃は先ほどの意趣返しだとスーパーミョルニルでアックスを弾くゲルプレイダー。

 

「そこッ!」

 

「うわっとぉ!?」

 

 そこに今度は隙を見逃さなかったディアッカが長距離ビーム砲を発射。

 ディアッカがここを狙うと長い付き合い故にわかるイザークがザクファントムを回避させた直後に、スーパーミョルニルでザクファントムを叩き潰そうとしていたゲルプレイダーの左腕を吹き飛ばした。

 

「せえええぃ!」

 

 そこにイザークのザクファントムがすかさずビームアックスを振り下ろす。

 ゲルプレイダーは右腕を犠牲にして何とかそれを回避したものの、直後に今度はアスランのザクがビームトマホークを投げつけてくる。

 

「こいつで──!」

 

「危ねぇっ!?」

 

 ビームトマホークは寸前で気づいたゲルプレイダーが機体をバク転させ、イザークのザクファントムを蹴り上げながらアクロバティックな動きにより紙一重で回避する。

 

「ぐっ……!」

 

「そこだ決めるぜ!」

 

 これによりイザークのザクファントムが蹴り飛ばされたが、狙っていたディアッカが長距離ビーム砲で狙撃してきた。

 

 この1発はゲルプレイダーの左肩に直撃。

 爆発を起こし、ゲルプレイダーを吹き飛ばす。

 

「クソがぁっ! こいつで──」

 

「させるか!」

 

「何ィ!?」

 

 バランスを崩し落下するゲルプレイダー。

 それでも無理な姿勢からイザークのザクファントムを狙いレールガンを撃とうするが、そうはいくかとアスランが落下するゲルプレイダーに予備のビームトマホークを投げつけてレールガンを切り裂いた。

 

「そこだぁ!」

 

 そこへイザークがビームバルカンを撃ち込み、ゲルプレイダーの機体の装甲はガリガリと削られ──

 

「今度こそ決めるぜ!」

 

「うっそだろォ!?」

 

 回避できない状況の中でディアッカの長距離ビーム砲を喰らい、ダルマ状態になって宇宙へ飛ばされていった。

 

「ハァ……ハァ……」

 

「チッ……」

 

 アスランはビーム突撃銃を失い、イザークはアックスをミョルニルに潰されたことで歪んでいる。

 突然の襲撃者を何とか撃退した3人だったが、メテオブレイカーを守りながら手練れのジンを相手に戦い、直後のこの襲来者との交戦で、流石に疲労の色が見えていた。

 

「まだ戦闘は終わっていない! 向こうは厄介な状況のようだ。ディアッカ、シホ、インパルスの援護に向かうぞ!」

 

 しかし、まだ戦闘は終わっていない。

 イザークは破砕作業を進めるように指示を出すと、ディアッカとシホを伴いインパルスの援護に向かう。

 

「俺も──」

 

「貴様は今の戦闘で武装を全てやられているだろうが! 民間人は大人しく破砕作業を手伝え!」

 

「……すまない」

 

 アスランは自分もインパルスの援護に向かおうとしたが、彼の借りているザクはゲルプレイダーとの戦闘で武装を全て失っていたため、イザークは破砕作業を手伝っていろと指示してアスランを置いてインパルスの方に向かっていった。

 

 

 

 一方、ジュール隊の方にきたゲルプレイダーと戦っていたはずのアビスの方は──

 

「殺す殺すコロスコロスコロス──お前を殺す! カラミティ!」

 

「滅殺ッ! 撲殺ッ! 大虐殺──ぐおっ!?」

 

 復讐により視野狭窄に陥っているユノは、ゲルプレイダーを無視しエールカラミティに集中攻撃を仕掛けていた。

 

 最初の方こそゲルプレイダーも俺の獲物だとアビスに突っかかっていたが、エールカラミティに対しては殺意むき出しでぶつかる一方でゲルプレイダーはバラエーナや連装砲にて追い払うばかりであり、嫌気がさしたゲルプレイダーが抜けていったのである。

 

 一応、ディドロはその時点でジュール隊に合流していたので、ゲルプレイダーはイザークたちに標的を変え何機かモビルスーツを撃破しそして返り討ちにされて退場したので、ディドロの防衛には結果的には成功している。

 

 そんな形でエールカラミティと一騎打ちの形となり、アビスの武装を総動員してエールカラミティとやり合っていたのだが、ゲルプレイダーがやられたのを見たエールカラミティが戦いを切り上げた。

 

「ケーシュ!? ……勝負はお預けだ、新型!」

 

「待てカラミティ!」

 

 ゲルプレイダーがやられたことで、踵を返して味方の回収に向かったエールカラミティ。

 空戦用として開発された機体の運動性能を発揮し、アビスが追いつけない速度で離脱していく。

 

 それでも逃がすものかとユノはシールド内の3連装ビーム砲とカリドゥスによる一斉斉射をその背中に発射するが、エールカラミティはユニウスセブンの瓦礫を盾にそれを回避して去っていった。

 

 カラミティへの憎悪で視野狭窄を起こしているユノは、絶対に逃がさないとエールカラミティを追撃しようとする。

 

「カラミティ! お前だけは──」

 

「誰か、インパルスの援護をお願いします! お姉ちゃんを助けてください!」

 

「────ッ!?」

 

 しかし、復讐に取り憑かれていたユノの耳に、ミネルバからメイリンが発した救援要請が聞こえたことで、正気を取り戻した。

 

「インパルス……? シン!」

 

 ミネルバがユニウスセブンに来ていることは、ユノも把握している。

 そのミネルバから、冷静でしっかり者のオペレーターのメイリンが酷く取り乱した様子でインパルスの援護要請をしてきた。

 

 インパルスにはシンが乗っている。

 あのメイリンがこれだけ慌てながら援護を要請してきたということから、ユノはシンが窮地を陥っていると感じ、カラミティへの復讐モードから、大事な弟を守らなければという重度のブラコンモードに切り替わった。

 

「待っててシン……すぐに助けに行くから!」

 

 もはやエールカラミティは見えていない。

 先ほどまでとは別方向を向く視野狭窄に陥ったユノが、アビスをミネルバのいる方へと飛ばす。

 

 

 

「援護する、状況を説明しろミネルバ!」

 

「おっと、こいつはヤバいことになってるな……!」

 

「リジェネレイトに乗っ取られたのか」

 

「すみませんジュール隊長!」

 

「お待たせシン、お姉ちゃんが助けに来たよ!」

 

「姉さん!? なんでここに──」

 

 そして、各々の戦闘を片付けた者たちが、仲間を囚われ攻めあぐねるシンの援護に集結した。

 

「敵増援……」

 

 対するは、ルナマリアのザクを乗っ取るリジェネレイト。

 

 地球に向かって落ちていくユニウスセブンの上にて、2年前の大戦において最強の一角に立っていた核動力モビルスーツに、新たな時代に生み出されたザフトの新鋭機たちが立ち向かっていく。




未来の彼氏の前で、ヒロインの機体に後ろから取り付いてプラグを接続……これで彼女の機体は言いなりに……

くだらない妄想はさておき、今回はここまで。
次回はリジェネレイト戦になります。
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