もしもザフト水泳部の新米が連合に盗まれずミネルバに加入したら   作:ちゃーらんき

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お待たせいたしました。
ミネルバの出航になります。
前半はコロニー外におけるガーティー・ルーとザフト艦隊の戦闘、後半はインパルスを追ってミネルバの出航になります。


ミネルバ

 

 一方、アーモリー1の外では。

 軍港を潰したといっても、議長が訪れている軍事工場のコロニーである。

 ミネルバの進水式を控え多くの人が訪れていることもあり、警備に当たるザフトの数も普段以上に多く展開している。

 コロニーの近郊と軍港のザフトが壊滅したとはいえ、外苑にはまだ警備艦隊が控えている。いくらテスタメントによる大規模な通信妨害を仕掛けているとはいえ、異常を察知したザフトの部隊が続々とアーモリー1に集結しつつあり、到着した順にガーティー・ルーと交戦していた。

 

「左舷後方よりゲイツ接近、数3。敵増援、新たにナスカ級1、ローラシア級1を確認」

 

「アンチビーム爆雷発射と同時に、加速20%。1番から4番、コリントス装填。ゴットフリート3番並びに4番、目標敵ナスカ級。ダークダガーL隊を呼び戻せ、敵モビルスーツ部隊を迎撃!」

 

「コリントス発射!」

 

 オペレーターからの新たな敵艦隊接近の報告を受け、イアンがその対応を指示する。

 対艦ミサイルを装填し、ビームを拡散させるアンチビーム爆雷を散布。

 艦の速度を少し上げて、ダガー隊を呼び戻しつつ敵のゲイツを迎撃しながら艦隊に対応するべくゴットフリートを高速艦であるナスカ級に対し優先的に砲撃させる。

 

「先ほどテスタメントがコロニー外壁の破壊に成功したが……む?」

 

 テスタメントがアーモリー1の外壁を破壊して侵入し少し時間が経つが、強奪する予定のザフトの新型機の姿はない。

 先ほどネオがモビルアーマー“エグザス”にて出撃したが、初手こそ計画通りザフトを圧倒しているものの敵の増援は増える一方である。

 

 もしかしたら失敗したのではないか? 

 生体CPUに対してあまり良い印象を抱いていないイアンはスティング達がこの任務に失敗したのではないかという予想が頭をよぎったが、その矢先テスタメントが作った穴からガイア、カオス、そしてザクが出てきた。

 

「やってくれたか」

 

 出てきたモビルスーツが3機だったことから、エクステンデッドによるモビルスーツの強奪がうまく行ったことを確認したイアン。

 情報通りの機体が照合させたところ、オペレーターから強奪予定にあった新型2()機であることが確認できた。

 

「確認しました。ガイアとカオス、情報にある新型の2機です」

 

「……2機、だと?」

 

 しかし、オペレーターからもたらされた報告は、新型2機。

 1機はザフトの最新鋭機とはいえ、量産機であるザクウォーリアであり、今回強奪する予定のアビスではない。

 どう言うことかと確認を取ろうとするイアンに、スティングからアビスの強奪に失敗したという報告を受けていたネオから通信が入った。

 

「リー艦長、スティング達を収容してくれ。どうも情報にない新型機が介入したせいで強奪任務がうまくいかなかったらしい。とりあえず2機だけでも回収しておきたい」

 

「……わかりました。ガイアとカオスの収容を!」

 

 目的の完全な達成は果たせなかったが、新型2機の強奪には成功した。

 イレギュラーは戦場にいくらでもある。想定通りの戦果が挙げられるなど滅多にない幸運であり、大体何かしらの不測の事態があるものだ。

 正確にはファントムペインではないイアンは、戦場のイレギュラーというものに理解があり、新型2機とザフトの最新鋭量産機の強奪を果たしただけでも十分な戦果だと受け取る。

 敗北が許されない生体CPU達は通常失敗すれば廃棄、すなわち殺処分されるものだが、そのあたりの感性は厳密にはファントムペインに属さない生粋の軍人であるイアンにはない。

 

「カオスおよびガイアを収容。続いてザクウォーリアを収容完了」

 

「テスタメントはどうしますか?」

 

「あれは我々の指揮下にはないモビルスーツだ。これ以上巻き込むわけにもいかん、勝手に撤退するならば我々が収容する必要もないだろう」

 

「了解。ダガー隊、帰還します」

 

 ガーティー・ルーのハッチを開き、撤退させたダガーLに続きカオスとガイア、そしてザクウォーリアを収容する。

 エクステンデッドについてはファントムペインに任せ、イアンはこちらに攻撃を仕掛けてくる敵の増援艦隊の迎撃に意識を向けた。

 

「ナスカ級、撃沈を確認。敵ローラシア級後方より新たな敵艦確認、数1。ローラシア級です」

 

「敵ゲイツ隊接近──消失。テスタメントの攻撃と推定されます」

 

「敵ローラシア級よりモビルスーツの発進を確認、数5。シグー1、ジン・ハイマニューバ1、ジン3。内2機にD装備を確認」

 

「スレッジハマー発射、目標前衛ローラシア級。続いてコリントス発射、目標敵モビルスーツ隊、D装備ジン。スレッジハマー発射後、1番から4番、コリントスに差し替えろ」

 

「スレッジハマー発射!」

 

 離脱するテスタメントが置き土産のつもりか、それとも何か腹に据えかねることがあり当たり散らすちょうどいい的があったからか、途上にいたガーティー・ルーに肉薄しようとするゲイツ隊を一瞬で蹴散らして離脱していく。

 それを受け、イアンは目標を前衛のローラシア級に指定し対艦ミサイルを発射しつつ、対空ミサイルを続けて装填させ接近する新手のモビルスーツに備える。

 

 対するザフトの方はテスタメントに奇襲で先行するゲイツ隊を蹴散らされ、ガーティー・ルーのゴットフリートによりナスカ級が撃沈されるも、新たにローラシア級が1隻増援に接近しており、さらにそこから要塞攻略用装備である短距離ミサイル“キャニス”を装備するジンを含めるモビルスーツ部隊が出撃してきた。

 

 今回の目的であるザフトの最新鋭機であるセカンドステージシリーズのモビルスーツ強奪は、3機全部とはいかなかったもののすでに達成している。

 残るは時間を稼ぐためとスティング達の撤退を支援するために出撃したネオのエグザスを収容するだけだが、そのエグザスはカオスとガイアを追いかけてコロニーの外に出てきたザフトのモビルスーツと戦闘状態に入っていた。

 

「大佐は?」

 

「情報になかった敵新型機が追撃してくるのでそれを迎撃、可能ならば捕獲を試みるとのことです!」

 

「敵の増援は次々にきている、長くは持たない。……可能な限り持たせるが、5分が限界だ。それまでに撃破ないし捕獲ができなければ撤退して頂くと返答しろ」

 

「了解!」

 

 ザフトが数では圧倒的に優勢なのである。

 ガーティー・ルーはかなり強力な武装を備えているが、それでも続々とくる敵軍にいつまでも保っていられるわけではない。

 

 テスタメントを頼らなければならなくなった原因と思われる情報にない新型機。

 ネオはガーティー・ルーへの追撃を止めるためにエグザスでこれを足止め、可能ならばアビスの代わりにこれの捕獲を試みるという。

 イアンは欲を張りすぎて足を掬われないようにと忠告しつつ、接近してくるザフトのモビルスーツ部隊の迎撃の指揮を取る。

 

「コリントス発射! キャニスは一撃でも当たれば撤退に大きな影響を出しかねない、絶対に落とせ!」

 

「了解。コリントス1番から6番発射、目標D装備ジン」

 

 ガーティー・ルーから対空ミサイルが発射され、重装備のジンを優先的に狙い落としていく。

 

 その反対側、テスタメントによって開けられたコロニーの穴がある方では、ガイアとカオスを追撃してコロニーの外に出てきたインパルスと、それに追随するレイのザクファントムに、ネオのエグザスが奇襲を仕掛けていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 コロニーから出て行ったカオスとガイアを追撃するため、ミネルバから飛ばされたフォースシルエットに換装したインパルスは、外の状況がわからない中奪われた機体が出て行ったコロニーの穴から宇宙に飛び出した。

 

「シン、単機は危険すぎる!」

 

「分かってる! けど、このままみすみす逃すわけにもいかないだろ!」

 

「まだ外の状況もわかっていないんだぞ!」

 

 テスタメントとNダガーNの部隊に妨害されたこともあり、奪われた機体に遅れをとる形で宇宙に出たシンとレイ。

 すでに3機はインパルスとザクの射程から逃れ、ガーティー・ルーの方に撤退してしつつある。

 

 インパルスにてコロニーから飛び出したシンは、戦闘が発生している方向に目を向けてそこに見たこともない形状の戦艦がザフトの艦隊と戦闘しており、そこに向かって飛んでいる3機の奪われた機体の姿を見つけた。

 

「あいつら──まだ追いつけるな、よし……!」

 

 見つけるなり、シンは迷わず追撃するべくインパルスを飛ばす。

 インパルスに続きコロニーの穴から飛び出したレイも、インパルスの飛んでいく方向にザフトの艦隊と交戦するガーティー・ルーとそこに向かって逃げるように飛んでいく3機のモビルスーツの姿を確認した。

 

「あれは、敵の母艦か……テスタメントは──何だ?」

 

 インパルスを追いかけながらテスタメントの姿がないことを警戒するレイだが、その時不思議な感覚が過ぎる。

 何か、懐かしさのようなものも覚える感覚。

 その感覚が示した方向に意識を向けた時、レイのザクの後方から接近してくる未確認のモビルアーマーの姿を見つけた。

 

「……ッ!」

 

「完璧な奇襲と思ったんだが……どうして、骨のあるザフトもいるみたいじゃないか!」

 

 咄嗟にレイが反応し、エグザスの攻撃を防ぐ。

 それを見たネオは、タイミング的には完璧に背中をとった奇襲となるはずだったのに寸前のところでそれを回避されたことに、なかなかどうして平和に浸った腑抜けが多いなか勘の鋭いザフトがいるものだと感心しつつガンバレルを飛ばす。

 

「あの新型をいただきたいところだが、まずは厄介そうな君から落とさせてもらおう!」

 

「くっ──!」

 

「レイ!」

 

 制御と操作に高度な空間認識能力が必要な、有線式ガンバレル。

 それを四機も駆使する謎のモビルアーマーを駆使する敵に、謎の感覚で咄嗟に奇襲に対応できたとはいえ、四方からのビーム砲の攻撃に晒され苦戦を強いられる。

 その窮地に気づいたシンが、インパルスを翻して救援に飛んできた。

 

「へえ……仲間思いじゃないの。けど、こっちとしてはむしろ好都合!」

 

「シン、何故こっちに来た!? 新型は──」

 

「お前の方が大事だからに決まってるだろ! それに、俺1人だとあいつらに勝てない自信がある!」

 

「迷わずコロニーの外に飛び出した割に慎重だな」

 

 フォースインパルスならば追いつけたかもしれないのに、逃げる新型機の追撃よりもレイの救援を優先してエグザスのところに飛んできたシン。

 仲間思いであり、同時に熱くなりやすいのに意外と冷静なところもある同期に、レイはため息をこぼしながらも共闘してガンバレルを駆使するエグザスと対峙する。

 

 一方、戦況を見守っていたミネルバのブリッジでは、外の状況も確認できていない、通信障害も回復していない中で飛び出して行ったインパルスとザクファントムの姿を確認していた。

 

「あ!? あいつら勝手に──まだ外の状況も確認できてないのに!」

 

 敵の母艦が展開していると推測され、テスタメントも出て行ったコロニーの外。

 どのような状況かもわからない中、モビルスーツ2機だけで許可なくコロニー外への追撃に出て行ったシンとレイに、思わず声を荒げるアーサー。

 

 その時、ミネルバに避難してきたデュランダルがブリッジに入ってきた。

 

「議長!?」

 

「状況はどうなっている!?」

 

 シェルターに避難していると思っていたタリアたちは、プラントのトップの登場に思わず驚く。

 そんな驚く彼女たちに、普段の温厚で冷静な姿ではなく苛立ちを隠せない様子のデュランダルは、入ってくるなりタリアたちに状況の説明を求めてきた。

 

 カオスとガイア、そしてザクウォーリアの3機が強奪され、アーモリー1のモビルスーツ工廠区画に大規模な被害が発生。

 強奪を偶然免れたアビスと近郊のザフトが対応するも、敵は予め工廠のハンガーについても調べていたのかゲイツを収容するハンガーを優先的に狙い破壊することで近場でビーム兵器を装備する機体を壊滅させたことにより、即応できた部隊はジンやディン、シグー、ガズウートなどが主力となって対応することとなる。

 しかしVPS装甲を有するガイアとカオスに実体弾の武装しか持たないモビルスーツでは歯が立たず、即応した部隊はほぼ一方的に撃破されていくこととなる。

 

 事態を受けミネルバに応援要請が出され、インパルスが出撃。アビスがカオスと、インパルスがガイア及び強奪されたザクと交戦するも捕獲には至らず。

 さらに戦闘の余波で有毒ガスが発生したことにより、避難警報がコロニー全体に発せられた。

 

 一方、軍港では外部からの謎のモビルスーツ隊の攻撃を受けて出航体制に入っていた艦隊が壊滅。管制塔も巻き込まれ、基地司令官エヴァンスをはじめとするアーモリー1駐屯軍の幹部の多くと音信不通となる。おそらく港の破壊に巻き込まれ殉職したものと推測される。

 

 さらにコロニー外からテスタメントと推測されるNJCと核エンジンを搭載した機体を含める3機のモビルスーツがコロニーの外壁を破壊し襲来。

 内2機はミラージュ・コロイドを装備しており、ユニウス条約違反を確認。

 この新たな未確認モビルスーツ3機の妨害を受け、ガイア、カオス、ザクウォーリアの強奪された3機が破壊されたコロニー外壁の穴を通り離脱。フォースシルエットを装備したインパルス及びザクファントムが追撃のために無許可でコロニー外に出撃。

 

 ミネルバでは稼働可能なゲイツR2機とザクウォーリア1機、強奪された機体と交戦中に発生したスラスターの不調により帰還したミネルバに配属されているザクウォーリア1機を収容。

 

 コロニー外には大規模な通信障害が発生しており状況が確認できないものの、テスタメントと推測される機体の襲撃および強奪犯の目的がモビルスーツの奪取にあることを推測するに、外部に母艦が待機しており警備艦隊と交戦中の可能性がある。

 

 状況からの推測を交えつつ現状の説明をタリアから受けたデュランダルは、ようやく事態を把握できたことで冷静になれたらしく「そうか……ありがとう」と呟くと側近にガスの拡大阻止とコロニーの穴の修復を指示する。

 シェルターへの移動を勧められるも、ただでさえ避難を望む民間人が多くいる中その狭い枠を占有するわけにはいかないと、デュランダルはミネルバに残る意向を示した。

 

 勝手に外へ追撃を仕掛けたインパルスとザクファントムだが、コロニー外にはテスタメントの仕掛けた通信障害が広がっており、ミネルバとの交信も途絶してしまう。

 ガーティー・ルーの位置どころか存在も確認できていないミネルバでは、インパルスを援護するべきか、この場に残るべきか選択を迫られていた。

 

「艦長、通信障害が酷くコロニー外に出たインパルス、ザクファントムとの通信が途絶。外部の警備艦隊とも依然として交信困難です」

 

「艦長、まずいですよこれ。外の敵戦力も把握できていない中、2機だけでは……」

 

「インパルスのエネルギー、間も無く危険域に突入します。最大であと300!」

 

 フォースインパルスは機動力に優れるが、それ故にソードインパルスに比べてエネルギーの消耗が大きい。

 コロニー外で戦闘が発生していると推測する場合、予測ではインパルスのエネルギーは危険域に突入しつつあり、もしも行動不能に陥れば敵に鹵獲される可能性もあった。

 

「インパルスまで失うわけにはいきません。ミネルバ、出航用意を!」

 

 この状況に、タリアは進水式もまだであり現時点ではザフトの軍籍に登録も完了していないミネルバを出航させる決断を下した。

 

「ええ!?」

 

 タリアの決断に、アーサーが一度デュランダルたちの方に視線を向けながら困惑する。

 進水式もまだの艦を緊急事態とはいえ、しかもプラントのトップが避難している状況で出航させるなど前代未聞である。

 

「私のことは気にしないでくれ。頼む、タリア」

 

 しかし、そのプラントのトップであるデュランダル自身が自分のことは気にせず出航させてくれと許可を出したことで、躊躇う理由は無くなった。

 

「管制塔と通信が取れない現状、ミネルバの軍籍登録は緊急事態につき議長権限で私が出す。私のことは気にしなくていい、君たちはあのモビルスーツを取り戻し、テロリストを確保することに全力を尽くしてくれ」

 

「……お任せください、議長。アーサー!」

 

「はい! ミネルバ発進シークエンス!」

 

 デュランダルからの許可を受けたミネルバが、出航用意に向けて動く。

 

「ミネルバ発進シークエンススタート。本艦はこれより戦闘ステータスに移行する」

 

「FCSコンタクト。兵装要員は全ての即応砲弾群をG1へ設定。本艦はこれより発進します、各員は所定の作業についてください。繰り返します、本艦はこれより発進します。各員は所定の作業についてください」

 

 ブリッジからミネルバの出航用意の通達が発せられ艦内が慌ただしく動く中、ミネルバのモビルスーツデッキではデュランダルが乗り込んだ姿を見てミネルバに退避してきた片腕を破損しているザクウォーリアより、アレックスとカガリが降りてきていた。

 

 先にミネルバに入りヨウランと今回の不調を起こした箇所について確認していたルナマリアは、ザクから明らかにザフトの人間ではない格好の二人組が降りて来た姿を見るなり傍にいたザフトから銃を借りてその銃口をアレックスたちに向ける。

 

「そこの2人動くな!」

 

 すかさずルナマリアに続くようにザフトたちがアレックスたちを取り囲む。

 ザフトのモビルスーツに部外者が乗り込んでいたというだけでも問題だが、何しろ現在進行形でモビルスーツの強奪事件が発生しているのである。見知らぬ人間がザクに乗り込んでおりあまつさえそれを操縦していたなど、剣呑な雰囲気になるのも無理はないだろう。

 

 すかさずカガリを庇うようにアレックスが前に出る。

 

「お前たち、ザフトの者ではないな。一体何者だ。なんでその機体に乗っていた!?」

 

 取り囲むザフトたちから銃口を突きつけられたアレックスは、丸腰ながらも冷静に毅然とした態度でカガリを守りつつルナマリアたちに答える。

 

「銃を下ろせ。こちらにおられるのはオーブ連合首長国、カガリ・ユラ・アスハ代表だ。俺は随員のアレックス・ディノ。デュランダル議長との会談中、騒動に巻き込まれ、避難もままならないままザクウォーリア(この機体)を借りた」

 

「オーブの、代表……?」

 

 アレックスの言葉に、ザフトたちの剣呑な雰囲気が少し落ち着き困惑の色に変わる。

 

 カガリの顔を知らないルナマリアたちには判断できないが、もしも真実ならばテロリストとみなすような無碍な対応はできない。

 しかしミネルバには出航体制に移行する放送が出されている。

 おそらく、セカンドステージシリーズの奪還に動くのだろう。

 

 ミネルバにはデュランダル議長も入ったという情報があった。

 艦長に確認を取ろうにも、今はそれどころではないだろう。

 

「……あなた方が事実オーブの代表であるとしても、私の一存で解放することはできません。然る場所にてあなた方がオーブの代表であることが確認できるまで、申し訳ありませんがあなた方を拘束させていただきます」

 

「……代表は怪我をされている。できれば治療を頼みたい」

 

「わかりました。こちらへ、医務室にご案内します」

 

 現状では判断できない。

 戦闘に巻き込まれた際──シェルターに避難する道中でガイアの攻撃の余波に晒された時にアレックスとカガリは怪我をしている。

 ひとまず治療と2人がオーブ代表であることの確認が取れるまでという名目で、ルナマリアたちはアレックスとカガリの身柄を拘束することにした。

 

 ミネルバのドッグが開かれ、リフトが下がる。

 発進シークエンスに移行したミネルバは、艦とドッグの出航用意が整い、明日の進水式にて多くの観衆から歓声を受けて宇宙に飛び立つはずだった予定を前倒しにし、戦場となったアーモリー1から飛び立とうとしていた。

 

「システムコントロール。全要員に伝達、現時点をもって“LHM-BB01ミネルバ”の識別コードは有効となった。ミネルバ緊急発進シークエンス進行中。A-55M6警報発令、全チームスタンバイ。ゲートコントロールオンライン」

 

「機関始動、ミネルバ発進する。コンディションレッド」

 

「ミネルバ発進、コンディションレッド発令。パイロットは直ちにブリーフィングルームに集合してください」

 

 ミネルバの推進器が青い炎を発する。

 進水式を経験せぬままに、プラントとオーブのトップを乗せた状態で新たな戦場となる宇宙に飛び出したザフトの新造戦艦ミネルバ。

 

 航路の果てに何が待ち受けているのか。

 この時、その結末を予想できるものはいなかった。




というわけで、「phase 2 戦いを呼ぶもの」に該当する場面が終わるところまで来たので、短めですがここまでにします。
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