とはいえ、です。
きっとメイド喫茶とやらの良さが理解できないのは、以前の壁山さんの時同様、私が女の子だからなのでしょう。男の子的には、偵察という理由付けさえあれば練習をほっぽって行けるほど価値のあるものであり、理解できないからと突き放すのはあまり良いこととも思えません。
それほど良いものであるのなら、気分転換的に皆さんのモチベーションを高めてもくれるはずです。であるなら、きっと悪いことではないはず。
元気になる分には構わないだろうと、そう思い直して、私は試合の日を迎えました。
しかし、そんなことはなかったのです。
「……なんだか皆さん、元気ない感じですね?」
試合会場である秋葉名戸学園に到着したというのに、皆さん妙に雰囲気が暗い気がします。いつもだったら見慣れぬ校舎や環境に興奮してやかましいくらいなのに、皆さんさっきから一言も発さず、俯き加減でお腹をさすってばかりです。
緊張で胃が痛いのでしょうか。もう二戦も戦ってきたのに、なぜ今更?
「どうしたお前たち。一日しかなかったが、ビシバシ扱いてやっただろう。あの時の元気はどうした。シャキッとしろ」
「それに今日は豪炎寺抜きで戦わなくちゃならないんだ! いつも以上の根性出さなきゃ勝てないぞ!?」
訂正します。円堂さんは元気です。響木さんの喝に続いて声を上げました。
がしかし、就任したばかりとはいえ監督の言葉に加え、毎回私たちの意気を引き出してしまう円堂さんを以てしても、皆さんの反応は芳しくありません。応える声もなく、億劫そうに僅かに視線を向けるだけです。
こんな状態で試合ができるのかと、私まで不安になってきます。しかしそんな想いは心の中で掻き消して、ここは一つ、私がいるのだから皆さん不調でも大丈夫と、せめて心配を解してあげるべきでしょう。
と、また豪炎寺さんのお説教が飛んできそうなことを口にしようとしたのですが、その前に真後ろ、みんな着替え終わってもう用事はないはずの更衣室から、悲鳴のような声が響きました。
「なっ、何よコレはっ!」
雷門さんです。驚いて振り向くと、見つけた彼女の顔は愕然とした羞恥の表情をしていました。
そしてその姿。いつもの制服姿ではなく、なぜだかメイドさんの恰好です。しかも頭にネコミミカチューシャまで乗せています。
「どうして、私がこんな格好を――っ!」
「我が校における試合では女子は全員メイド服着用、という決まりになっておりますので!」
「そんなバカげた決まりがあるはずないでしょう!」
真っ赤な顔で叫ぶ雷門さんと、満足そうなニコニコ笑顔の秋葉のマネージャーと思しきメイド服姿の女子生徒さん。たぶん、彼女が雷門さんにネコミミメイドの恰好をさせたのでしょう。雷門さんが突然そういう趣味に目覚めた、とかではないようで何よりです。
しかしそうなれば雷門さんの言う通り、“決まり”とやらの存在に疑問がいくわけですが――
「本当、みたいです。公式ページに書いてありました。『秋葉名戸学園での試合において、女生徒は必ずメイド服を着用すること』って……」
「なっ、そっ……はぁ!?」
こっちもメイド服を着させられている音無さんが示したノートパソコンの画面、フットボールフロンティアのホームページには、確かに同じことが記されています。まともに二の句が継げなくなった雷門さんと同様、私もそんな滅茶苦茶な規則が存在しているなんてびっくりです。
とはいえ、見ている分には面白くあります。そしてもう一人のメイドさん、秋さんも、着慣れない服装を案外と楽しんでいるようでした。
「まあまあ雷門さん。規則だっていうことならしょうがないし……そうだ、せっかくだし写真、撮る?」
「いいですねぇ。私が撮ってあげちゃいます。ほら雷門さん、音無さんも、並んで並んで」
「結構ですっ! あなたたちはどうだか知らないけれど、使用人の恰好なんて私は楽しくもなんともないの!」
「似合ってるし、細かいことはいいじゃあありませんか。かわいいですよ、雷門さん」
「ッッッ――!」
ほめ殺しの揶揄いは、さしもの雷門さんも上手く返せない様子。顔をますます赤くして、なにも言えずに悶えています。嗜虐心的にかなりの大満足です。
「……最近のサッカーってのはこんなことになってるのか……」
「いや、さすがにこれは……」
なんて本気なのか冗談なのかわからないことを呟く響木さんと、それにツッコむ豪炎寺さんには気付いていないふりをして、ケータイを取り出します。そのまま撮影モードへ。恥ずかしがる雷門さんを挟んでポーズをとる二人に向けて、シャッターを切りました。
その直後。
ポンと、秋葉のマネージャーさんに肩を叩かれました。
「『女子は必ずメイド服着用』、ですよ?」
「……えっ」
まさか、とよぎった嫌な予感は、最悪なことに当たっていました。
「選手だろうが、例外ではありません! ふふふ……あなた中々かわいらしいお顔をしていらっしゃいますから、きっと似合いますよぉ……!」
「あー、ええっと……そうですね。ホームページにも、そう書いてあります!」
音無さん曰く、逃げ道はないとのこと。
「そう、それがいいわ! せっかくの機会、ですものね。あなたも着替えさせてもらってきなさい!」
そうしていつものユニフォームから、有無を言わさぬ手際で私はメイドの衣装を着せられてしまいました。
フリルだらけで動きにくいことこの上ない、ドレスのような意匠です。走りでもすれば簡単に中が見えてしまいそうなほど短く、ふわふわと広がったスカート部分。グリップ力なんて欠片もなさそうな丸っこいシューズ。全部が全部、サッカーに適しているとは欠片も思えません。
「へえ? いいじゃない、似合ってるわよ米田さん?」
「ホント……すっごくかわいいよ、佳ちゃん!」
「お似合いです、先輩!」
などと口々に褒めてくれる三人――雷門さんのは多分に皮肉が入っていますが――の言う通り、『似合っている』、『かわいい』というその点においては、私もそう思います。鏡に映る自分の姿は、元々の素材がいいのもあって完璧なまでに美少女です。小悪魔めいた雰囲気があって、とてもよく似合っています。
「ああやっぱり! 米田さんでしたっけ!? ちょっとSっぽい雰囲気あるし、似合うと思ったんですゴスロリメイド! はぁ……よだれ――もとい、ため息が出ちゃいそうです……!」
手鏡を貸してくれていた秋葉のマネージャーさんにも、ありがとうと労いの言葉をあげていい出来栄えです。
今がサッカーの試合前でなければ、ですが。
「そこのお兄さん! あなたもそう思うでしょう!? 男性目線の感想、聞かせてください!」
挙句に、マネージャーさんはちょうど一人、近くにいた豪炎寺さんまで巻き込んでしまいます。そんなことを問われるなんて思ってもなかったのだろう彼は、驚いた表情の後、少し照れ臭そうに口にします。
「えっ……あ、ああ、まあ……似合ってる、と思うぞ……?」
「そ、それはどうも……」
この場で褒める以外の選択肢なんてないことは理解していますが、しかしやっぱり面と向かってそんなことを言われれば、恥ずかしくなってしまいます。マネージャーさんへの感謝と文句の割合が感謝の方に傾き始めましたが――
(――って、そうじゃなくって!)
危ういところで我に返りました。
「こんな格好でサッカーをやれと? 走れませんし、シュートだって、その……う、打てないです、こんなの……」
特に【ダブルショット】なんて打ってしまえば、百パーセントアウトです。
頭に浮かんだ恥辱の光景を、頭を振って追い出します。そして顔にまで出てきそうな羞恥を誤魔化すために、何か話題を変えるものはないかと慌てて周囲を見回して――すぐにそれを見つけました。
「そういえば……皆さんの姿が見えませんけど。どこに行っちゃったんでしょう?」
見つけ出し、瞬時に口にしたその異変。ですが言うのと同時、豪炎寺さんや秋さんたちから明るい空気が消えうせて、さらには円堂さんと響木さんが厳しい表情になりました。
何かはともかく、私が着替えさせられている間に事態は悪化してしまったようです。直感の通り、響木さんがため息を吐きました。
「医務室だ。さっき一斉にハライタを訴えてな。試合に出られないほどではないらしいんだが……」
試合の内容に支障をきたすのは明らかです。
試合開始の時刻はもう間もなくですし、病状がハライタであるなら短時間で治るものでもないでしょう。棄権という最悪は避けられても、試合中ずっとハライタと戦い続けるしかない皆さんのコンディション低下は免れ得ません。
下手をすれば今の私と同様、走ることすらままならなくなっているかも。
「あいつら、変なものでも食ったのか?」
「変なものって……拾い食いとか?」
「いやまさか、さすがに中学生にもなってそんなことしないって」
豪炎寺さんと秋さんが原因を想像しますが、円堂さんがあり得ないと首を振ります。そりゃそうです。いくらなんでもそんな間抜けなお話ではないでしょう。
「それに昨日、メイド喫茶で秋葉名戸の選手に色々飯とか奢ってもらうまでは、みんな普通に元気だったんだしさ。……いやまあ、俺は食べなかったけど」
「原因、絶対それじゃないですか」
やっぱりそこそこ間抜けなお話だったかもしれません。そこで毒を盛られたのだと、少しくらい思わないのでしょうか。
あるいは、直前に冬海のことがあったせいかもしれません。陰湿で慎重で、告発がなければ彼が犯人だと気付けなかっただろう暗躍が数日前にあったから、逆にこんな稚拙な企みを罠と認識できなかったのかも。あの時体験した、鬼瓦さんが警告してきたような悪意と比べてしまえば、今度のこれは子供の悪戯も同然です。
その被害は甚大で、秋葉名戸が犯人だとする物的証拠がないのは同じですが。
「……仕方ないな。どのみち、このまま戦うしか道はない。幸い円堂は問題ない。守りを固めて機を伺い、じっくり攻めていけ。いいな、ベータ」
「……はい」
響木さんからの直接の指示。思わず円堂さんへの呆れも忘れて身を強張らせ、返事を返します。
『はい』と言いつつ正直シュートを打てる自信は、というか覚悟は全く定まっていませんでしたが、強張りがいい感じにそれを隠してくれたようで、響木さんが頷きます。そして続いてベンチの豪炎寺さん、固定された足の怪我を一瞬見やって、響木さんは顎に手を当てました。
「それで、出られない豪炎寺の代わりだが――」
と、そう言いかけて、
「僕が、やりますっ……!」
通路の奥、医務室から返ってきたメガネさんが、堂々と名乗りを上げました。
同じく診察を終えてきた皆さん同様、青い顔でお腹を押さえているのがなんとも格好がついていませんが、その眼には並々ならぬ決意が見えます。毒を盛られた怒りのせいか、それともまた別の理由か。
「同じヲタクとして、僕は彼らと戦わなければいけない……! それに、彼らがとって来そうな戦術も察しがつきます……っ! 豪炎寺くんの代わり、やらせてください、響木監督っ……!」
「……いいだろう。今日はお前がスタメンだ。さあお前たち、もう間もなく試合開始だ! 気合を入れて行ってこい!」
その決意に胸を打たれたのか、響木さんは一瞬悩むも頷いて、体調最悪な皆さんにせめてもの喝を入れると、私たちをフィールドへと送り出しました。
しかしやっぱり、いざ試合が始まってみると現実は残酷なものでした。
やる気を見せたメガネさんはもちろん、他の皆さんとおまけに私も、碌なプレーができていません。相手のディフェンスは微塵も振り切れず、ドリブルにはそもそも追いつけないような在り様。手も足も出ず、いいように弄ばれてしまっています。
故に、全ての負担が円堂さん一人に伸し掛かっている状態です。完全に相手ボールな今、フォワード五人という頭の悪いフォーメーションががっちり噛み合って、さっきから好き放題にシュートを打たれまくっています。
円堂さんの必死のセーブでまだ失点はしていませんが、前半戦半ばで既に息が上がり始め、シュートを弾き続けた手の痛みに顔をしかめるほどになっていることを鑑みれば、楽観なんてできるはずもありません。いくら円堂さんのキーパー能力が高かろうと、これではいずれゴールを割られてしまうでしょう。
そしてそれを秋葉名戸の選手たちもわかっているのか、気持ちの悪いニタニタ顔で嗤っているのでした。
それを眼にし、確信します。彼らは尾刈斗との試合でも、こういう姑息な手段を以てして勝ったのです。
彼らのそもそものサッカーの腕前は、見る限りでは大したことはありません。私たちが万全のコンディションであったなら、苦も無く倒せていただろうと思える程度の実力です。
照らして考えれば、正攻法では尾刈斗には絶対に勝てない程度の強さであるということで、尾刈斗が私たちと同じ目に遭ったのは火を見るよりも明らか。円堂さんたちも同様の結論に至ったのか、さっきからハライタとは別の意味合いで眉間が寄ってしまっています。
一方私は、そういう“サッカーの誇りを穢す行為”に憤るような感性が薄いので時に気にはなりませんが、それは別として面白くないのは同じです。秋葉名戸がもうすでに勝った気でいるのが気に食いません。
(メイド服を着せられたことも含めて、後悔させてあげちゃわないと……!)
そうどうにか自分を騙し、私は羞恥心を一時頭から追い出すことに成功したのでした。
「――円堂さん! 私にボールくださいっ!」
「べ、ベータ!?」
「よ、米田さん、なんでこっちに……っ!?」
「下がり過ぎじゃないッスか……!?」
普段のスパイクの倍はよく滑るシューズにもようやく慣れて来て、小股走りでどうにか自陣まで戻るとアピールします。するとフォワードの私がそんなことをしていることに、円堂さんのみならず少林さんや壁山さん、全員から驚きの眼が向きました。
フォワードらしく前線でボールを待っていろと呆れているのでしょうが、そのボールが来ないのだから仕方ががありません。
「ハライタじゃないのは私だけでしょう? 皆さん動けないのなら、私がゴールまでもっていってあげちゃいます!」
状況を好転させるには、こうする以外にないでしょう。現実として皆さんどうしようもないのですから、文句を言わずに黙って私に任せていればいいのです。
という心の声が聞こえたわけではないでしょうが、秋葉名戸のシュートをダイビングキャッチで止めた円堂さんは一瞬の逡巡の後、私へとボールを投げてくれました。
「……わかった! 頼むぞ、ベータッ!!」
秋葉名戸のフォワードの間をきれいに通り、飛んでくるボール。しかし円堂さんの消耗とダメージはやはり大きいらしく、その狙いは少々ズレています。取れる範囲の誤差ではありますが、やはり彼も、もう限界なようです。
豪炎寺さんがおらず、そして皆さんも役に立たない今、その限界をカバーできるのは私だけ。雷門の勝利は、私次第だということ。
(……いつも通りです。やってあげちゃいますよ……!)
拳を握り、改めて覚悟を決めて、私はボールを追って逆方向に走りました。
が、慣れてきたとはいえサッカーにはとても向かないシューズではいつも通りとはいきません。伸びたパスには辛うじて追いつくも、完全には受け止め切れずにボールが一瞬浮いてしまいます。舌打ちを堪えながら足元に収め直しましたが、その間に正面を塞がれてしまいました。
確かミッドフィールダーでキャプテンの、ノベルさん、だったでしょうか。向かってくる彼に対して、一瞬考えます。突破するか、それともここでシュートを――【ダブルショット】を打つか。
私の働き次第な試合になってしまっている以上、パスは論外。【ダブルショット】は、打てばまあ確実に得点になるでしょう。しかし――
と、覚悟を決めても尚顔を出す躊躇が私の動きを止めた、その時です。大きい身体をどたどた動かして走り寄って来たノベルさんが、妙に生き生きと言いました。
「おおっ! 近くで見るとやっぱり素晴らしい! 実にメイド服がお似合いだねぇキミ! 小悪魔風味が実にマッチしているよ!」
「えっ……は、はい?」
思わず気が抜けてしまいます。試合中のこの場面でこの人は何を言っているんでしょう。困惑に眼を瞬かせたその直後。
「どうだろう!? せっかくなのだしここは一つ……メイドらしく、僕に萌え萌えきゅんなご奉仕を――」
実に気持ちの悪い、粘っこい視線が私の全身を嘗め回してきました、
激しい悪寒が背中を駆け抜けました。
「やっ――るわけねぇだろ、そんな事っ!!」
「おっふぁッ!」
――初対面の他人だからでしょうか。かつての壁山さんの暴走よりも激しい生理的な嫌悪感に、咄嗟に身体が動いてしまいました。
肘で無理矢理押し退ける、ファールを取られてもおかしくないプレー。幸いなことに笛はなりませんでしたが、二重の意味で背が冷えてしまいます。
「こっ、小悪魔系かと思えば暴力系! だが、ヒロインとしてのインパクトは悪くないっ! スカートが広がって、見えそうで見えない状態になってるのも実にグッドっ!」
おまけに倒れたノベルさんがなおも興奮しながらそんなことを言うものだから、もうゾワゾワが止まりません。急いで離れようにも、走ればふわふわ揺れ動くスカートが前にも増して気になって、ドリブルはどんどん遅くなる始末。
そして【ダブルショット】を打つ覚悟も、加速度的に萎み始めてしまっていました。
実によろしくない状況です。このまま覚悟が尽きれば、今の格好で【ダブルショット】を打つ勇気は二度と湧いてこないに違いありません。それどころかボールも奪い返されて、チャンスの芽すら潰えてしまうでしょう。そうなれば、もうおしまいです。負けてしまいます。
ならそうならないうちに、今のうちに打つしかありません。まだ“覚悟”が残っているうちに、【ダブルショット】を打つのです。
これが最初で、最後の勝機。
(私が点を入れてあげないと――!!)
頭の中をそれで埋めて無理矢理己を誤魔化して、私は勢いのまま、足を振り上げました。
その瞬間、パシャリ、と。
「――ッッ!!?」
カメラのシャッター音としか思えない音が鼓膜に触れて、それで容易くせり上がってきた羞恥心は、何もかもを中途半端にしてしまいました。
振り上げた足は膝下止まり。踏みつけたボールは分裂もせずポーンと跳ねて、私はジャンプして追いかけることもオーバーヘッドキックすることもできず、ワンバウンドして落ちてきたそれを、いつかの不良もどきさんのように不格好に蹴ってしまったのです。
当然、シュートと呼べるほどの威力なんて出ません。ボールはふわりと山なりに飛ぶだけで、ゴールどころかセンターラインにすら届かない程度の飛距離。
しかも弧を描いて飛んだボールのちょうどその先、私がもたついている間に戻った秋葉名戸のフォワード二人に、待ち構えられてさえいました。
「! これは……運命すらもが、俺たちに悪を倒せと言っているに違いない! いくぞ、まんがか!」
「よ、よぉし! こぉいッ!」
首にスカーフを巻いた秋葉選手の寸劇に、まんがかさんなるベレー帽の方がビビりながらも応えます。そんな彼を、スカーフの秋葉選手はまるでバットのように持ち、構え――
「【ド根性バット】ォッ!!」
緩く飛んできたボールを、打ち返しました。
今やっているのは野球ではなくサッカーのはずですが、しかしそれは紛れもなく必殺技。少なくとも、私が打った【ダブルショット】のなりぞこないよりははるかに高い威力と鋭さで、私たちのゴールへと飛んでいきます。
そして円堂さんは、全く予想していなかったカウンターシュートであることに加えて消耗とダメージが合わさって、反応が遅れてしまいました。
おまけに、反射的にか【ゴッドハンド】を構えてしまったのも不運。発動は間に合わず、ボールはゴールネットを確かに揺らしてしまったのでした。
秋葉名戸マネちゃんの台詞はほぼほぼ私の性癖です(自白)