彼らの余裕が思い上がりでないことはすぐに明らかになりました。
【無限の壁】は、その後もゴールを許さなかったのです。
【ファイアトルネード】、【ドラゴンクラッシュ】はもちろん、【火縄バレット】や【炎の風見鶏】でさえ【無限の壁】の守りを揺るがすことすらできず、ボールは止められキーパーさんの手の中に納まるばかり。
『堅いッ!! まさに鉄壁ッ!! 雷門イレブン、【無限の壁】の前になす術もないッ!!』
挙句、実況にまでそんなことを言われてしまうくらい、雷門の攻撃はまるで通用しませんでした。
おかげでそんなものを聞かされた染岡さんたちは悔しそうに歯ぎしり、キーパーさんは仏頂面の口角を上げることになったのですが――しかし。
「そういうのは、私のシュートを止めてからにしちゃってほしいですね……!」
雷門のシュートの尽くを止められたとはいえ、【ダブルショット】、雷門最強の必殺シュートは、まだ打ってすらいません。作戦のために自重していたのもあって、機会がなかったのです。
が、ぱっと周囲を見やっても染岡さんを含めて『俺に打たせろ』と息巻く人はいなくなってしまいましたし、もうそろそろチャレンジしていい頃でしょう。
もちろん
「半田さん、こっちです!」
「っ! よし、ベータ!」
対峙するディフェンス相手に右往左往していた半田さんは頷き、すぐにボールが飛んできました。
彼との距離が少し離れていたためにロングパス気味で、恐らくその間に千羽山のディフェンスには詰められてしまうでしょうが構いません。一人くらいであれば【スピニングアッパー】で弾き飛ばせばいいだけですし、複数人でも傍の染岡さんとで躱すだけです。
あとは可能な限り、できればペナルティエリア前まで近づくことができれば最善です。【無限の壁】が【フルパワーシールド V2】を凌ぐほどのものであっても、そこまで行ければ確実に一点取れるはず。
そうやって準備は万全に整えて、私は飛んできたボールを受けて身体をゴールの方向に向けました。襲い掛かってくるはずのディフェンスを迎え撃とうとした――のですがしかし。
「詰めてこない……?」
私がいる位置は、ゴールまでまだ距離はあれど、十分に危険域のはず。だというのに千羽山のディフェンダーたちは慌てるそぶりもなく、私と距離を置いたままでした。
襲い掛かってきたところを返り討ちにしてやるはずが、当てが外れてしまいました。というか意味不明です。この状況で様子見なんて、いったい何を考えているのでしょう。
抱いたそんな疑問は、しかしすぐに消え去りました。
彼らは私と距離を取ったまま、周囲をクルクル回り始めたのです。その人数はいつの間にやら二人、三人と増えていて、ようやく脅威に気付いた時にはもう手遅れになっていたのでした。
「「「今だッ!! どりゃああぁぁッ!!」」」
「きゃあっ!?」
三方向から一斉にスライディングタックル。一対一ならともかく、多方向から複数人に仕掛けられればちょっとどうすることもできません。
「見たか! これが俺たちのディフェンス必殺技、【かごめかごめ】だべ! 俺たちの守りは【無限の壁】だけじゃネェべよ!」
「んでもって、チャンスじゃ山根! 田主丸まで持ってってやンべ!」
麦わら帽子の、恐らくミッドフィールダーさんにボールは奪われ、彼はそのままドリブルで勢いよく走り去ってしまいます。
私は転んだまま唖然とそれを見送るしかなく、そして次の瞬間、冷や汗が噴き出てきました。
ピンチです。それが自信満々にパス要求した私の失態であることも含めてマズいです。早急に挽回しなくてはなりません。
立ち上がり、急いで追いかけながら、同時にドリブルする麦わら帽子さんに近い宍戸さんへと叫びます。
「っ……宍戸さん、当たりに行っちゃって! 時間稼ぎでいいです!」
「は、はいっ!」
久しぶりの守備場面だったせいで緊張していたらしい宍戸さんでしたが、いつものように指示すれば弾かれたように動き出しました。
麦わら帽子さんの進行方向に身体を向けて――しかし。
「いや、宍戸、そこを動くな!」
「っ!!」
次いで大きく響いた正反対の指示に、混乱したその身体はたちまち凍り付いてしまいました。
下手人は鬼道さん。ハッとなってそっちを見やれば、反対サイドに彼の姿がありました。しかもやめろと言う割に自身が動くつもりもないらしく、その足は止まったままです。
いったい何のつもりなのかと、声を上げる直前でした。
「今だ! 行け、土門!」
「はっはいっ! 【キラースライド】!!」
「なっ――うわぁっ!?」
立ち止まってしまった宍戸さんの横を悠々走り抜けていった麦わら帽子さんでしたが、瞬間、一転してつんのめり、その勢いを失ってしまいました。飛び込んできた土門さんの必殺技が、見事にボールを奪ったのです。
恐らく宍戸さんを避ける時、土門さんのいる位置が死角になったのでしょう。鬼道さんの指示は、そこまで読んでのものだったのです。
「……天才ゲームメーカーの名は伊達じゃないってわけだ」
「ああ、見事なもんだな。誰かさんのと違って全く無駄がねぇ指示だ」
「む……」
新たなミッドフィールダー仲間の活躍に複雑な顔をする半田さんに続き、こちらは内の感情を露にそんなことを言う染岡さん。私も思わずムッとしてしまいます。
が、別に構いません。彼の指揮能力が私を上回るものであることは最初から分かっていたことですし、そもそも私はフォワードでストライカー。ゲームメイクの腕で競うつもりはありません。
雷門の司令塔は潔く譲ってあげましょう。ちょっと悔しいのをそう呑み込むと、遅れて鬼道さんの技巧を理解した円堂さんの歓喜の声が、遠いゴールから響きました。
「すっげぇ……! いいぞ鬼道! みんな、そのまま攻め込め!」
「言われるまでもないさ……! 土門、風丸にパスだ! 宍戸、半田は左右に散れ! フォワードはもっと前だ!」
「へっ……ま、従っといてやるか! 行くぞベータ、豪炎寺!」
私がコケにされてご満悦な染岡さんにも急かされてしまいます。頷きたくはありませんが仕方なしです。
そうして鬼道さんの指示、もとい指揮の下でのプレーをすることになった結果、彼は天才ゲームメーカーの能力をいかんなく発揮することになりました。
的確な指揮でボールは面白いくらいに繋がって、あっという間に敵陣、千羽山のディフェンスライン間際。そして私たちフォワード三人がみんな程よくゴール近くに位置取りできているという大チャンスまでもを作りだしてのけたのです。
しかし、挽回するのだと気を張っていた私をよそに、さらに鬼道さんの指示が飛びました。
「半田! 染岡にパスだ!」
「っ! あ、ああ!」
よりにもよって鬼道さんが指定したのは染岡さん。迷いない指示に半田さんは疑問を持つ余地もなく従ってしまい、蹴り出されたボールは染岡さんへ――ディフェンスの壁の真正面へと、一飛びでたどり着いてしまいます。
染岡さんにその壁を破れるはずがありません。わかりきったことです。
当然、彼はボールを受けたものの、一歩も進むことができませんでした。
「へんっ……馬鹿なやつだべな! みんな、【かごめかごめ】だべ!」
「くっ……!」
染岡さんはあっという間に周囲を取り囲まれてしまいます。そして、【かごめかごめ】。襲い来る、あの三人同時のスライディングタックル。
せっかくのボールは為す術なく奪われてしまうことでしょう。こうなることくらいわからなかったのでしょうか。
そんな、二度目の失望。そしてそれは、またしても吹き飛ばされることになりました。
千羽山ディフェンスが動き出したのと同時、鬼道さんがサイドから中央へ駆け出したのです。
「なっ……!? なんだ、あいつ!?」
千羽山選手たちが驚きの声を漏らし、その眼が一斉に鬼道さんを追いかけました。
視線を一身に引き受けて、しかし鬼道さんは止まることなくフィールドを駆け抜けます。半田さんを追い越し、染岡さんも追い越して、さらには千羽山のディフェンスラインをも横切って、ボールも持たずに単身敵陣に食い込んでいくその姿。
そうまで露骨に突撃されれば、千羽山が警戒心を掻き立てられるのは当然です。しかもそれがキーパーさんも意識する、かの帝国元キャプテン、鬼道 有人さんであるのだから尚のこと。
「くっ! 行かせないっぺ!」
「シュートなんてさせないだ!」
「帝国だろうが何だろうが、そんな破れかぶれの突撃でオラたちの守備を破れると思ったら大間違いだべ!」
とうとう
要するに、それこそが鬼道さんの狙いだったわけです。
「ッ!! バカッ!! お前ら釣られ過ぎだッ!!」
「「「あっ――!!」」」
いわゆる、ダイアゴナルラン。思わず鬼道さんを追いかけてしまったディフェンス三人、【かごめかごめ】の二人と、そして【無限の壁】を担う一人だったもじゃもじゃパーマのディフェンダーさんが「しまった」と息を呑みますが、しかしもう手遅れです。
彼らを引き付けた鬼道さんは、反対サイドの豪炎寺さんを指さしながら、染岡さんに叫びました。
「今だ、染岡!! 豪炎寺がフリーだ!!」
「ハハッ!! さすがだな鬼道!! 行け、豪炎寺!!」
「ああッ!! 【ファイアトルネード】!!」
染岡さんのパスを、火炎を纏った豪炎寺さんがダイレクトでシュート。【無限の壁】を引きはがしたゴールへと、渾身の必殺技を叩き込みました。
【イナズマブレイク】の習得に失敗し、【無限の壁】が破れないのなら、そもそも【無限の壁】を使えない状況を作ればいい。【無限の壁】が三人の連携必殺技であるという弱点を突くというそれが、鬼道さんが描いた絵図だったわけです。
そして果たして分断は成功。標的たるもじゃもじゃパーマさんは鬼道さんに釣り出され、慌てて戻ろうと身体を捻っているものの、迫る【ファイアトルネード】に対して【無限の壁】は到底間に合いません。
決まった――と、複雑ながらも貴重な一点に安堵しようとして、しかしその時。
キーパーさんはそんな中、意を決した表情で両の掌を合わせ、跳躍しました。
「クソタレめ……!! 【まき割りチョップ】!!」
迫りくるシュートを叩き切るように、彼は合わせた両手を振り下ろしました。
一瞬の拮抗。しかしそれはキーパーさんの執念か、ボールを弾き飛ばす結果を生んだのです。
シュートはゴールネットには届かず弾き飛ばされ、キーパーさんが雄叫びの如き声を上げました。
「オラァッ!! 見たか!! 【無限の壁】を封じたからって、オラからゴールを奪えると思うんじゃねぇべ!! 鬼道、お前の作戦もなんの意味もねぇズラ!!」
「どうでしょうね――豪炎寺のシュートを止めた程度で、調子に乗ってんじゃねぇぞ!!」
だがキーパーが上げた勝鬨はまだ早い。弾かれたボールを拾い上げたのはオレだ。
ペナルティエリアの線を踏み越え、距離は十分。周囲に妨害の気配もない。唯一、鬼道が切り離したディフェンダーは【無限の壁】に間に合ってしまうだろうが、それはむしろ望むところ。
足元に落としたボールを、オレは思い切り踏みつけた。
「止めてみやがれッ!! 【ダブルショット】!!」
跳び、両足で蹴り放つ。戦慄顔のキーパーたちも、ほぼ同時に陣形を整えて迎え撃つ。
「【無限の壁】ッ!!」
そそり立つ鉄壁とオレの最強シュートが、直後激突した。
【無限の壁】は“硬さ”という点では【フルパワーシールド V2】とほとんど同等なのだろう。だがしかし、壁の“厚さ”は比較にならないほど。故に総合的には確かに前評判の通り、総合的な防御力は【フルパワーシールド V2】を上回っている。
けれどもその差は決定的なほどは大きくはない。ならばあの頃からさらに強くなり、かつ目論見通りペナルティエリアの線を踏み越えて撃ったオレのシュートが止められるはずがないのだ。
――そう、思っていたのですが。
ガリガリと【無限の壁】の守りを抉り、突き進んだ私のシュートは、しかしそれを突き破る直前、逸れたのです。
「「「ぐうっ!?」」」
勢いの余波がキーパーさんたちを押し倒すも、ボールは頭上。クロスバーを掠めてグラウンドの外に飛んでいってしまいます。
点は入らず、結果的には千羽山の守備の硬さを際立たせただけ。わあっと、私にとっては腹立たしい歓声が巻き起こりました。
『ふ、防いだッ!! キーパー綾野、米田の【ダブルショット】をも防いでみせましたァッ!! まさに鉄壁ッ!! まさに無敵ッ!! 今大会無失点は伊達ではないッ!!』
「ふん……無敵、ねぇ。好き勝手言ってくれちゃって……!」
それはまるで、【ダブルショット】と【無限の壁】の格付けは済んだとでも言うようでした。
まあ実際、豪炎寺さんのと合わせてシュート二連撃を防いでしまったのだから興奮するのも無理もありませんが、しかしそうではないという手応えは、私と、そして綾野さんなるキーパーさんの手に残っています。
もう少し、後ほんの少しだけ多くシュートにチカラを込められていれば、あるいはもう数センチでも近くからシュートを打てていれば、結果は違っていたはずです。
今の接戦はそれくらいの小さな差。それにさっきのシュートはキーパーからのこぼれ球を急いで打ったものです。もう少し余裕があれば間違いなく入っていたはずなのです。
だから次は決められる。そういう確信をお互い持つことになりました。
そしてボール。キーパーさんが弾いて外に出してしまったのだから、もちろん私たちのコーナーキックでスタートです。時計を見ればいつの間にか前半戦の最終盤ですが、リベンジのチャンスは既にもう目の前。
そんな状況で一番怖いのは、変なポカをして全部台無しになってしまうことです。故に私はコーナーに向かう半田さんを捕まえて、一応の確認をしておくことに決めました。
「半田さん、わかっちゃってると思いますけど、ボールは直接私にお願いします。ちょっと運になっちゃいますけど、チャンスですし一か八かで――」
「いや、ここは一旦ボールを下げてしまったほうがいい。運頼みにしても分が悪すぎる」
が、またしても鬼道さんが横入りしてきました。
確かに、分が悪いのはそうでしょう。千羽山の守備が堅いのは体験済み。彼らの守りは【無限の壁】だけではありません。
「けど、コーナーキックなんですよ? ゴールを狙える大チャンスじゃないですか。……もし実況さんみたいに【ダブルショット】じゃ【無限の壁】は破れないなんて思っちゃってるなら、お言葉ですけど――」
「もちろんそうは思っていない。そんな早合点をするほど冷静は失っていないさ。……冷静でないのはベータ、お前の方だ。ゴール前をよく見ろ。あんなにディフェンスが密集しているというのに、どうやってパスを受ける気だ。千羽山のディフェンスコンビネーションを見ただろう」
「……時間があったならそうやってのんびり攻めるのもいいかもですけど……鬼道さん、時計、見えちゃってます? もう前半戦、終わっちゃうんです。なら厳しい賭けでも手を出すべきじゃないですか」
さっきから鬼道さんの指揮が悉く当たっていることは認めますが、今回ばかりは日和り過ぎにしか思えません。故にそんな彼のことはぐいっと身体を入れて押し退けて、半田さんにはもう一度、改めて言い含めます。
「勝算がないわけじゃないんです。次こそは必ずゴール決めちゃいますから。だから半田さん、お願いしちゃいますね?」
「あ、ああ。了解……」
私と鬼道さんの対立に戸惑っている様子でしたが、それでも結果、彼は頷いたくれました。
そして笛が鳴り、半田さんのコーナーキック。ボールは指示通り、ゴール前の私へまっすぐ飛んできます。
同時に鬼道さんの言った通り、千羽山のディフェンスが動きました。私の前を塞ぎ、背中で覆ってボールには触れさせないという動き。周囲の他のディフェンダーも左右を固め、これではとてもじゃありませんが前には出れません。
鬼道さんの言う通り、いやそれ以上に厳重な展開。けれどそれは私とてわかっていたことです。直後私は競り合いをやめ、一歩下がります。
競り合いに勝てないのなら、後から奪ってやればいいのです。彼らのディフェンスコンビネーションは素晴らしいものでも、オフェンス面は大して強くないことは実証済みなのですから。
それが私の勝算――だったのですが、しかし。
私の前を塞いだおかっぱの男の子がボールを受けたのを認め、私が襲い掛かるのと同時。大したことないはずの彼は、胸でトラップして落としたボールをそのまま両足で踏みつけたのです。
「【モグラフェイント】!!」
「えっ……!?」
スパイクとグラウンドにサンドイッチにされたボールは、一瞬にして地面に埋もれてしまいました。しかも私がその光景に面食らっているうちに、どうやらモグラのように地面の中を進んでいたよう。にやりと笑ったおかっぱさんが私を抜いた先で、ポンッと芝生を押し退け飛び出して来ました。
(しまった……っ!)
千羽山にオフェンス能力はない、というのは、どうやらそれこそ私の早合点だったようです。まさかこんな必殺技を持っているなんて想定外。
そしてコーナーキックのチャンスを生かすために雷門の攻撃陣はみんな前に上がってしまっており、中盤はからっぽ。となれば当然、おかっぱさんはカウンターのロングパスを蹴り出しました。
「行ったれ、原野!!」
「任せるべ!!」
センターラインを軽々超えて、坊主頭のミッドフィールダーさんに渡ってしまいます。風丸さんが慌てて追いかけ、必殺技で応戦するも、
「くっ……!! 行かせるか!! 【エアーバレット】!!」
「甘いっぺ!! 【ラン・ボール・ラン】!!」
放った風の弾丸は、ボールで玉乗りのようにボールに乗って進む原野さんなる坊主頭の速さに躱されてしまいます。
そしてそのままシュートとして放たれて、それはとうとう、千羽山唯一のフォワードさんまで繋がってしまいました。
「決めてやるべ!! 田主丸!!」
「おうっ!!」
既にもうゴール前で、対応が間に合いそうなのは壁山さんのみ。彼が止められなければ後は円堂さんだけです。
そんな責任重大な場面に壁山さんはビビリの顔を出していましたが、とはいえ彼ももう試合を何度も戦い抜いてきた立派なディフェンダー。臆したのは一瞬で、すぐにフォーワードを止めるべく走り出しました。そのシュートが繋がる前に止めるのだと意気込んで。
しかし直後、三度鬼道さんの声が響きます。
「行くな壁山!! そこで待て!!」
「えっ!? ま、待つ!? シュートをブロックしろってことッスか!? でも――」
「大丈夫だ壁山!! 鬼道を信じろ!!」
壁山さんは迷うも、「信じろ」という円堂さんが叫んだ相変わらずのカリスマに、すぐ心を決めたようです。
どっしり構え、迫るフォワードを見据えてチカラを溜め、そして彼が足を振りかぶりシュート体勢に入ると同時、必殺技を発動させました。
「わ、わかったッス……! 【ザ・ウォール】!!」
立ちはだかる壁のような壁山さんのディフェンス。それに対し、フォワード、田主丸さんは構うことなく必殺シュートを放ちました。
「【シャインドライブ】!!」
「――うわッ!?」
それは激しい閃光を放つシュートでした。恐らくその光で敵の眼をくらまし、その隙にゴールを決める技なのでしょう。
だから壁山さんのディフェンスは機能しませんでした。ボールは壁を避けてゴールに向かい――そして壁山さんの壁のおかげで閃光を浴びずに済んだ円堂さんに、その効力を発揮することなく迎え撃たれました。
「【爆裂パンチ】!!」
帝国戦でみせた怒涛の連続パンチング。真正面からそれを浴びたシュートはひとたまりもなく弾かれました。
直後笛が鳴り、0-0で前半戦が終わったのです。