雷門中のベータちゃん! ~連載版~   作:もちごめさん

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第五話 再始動、雷門イレブン

「――すまない、みんな。俺が……俺たちがみんなと一緒に戦えていたら、こんなことにはならなかったはずなのに……」

 

「クソっ……せっかくフットボールフロンティアで優勝できたってのに、なんだってこんなことが起こるんだよ……」

 

 

 宇宙人さんたちが去ってから少し後、木戸川に行っていた一之瀬さんと土門さんが帰ってきました。

 

 ゼエハアと息を切らせ、全力で走ってきたのだろうとわかる汗だくの姿でたどり着き、そして私たちを見つけるなり顔を歪めて頭を下げたその二人。

 まあ確かに、宇宙人さんたちとの試合に二人がいたなら勝っていた――とまでは言えずとも、もう少しマシな戦いになっていただろうというのはそうですけれど。

 しかしもちろん、私を含めて雷門全員、彼らを責める気なんてありません。

 

 

「ホント、大丈夫だって。一之瀬も土門も、そんな辛気臭い顔するなよ」

 

「だが……みんなが傷ついているってわかってたのに、俺たちは木戸川で西垣たちのことを気にしてばっかりで……」

 

「だーっ!! いつまでもウジウジうるせえんだよ!! ……そりゃあ確かに、こんなボロボロにされちまったらお前らが気に病むのも無理ねぇかもしれねぇが、いつまでもそうやってられるとこっちがイライラしてくんだ! いい加減、謝るのをやめやがれ!」

 

「それは……っ」

 

 

 半田さんに続いて染岡さんもが、苛立ちながら一之瀬さんたちへ返しました。

 

 その乱暴な発破の通り、一之瀬さんと土門さんが間に合わなかったことそれ自体、私たちにとってはもはや終わった事なのです。

 終わったことに頭を下げられても困るだけ。それでも土門さんはもの言いたげに歯噛みしていましたが、そこにさらに追撃が一つ。

 

 

「そうそう。そっちが謝るんなら、こっちだって申し訳なくなっちゃいますよ。それにほら、確かに俺たちボコボコにされちゃいましたけど……それでもみんな、ちゃんと元気ですからね! ほら!」

 

 

 皆の中でも特に重症な宍戸さんが、テーピングと絆創膏で手当てされたばかりの腕を振って、言いました。

 

 

「酷い試合だったのに、ベータさんが守備に入ってくれたおかげでみんな病院送りにならずに済んだんです! ……怪我の手当てもできましたし、それでいいじゃないですか」

 

 

 そう。私たちはジェミニストームに敗北し、皆さん少なくない負傷を抱えることになったのですが――幸いなことにそれらはすべて軽症の範疇。雷門サッカー部は全員、病院送りになるほどの酷い怪我を負わずに済んだのです。

 

 そしてそれは宍戸さんの言う通り、大いに私のおかげです。加えて私たちが今、身体を休ませているこの場所。イナビカリ修練場の医務室にちゃんとした手当の道具が揃っていたことも大きいでしょう。

 

 拷問の如きハードな特訓を強制する施設に併設されているために、秋さんたちが常備する救急箱では追い付かないような怪我の面倒も見ることができました。

 だから二重に不幸中の幸いで、みんな身体の調子はボロボロな見た目ほど酷いわけではありません。故に、一之瀬さんと土門さんはそうまで気負う必要はないのです。

 

 ――みんながそういう気持ちだったのですが、しかし。

 

 

「それは……でも、みんなは無事だったけど……。学校に、部室も壊されちまったじゃないか……」

 

 

 言い淀んだ土門さんは、結局それを見つけてしまいました。

 真っ二つに割れてしまったサッカー部の看板。これが立てかけられていた部室も、今では完全に破壊されて校舎同様瓦礫と化してしまっているのです。

 

 皆の身体は無事でした。でもしかし、テーピングや絆創膏で身体の傷は塞げても、その痛みは決してなかったことにはできません。

 

 ――私たちの今までのサッカーは、宇宙人たちの手によって打ち砕かれてしまいました。

 

 それを思い出したくなかったからこそ、みんなもういいと言っていたのに。一之瀬さんたちの悔恨は、結局そうして私たちの傷口をほじくり返してしまうのでした。

 

 

「……これから俺たち、どうすればいいんでやんすかねぇ」

 

 

 そうなれば、当然皆から明るい空気はなくなって。肩を落とした栗松さんからポロリと弱音が零れます。

 

 ……零して当然です。私たちのサッカー、その象徴を奪われてしまったのですから。

 

 負った傷は身体も心も、まだ絆創膏を貼っただけ。無理に剥がせば当然のこと、晒される傷口は痛むままです。

 皆、これからのことなんて考えられるわけがありませんでした。

 

 けれども、です。

 

 

「どうするなんて、そんなの決まってる……!」

 

 

 円堂さんは、やっぱり傷だらけでも立ち上がりました。

 

 黒いサッカーボールをその身に受けて他の誰よりも傷ついた身体を起こし、痛みに顔をしかめながら、それでも立って言いました。

 

 

「宇宙人と……ジェミニストームと、もう一度戦うんだ! サッカーで地球を征服するだなんて、そんなの許せない! 俺たちの大事なサッカーを汚す奴らを、俺たちの手で止めるんだよ!」

 

 

 実に立派な宣誓でした。

 その言い分を笑う者はいないでしょう。サッカーを侵略行為の道具にされて、憤らないサッカー少年なんて存在しません。

 

 ですがしかし周囲の皆さん、そして私の反応は、笑いはせずとも冷淡なもの。遠いものを見るような眼が、ため息を吐くように円堂さんに向けられました。

 

 

「そうは言っても、そもそもどうやって宇宙人を止めるんでやんす?」

 

「そりゃあもちろん、サッカーだ! サッカーで自分たちの力を示すって、あいつらが言ってたろ? ならサッカーに勝てば、あいつらも地球侵略なんてやめるはずだ!」

 

「……もしそうだとしても、あんな奴らにどうやったら勝てる。ベータと豪炎寺は一矢報いたが、逆に言えばそれが俺たちの限界だ。人間が勝てるような相手じゃないことは、円堂、お前も十分わかったろ?」

 

 

 栗松さんと風丸さん。二人が円堂さんの噴き出す決意に首を振りました。

 

 本当にサッカーで万事が解決するのだとしても、宇宙人さんたちに勝つというのはあまりに困難な道のりです。

 正直、今もう一度彼らと戦っても勝てるイメージは浮かびません。

 

 

「それにあの宇宙人さんたち、レーゼさん以外は必殺技も封印しちゃってましたしね」

 

 

 ただでさえ人間を超越した身体能力を有しているのに、加えて彼らが隠し持っているだろう【アストロブレイク】以外の必殺技も未知数なのです。

 さっきは私と豪炎寺さんの連携で点を捥ぎ取ることができましたが、彼らが必殺技を解禁した時、果たして同じことができるでしょうか

 

 それに、そもそもの話です。

 

 

「だいたい、宇宙人は今どこにいるんだ? まさか雷門にまた戻ってくるはずもねぇし、こっちから勝負を挑むにしても奴らの居場所なんて誰もわからねぇ。……これでどうやって宇宙人を倒すんだよ」

 

 

 額を押さえる染岡さん。さらに付け加えるなら移動手段とか、後はお金の問題とか。私たちではどうしようもない問題は山ほどあって、円堂さんの決意は実行するのにあまりにハードルが高いのです。

 

 だから、どうしようもありませんでした。どれだけ悔しくても許し難くても、私たち子供だけでできることはありません。

 できることは、身を苛むこの喪失の痛みに耐えることだけでした。

 

 ――と。円堂さん以外のみんなが諦めの息を吐いた、その時でした。

 

 

「――方法は、ある……!」

 

「っ!? お父さま!?」

 

 

 医務室に響く声。いち早く夏未さんが反応し、一瞬遅れて私たちも彼の存在に気が付きます。

 

 夏未さんのお父さま、我らが雷門の理事長さんが、いつの間にか部屋の出入り口の前に立っていました。

 

 以前に負った怪我も治り、包帯も取れた堂々たるその姿。夏未さんがたまらず涙を浮かべてその懐に抱き着いて、理事長さんも安堵する娘の頭を優しく撫でて慰めています。

 そしてその慈愛は、私たちの方へも向けられました。

 

 

「……どうやらみんな、ひどい怪我を負った者はいないようだね。雷門イレブンと宇宙人が試合をしていると聞いた時は背が冷えたが……とにかく、大事にならずに済んでよかった」

 

「理事長……」

 

 

 私たちの敗北のせいで校舎が破壊されてしまったのに、それを責める気など欠片もないその言葉。それどころかこちらを労わる眼鏡越しの眼差しに、私もちょっと胸が苦しくなってしまいます。

 

 ……その息苦しさは、胸の中で風船が膨らんでいくような圧力を以ってして私の心を蝕んでいた諦念を押し退けて。たぶんきっと、それは円堂さんが抱いたそれと似通ったものでした。

 そしてだからこそ、続きを求めるその言葉は、真っ先に私の口から飛び出ていました。

 

 

「あの……それで、さっき理事長さん、『方法はある』って……」

 

「ああ……そうだね、その話をしよう」

 

 

 理事長さんは頷いて、抱き着く夏未さんを宥めて離します。それから部屋に揃った私たちを見渡すと、改めて、一つ首肯。

 

 

「私は、件のエイリア学園なる宇宙人たちと対決する術を持っている。……円堂くん、そして雷門イレブンの諸君。もし君たちがエイリア学園との戦いに挑む覚悟があるのなら――」

 

 

 理事長さんははっきり宣言すると、慄く私たちを半ば置き去りに背を向けて、

 

 

「私についてきたまえ」

 

 

 告げ、革靴の音を鳴らしながら廊下を歩いていきました。

 

 ……どうするか。その背を見つめ、それから私たちはみんなでお互いに見つめ合いました。が、それも一瞬のこと。円堂さんと私だけでなく、皆さんの意思ももう既に決まっていました。

 そうして、私たちは怪我の手当てを打ち切って理事長さんの後を追ったのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 追いかけて、たどり着いたのはイナビカリ修練場でも訪れたことのない区画でした。

 

 ……というか、こんな区画はそもそもなかったような気がします。

 つい最近増築されたか、あるいは隠されていたのか。理事長さんに導かれた私たちは、まるで見覚えのない通路へと突入し――数メートルと進まぬうちに、それは現れました。

 

 

「わっ、なんだ!?」

 

 

 戦闘を歩く円堂さんの驚いた声。同時にみんなの足が止まって、すると周囲、通路の暗がりから幾人もの黒服さんが現れました。

 

 まさかエイリア学園の手先が、なんて一瞬警戒してしまうも、まあ当然のことながらそんなわけはありません。彼らは病院で見た不気味な雰囲気の禿げ頭なんかではなく、普通の人間でした。

 

 けれどしかしこれも当然のことながら、彼らがただ私たちを驚かすために突然現れ辺りを取り囲んだ、なんてことがあるわけもなく。

 

 

「この先が『エイリア学園と戦う用意』がある部屋なのだが……その前に全員にボディチェックを受けてもらう必要がある。何分、機密が多いものでね。すまないが我慢してくれ」

 

「え? ボディチェックって――うわぁっ!?」

 

 

 と、前を行く男子陣がその時なんと、黒服さんたちの見事な手際で服を剥かれてしまったのです。

 

 さすがに下履きはセーフでしたが――しかし、一瞬にして裸にされてしまう円堂さんや――豪炎寺さんたち。

 私たち女子陣の目の前で、そんな事が起こったわけで。

 

 

「「「きゃあぁぁっっーーー!!」」」

 

「………」

 

 

 マネージャー三人から悲鳴が上がってしまうのも無理からぬこと。咄嗟に背を向け、そして私も両手で目を覆いつつ、頬が赤くなってしまうのを堪えることができません。

 

 それくらい、青春真っ只中の女子中学生には少々刺激的すぎる事態だったというのに、です。

 

 

「ちょ、ちょっとパパっ!! ボディチェックするにしても、なんでこんなとこでやっちゃうの!?」

 

「うん? ああ、すまない。だが非常時で、しかも人数も多いのだから、一人ずつ別室でというわけにはいかんのだよ。それに……まあ、夏未たちに目をつぶっていてもらえば別に構わんだろう? なあ、円堂くん」

 

「あ、はい。俺たちは全然――」

 

「気にしているのは円堂くんたちじゃなくて私たちのほうなのっ!! それにお父さまの時代ならともかく、現代だと問題大ありです!! ……パパのこういうデリカシーのないところ、大嫌い!!」

 

「ぬっ……!!」

 

 

 全くもって夏未さんの言う通り。当人たちが良くても世間と私たちが嫌なのです。

 

 ……いえ、嫌というよりどちらかといえば困っちゃうというか、気恥ずかしくなっちゃうといいますか、そういう感じの方向性であるからして別に豪炎寺さんたちのハダカが醜いとかそういうわけでは全然なくて――ではなくて!

 

 とにかく、デリカシーがなさすぎです。娘の父親になっても男の子というのは変わらないものなのか、女の子(こちら)の気持ちなんて理解の外。

 円堂さんのフォローも全く何の意味もなく、理事長さんは私たちの気持ちの代弁者たる夏未さんの言葉の一撃に撃ち抜かれ、悶絶してしまいました。

 

 けれどそれほどの目に遭っても尚、事態は変わることもなく。結局黒服さんたちも一度始めたボディチェックを止めてはくれず、結局私たちは頬を赤く茹で上げられたまま、羞恥を煽られ続けることになったのでした。

 

 

 そうしてほんの僅かな好奇心に目を覆った指の隙間を開かれそうになりながら、それを理性で耐え抜くこと数分後。

 私たち女子のボディチェックも完了し――もちろん男子の眼がない別室で行われました――私たちはとうとう、理事長さんの言う『エイリア学園と戦う用意』がある部屋へと通されました。

 

 未だ目の奥に残る日に焼けた肌色に熱を感じながら、それをどうにか意識から追い出して、私と、そして皆さんがそれを眼にします。

 

 

「……イナビカリ修練場に、こんな場所があったのか」

 

「テレビとか機械とかいっぱいで……なんかすごくワクワクしてくるッス! いかにも秘密の指令室って感じッスね!」

 

 

 修練場と同様のひんやりとした金属壁の空間に、いくつもの液晶画面と機械類が並んでいました。

 

 壁山さんがテレビと言ったモニターには木戸川への襲撃や、いつの間に撮られていたのか私たちが戦う映像までもが流されています。次々切り替わるグラフや図形と、さらにその下部にはキーボードやよくわからないボタンやランプがくっついた操作盤らしきものまで。確かに、それは映画なんかに出てくるような、いかにも秘密の作戦室といった趣です。

 きっとこれが、理事長さんが言っていた“方法”なのでしょう。

 

 

「おお、来たなお前たち」

 

「! 響木監督!」

 

 

 と、壮観なモニターの光に気を取られていたために、その姿に気が付いたのは一瞬後のことでした。

 

 モニターの傍で画面を見上げていた響木監督は、一之瀬さんたちと同様にジェミニストームとの試合の最中に姿を見せていませんでした。どこに行ってしまったのかと内心少しだけ心配していたのですが……まあ、何事もなかったようで何よりです。

 

 ともかく、これでとうとう選手にマネージャーに監督と、雷門サッカー部が勢ぞろい。理事長さんの“エイリア学園と戦う術”を聞く準備は万端です。

 

 

「理事長。それでは、こいつらに説明を」

 

「はい」

 

 

 理事長さんもそれに頷いて、そして、とうとうその“作戦指令室”を示しながら、その口火を切りました。

 

 

「皆も知っての通り、今現在、エイリア学園を名乗る宇宙人の集団による未曽有の事態が発生している。彼らはサッカーによる地球の侵略を掲げており、それは今後も続けられることだろう。……これからも、全国の中学校が奴らに襲われるということだ」

 

「はい、理事長。俺たちはそれを止めたいんです! でも……」

 

「わかっている。今のままではその手段がない。だが……恐らく、この中の何人かは想像がついているだろう? この機械群、これは私が日本全国から情報を集めるため組み上げた、情報収集システムの中枢だ。元々は影山の動向をひそかに探るため、イナビカリ修練場の改修に紛れさせて建設したのだが、しかし当然、それ以外の用途に使えない道理はない」

 

 

 なんて。老朽化した修練場が当時まだまだ弱小の評価が拭えなかった私たちのために修繕改修されたという、そのちょっとした不可解の真相を明かされながら――しかしもちろん、そんな事はどうでもよくて。

 

 

「つまりこの場所は壁山くんの言う通り、対エイリア学園の作戦指令室としての役割を果たすことができるのだ。そして私は少年サッカー協会会長として、全国の中学校が襲撃されうるこの状況を座視することはできない。故に……私が言いたいのは、こうだ」

 

 

 と、理事長さんはまっすぐにそれを見返す円堂さんと、そして私たちへと向き直り、

 

 

「雷門イレブンの諸君! もし君たちにその意思があるのなら、我々のサポートを受けて、エイリア学園による地球侵略を止めてほしい!」

 

 

 パチンと。彼はその毅然たる声を放ちながら、一つ指を鳴らしました。

 途端、部屋中に響く何か重たい駆動音。驚く間もなく傍の金属壁がシャッターのように持ち上がり、そして現れた暗闇がスポットライトに照らされます。

 

 現れたのは、私たちが何度か使ったものよりもずっと新しくて立派なバン。明らかに旅支度の装備がなされたそれを指さして。そうして理事長さんは、私たちへと告げたのです。

 

 

「そのイナズマキャラバンで日本を回り、サッカーを、そして日本を救うのだ!」

 

 

 その瞬間、

 

 

「「「「「――うおおおぉぉぉぉっっ!!!」」」」」

 

 

 歓声が上がりました。

 

 立派なバンと、そして燻らせるしかなかったサッカーを守りたい思いが溢れ、そうなるしかないのでしょう。

 あるいは理事長さんの演説に当てられたというのもあるでしょうが、しかしともかく、それは私たちが望んだ機会であるのです。喜ばしいのは当然でした。

 

 もちろん私もそうでしたが――しかし。

 

 

(……日本を救う、ですか)

 

 

 心に、僅かな陰り。端的に言うのなら、それは不安なのでしょう。

 

 宇宙人の侵略を止めようというのだから、それは当然、国の救済とイコールです。わかりきったことですが、しかし改めて言葉にされると、事の重大さが背中に重く圧し掛かってくるようです。

 

 足が竦んでしまったように、私は呑気に沸き立つ仲間たちの輪に入っていくことができませんでした。

 

 

(でも……)

 

 

 と、豪炎寺さんの方へと横眼を向けます。

 

 彼はいつも通りにクールなまま、皆から一歩引いてキャラバンを見つめていました。私のように足を竦ませることもなく、冷静に、その内に闘志を燃やしているのです。

 

 そう、背負うものが重たいと言っても、それは私一人で負うものではありません。皆一緒です。円堂さんも一之瀬さんも秋さんも、雷門の仲間たちが共にいます。

 

 だから、大丈夫。

 

 

「豪炎寺さん、一緒に頑張っちゃいましょうね」

 

 

 私の隣には、炎のストライカーたる彼もいるのです。……あと染岡さんも。

 だからやっぱり、それは重くはないのです。

 

 豪炎寺さんも「ああ」と、微かに浮かんだ笑みと共にそれを口にしてくれて――もとい、その直前のことでした。

 

 

「――残念ながら、豪炎寺くんはチームに入れません」

 

 

 なんて。そんな事を言いながら、誰も見知らぬ凛然とした女の人が突然私たちの前に現れたのです。

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