仮面ライダーギーツ アナザーワールドジェネレーションズ 作:Naniro
時間は少し遡る。キャッスルドラン内でショータは眠っていたが、うなされている。様子に気付いた未来が慌ててショータを揺さぶり、起こした。
「う、うぅん…!?」
「ショータさん、大丈夫ですか?随分とうなされていましたけど…」
「…大丈夫、少し前世の夢を見ただけです…」
ショータはゆっくりと立ち上がると、その場をあとにする。移動中に先程の夢を思い出す。
特になにかしたわけでもないのに、嫌がらせを受け、日に日にそれは過激化し、死にかけた思いもしたが、仲の良かった当時の思いの寄せていたララに似た彼女のお陰で、どうにかなっていた。だが、それに嫉妬した彼らの手によって……
「……っ」
思い出すだけで胸が締め付けられる思いになる。あの時、もっとしっかりしていればと何度も思ってしまう。転生して人外となり、多少強い体になったがそれでも、トラウマはそう簡単に拭いきれないのだ。そして彼らは堕落勇者となり、今度は無関係の人にまで手出しするようになった。ショータはゴチゾウ達を呼び出し、話す。
「女性陣のそばにいてあげて、あいつらは確実に狙ってくる」
ゴチゾウ達はそれを了承し、散っていく。そして自分も作業に戻ろうかと思った瞬間、ショータは気配を感じた。
「あまり、誤解されるような行動はやめといたほうがいいですよ。イアソンさん」
「…気付いていたのか」
気配の正体はイアソンだった。彼は気まずくそうにしながら口を開く。
「お前、
「あなたもですか?」
「あぁ、俺は戦いは苦手だというのに、何度も戦わされて本当に地獄だった!そんで全く役に立たないとゴミみたいにポイされて!」
イアソンは歯を食い縛り、拳を握り締めていた。ショータは余程のことがあったんだろうと察する。すると、突如、爆音が響いた。
ドォオオオオオオン!!
「な、なんだぁ!?」
ショータとイアソンは何が起きたのか、近くのメイドに聞く。
「すみません!いったい何が!?」
「シャドウサーヴァントです…!今、ここに残ったサーヴァントの皆様が対処しておりますが、数が多くて突破されそうです!」
「なんだって!?大至急だ!通信機を貸せ!マスターに連絡する!」
「は、はい!」
シャドウサーヴァントの大群がキャッスルドランに攻め込み、残ったサーヴァント達で対処に当たっているが、それでも攻め込まれそうな状況だった。イアソンはメイドに通信機を用意させ、現場に向かったエースや優斗達と連絡を試みる。
「よし、繋がった!俺だ!イアソンだ!」
『イアソン!?どう……した…だ!?』
(通信が安定していない…!?)
通信が途切れ途切れなって不安定になっているが、イアソンは状況を伝える。
「シャドウサーヴァントがキャッスルドランに襲撃してきた!どうにか持ちこたえている状況だ!援護を願う!」
ブツン ツー…ツー…
状況を伝えた瞬間、通信が切れてしまう。イアソンはちゃんと伝わったのか不安だった。すると、メイド達が慌ただしくやってくる。
「すみません!エレオノール様は知りませんか!?あとクーリッジ様も!」
「何?俺は見てないぞ?」
「俺も知りません。何かあったんですか?」
メイド達曰く、患者を見ていたエレオノールとクーリッジ、更には結や未来、ララも突然いなくなったのだという。それを聞いたショータは状況が読めてきた。
「もしかしたら、シャドウサーヴァントは単なる囮です。本命はエレオノールさん達を拐うのが目的だったんでしょう。アイツらならやりかねない」
「……確かに
ショータの考察にイアソンは納得する。すると、ゴチゾウ達がやってきて、ショータに何かを伝えてきた。
「ワニャワニャ!」
「……っ!やっぱりそうか…!」
ゴチゾウ達からの報告を受けたショータは険しい表情になる。その様子を見たイアソンが声をかけてくる。
「おいお前、まさか行く気じゃないだろうな?悪いことは言わない、アイツらは1人1人が強力な力を持っている。怪我なんかじゃすまないぞ?」
イアソンがショータに忠告するが、ショータはゴチゾウ達に案内を頼む。イアソンはショータが行く気なのを察して止める。
「おい!俺の話を聞いてたのか!?アイツらは───」
「聞いてましたよ。でも俺は行きたいんです。怖い筈なのに行きたくて仕方ないんです。止めても止まりません。俺はもう後悔したくない。だから止めないで」
「………」
イアソンはその場で立ち尽くし、ショータをこれ以上止めることはしなかった。
◇
ショータは標識を武器に堕落勇者達と対峙する。今いる堕落勇者はユウジ、カケル、シバキ、タケオ、シロク、ユナ、ミロク、フトシの8人。纏めて相手するのは無謀である。圧倒的に不利と見たコウヘイが堕落勇者達に向かって叫ぶ。
「おい、まさか1人を相手に8人で袋叩きにするなんてそんな大人げないことはしないだろうな?」
コウヘイが堕落勇者達を挑発する。ソーゴもそれを察して便乗する。
「勇者であろう方が8人同時でかからないと彼には勝てないなんてねぇ~、勇者って意外と貧弱なんだぁ~」
「確かに、複数で相手するということは、そうでもしないとショータに勝てないってことだな」
「コウヘイ君相手にあっさり逃げていたからね、それも仕方ないか」
優斗と蒼汰も便乗して堕落勇者達を挑発する。そしてデザイアと平ジェネWORLD達も便乗しだした。
「勇者って弱いんだ~!」
「やーい!ざーこざーこ!」
「貧弱貧弱ゥ!」
「ひんぬー!ひんぬー!」
「Fu○k you!」
「ウ○コ!ウ○コ!」
「おめーの母ちゃんでべそー」
「うつけ!うつけ!*1」
「腰抜け!腰抜け!」
「
すると、フトシを除いた堕落勇者達が目に見えて頭に血が上っていた。すると、シバキが前に出る。
「俺がやる。お前らは引っ込んでろ」
「おい、横取りすんな!俺の獲物だ!」
フトシを除いた堕落勇者達が言い争いを始め、一同は呆れる。
「随分とチョロい奴らだな」
「こういう奴らはプライドだけはやたら高いからね」
優斗と蒼汰は思わずそう呟いたが、堕落勇者達には聞こえてないようだった。最終的にじゃんけんをして、ユウジが相手をする。
「待たせたな仁口、俺が相手をしてやろう。その前にいいものを見せてやる」
ユウジは左手首に着けた小型の装置のようなものを見せつけてくる。
「…なんだよ?」
「見てな」
ユウジはその小型装置を起動すると、装置から全身に装甲が広がり、スーパーロボットを思わせる見た目になった。
「どうだ!ゴーレムをパワードスーツ型にしたのだ!カッコいいだろ?」
「お前みたいな奴が装着者じゃなかったらカッコいいと言えるのにな……」
自慢してくるユウジにショータは嫌味で返す。
「……随分と生意気な口を聞くようになったじゃねえか!」
ショータの嫌味に腹を立てたユウジが殴りかかってきた。ショータは即座に躱して標識を振り下ろす。
「甘いっつーの!」
「……っ!?」
ユウジは標識を受け止め、そのまま引っ張り、ショータを引き寄せて拳を腹に叩き込み、ショータを吹っ飛ばした。ショータに地面に転がり、腹を押さえながら咳き込む。
「どうした?終わりか?」
ショータは体に鞭を打って立ち上がる。ユウジは両手を広げて来いよとでも言いたげに挑発してくる。
「この…!」
ショータは前に踏み込み、ユウジの顔に拳を叩き込んだ。
「…っ!?」
「ふん、効かねえな!」
装甲の防御力が高いのか、ショータの攻撃は全く効いていない。
「攻撃ってのはこうするんだよ!」
今度はユウジの蹴りが直撃し、ショータはまた吹っ飛ばされてしまう。
「ぐふぅ……!」
ショータは壁にぶつかりそのまま倒れる。すると、ユウジがショータの胸ぐらを掴み、持ち上げるとおもいっきり地面に叩きつけた。
◇
「おいおい、やばくねえかこれ!?」
「このままじゃあいつ、もたねえぞ!!」
デザイアや平ジェネWORLD達も心配し始める。しかし、結界に阻まれ、助けに行くことができないのだ。
「…………」
優斗はただ黙ってショータを見守っていた。すると見学していた堕落勇者達が喋りかけてくる。
「やっぱり、仁口はどこまでもヘタレだな」
「ほんとそれ」
「結局ヘタレは何やっても無駄だって」
堕落勇者達がショータのことを笑っていると、優斗が口を開く。
「だがショータはさっきから一切逃げていないぞ。お前らと違ってな」
「…は?」
「あ?」
ショータと比べられただ堕落勇者達は優斗を睨み付ける。
「何?うちらがあんなヘタレより劣ると言いたいわけ?」
「さあな?だが1つ言えるのは、あいつは変わろうとしている。お前らに怯える過去を乗り越えようと必死で抗っている。近いうちにお前らはショータをヘタレと呼ぶことはできなくなるだろうな」
「バッカじゃないの?今でもボコボコにされてるのに?」
「偉そうに説教たれてんじゃねえ!ヘタレは死んでもヘタレなんだよ!」
「おい、ノガワ!とっとと始末しちまえよ!」
◇
ショータは満身創痍となっており、ユウジは彼を見下ろす。
「所詮お前はどこまでもヘタレだ。諦めな、お前はそうなんだからよ」
すると、ショータはユウジの足を掴んで睨む。
「この…!ヘタレの分際でしつけえんだよ!!」
ユウジはショータを何度も蹴りつける。
「最初からお前に勝ち目なんかねえんだよ!!さっさとくた──」
「もうやめてください!!!」
「…あ?」
ユウジを制止したのは未来だった。
「もうやめてください、これ以上は彼が死んでしまいます。私があなた達に身柄を差し出します。ですのでもう彼を解放してください」
「ほう?俺達に自分の身を引き渡すと?」
「はい……」
未来はショータを助けるために堕落勇者達に自分の身を差し出しそうとする。その行動を響達が反対する。
「未来!ダメだよ!」
「小日向!早まるな!」
「バカなことしてんじゃねえ!」
「や、やめろ…!」
ショータも未来の行動を反対する。すると未来はショータに微笑みかける。
「ショータさん、もういいんです。あなたは十分頑張りました。これ以上無茶をする必要はないんです」
「……!!」
ユウジは未来に近づき、彼女の体に触れようとした瞬間、ショータの手がユウジの腕を掴み、阻止する。
「ショータさん…!」
「てめぇ……、いい加減にしやがれ!!!」
ユウジはショータの顔に拳を叩き込む。だが、ショータは怯まず、ギロリと睨む。そのままユウジの顔に拳を叩き込んだ。
「ぐぅ…!?」
ユウジは今までにない強烈な一撃に少し怯む。
「こんのクソが!」
ユウジはショータの首を掴み、持ち上げるとそのまま締め付ける。
「やめてください!!」
「うるせえ!!」
未来が止めようとするが、ユウジは未来を突き飛ばした。
「お前がここまでしつこかったのは驚きだが、もう終わりだ。所詮お前は負け犬。安心しな、お前の婚約者であるララっていう子は俺達がちゃんと可愛がってやるからよ」
「ラ……ラ……」
(やっぱり……ダメなのかな……)
ショータは意識が薄れていき、またもや誰も守れないと思ったその瞬間だった。
「諦めるなー!!」
春雪がショータに向かって叫んだ。
「例え無様でも滑稽でも、地に倒れて、泥にまみれるのだとしても!ただ抗うんだ!それが強くなるということなんだ!!」
「春雪君?」
「そうですよね?先輩!」
「……フッ、そうだな」
そして春雪が再び叫んだ。
「抗え!仁口ショータ!!」
「……!!」
春雪の一喝はショータの耳にしっかりと届いた。すると、ガヴ器官から剣が勢いよく飛び出し、ユウジに直撃する。
「ぐおぁっ!?」
その衝撃でユウジはショータを離した。ショータは呼吸を整え、決意を固めるとガヴ器官を開け、ゴチゾウをセットした。
グミ!
EATグミ! EATグミ!
ゴチゾウは射出されず、ショータがガヴ器官のハンドルであるガヴドルを回した。するとショータの体からたくさんのカラフルなグミが溢れてくる。
ガヴ…ガヴ
そしてガヴ器官の左側にあるボタン、デリカッションを押した。
MYAAAAAAA!
ゴチゾウが展開し、カラフルなグミがガヴ器官に吸い込まれ、ショータの姿が変わっていく。
「変身!!」
ホッピングミ!ジューシー!
「祝え!弱い自分を変えるために、強い決意と共に現れたお菓子のライダー!その名も仮面ライダーガヴ!今ここに、世界を守る新たなライダーが誕生した瞬間である!」
「えっ、ウォズ!?なんでここにいるの!?」
ウォズが何故ここにいるかはともかく、ショータは遂に令和6作目のライダー、仮面ライダーガヴへと変身を遂げたのだった。
オマケ
ウォズ「新たなライダーの誕生の予感!祝わねばなるまい!」
ゲイツ「自分から割れた空間に飛び込んでいきやがったー!?」