おバカの提督業   作:京勇樹

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現状の把握 食堂編

挨拶が終わった明久は、脇に移動しようとしたが、何かに気付いた様子で

 

「不知火ちゃん。後二人は、どうしたのかな?」

 

と不知火に問い掛けた。

すると不知火は、ゴソゴソと胸ポケットから何かを取り出してから

 

「左側の前から三列。窓側から内に四列の範囲に居る方々、別の場所に移動してください」

 

と整列していた艦娘達に、指示した。

指示を受けた艦娘達は、不思議そうにしながらも言われた範囲から離れた。

それを確認した不知火は、細長い何かを咥えて吹いたのだが、何も聞こえない。

何をしたのか分からない艦娘達は、困惑気味に顔を見合わせた。

その直後、窓を突き破って一人の艦娘がダイナミックエントリーしてきた。

先に居た艦娘達が驚く中、ダイナミックエントリーしてきた赤みが混じった金髪の駆逐艦娘。夕立改二は

 

「ようやく合流っぽい!」

 

と朗らかだった。

そこに、今度はドアが開いて

 

「だから夕立……窓を突き破って入らないの……夕立もだけど、怪我人が出たらどうするのさ」

 

と三つ編みが特徴の駆逐艦娘。時雨改二が入ってきて、夕立に注意した。

しかし、夕立は気にした様子もない。すると、不知火が

 

「夕立さん、時雨さん……遅れた理由はなんですか?」

 

「いやぁ……夕立が、途中寄り道しちゃってね……それで道に迷ってしまったんだ」

 

「時雨! 言わないでほしいっぽい!」

 

どうやら、遅れた理由は夕立の暴走のようである。

それを聞いた不知火は、こめかみに指先を当てて

 

「夕立さん……」

 

「まあまあ、不知火ちゃん。二人は無事だったんだから、良しとしようよ」

 

何やら注意しようとした不知火を、明久が止めた。

そして明久は、時雨と夕立を見て

 

「ただ、集合時間に遅れた訳だから、謝らないとダメだよ。夕立ちゃん」

 

と夕立に注意した。

 

「……ごめんなさいっぽい」

 

「ボクも夕立を止められなかった……ごめんなさい」

 

二人が頭を下げると、そんな二人の頭を明久は撫でた。

その時、夕立のお腹の虫が鳴いた。

それを聞いた一同は

 

「お腹空いたっぽい」

 

「夕立……」

 

「まあ、お昼だからね。仕方ないよ」

 

夕立は本能に正直で、時雨は流石に呆れた様子。そして明久は、時間を考えたら仕方ないと思った。

そして明久は、近くに居た駆逐艦娘の叢雲に視線を向けて

 

「ごめんね、叢雲ちゃん。ちょっと聞きたいんだけど」

 

「な、何よ……」

 

明久が問い掛けると、叢雲は僅かに身構えた。その様子から、何かあったと察した明久は、なるべく刺激しないようにしながら

 

「えっとね……ここの食堂って、どこかな? 少し早いけど、お昼にしようと思ってね」

 

と叢雲に問い掛けた。

すると叢雲は、驚いた表情で

 

「……あんた、知らないの?」

 

と告げた。

その言葉の意味が分からず、明久は首を傾げた。それから数分後、明久は驚きで固まっていた。

大淀に案内された場所の欄間には確かに、《第一食堂》と書かれた看板が据え付けられている。

しかし、入り口は木材で頑丈に塞がれていたのだ。

 

「……なに、これ」

 

「前の提督が、艦娘に食堂なんて贅沢だ、と言って封鎖されたんです……補給は、各部屋に必要な分のレーションが配布されてました」

 

そこまで説明した大淀は、明久から凄まじい怒気を感じ

 

「て、提督?」

 

と呼び掛けた。だが明久は、不知火に

 

「不知火ちゃん。確か、大本営からお金を貰ってたよね? かなりの金額」

 

「はい。最低でも、数百万は有ります」

 

「ついでに、不知火ちゃんって車の運転出来たよね。トラックは?」

 

「可能です」

 

不知火と会話を始めた。その会話の意図が分からず、大淀は混乱する。しかし、明久は構わず

 

「時雨ちゃん、夕立ちゃん。お願いなんだけど……このバリケード、破壊してくれない?」

 

「ん、構わないよ」

 

「任せるっぽい!」

 

と時雨と夕立に指示を出した。

すると、駆逐艦娘の文月が気になった様子で

 

「何々? 何をするのー?」

 

と明久に問い掛けた。

すると明久は

 

「今から、料理を作る為の準備をする」

 

と言って、不知火を伴ってその場から離れた。

明久の鎮守府改革が始まった。

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