おバカの提督業   作:京勇樹

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初の姫級

不知火と一緒に自分達のテントに向かった明久は、中に入ると

 

「本土に向かう深海艦隊の迎撃戦をする! なお今回は、元帥麾下の艦娘達と合わせて、連合艦隊を編成する! 旗艦は、後から来た矢矧さんに任せます!」

 

「分かったわ、任せて」

 

鎮守府に先に居た矢矧だが、大規模作戦の少し前からようやく練度上げを始めたばかりで、まだ改にすらなってないのだ。

そして、鎮守府で先に居た軽巡洋艦で一番高いのは、神通で今現在25。ようやく20を越えた辺りで、多少の心もとなさがある。

だから、後から来た矢矧に任せたのだ。今現在、海軍で唯一の改二の矢矧に。

そのまま明久は、編成を発表した。

矢矧改二の他に、時雨、夕立、金剛、霧島、雷となる。

元帥側の艦隊が待つ場所に向かうと、そこには長門改二、陸奥改二、赤城改二、加賀改二、蒼龍改二、飛龍改二が待機していた。そして港には、弐式大艇が駐機している。

艦隊は弐式大艇で深海艦隊の近くまで行き、降下。

そこから戦闘に突入する。

そして明久だが、弐式大艇から直接指揮を執るのだ。

それは勿論だが、命の危険を伴う。

しかし明久は、元帥から艦隊を預かるという事の責任を取っているつもりだ。特に、元帥の艦隊の動きを知らない為、見て判断する必要がある時が来ると考えたからだ。

そして明久は、艦隊の全員から見送られて、最前線に向かった。

 

『では、再確認をします。第一艦隊は元帥の艦隊。旗艦は長門さん』

 

『ああ、よろしく頼む』

 

元帥の艦隊の艦娘達は、過半数近くが深海大戦の最初期から戦ってきた古強者で、特に長門は元帥の艦隊では初めての戦艦娘だったらしく、元帥からの信頼も厚い。

だから、もし元帥が居ない時には、長門を頼れ、と言われている程だ。

 

『そして、第二艦隊の旗艦は矢矧さん』

 

『ええ、頑張るわ』

 

明久の艦隊は、元帥の艦隊に比べたらまだまだ戦闘能力は低い。しかし、明久は無理せず、艦娘達と一緒に成長していくつもりだ。

 

『深海艦隊は、ル級フラグシップを筆頭にした強力な艦隊です。油断なく確実に撃滅をお願いします』

 

『了解!!』

 

明久の言葉に、全員から斉唱が返ってきた。すると、ジリリリとベルが鳴り響き、妖精が側面のドアを開けた。

それを見た明久は

 

『皆さんの無事を祈ります!』

 

と敬礼し、降下していく艦娘達を見送った。

そして明久は、妖精に対して

 

『UAVの射出をお願いします!』

 

と指示した。

今乗っている弐式大艇の翼下には、左右に偵察用のUAVがそれぞれ懸下されており、機首部分に搭載したカメラで撮影している映像を、端末で見る事も出来るのだ。

映像が始まると、既に交戦は始まっていた。

長門と陸奥の砲撃でル級フラグシップを抑え込み、空母の四人がヲ級改とヌ級の艦載機を順調に減らし、明久の艦隊が足の速い軽巡洋艦や駆逐艦を滅多打ちにしている。

戦闘としては優勢で、順調だ。

しかし、どうにも明久には嫌な予感がしていた。明久は妖精に頼み、もう一機のUAVを射出してもらった。

二機目のUAVを、一機目より高い高度に飛ばし、カメラも広範囲を見えるようにした。

そうして、見つけた。

連合艦隊の後方から迫る新たな深海艦隊。

その深海艦隊を拡大し、明久は息を飲んだ。深海艦隊の旗艦は、戦艦棲姫だった。

 

(これが姫級……実際には初めて見る)

 

映像越しだと言うのに、戦艦棲姫から凄まじいプレッシャーを明久は感じた。だが、迷っている暇は無いと考えた明久は

 

『皆さんの後方。6時の方角、距離12000に新たな深海艦隊を発見! 旗艦は戦艦棲姫!』

 

と艦隊に報せた。明久は報せながら、深海艦隊の詳細な編成を見ようとしたが、UAVからの映像が途絶えた。

海上からの機銃ではなかった。つまり、深海側の艦載機による撃墜と明久は判断し

 

『UAVからの映像途絶により、深海艦隊の詳細な編成は不明! しかし、空母級が居る可能性大! 警戒してください!』

 

と報せた。その直後、弐式大艇の動きが激しくなり、激しい銃声が鳴り響いた。

まさか、と思った明久は、急いで窓から外を見た。

弐式大艇の機銃は、後方を撃っている。見てみれば、教本でしか見た事の無い白い骨のような深海側の艦載機が四機見えた。

 

『弐式大艇は今現在、深海の新型機から襲撃を受けています! 深海艦隊に空母級確定! 姫級が居る可能性もあり!』

 

『提督!!』

 

明久は取っ手を掴んで耐えながら、何とか艦隊に情報を伝えた。矢矧が心配してくる声が聞こえるが、明久は

 

『こっちは何とかします! 皆さんは、深海艦隊に集中してください!』

 

と伝えると、無線を機内に変えて

 

『妖精さん! 新型対空兵器で迎撃!』

 

と妖精に指示した。

実は、今乗っている弐式大艇は改修型機で、機銃だけでなく、一回きりだが新型の対空兵器が搭載されていた。

機体両側側面と上部に、十二連装無誘導噴進弾発射機があった。計36発のロケット弾が一気に放たれ、四機は避けようとしたが、避ける間もなく爆散した。

それを確認した明久は、妖精に

 

『機体の損傷の確認をお願いします』

 

と指示し、無線を機内から艦隊に切り替え、端末を見た。艦隊は最初に戦っていた深海艦隊を撃滅し、反転。戦艦棲姫率いる深海艦隊と交戦を開始していた。

 

(頑張って、皆……)

 

明久は、全員の無事を祈った。

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