戦艦棲姫・改を撃沈したのを確認した明久は、他の深海艦隊が居ないか確認し
『現時点を以て、本土侵攻深海艦隊の撃滅を宣言します。皆さん、お疲れ様でした』
と宣言。操縦士妖精に、弐式大艇を艦隊の近くに着水させるように指示した。
着水後、艦娘達が全員乗ったのを確認してから、弐式大艇は離水上昇。拠点へと帰還を始めた。
すると、元帥の長門が
『吉井提督、先ほどの戦闘での指揮。見事だった』
と明久を誉めた。
『ありがとうございます、長門さん。頑張ってますので』
『特に、補給のタイミングとあの近接戦闘の指示は見事だった。あの時、砲弾残量が二割を切っていたからな』
どうやら、結構ギリギリだったらしい。しかもあの時点では、戦艦棲姫・改はほぼ無傷だった。
もしかしたら、撃沈出来なかった可能性すらある。
『おかげで、本土を守れた。元帥には、キチンと報告しておく』
『ありがとうございます』
会話しながらも、明久は端末で戦艦詳報を作成。そして帰還すると、印刷機で戦闘詳報を印刷し、元帥に出しに向かった。
すると元帥は、先に長門達からの報告を聞いていた。
それを待っていると、終わったらしく元帥が手招きしてきたので、明久は元帥に戦闘詳報を差し出した。
受け取った元帥は
「長門達から、話は聞いた……吉井提督、今回の深海奇襲艦隊の撃滅、ご苦労だった」
「はっ!」
「まさか、戦艦棲姫の改修型が出るとはな……吉井提督の所感を聞かせてくれないかな?」
元帥の指示を聞いて、明久は戦艦棲姫・改の事を思い出しながら
「……資料で知っていた戦艦棲姫より、硬く、強力な火力だった……という印象が強いです……特に、長門さんの主砲の直撃を受けても、まだ健在だった事に驚きました……」
と答えた。
「ふむ……長門と同じか……仮にだが、戦艦棲姫・改と呼んでいたが、その名前を採用しよう……もし、その戦艦棲姫・改が量産されたらと思うと、現状の艦隊では撃沈は難しいだろう……」
「はい。僕もそう思います……」
もし戦艦棲姫・改が大量に量産され、深海側の各拠点に配備されたり、侵攻艦隊に投入されたら、艦娘達の被害は拡大するだろう。
何とか対策を講じないといけないのは、確かだ。
「そこでだが……吉井提督。君の艦娘達が使っていたという近接戦闘……それを教えてもらえないかな?」
「え!?」
予想外な言葉に、明久は驚いた。
「聞きたいのだが、何故艦娘に近接戦闘を?」
「……切っ掛けは、一部艦娘が刀や槍を持っていた事からです……僕も最初は、砲雷撃戦闘だけと思ってました……しかしある日に、一部の艦娘が刀や槍を装備しているのを見て、もしかして、近接戦闘でも倒せるのでは? と考えたのです」
明久が短期集中教育を受けていた時、教官役として叢雲と伊勢がやってきて、叢雲が槍を持ち、伊勢が腰に刀を差している事に気付いた事から、その考えが浮かんだ。
そこから明久は、専任教官だった不知火、夕立、時雨、矢矧を巻き込み、近接戦闘陣形を立案し、編み出した。
「なるほど……」
「装備に関しましては、教官役の明石さんと、明石さんの工房に入り浸ってた夕張さんと一緒に考案し、開発しました。今も、絃神島鎮守府で新しく開発してます」
「新しいのも開発しているのかい?」
「はい。最近では、槍型と薙刀型を開発……それと、明石さんと夕張さんが……杭打ち機……パイルバンカーを開発しました……」
パイルバンカーに関しては、勢いに乗った明石と夕張が勝手に開発した武装であり、勝手に開発した二人は不知火が座敷牢に放り込んだ。
「今のところあるのは、短刀型、刀型、鉈型、斧型、戦鎚型、槍型、薙刀型。そしてパイルバンカー型になります」
「結構開発したね」
「個人個人で、得意な戦い方にも違いがある事に気付きまして、その際に開発する事にしたんです」
勿論、無理強いはしていない。中には、性格的に近接戦闘に向かない艦娘も居る。
そういう艦娘達には、従来通りに砲雷撃しかやらせていない。
「後、陣形もあると報告を受けているが」
「はい。斬劇包囲陣と活殺自在陣です。斬劇包囲陣は近接戦闘のみで、相手を中心に旋回しながら攻撃し、活殺自在陣は近接戦闘と砲撃を織り混ぜて攻撃する陣形になります。一応、新しい陣形も考案中です」
そこまで聞いた元帥は、少し考えた後に
「後程、詳しい情報を書類として提出してほしい。それと、開発した武装に関しても、実物と開発情報を提出するように」
「分かりました。後程提出します」
元帥の指示に、明久は敬礼した。
「それとだ、吉井提督。今回の功績で、吉井提督を中佐に昇進。それと、新艦娘を着任させる」
「あ、ありがとうございます! 拝命します!」
元帥からの賞詞に、明久は再度敬礼した。
そして数日後、作戦は無事に終了し、集まっていた深海艦隊は殲滅された。