大規模作戦が終わって、数日後。
明久は四苦八苦しながら鎮守府の運営と復興をしていたが、何とか資料を纏めて、実物の近接戦闘兵装と一緒に元帥宛に送った。
そんな時、大本営から新しい艦娘が来た。
「防空駆逐艦の秋月です!」
「その二番艦の照月です!」
「三番艦、初月だ。よろしく頼む」
秋月型防空駆逐艦娘、長女の秋月、次女の照月。そして三女の初月だった。
この秋月型の三人も、明久はよく知っている。
教育所預かりとなっていた艦娘で、以前は最前線の海外拠点の一つの泊地に在籍していた。
しかしある日に、その海外拠点が大規模深海艦隊の襲撃を受けて、彼女達三人を残して壊滅。
彼女達は大本営預かりとなったが、その大本営で一部幕僚達の心無い言葉に追い詰められ、教育所預かりに変更となる。
そこで、明久と出会った。明久の第一印象は、資料より痩せている、だった。
明久は秋月型の事は資料で知っていたが、秋月型は駆逐艦娘の中では発育が良い方だな、という印象だった。
しかし三人と初めて会った時、三人は痩せ細っていた。その原因は、心無い言葉による精神的ストレスだ。それにより食欲が低下し、三人は痩せ細ってしまった。
それを知った明久は、教育係の明石と協力してメンタルヘルスケアをしてから、間宮や伊良湖と協力して食育を開始。
結果、卒業間際には元の体形プラスアルファ状態にまでなっていた。
「久しぶり、三人共。元気そうで何よりだよ」
「はい!」
「明久さんこそ、元気そうで良かった!」
「またよろしく頼む」
明久が声を掛けると、三人は笑みを浮かべて明久に抱き着いた。
なおこの三姉妹も、今の鎮守府だとかなり高い練度を誇る。なんと、練度75だ。
しかも明久の鎮守府には居なかった防空駆逐艦娘だから、戦力としても非常に有り難かった。
「三人が来てくれて、助かるよ」
「お任せください!」
「空からの敵は、私たちが撃墜しちゃうから!」
元気そうな三人に、明久は笑みを浮かべた。
「早速で悪いんだけど、明石さん、夕張さんの二人と協力して、対空砲陣地を形成してほしいんだ。三人なら、効率の良い陣地を提案出来るでしょ?」
明久の頼みに、三人は
「はい! お任せください!」
「隙の無い対空砲陣地を作るよ!」
「ボク達に任せてくれ」
と承諾して、執務室から走り去った。
見送った明久は
「本当に、元気になって良かったよ……初めて会った時、自殺しそうに見えたから……」
と心底安堵していた。
その後、ある程度書類を片付けてから、あの商店街に向かった。漁業組合と海運業から電話があったからだ。
そして、時雨と一緒に指定の鈴原食堂に向かうと
「すいません、お待たせしました」
と中に居た秋川と酒川の二人に、声を掛けた。
そして、明久が座ると
「呼び出した理由は、他でもねぇ」
「前の件の返答だ」
二人はそう言って、鞄から書類を取り出して、明久の前に置いた。その書類には、契約を意味するサインが記されている。
「社員全員の同意を得られた」
「ウチもだ。組合員全員が納得した」
「良かったです……」
二人の言葉に、明久は安堵していた。これで、少しずつだが経済が回るだろう。そして明久は、書類を鞄に仕舞うと入れ替わりに新しい書類を取り出して
「一応自治体からも近い内に知らされるでしょうが、電気代も大幅に見直しました」
と二人の前に置いた。
前提督が不当に引き上げていた電気代。その金額は、本土に比べて、何と六倍。
しかも前提督は、その差額を着服していた。
今回明久は、その電気代を正規の値段に戻しただけでなく
「更には今回新しく、企業や団体向けのプランを用意しました。ご確認ください」
「なに!?」
「本当か!」
明久の言葉に驚きながらも、二人は書類を手に取って確認を始めた。
一通り確認した二人は
「なるほど……」
「有り難い話だな……これも、持ち帰って検討させてもらう」
「はい。構いませんよ」
秋川の言葉に、明久は頷いた。流石に即決されるとは、明久も思ってはいない。よく考えてから、決めてほしい。
そうして、多少話してから明久は鈴原食堂から出た。
本当に少しずつだが、復興は着実に進んでいる。
それを実感している明久だが、まだまだ始まったばかりだから楽観視は出来ない。
「まだまだ前途多難だ……」
まだ一部艦娘は指示に従わないし、不知火の話では不穏な動きもあるらしい。
頑張ろうと明久は意気込んだ。