明久が目覚めたのは、2週間後だった。
最初に気付いたのは、巡回に訪れた看護師だ。
点滴を点検し、交換しようとした時に、明久が目覚めたのだ。
その後、医師が簡易検査をしていた時に、不知火達がやってきた。
「2週間かぁ……まあ、あの爆発凄かったからねぇ……」
「はい。あの爆発に関しては、どうやら旧寮に仕込まれていた爆薬の一つを使った事が分かりました」
「ああ、あれかぁ……つまり、保管所から奪ったって事か。保管所の管理人さんは?」
「薬により眠らされただけで、無事です。既に職務に復帰しています」
前の提督が、各艦娘寮の全体に分散配置していた爆薬。寮の解体と並行し、爆弾処理班が一つずつ無効化し、前提督がどうやって入手したのか、どこの爆薬を入手したのかを知る為に、一つだけ保管所で所持し、他は現場で一つずつ解体していた。
今回過激派は、保管所の管理人に酒に薬を混ぜて飲ませ、眠らせた後に爆薬を奪ったのだ。
管理人の体調に問題は無かった為、既に職務に復帰している。ただし、今回の件を受けて管理人は今まで交代制で一人だったが、二人体制に変更し、危険物や重要な証拠に関しては別の容器に厳重に保管する事で再発防止とした。
そして管理人は、前提督による艦娘達への扱いから、同情が強い為に、今回の件は自分側からは罪は問わないと告げている。
「それで、執務室は?」
「現在、壁の強化修復作業が行われています」
爆破された執務室だが、元々が校長室として使われていた場所で、教頭室だった部屋が仮眠室。職員室だった場所が今は資料室となっている。
明久は知らなかったが、不知火達は新たに護衛が待機する部屋を用意しようと考えている。
「それじゃあ、僕を襲ってきた艦娘さん達は?」
「彼女達は現在、全員が座敷牢に入っています」
捕縛された過激派だが、明久が意識を失った後に全員大人しく座敷牢に入った。
「司令が起きてから、処遇を決めようかと思いまして……」
「だったら、もう解放していいよ……2週間入ってたなら、十分に罰になるから」
不知火は最初、明久の言葉に不服そうだったが
「……分かりました」
と告げると、端末を操作した。
恐らく、釈放するよう指示したのだろう。
「しかし、司令。まだ療養はしてください」
「まあ、実際まだ体痛いし……あ、書類は?」
「ある程度は、私達で処理しています」
明久からしたら、2週間も意識を失っていたのだから、書類が膨大な量になってるのが予想されたからだ。
「それでは、私は一度書類の処理に戻ります。恐らくは後で、時雨達が面会に来ると思います」
不知火はそう言って、病室から出た。
見送ってから明久は、置いてある水を飲んだ。
そうして一眠りしていたら、不意に頭を撫でられる感触に気付いた。
「あ、起こしちゃったかしら」
「……矢矧さん……」
気付けば、矢矧がベッド横の椅子に座って、明久の頭を撫でていた。
「襲撃されたって聞いて、心配したわ……大丈夫?」
「僕は何とか……書類任せて、すいません」
「いいのよ。それくらいは」
明久が謝罪すると、矢矧は任せてと言わんばかりに胸を叩いた。
「それで、貴方を襲撃した連中が釈放されてたけど……」
「2週間も座敷牢に入れられてたなら、十分に罰になります……そう判断して、釈放してもらいました」
矢矧の問い掛けに、明久はそう答えた。
すると矢矧は
「貴方らしいわね……けど、注意してね? もしかしたら連中、また襲撃してくるかもしれないわよ?」
「かもしれません……けど多分ですが、大丈夫かと」
「その理由は?」
矢矧が問い掛けると、明久は窓から外を見て
「家族が帰ってきて、それどころじゃないかと」
と告げた。