明久達の作戦は、要の第三段階に入った。
前衛艦隊は一時後退し、空母打撃艦隊と一つの艦隊が静かに出撃した。
空母打撃艦隊は、長門が旗艦で帰還したばかりだが、飛龍と蒼龍が出撃を希望し、そこに雲龍と祥鳳が出撃。
先立って、空母艦娘達は一斉に艦載機の発艦を開始した。
空を覆い尽くす程に展開した艦載機は、次々と残存の深海棲艦と、いよいよ島に対して攻擊を開始した。
勿論だが、深海棲艦側も反撃してくる。
対空砲撃を開始し、艦載機を撃墜しようとする。
そこに、長門達が砲撃を行い、滅多打ちにする。
もはや、海上に展開している深海棲艦は数える程度しか確認出来ない。
それを確認した雄二と明久は、頷いた。
「潜水艦隊……頼んだよ」
南絃神島付近の海中に、絃神島艦隊に属する潜水艦隊が行動していた。
本来潜水艦は、陸上を攻擊する手段は限られていて、攻擊力も限られる。
その内の一つが、いわゆる潜水母艦と呼ばれる艦種から発艦する水上機だ。しかし、絃神島艦隊に居るのはその水上機を有していない潜水艦隊しか居ない。
ならば、どうやって陸上を攻擊するのか。
それをある意味、夕張と明石が解決した。
「まさか、こんな物を運用する事になるなんて、思いもしなかったのね」
そう呟いたのは、潜水艦隊の旗艦を務める伊19である。
「だから提督は、先に深海棲艦の潜水艦隊と対潜水艦能力が高い軽巡洋艦と駆逐艦を先に徹底的に潰したでち」
「ですね。こんなのを抱えてたら、速度はそんなに出ませんから」
「でもこれで、私達でも陸上攻擊が出来ます!」
そんは伊19の後に続くのは、伊58と伊8、伊168だ。
この潜水艦隊は、前提督から居たのたが、前提督は有効な運用方法が分からなかったらしく、やっても哨戒だけであった。
はっきり言えば、明久もまだ模索中の艦種なのだが、夕張と明石が開発したある装備でかなり強引に陸上攻擊を可能とした。
「攻擊深度まで浮上完了……攻擊準備、ヨシ!!」
19が言うと、四人の装備。VLSの蓋が開いた。
今回四人は、そのVLSを左右2発ずつ。一人4発ずつ発射する事になっている。
このVLSだが、夕張と明石の二人がかつてアメリカ軍が運用していた原子力潜水艦の装備を自己解釈し、艦娘用に開発した物である。
それを、脇に抱えさせて出撃させたのだ。勿論そんな風にすれば、本来潜水艦の命とも言える静音性は喪われる。だから、潜水艦と軽巡洋艦級と駆逐艦級を徹底的に叩いたのだ。
「各弾頭に、諸元入力……完了!」
19達は弾頭のランプが、有効化を示す緑色に光った事を確認し、箱が頭より上になるように持ち上げた。
因みに、諸元入力は真上を飛んでる夕張達の偵察機からデータ送信されている。
そして19達は箱横のスイッチに手を持っていき
『発射!!』
息を合わせて、ミサイルを発射した。
凄まじい爆音と共に発射された弾頭は、海面を突き破り高高度まで一気に上昇していく。
それを確認した19達は、持っていたランチャーを投棄し
「現海域から全力で離脱なのね!!」
新たに腰に装着されていたウォータージェット推進機で、一気に離脱を始めた。
同時刻
「噴進弾の発射を確認!!」
「炸裂範囲内に、味方は!?」
「炸裂範囲内に、味方の反応ありません!」
レーダー士官からの報告を聞いた明久は
「まなづる改は!?」
「まなづる改、空域到着まで後100秒!!」
まなづる改
これは、旧日本軍が開発していたグライダーに小型の双発エンジンを搭載した機体だ。
設計図を見つけたのは偶々だが、今回の作戦の為に急いで用意した機体になる。
「噴進弾、弾着まで後40秒!」
「長門さん達とビスマルクさん、金剛さん達は!?」
「補給を終えて、何時でも全力砲撃可能です!」
「島の情報は!?」
「偵察機から詳細な情報、来てます!」
「各隊に同期! 弾着に合わせて40秒間の全力砲撃!!」
明久の指示を受けて、士官達が忙しなく動き出す。
そして、時が来た。
遥か上空からミサイルと、戦艦、重巡洋艦娘達から放たれた砲弾が、まるで雨のように次々と着弾。
凄まじい爆炎が、島を赤く染める。