おバカの提督業   作:京勇樹

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解放作戦 終

 

 

 

「設定ポイント確認! 主砲調整完了! お姉様、ビスマルクさん!」

 

『OKデース!』

 

『こっちも何時でもイケるわ!』

 

霧島からの呼び掛けに、金剛とビスマルクは返答し、砲撃態勢に入った事を確認した。

そして

 

「砲撃開始!!」

 

霧島の号令の直後、三人から全力で砲撃が始まった。主砲の交互撃ち方により、ほぼ隙間無く放たれる砲弾が、雨霰と南絃神島の姫級と思われる個体に降り注ぐ。

しかし、中々倒れない。

 

「このタフさ……やはり姫級……!」

 

初めて出逢った姫級個体。

霧島は大本営が姫級や鬼級の情報を解禁する度に確認していたが、南絃神島に巣食う姫級は図鑑でも見た事が無かった。

完全に未確認の新種だった。

 

『噴進弾の着弾まで、後10秒!!』

 

それを聞いた三人は、最後の一発を撃つと砲撃を停止。そして

 

『5……4……3……2……1……今!!』

 

空から計16本のミサイルが着弾し、大爆発が起きた。

 

「今のが、提督達が用意した切り札……凄まじい爆発だったわね……」

 

霧島は驚きながら、後退を開始した。

作戦では、切り札たるVLSが着弾したら、陸戦部隊を投入する為、砲撃していた艦隊は一時後退する手筈になっていた。

その時、艦隊の真上を一機の飛行機が通過した。

 

「後は、陸戦部隊に任せるしかありませんか……」

 

霧島はそう呟きながら、金剛とビスマルクの後に続いた。

場所は代わり、上空を飛ぶまなづる改機内。

元々まなづるは、旧日本軍がグライダーとして開発を進めていた機体で、その用途は相手の陣地に戦力を投入する事。

その為に当初は、エンジンを持たず、他の機体で曳航するように開発されていた。

しかし戦局の悪化と当時の機体では曳航出来ない事が分かり、途中でエンジンを着けて開発していたが、その前に終戦し、開発途中でアメリカ軍に引き渡された。

それの設計図を明石と夕張が発見し、明久に作戦の要として上申し、欠点の改修とエンジンを搭載し完成にこぎ着けた。

 

「降下用意!」

 

まなづる改の後部ハッチが開き、そこに陸戦部隊として矢矧、不知火、夕立、時雨、比叡が並ぶ。

その数秒後、ハッチ上部のランプが赤から緑に変わった。

 

「降下!!」

 

先頭の矢矧の掛け声の直後、矢矧から順番に降下を開始した。

今回は低空降下な為、即座にパラシュートが開き、迅速な着地が行われる。

着地した矢矧達は、直ぐ様パラシュートを切離し、未確認の姫級を視認した。

大きな籠手を装着したような腕に、眼鏡とヘッドホンが印象的な未知の姫級だった。

その姫級の周囲には、壊れているが倉庫やクレーンのような施設が見える事から、戦闘より物資を集めたりする集積地のように思えた。

その姫級も矢矧達を視認したらしく、怒りの表情を浮かべて

 

「集メタ物資ハ……ヤラセハシナイ……!!」

 

と声を発した。

 

「一気に片付けるわよ!!」

 

『了解!!』

 

矢矧達は一気に駆け出し、姫級との戦闘を開始した。

どうやら姫級の攻擊方法は固定砲台が主体のようだが、それらの砲台は先の集中砲撃とVLSで軒並み破壊されているようで、砲撃は来ない。

そう判断した矢矧は

 

「活殺自在陣!!」

 

短く指示を出して、行動を開始した。

矢矧は最速で駆け出し、姫級が繰り出した拳をスライディングの要領で躱しながら、逆手持ちに抜刀した刀を一閃。姫級の周囲に数枚あった装甲板の一枚を両断した。

次に夕立が飛び掛かり、右手のナイフと左手の鉈で姫級が防御に掲げた籠手に2連撃入れた。

その直後、時雨が居合いじみた一撃を放ち、更に装甲板を両断。すれ違い様に、姫級に対して魚雷を投擲した。

 

「鬱陶シイ!!」

 

時雨が投げた魚雷を、姫級は籠手で弾いて体への直撃を防いだ。だがその直後に、その籠手の装甲の一部が破損した。

その籠手は、先ほど夕立が2連撃入れた籠手の方で、恐らくは砲撃もあって限界が来たのだろう。

しかし、その程度では姫級は止まらないし、矢矧達も止まらない。

続けて、不知火がまずナイフを投擲。そのナイフは籠手の無事な部分で防いで、真上に弾く。そのナイフを、装甲板の一枚を足場にして跳躍した不知火が掴み

 

「沈めっ!!」

 

全体重を込めて、首を狙って振り下ろす。

その一撃は、まだ壊れていない籠手によって防がれて、不知火が持っていたナイフは途中から折れた。

しかし不知火は躊躇せず、着地しながら折れたナイフを投棄し、横に跳んだ。

その後ろから、右腕にパイルバンカーを装備した比叡が突撃し

 

「うりゃぁぁぁぁ!!」

 

咆哮を挙げながら、右腕を叩き込んだ。その直後、轟音と共に杭が放たれ、籠手諸共姫級の両腕を破壊した。

 

「ガアァァァァァァァ!?」

 

苦痛からか、姫級が絶叫する。

だが、ここで止まる訳にはいかないと、一斉に飛び掛かる矢矧達。

矢矧はまた刀を振るい、残っていた装甲板のうち2枚を破壊。時雨と夕立、不知火がナイフと刀を突き刺し

 

「トドメです!!」

 

最後に杭の装填が終わった比叡が、姫級の胸部にパイルバンカーを叩き込んだ。

杭は姫級の胸部を貫通。明らかに致命傷だった。

 

「ア……ガハッ……」

 

青い血を吐き出す姫級から、矢矧達は距離を取った。

姫級は倒れ、青空を見あげながら

 

「……アア……ヤット……故郷ニ、帰レるのね……」

 

と呟いて、息絶えた。

その顔は、何処か安らかそうに見えた。

そして矢矧は、もう動かない事を確認し

 

「……こちら矢矧、姫級の撃破を確認……南絃神島の解放に、成功よ」

 

と宣言した。

 

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