おバカの提督業   作:京勇樹

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現状の把握 艦娘寮編

明久は、自分の分のカレーを食べ終わると、嬉しそうにカレーを食べている艦娘達を嬉しそうに見てから

 

「さて……次の仕事だね」

 

と端末を取り出して、歩こうとした。そこに、静かに不知火が来て

 

「次は、艦娘寮になります。行きましょう」

 

と言って、明久の案内を始めた。

それから数分後、明久はまず駆逐艦娘寮に来たのだが

 

「……なにこれ……牢獄じゃん……」

 

自分の目が信じられない、というように呟いた。

正確には駆逐艦娘寮だけでなく、全艦娘寮が集められた区画なのだが、そこの手前には厳重な門があり、各寮の門も重苦しい雰囲気漂うものだった。

 

「……不知火ちゃん、これ、壊せる?」

 

明久の問い掛けに、不知火は門に触って

 

「可能と言えば可能ですが……これは、私だけでは時間が掛かりすぎますね……どうやら、戦艦並みの固さがあるように思います」

 

と言ってから、ドア横の守衛室みたいな小屋の方に視線を向けた。そこに入ると、赤いスイッチを押した。

すると、重い音を立てながら門が開いていく。

それを見た明久は

 

「もう閉めなくていいよ。ずっと開けてて」

 

と不知火に告げて、不知火を待たないで入っていく。

僅かに遅れて、不知火も後を追い掛ける。その後ろ姿だけでも、不知火は明久が怒ってると分かった。

そして明久は、駆逐艦娘寮の前に到着し、守衛室らしい場所に近づき中に人が居ないのを確認すると、窓を蹴り割った。

それに不知火が驚いているのにも構わず、明久は窓から強引に中に入り、全開放と書いてあったスイッチを半ば殴るように押した。

すると、ビービーという耳障りな警告音が鳴り響いた。

その音の後に、外の門も開いていく。それを確認した不知火は

 

「怪我はありませんか?」

 

と出てきた明久に問い掛けた、が、直ぐに気付いた。

明久が、爪が食い込み位に拳を握り締めている事に。

 

「……中に入るよ、不知火ちゃん」

 

「……分かりました」

 

言っても、治療を受けないだろうと判断した不知火は、明久に続いて中に入った。すると、奥からドタドタと足音が聞こえて

 

「誰が全開放のスイッチを押した!?」

 

と看守のような男が現れた。

筋骨隆々な男は、明久を見ると

 

「なんだ、貴様は? 提督の服なんか着やがって」

 

と侮蔑的な視線と言葉を投げ掛けた。すると、不知火に気付いて

 

「貴様! 何勝手に出ている! 早く部屋に戻れ!」

 

と乱暴に不知火を捕まえようとしたのか、警棒を振りかぶった。しかし

 

「邪魔」

 

と明久は、そんな男の顔面に飛び蹴りを叩き込んだ。

予想外の一撃に男は倒れて

 

「貴様!! この俺を誰だと思っている!? 俺は、この鎮守府の警備責任者だぞ!? こんな事をして、只で済むと思っているのか!!」

 

と怒声を張り上げた。しかし明久は、動じることなく

 

「だったら、僕の権限でお前はクビだ」

 

とその男に告げ、端末を操作。そして男に見えるようにした。すると、男は驚いた表情で

 

「こんなガキが、新しい提督だと!?」

 

と驚いていた。だが明久は、そんな男を無視して

 

「もう一回言う……お前はクビだ。1日だけ時間をやるから、荷物を纏めてとっとと失せろ」

 

と言って、奥に進もうとした。しかし、男が立ち上がり

 

「ガキが、粋がるんじゃねぇ!」

 

と明久に拳銃を向けようとしたが、不知火が一気に踏み込み

 

「ふっ!!」

 

短い呼気と共に、男の腹に拳を叩き込んだ。その一撃で男は派手に吹き飛び、壁に叩き付けられて、気絶した。

 

「……ありがとう、不知火ちゃん」

 

「いえ……これも、私の仕事です」

 

そう言いながら不知火は、明久が腰後ろから左手を戻したのを確認し、ため息を吐いた。

明久に行われた提督になるための簡易教育。その中には、護身術として格闘技と拳銃の取り扱いがあった。

そして明久は、拳銃では早打ちが高い評価を得ていた。

明久は気絶した男は無視し、奥に進んだ。

艦娘達の部屋は、個室なのだが牢屋としか表現出来ない物だった。

部屋は、大体六畳一間位で簡易ベッドと壁に一体化した机しかない。

そんな部屋を、明久は部屋と認めたくなかった。

入口のドアには、艦娘の名前が書かれた表札が貼られてある。

そこを後にし、明久は更に奥へと進む。

一応入口の地図の通りならば、奥に浴室がある筈だった。

しかし見つけたのは、シャワールームだった。

しかも入口には、五分以内に出るように。と書いてあり、オーバーしたら罰則を課すともあった。

 

「……こんなの、刑務所より酷いんじゃないかな……」

 

そんな環境に明久は憤りを覚え、不知火に向き合い

 

「不知火ちゃん。大本営に工作隊だったっけ? を要請して……寮、完全に建て直すから」

 

「分かりました。それで、各寮の管理者達はどうしますか?」

 

「問答無用で、この鎮守府からは追い出して……あんな扱いをする人達を、僕は顔も見たくない」

 

明久はそう言いながら、シャワールームから出ていく。そして、まだ気絶している男を見て

 

「一応拘束して、適当な牢屋に入れておくように憲兵隊に連絡……他の寮の管理者も」

 

「分かりました」

 

強引かもしれないが、今の明久は気にする余裕も無い程に怒っていた。提督もだが、鎮守府に居る警備要員達は仲間の筈の艦娘を監視し、鎮守府入口には名ばかりの門とカメラが有るだけ。

そんな無駄な事をする要員はとっとと切り捨てて、新しい要員で新しく回した方が良いと明久は考えたのだ。

一気に改革を始める為に、執務室に向かっていった。

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