インフィニット・ストラトス 〜チョウゾの新たな歩み〜 作:すくりゅうあたっく
とある学会で、技術革新の風が巻き起こる。
「……以上で、我がスターランドインダストリーが開発中の『αスーツ』の発表を終えます」
拍手が鳴り響く中、発表を終えた雪美は控え室で大きく息を吐いて緊張を解く。
あれから5年。スーツの開発は順調に進んでおり、手始めに全てのチョウゾ製スーツの共通機能である簡易モジュールシステムのみを搭載し、拡張性のただ一点に絞った『αスーツ』を学会で発表した。
スーツの量子化など一部の基礎機能はISの技術に類似したものだった為、ISが発表された時とは反応が全く異なっていた。……勿論、かなり良い方向で。
否定的な意見もあるにはあったが、それもジェネレーターの炉心に使うタイムクリスタルについてだったので想定の範囲内。いずれ解決できるものだ。
レイヴンビークからの意見も大きかった。人より長い時を過ごし、異なる歴史をその目で見てきた彼から得られた教訓は数知れず。
彼に大きな技術差を解説する方法について教えてもらわなければ、今頃ISが発表された時の二の舞となっていただろう。
「侵略を生業とする異星人、スペースパイレーツか……」
雪美は原稿用紙を握りしめ、いるかもしれない侵略者の存在をぽつりと呟いた。
ある時レイヴンビークから語られたのは、侵略や略奪を行う異星人の集団、スペースパイレーツの存在。
ありえなくはない事だ。人類が宇宙に目を向けていけば、異星人との衝突はいずれ起きる問題だろう。
相手が友好的な種族なら問題ないが、スペースパイレーツのような存在と接触した場合は話が変わる。
ならばどうするか? レイヴンビークから返ってきた答えは単純明快だった。武装して対抗すればいいと。
αスーツは地球人の防衛手段の布石として用意したものだ。
(……まだまだ時間も技術も足りないわね)
まだまだ地球の平均的な技術では、稼働時間を除いてISを越えられない。しかし、そのISと決定的に違うのは、やはり普通の地球人にも作れる事だろう。
そもそも、ISが絶対視されている決定的な理由は何なのか?
白騎士事件のミサイル撃墜? 違う。確かにあれは偉業と言える程の活躍だったが、所詮はパイロットと白騎士という機体が強かったからに過ぎない。
スペースパイレーツが様々な種族の入り交じる大きな組織である以上、数の差で幾らでも押し返される。白騎士が一人しかいない以上、いずれパイロットは疲労し、有限であるシールドエネルギーは何処かで無くなり、そうなればISは羽ばたく事もできなくなる。
飛べぬ鉄屑となったISの末路は……言うまでもない。
それ以外に女性にしか乗れない、適正で大きな実力差が出る、量産が実質的に不可能ど、大量の致命的欠点を抱えて尚、ISが規格外に強いと言われる理由は何か?
それを挙げるとするなら、稼働さえしていれば他の兵器を一蹴する程の超性能を発揮出来る点だろう。
開発者直々に設計、作成された白騎士は例外中の例外にしても、世界各国で作られている試作第1世代型ISでも最新鋭技術を盛りに盛った既存の兵器群相手に圧倒できていたのだ。第2世代との差など語る方が失礼だ。
今まで強いのは常識と言わんばかりの最新鋭の兵器達が、まだまだお粗末な出来の発展途上もいい所だったISに蹴散らされる……ここまで差が酷いと、世界各国がヤケになってISの開発に力を入れるのも分からなくは無い。
しかし、そこにαスーツという異色の対抗馬が現れればどうなる?
凡人の手でもIS同様際限なく強くなれるαスーツを見た世間はどうなる?
最初はISの方が何もかも強い。αスーツなどISもどきだ。などと、皆口を揃えてαスーツをこき下ろすだろう。
そもそも技術の源流や想定された使い方が違うのだが……今は兵器として比較しよう。
ISは自己進化の機能が存在する。勝手に改善点を見つけ、勝手に改良し、勝手に新たな機能を加える。そこに人の手は加えられない。あらぬ方向へ進化をしISコアが破滅への道を歩ませてくる可能性だってある。
αスーツに自己進化するような機能は徹底的に排除されていて、あくまでも人間がスーツの全てを作るようになっている。
(……あの人、自己進化機能だけは珍しく批判してるのよね)
レイヴンは、ISコアに意思が搭載されている事を酷く嫌っている。
1度だけ、何故こうも嫌うのか聞こうとしたが……彼にしては珍しく、一切口を開かなかった。
……ただ、その時だけ彼の力強い瞳に、大きな後悔の色が混じっていた気がする。
メトロイドの設定解説シリーズ
スーツのモジュール機能
サムスのスーツを初めとしたチョウゾ製スーツには、特定のデータを読み取ってスーツに新たな機能や装備を搭載するモジュール機能がある。例えば強力なミサイルを放てたり、スーツに耐熱機能を搭載したり、果てには無限にジャンプする機能と、その範囲は多岐にわたる。
ただし、大半のスーツはオーバーテクノロジーのデータの場合、機能を搭載できず、未詳アイテムとして扱われる(メトロイドゼロミッション終盤以降のサムスが所有している伝説のパワードスーツは例外)
本来なら再現が非常に困難、或いは不可能な装備もデータさえ読み取れればサムスはその装備を使えるようになるし、データにするだけならチョウゾより技術力の低い種族でも可能。実際、メトロイドフュージョンでは銀河連邦が装備のデータを送り込んでサムスの装備を強化させている描写がある。
余談だが、サムスは毎度ゲーム最序盤に何かしらのイベントで装備データの大半を喪失してしまう。(一部では弱体化儀式なんて呼ばれてたり)