インフィニット・ストラトス 〜チョウゾの新たな歩み〜   作:すくりゅうあたっく

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第1話 チョウゾ・ゴースト

太陽系の何処かに位置する暗礁宙域にて、突如プラズマが発生した。

その中心にて、ゲル状の何かが漂っている。

 

それを知る者が見れば、核兵器よりも厳重な管理と徹底した隔離を施すだろう。

だが、そのゲルに鳥と人を掛け合わせた生物にも見れる陽炎のようなものが近づく……いや、引き寄せられているというのが正しいだろう。

ゲルと陽炎が触れ合った瞬間、ゲルが陽炎へ同調するかのように、陽炎と全く同じ形にその肉体(・・)を変えていく。

 

力強さと知性を兼ね備えた猛禽の顔をした、人類の知るあらゆる生物にも属さない異形とも呼べる生物が形作られた。

だが、それは目を閉じたまま動かない。

スペースデブリなどがそれにぶつかり、僅かに進路を変えた。

それは少しづつ、だが確実に水の星(地球)へ進んでいた。

 

 

 

第1章

融合(フュージョン)

 

 

 


 

選挙カー爆破事件の翌日、昼頃に自衛隊の指揮の下ようやく生き埋めになっている行方不明者の捜索が行われていた。

 

「島星隊長! 女の子です!瓦礫に埋もれかけていますが、僅かに息をしています!」

 

「そうか。 瓦礫の崩落に気をつけつつ、速やかに救助しろ! 救急隊、Dブロックへ急行せよ!」

 

隊長と思わしき人物が生存者の報告を聞き、すぐさま救助隊に座標を連絡する。

 

『了解!』

 

「隊長……申し訳ありません。Bブロック、生存者は発見できず」

 

「そうか…大谷一士、Dブロックにて生存者が見つかった。君もそちらに向かいたまえ」

 

「はっ」

 

(当初想定されていた以上に生存者が少ない……クソっ……政府め、本来ならもっと素早く対応出来たはずだ……)

 

今回の作戦を指揮している島星 (ハジメ)は、政府の対応の遅さに内心で毒づく。

幹部でもない自分では救助隊の派遣が遅れた理由を知ることは出来ないが、官僚連中の間でろくでもないいざこざが原因なのだろうと察せた。

 

 

救助隊の奮闘虚しく生存者はたった1人を残し、全員が死んでいた。死因は瓦礫による圧死と一酸化炭素中毒による窒息死。

ロッカーで着替えていた隊員の1人が、常日頃冷静沈着なはずの、自分達が絶大な信頼を置いている隊長が無意識に掌を握りしめている事に気がつき、声をかける。

 

「どうかなさいましたか、隊長……?」

 

「……いや、なんでもない。………………私達は、現場で出来うる全ての事をした。そうだ、その筈なんだ……!」

 

「「「「「……」」」」」

 

その場にいた誰1人として、その問いに答えることは出来なかった……

 

 

 


 

 

 

 

1人用の病室にて、ベッドに横たわっていた少女は重たい瞼を開け、起き上がった。

 

(あれ、わたし…いきてる? ここは……病院…?)

 

少女が状況を整理しようとしていると、声が聞こえた。

 

《そうだ。私が貴様を生かした。そしてここは病院だな。……貴様は私のお陰で助かったのだよ》

 

少女は辺りを見回して声の主を探すが、部屋には自分を除いて誰もいない。

次に他の患者がいるのかと考えたが、ここは1人用の病室だった。

”声“はとても近くで聞こえた。遠くにいるとも思えない。

 

「……だれか、いるの?」

 

少女はどこにいるかも分からない声の主へ、その居場所を聞く。

答えは思っていたよりもずっとおかしかった。

 

《貴様の頭の中、とでも言おうか》

 

「えっ!? あ、あたまの、なか……?」

 

全く予想だにしなかった答えに、困惑が少女の頭の中を満たしていく。

”声“は少し考えるように間を置いて、少女でも分かるように例える。

 

《……今は、幽霊がお前の中に住み着いたと思っていて構わん》

 

「お、おばけが、わたしのなかにはいっちゃった……!?」

 

今度は困惑よりも恐怖心が勝ったのだろう。少女の顔が少し青ざめる。

直後、ドアが開く音がして看護師が部屋に入ってきた。

誰かが来たという安心感が、パニックになりかけていた少女に少しだけ余裕を与えてくれた。

 

 

 

看護師が部屋を出てから少しして、医師が先程の看護師と一緒に病室に入ってきた。

 

「……目が覚めたみたいだね、良かった。どこか変な感じがするとかは無いかい?」

 

「そ、その……だい、じょうぶ…です」

 

優しそうな医師の質問に、少女はしどろもどろになりながらも何とか答える。

お化けの事を話して何をされるか分からない状況では、流石に頭の中にお化けが住み着いたなどと言う勇気は少女には無かった。

 

《……私の事は話さんのか、なら私が直接話す。少し身体を借りるぞ》

 

「え、え……? !!!」

 

”声“がそう言った瞬間、少女は頭の中に引っ張られる感覚と共に“声”と入れ替わった。

 


 

 

突然困惑しているような声を出して脱力した患者が、僅かな間こちらを睨むように見る。

 

「……はじめまして、と言うべきかな?」

 

「! ………鈴木君、ここは僕一人で十分だから、他の患者を見に行ってくれ」

 

患者の異変に気がついた私は、少し警戒を強めた。

看護師の鈴木君に部屋を出るように促し、1対1の状況にする。

まるで重力が強まったかのように重苦しさを感じさせられるプレッシャーを放っている。

その目は、間違いなく私がどういった人物なのか見極めようとしていた。

今目の前にいる少女は、明らかに別人だ。

 

「ほう、あいつは真央と言うのか。……あまり時間もない。要点だけ伝えるぞ」

 

「……君は真央ちゃんにとっての、何なんだ……?」

 

私は目の前の何者かを刺激しないように、慎重に質問をする。

 

「…強いて言うならば、互いに必要だった結果そのものだな。多重人格とも言える」

 

「強いストレスが起因に人格が複数になった……とでも言うのかい?」

 

違う。私の直感が正しいなら、多重人格ではない決定的な何かが、目の前の子にある。

 

「ほう……まぁ、今は多重人格という事にしておいてくれ。その方が互いに都合がいい」

 

その言い方からして、多重人格ではない存在……つまり、今話してる人は何らかの外部的要因で真央ちゃんの精神に入り込んだ異物……と考えるべきだろうか。

普通なら冗談として受け取ったり、ただ単に上手く伝えられなかったんだと考えられる……。

だが、5歳児がこんな事を話していたら話は別だし、人が嘘をついている時によくするような仕草もこれといってしていない……。

本来なら医者として、科学的根拠も何も無いのにこんな事を信じる訳にはいかないが……

 

「……君の目的は、一体なんなんだ。何の為に、真央ちゃんの身体に入り込んだんだ」

 

「ひとまずの目的は、私の事を多重人格と診断して欲しい。…………安心しろ、それさえすればこの子の命は間違いなく保証する。私が生き続けるのにも必要な肉体だ。途中で捨てたりなぞしない。それに………む、時間切れか。真央とやらが目覚めるようだ。また会おうではないか」

 

不敵な笑みを浮かべながら、そいつが放っていたプレッシャーは消え去る。

奴は真央ちゃんに肉体の主導権を明け渡したようだ。

 

「そ、その……わたし、さっきのおはなしは、わたしにはよくわからなかったけど……その、あのひとは、わるいひとじゃないと、おもいます……その、さいしょはこわそうだとおもったけど、ほんとはやさしいんだとおもいま、す……」

 

どうやら主導権を取られている間でも、少なくとも真央ちゃんの方は意識があるようだ。

彼女なりに頑張ってこちらに何かを伝えようとしている事に、私は少し安心感を覚えた。

 

私はその言葉を聞いて、3日考えた末……

ただ独り生き残った少女、大鷹(オオタカ) 真央(マオ)は多重人格であると診断書に書いた。

幼少期のお話って……

  • 投稿遅くてもいいからできるだけ濃密に
  • 簡単にでもいいから早く投稿あくしろよ
  • いりません!
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