インフィニット・ストラトス 〜チョウゾの新たな歩み〜   作:すくりゅうあたっく

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第4話 擬態と継ぎ接ぎ

ワシ人間になったおじさまを雪美さんは、おじさまがそこにいるのを疑うように軽く触った。

 

 

「やはりすぐには信じられないか。まぁ無理もない」

 

おじさまは座ったまま(ワシ人間としての体が大きいせいか、それでも天井に頭をぶつけてしまいそうだった)そう言って、光のない右目を撫でた。

 

「私達がCGや幻覚を見せられてる訳じゃない、か……趣味の悪いコスプレの方がよっぽど良かったかもしれないわ……はぁ」

 

雪美さんは大きなため息を吐いてまた頭を抱えてしまった。

 

「これから話すことは荒唐無稽にも程があると思うだろうが、実際に起きた事だ」

 

おじさまは隠し事はしても嘘をついたことは1度もない。それに、冗談を言うタイプでもない。

私も雪美さんも真剣に話を聞こうとする。

 

「……私はチョウゾという種族の宇宙人だ。だが、本来ここには居ないはずの存在でもある」

 

「おじさまが宇宙人…?」

 

「……………まさか、こんな近所に宇宙人がいて、真央ちゃんの中にいただなんて、ね……………………こういうのを灯台もと暗し、って言うのか……」

 

いまいち実感がない私の横で雪美さんが頬杖をつきながらそう言った。

私からすればよく分からないただの人だと思ってたし、今この時もそれが変わってはいない。

 


 

しばらくして、真央達が落ち着いたのを確認したレイヴンビークは話を本格的に始める。

 

「落ち着いたようだな。順を追って説明しよう。私はとある人物にのみ残っていた絶滅した生物のDNAを求め、そいつと戦っていた。そうだな、結果だけ言えば私が敗けた。だが、トドメを刺したのはそいつではなかった。……私の死にかけた身体にとある生物が寄生したのだ」

 

「とある、生物……」

 

雪美は唾を飲み込み、話の続きを今かと待つ。

レイヴンビークは淡々と自らを殺した元凶について話す。

 

「その生命体の名はX(エックス)。ゲル状の生物で、寄生する対象の中枢神経に潜り込み、DNAをコピーする。そしてコピーの過程によって寄生された生物は中枢神経への致命的なダメージを受け例外なく死亡する。私は奴に気づけず、為す術なく寄生された」

 

「ちょっと待って。ゲル状の生物ってまさか……」

 

ゲル状の生物という言葉に引っかかりを感じた雪美は、既に真実へと辿り着いていた。

 

「飲み込みが良い奴は嫌いでは無い。私のこの肉体はXが寄生し、DNAをコピー、そして擬態したものだ。真央を生かしたのもこの寄生と擬態能力を応用している」

 

そう言ってレイヴンビークは左手の4本指をゲルに変え、すぐに元に戻す。

 

「真央は私が見つけた時、体の大半がやられ、大量の瓦礫で多くの神経系が破壊されていた。脊椎の損傷が無かったのは奇跡と言っていい。あの時の私は寄生さえ出来れば誰でもよかったが、不自然にならないよう寄生対象が生きている必要があった。だから、真央を生存させたのはただの偶然に過ぎない」

 

「私を助けたのは、偶然……」

 

レイヴンビークの身も蓋もない答えに真央が僅かに落ち込むが、彼は真央を一切気にせず話を続ける。

 

「はっきり言って、あの時Xとしての肉体も疲弊していたからな。宿主が必要だったのだよ……だが、その宿主が死ぬのは私からすれば不都合だった。最初は真央から1部のDNAを抜き取り、それを使って再生させるつもりだったが、既に真央の肉体を無理矢理動かすには損傷が大きすぎた」

 

「待って、それってつまり真央ちゃんの肉体は……」

 

雪美は次々と核心に迫り、レイヴンビークはそれを見て左の目を少し見開く。

 

「そうだ。私のレイヴンビークとしての肉体を構成するDNAを使い、継ぎ接ぎながらも治した。……安心しろ、過去に地球人へ私のDNA移植を行った事がある。DNAへの適合自体は可能と知っていた」

 

「…とりあえず臓器移植、と捉えておけばいいのかしら」

 

「そう思っておけば良い。元々Xは1部の個体が複数の生物のDNAをストックし、キメラのようにして融合させることもあった。本来DNA移植を行うのは慎重に慎重を重ねなければならなかったが、この能力のお陰で多少荒っぽくしても平気だったのだろう。常に異変や拒絶反応が無いか確認しているが、真央の肉体は今までそのような反応を示していない」

 

真央自身も体にこれといった違和感は今まで感じなかったし、それどころか大きな病気にかかった事が無かった。

恐らく、レイヴンビークのDNAが真央の肉体へ何らかの作用を良い方向に及ぼしているのだろう。

 

「……とにかく、お前達に教えるのはこれくらいだ。後は……まだ話すつもりは無い」

 

レイヴンビークは腕を組んで、これ以上話そうとしなかった。

すると、雪美がレイヴンビークにある交渉を持ちかける。

 

「……ひとつ、交渉したい事があるわ」

 

「……内容次第では呑まんこともない。言ってみろ」

 

レイヴンビークは目付きを更に鋭くしながらも交渉に応じる。

 

「この事を黙っておく代わりと言ってはなんだけど……このノートと貴方の鎧を貸してもらえないかしら?」

 

雪美が対価として要求したのはノート(記録)装甲の一部(実物)

それを聞いたレイヴンビークは、少し驚いたようだった。

 

「貴様、技術者か」

 

「えぇ。スターランドインダストリーって会社の所属……と言っても私は社長と兼任だし、社員なんて1人だけ。なんなら出資者はラビットっていう匿名の人物しかいない。正直に言えば零細ここに極まれりな企業よ」

 

雪美はそうボヤくが、レイヴンビークは寧ろそこに興味を示していた。

 

「……機械工学か」

 

「大雑把に言えばそうね。もっと細かく言えばISの装甲に関わってるわ」

 

「ほう…いいだろう。これを解析できるのなら続きも提供しようではないか」

 

そう言ってレイヴンビークは肩の装甲を引き剥がし、雪美に渡す。

明らかに雪美の技術力を試している行為だったが、雪美は不敵な笑みを浮かべていた。

 

「ふっふっふっ……これでも私は1から何かを掴むのが得意なの。絶対に解析してみせるわ!」

 

「クククッ…見物だな…ゲホォッゴホォッ!!」

 

同じような笑みで返答したレイヴンビークだったが、直後大きく咳き込む。

 

「大丈夫おじさま!?」

 

「どうやらまだ損傷が大きいようだ。長くはこの姿で活動できないのだろう。戻らせてもらう」

 

慌てて彼に近寄る真央だったが、レイヴンビークはそれを手で制してゲル状の姿に変身。真央の胸に飛び込んで再び入り込んだ。

 

《はぁ……難儀なものだ。しばらく私は肉体の修復に専念する。今日中は話しかけても反応はしないだろう》

 

(う、うん……)

 

レイヴンビークがそう言うと、真央の中にいる気配が少し弱まった。

 

「さぁ! 早速徹夜して解析よ〜!!!」

 

(もし、おじさまがいなくなったら……私はどうなっちゃうんだろう……)

 

小躍りしている雪美の横で、真央は一抹の不安を覚えるのだった……

 

 

メトロイド関連の設定(今回ならX)は説明して欲しい?

  • 知ってるから大丈夫
  • あとがきで簡単に説明して欲しい
  • 章の終わりに登場した設定を纏めて書いて
  • なんとなくでいいからいらない
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