インフィニット・ストラトス 〜チョウゾの新たな歩み〜   作:すくりゅうあたっく

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第6話 遺物

日差しの強い真夏の昼頃、雪美と水木は玄関の前に立っていた。

 

「ここって先輩の実家ですよね? なんでこんな所に来たんですか?」

 

「うちの実家に依頼主兼協力者が住んでいるからよ。あと、協力者の姿を見ても疑う様な事はしないでね?」

 

水木は雪美が実家に来た理由を聞き、雪美はそれについて説明しながらインターホンを押す。

 

「真央ちゃ〜ん、おじさんの出迎えに来たわよ〜!」

 

「今向かう!」

 

雪美が大きな声で2回のある部屋に向かってそう言うと、覇気のある声が返事をした。

しばらくしてドアが開き、目つきの鋭い真央がこちらを見ていた。

黒い帽子を被り、ボーイッシュな服装に身を包んでいる。ただ、背中には重すぎて倒れてしまいそうな程大きなリュックを背負っていた。

 

「あの……もしかしなくても協力者ってこの子じゃないですよね?」

 

「え? この人だけど。だから姿を見ても疑わないようにって言ったじゃない」

 

「いかにも、私が依頼主兼協力者のマオだ。貴様が雪美の助手の水木 瞳子だな?」

 

「は、はい…よろしく、お願いします……?」

 

マオ(レイヴンビーク)の尊大な態度に、水木は若干引きつつも握手を求める。

 

「あぁ、これからしばらく世話になる」

 

差し出された手に、マオは力強く握る事で応える。

 

「さぁ、挨拶も程々に、2人共! 早速研究室に向かうわよ!」

 

思ったよりも良いスタートを切れた2人に、雪美は手を叩いて2人に乗用車へ乗るように促す。

 


 

乗用車の中では、やはり水木からの疑いの眼差しがマオに突き刺さっていた。

 

「それにしても、こんな子供が協力者って……いったいどんな訳ありなんですか?」

 

「あ〜……本人が話していいって言えば説明できるけど……」

 

水木が疑問に思っていた事を聞こうとするが、雪美から話す事は出来ないので、許可を求めるべくマオに話を振る。

 

「……秘密が広がっていくのは不本意だが、致し方あるまい。ある程度なら話しても構わんぞ」

 

「えっ、なんで君が許可を……?」

 

「簡潔に言うならば、私は地球外生命体だ。この体も宿主に似せただけに過ぎん。……これ以上の詳しい話はここではできん。いつかまた、機会があれば話そう」

 

水木は信じられないという目でマオを見るが、彼女(?)はそれを涼しい顔で受け流す。

 

「……ま、私も実際に見てから信じれたぐらいだし、無理もないわよね」

 

雪美がそんなことを呟くのとほぼ同時に、乗用車が減速していく。

雪美から降りるように促されたマオは、三階建てのビルを目にする。

 

「さて、ここがスターランドインダストリー。狭い代わりといっちゃなんだけど、設備の質は保証しておくわ」

 

「……そうか。アレを再現出来ているの見ているのでな。期待しておく」

 

「つれないわねぇ……ま、立ったままもアレだし、さっさと入りましょ!」

 

そう言って雪美は一階のロビーを通って階段を上り、マオと水木はそれについて行った。

 


 

三階の部屋には、金属製の机が数個とその上に大量の書類が並んでいた。

 

「まずここが社長室兼事務室。実験などのデータは全てここでまとめて書類にするわ。あなたの席は……まぁ空いてる所を好きに使っていいわ」

 

「そうか。ではこの席を使わせてもらう」

 

そう言ってマオは書類の並んでいる机の隣に、お茶の入ったペットボトルと僅かばかりの筆記用具を置く。

置かれた荷物の少なさに水木は目を丸くするが、マオはそれを気にすることも無く案内を待つ。

 

「……それだけですか?」

 

「あぁ。他はサンプルとして持ってきたからな。残りは全て研究室に置くつもりだ」

 

「そういうこと。それじゃマオくん、二階の研究室に案内するわよ〜」

 

 


 

二階の研究室は事務室やロビーとは一変して純白に統一されており、置いてある設備はどれも最先端のものであった。

 

「ほう……では、ここに置かせてもらうぞ」

 

設備を一瞥したマオはそう言って、リュックからがらんどうの鎧を引っ張り出す。

 

「あら、それ外せたのね」

 

「幸いこれは擬態ではなく量子化されていたからな。半壊しているとはいえ外しても問題は無かった」

 

本来ならISの解析に用いる装置から伸びている配線を鎧に繋げていくマオを横目に見て、水木は次々と送られてくるデータを見て腰を抜かしそうになる。

 

「な、なんですかこれ! ほとんどのデータが既存の技術では再現不可能なレベルですよ!」

 

モニターの画面を食い入るように見る水木だが、彼女の驚きはまだまだ続く。

 

「あらゆるデータを読み取って能力とするモジュール機能、右腕には多種多様な装備を扱える多目的ユニット、供給さえ出来れば半永久的に稼働し続けるエネルギーシールド、破壊した物質からエネルギーや弾薬を生成してそのまま補給できる機能……様々なデータを読み取り装着者をサポートするバイザー、切り取っても時間さえかければ元通りになっていく自己修復機能……何なんですかこのオーバーテクノロジーの塊は……!!」

 

半分以上の機能が崩壊していてこの性能……この鎧が未だ発展途上とは言えISを大きく超える性能を秘めている存在なのは明白であった。

 

「ふむ、主要な機能はしっかりと生きていたか。……ならば問題あるまい」

 

「これが、宇宙人の作ったパワードスーツ……」

 

先程からずっと驚かされている水木の横で雪美は口をあんぐりと開け、マオは最低限の情報は無事だと判断した。

 

「……これは、大軍神様から賜った私の大切なパワードスーツであり、私の一族の象徴でもあった」

 

マオはそう呟きながらパワードスーツを優しく撫で、まるで懐かしむかのような雰囲気を纏いながらぽつぽつと話していく。

 

「だが、栄華を極めた一族はある時を境に滅んだ。最早これは過去の遺物に過ぎない」

 

(そうだ。私が滅亡を早めた)

 

「ならば、残った者へ少しでも役に立たせなければならないだろう」

 

(それが、きっと私がすべき事なのだから……)

 

マオは、主をなくし力無くだらりとさせた(誇り)を前にそう呟いたのだった……

 

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