インフィニット・ストラトス 〜チョウゾの新たな歩み〜   作:すくりゅうあたっく

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今更ながら補足しておきますが、第6話の時系列は2014年の8月としています。

原作の約7年前かつ、第1回モンド・グロッソの2年ほど前ですね。
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第8話 鷹と兎

ハッキング騒ぎから3日後。スターランドインダストリー2階の研究室に、2人の高校生が入って来る。

 

「へぇ……まぁ、凡人にしてはかなりいい設備使ってるじゃん。私の使ってる奴には及ばないけど」

 

「束、失礼だろう! すいません、うちの束が……」

 

背が高い少女、織斑千冬はつまらなさそうにしている少女、篠ノ之 束の見下すような態度を諌め、彼女の代わりに頭を下げるが、雪美は問題ないと言いながらも皮肉混じりに返事をする。

 

「いいのいいの。ハッキングに比べたらこれくらい全然平気だって。ささ、ちょっと研究続きでゴチャついてるけどゆっくりして!」

 

研究室は書類の山だらけだったが、手前の机はそういったものが排除されていて、来客席の代わりの椅子が4つ置かれていた。

 

「いえ、大丈夫です。私はこいつの監視として来ただけなので……」

 

「こういうのは素直に受け取るものよ? はい、麦茶」

 

「……ありがとうございます」

 

千冬は少し遠慮がちにしていたが、雪美の押しに負けて麦茶の入ったコップに口をつける。

束も少しして置かれたコップに口をつけ、麦茶を飲む。

 

「……で、お前ら石ころに用はないんだよ。早くアレを作った奴を呼べよ。 あ゙?」

 

「束! 失礼にも程があるぞ! 本当にすいません……」

 

麦茶を飲み干した少女はドスを利かせて脅迫まがいの“お願い”をする。

千冬が束の失礼な態度をまた諌めるが、彼女は涼しげに無視を決めた。

彼女には決定的に倫理観などの人を構成する上で重要なものが欠落していた。

 

(ふん、天災科学者と聞いて少し期待していたが……頭脳と肉体だけが取り柄のクソガキとはな。無駄な期待だったか)

 

マオは篠ノ之 束の評価を改めた。

こいつはとんだクソガキだ。それも、人を人として見ない種類のクソガキ。

マオとしてはスペースパイレーツと大差ない品性の相手なぞしたくもない。これならまだあそこの司令官(リドリー)の方がまともに話をできる。

 

「ふん……天災科学者の名が聞いて呆れる。私は物を正しく見ることもできぬ目のついた猿を招いた覚えはないぞ」

 

「ッ!!」

 

マオは雪美の背後からXとしての体を染み出させ、そのまま真央の姿へ擬態をして現れる。

突然現れた気配に気づいた千冬が警戒の色を強めるが、マオは気にせず雪美の後ろから身体を出す。

 

「へぇ……君がアレを作ったんだ。こんな子供が……ふふふっ」

 

それに対して、束はマオを興味深そうに見て少し気持ちの悪い笑みを零す。

マオは冷ややかな目で束を睨みながら椅子にどかりと座る。

 

「ふん……それで、傲慢な猿である貴様は何を要求する?」

 

「あはは! 天災の私を猿呼ばわりとはいい度胸だね。これは一度、どっちが上なのかを分からせてあげないといけないかな〜?」

 

束が冷たい笑みをしながらシャドーボクシングで脅しをかけるが、マオはそれを聞いて鼻で笑う。

 

「ふん。この程度の安い挑発に乗るとはな……どうやら貴様が成長しているのは身体と脳味噌だけで、精神は子供のまま時間が止まっているようだ。心が赤ん坊のままの餓鬼に私が負けるとでも? 力の差を分かっていないのは貴様のようだな」

 

売り言葉に買い言葉。だがどっちが真の意味で勝っているかなど火を見るより明らかだ。

束が品定めするようにマオの身体を見る。何の変哲もないただの少女の身体だ。特筆して筋力が高い訳でもない。

 

「へぇ……そんなひょろっひょろの普通な子供ボディで細胞レベルでオーバースペックな私に勝てると思うなんて、目と脳味噌がスカスカなんじゃないかな?」

 

「怒りで舌戦だけに集中し、物事を表面的にしか見れていないから私の正体を見誤る。どうやらそっちの小娘は薄々ながら気がついているようだぞ?」

 

マオが千冬に視線を向け、釣られるように束も千冬の方を向く。

千冬は冷や汗を流し、マオを睨んでいた。

 

「良い観察眼だ。この僅かな時間で私の異常性に気がつくとはな」

 

「……いえ、貴女の気配が少しおかしいと感じただけですよ。それ以上は私にも分かりません」

 

千冬が警戒を緩めずにそう言ったのが気になったのか、束もマオの肉体を注視してみる。

よく見ると、明らかに纏う気配や肉体の一部の構造が人間としては異質だった。

 

「! ……人間、じゃない? いや、そもそも地球の生き物にこんなのは……」

 

「ようやく気がついたか。……そうだ。私は人類ではない。言っておくが、この事は他言無用だ……漏らした場合、最悪の結果が待っているだろう」

 

マオは簡潔にまとめて話し、それを聞いた千冬はもしもの未来を想像して息をのみ、束も不満そうだったがひとまずは頷く。

マオのXとしての能力を使えば、惑星をXの巣窟にするなど造作もない。

如何に彼女達が細胞レベルでオーバースペックに強かろうが、それは人類としてはという前提。メトロイドのようにXの寄生に対する耐性が無ければ為す術なく殺せる。

 

「さて、本題に移ろうではないか。私の要求はたった1つ。タイムクリスタルの提供だ」

 

「タイムクリスタル? んー…私のISコアの模造品でも作るのかな?」

 

束は冗談混じりにそう言うが、マオは首を振って否定する。

 

「そんなことはせん。ジェネレーターの炉心に必要なだけだ。他にも炉心のエネルギーに耐えうる素材があるにはあるが、あいにく我々の手の届く場所に無いのでな」

 

「ふーん……ま、データを見せてくれるならいいよ」

 

束は条件付きで要求飲み込んだ。マオも頭を下げて礼儀を示す。

 

「そうか。協力を感謝する……少し待て。スーツを出す」

 

マオは精神を統一し、パワードスーツを装着する。

強奪されたりなどの万が一を考え、結局束と話している間は自分が着る事にしたのだ。

 

「! 待機形態も無いのにスーツが……」

 

千冬が驚き混じりにスーツを着たマオ……いや、レイヴンビークを見る。

束も目をキラキラとさせながらスーツの至る所に触れる。

 

「これってバイオ金属!? この私でも構想段階で断念したのに! それじゃあ早速データを拝見………………モジュール機能!? IS以上の堅牢さを誇るシールドエネルギー! エネルギー問題を解決したほぼ永久に放てる超強力なビーム! 個で完結するエネルギー補充機能! あぁもうこんな技術の宝物庫放っておけないよ!!!」

 

「はぁ…………(やはりこいつはデリカシーのない奴だな……いつかは灸を据えねば)」

 

狂気的なまでにキーボードを叩きながらデータをコピーし脳内でも覚えていく束を見て、レイヴンビークは嘆息する。

結局、レイヴンビークのスーツはこの後8時間以上束に解析され、拘束され続けるのだった。

この日、決定的にこの世界の歩む歴史が変わった……




遅い!遅すぎる!まじで遅れてしまいすいませんでした……
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