ひだ松さん   作:ssを読む程度の能力

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あけましておめでとう!新年の挨拶ついでに新たに一話書かせていただきます!

チビ太「輪島あたりで物騒な地震があったのかよ。オイラもおでんを提供して避難民に温かい夜を過ごしてもらいたいぜ。」




チビ太とひだまり荘

六つ子の親友で悪童三昧だったあのチビ太ももう大人。

 

二十歳を過ぎても未だにぐうたらしている息子とは違って、数多の店で板前修業を経ておでん屋の屋台を背中に街中を駆け巡る料理人として立派に独立している。 

 

常に六つ子のただ食いをするがせいで家計が火の車状態であるがそれでもおでんを愛する彼はおでんを売って売って売りまくる。

 

北に腹をすかせたベーシストがいればおでんを売り、南に3人の学校帰りの女子高生がいたらおでんを食わせ、西に狸やかっぱを祀る神社の近場に住居を構えている男性がいたらおでんをご馳走して、東に不幸体質の女性を連れた全裸男が宛のない旅をしていたらいればひたすらおでんを食わせてやったのだ。

 

 

      おでんだけだけど。

   1日目

 

チビ太「てっやんでぃ〜ばーろ〜こんちくしょー♪六つ子早く金はらえ〜♪」ガラガラガラガラ

 

チビ太は今日もおでん種に傷がついていないか念入りにチェックをしている。

暫くして、暖簾が捲られロングコートを着た女性が入店をしてきた。

 

大家さん「寒い寒い…あの6人に一人増えたから世話をするのがのが大変だな…小腹もすいたし…。こんなところにおでん屋の屋台。坊や、この席は空いてるかい?」

 

 

チビ太『おう!食っていきな!てやんでい!タコ足、じゃがいも、でぇご、蒟蒻、糸こんにゃく、卵、厚揚げ、ちくわぶ、ひろうす、ごぼう天、はんぺん、牛すじ、銀杏から餅巾着まで何でも揃えてるぜべらぼぅめ!熱燗も良い瓶を選んだぜぇ〜?』

 

大家さん「んじゃ、熱燗と大根、あげと卵をもらおうかね。辛子は多めで!」

 

チビ太「あいさ!それでは参りやす!」

 

チビ太の職人慣れした手捌きのお陰か、一瞬で色艶の落ちていない厚揚げと卵、大根がお皿の上に並べられた。

 

チビ太「はい!四分前に茹で始めた半熟卵!それに三時間前の味のしっくりしみた大根!そして同じく三時間前に入れた厚揚げでぃ!これ食って熱燗飲んでぐっすり寝やがれぃ!」   タンッタンッタンッ

 

大家さん「あ〜っ!熱燗うまい!辛子を乗せた大根も寒さに染み渡るほどとろけて美味しい!」

 

     2日目

 

図書館でテスト勉強をしていた宮子とゆのはすっかり遅くなってしまったようだ。

 

ゆの「宮ちゃん、おでん屋さんがあるよ」

 

宮子「おお〜!福岡にもありましたなぁ〜屋台!小さい頃お兄ちゃんに連れられて奢られた博多おでんは美味かったよ〜。ヒロさんにメールを送っとこ。」タムタムっ

 

宮子の発言がチビ太の地雷源に触ったようでお玉をかき回す腕が静止してチビ太が食って掛かる。

 

チビ太「お嬢ちゃん今博多おでんっつったな…?おいらの出汁は関東一貫!かなり甘めの醤油だぜバーロー!」

 

宮子「博多のおでんは牛すじ出汁だけど関東のおでんも醤油と鰹出汁が聞いてて美味しいよ〜!」

 

チビ太「ほほう。それでいいんだよ。今度また日本一周していろいろな地域のおでんだしをもう一度味見してみるっつぅのも悪かぁねえやな。」

 

ゆの「あの!懐にちっちゃい仕込みクロッキー帳を持っているので食べ終わったあと屋台の骨組みだけでもを描かせていただいてもよろしいでしょうか!今度の【これがあるから冬を感じる風景画】という課題を提出しないといけないのでキャンバスに載せたいです!」

 

チビ太「ほお!絵描きかい!いいぜいいぜ!描いていきな!ただし…飲食代とは別に出費代に金を払ってもらおうかねぇ」

 

 ゆのは慌てて財布の中をあさり始めサッと二千円をチビ太に捧げ出す。

 

ゆの「はい!払います!」

 

チビ太「冗談だよ!その代わり上手く書いてくれよな!」

 

 

宮子「ねーねー!私がんもどきと平天頂戴!」 

 

ゆの「私はこんにゃくと竹輪麩ください!あと昆布巻きも!」

 

チビ太「へいよっと。」 ジャバリ

 

宮子「うっめー!関東のおでんさいこー!」

 

ゆの「あ!この蒟蒻お肉みたいな歯ごたえで美味しい!昆布巻きも出汁の味が強いですね!」

 

チビ太「そうだろそうだろ〜。褒めてもらって嬉しいぜ!」

 

ゆの「できました!私の描いた屋台!今度のお題は(冬の町並)なんだけどキャンバスに載せよっかな」

 

宮子「はあ〜満腹満腹!」 

 

 

         三日目

 

  ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド

 

 

生憎だが豪雨のさなか客らしい姿は見当たらなかった

 

チビ太「雨…だ…。天気予報で雨が降るたぁ言ってたから洗濯物は家干ししてるけどここまでひどくなるタァ思わなかった…今日は店じまいするかな…むむむ?」

 

ふとチビ太の目線先にピンクと紫色の塊が見えた。

 

なずな「あ、屋台があります…」

 

ヒロ「ほんとうね。ちょうどお金も持っているしここからならひだまり荘に近いから温かいままおでんが食べられるわ。たまにはこういうのもありね。」

 

 

チビ太「お。こんな土砂降りの中お客さんかいな。ん?他の腹をすかせた住人たちにお持ち帰りか。よっしゃ!今淹れたてのほうがいいか?それともつけておいたおでんを器に入れておこうか?」ジャバババババ

 

ヒロ「漬けておいたおでんでお願いします。じゃがいもと牛蒡天と大根を六人分もらえますか?」

 

なずな「あ…は…は…はんぺんも六人分ください…」

 

ヒロ「はいはい。お金お鐘…」

 

チビ太「豪雨の中突っ立ったまんまで代金を探すのは大変だろ。座ってもいいんだぜ。あとこれ使いな!タオルでぃ!」

 

チビ太はおでん種と共にタオルを二人に手渡した。 

 

チビ太「返すときは洗わなくていいぜ!風邪ひくなよ!」

 

ヒロ「ありがとう。お礼に。」

 

ヒロは懐から買いだめホッカイロをチビ太へ渡す。

 

ひだまり荘の軒下まで駆け込んだヒロとなずなはタオルで体を拭いた。

ふとタオルのロゴを見ると「おでんの魂不可思議まで」

という明らかに欲しくもないクソダサいロゴがプリントアウトされていた、

 

ヒロ(ダサいわ!なんて言っちゃだめよなずなちゃん…)プクク…

 

必死で笑いをこらえるヒロさん…ところが。

 

なずな「こ…この手ぬぐいは…。少しダサいロゴですね。」しれっと口を滑らせるなずなさん

 

 

 

          三日目終了

   

 

         四日目

 

小説に煮詰まった紗英は少し街道をプラプラしていた。

 

 

紗英「勉強とか小説を書いていると腹が減る…あの宮子程ではないけど。ムムッ!おでんの屋台発見。」

 

 

チビ太「お!らっしゃい!」

 

紗英「タコ足と糸こんにゃく、銀杏天お願いします。辛子は少し多めで。」

 

 

チビ太「あんた寒いだろ!お湯飲むか!」

 

紗英「あ、どうも…。むむ!糸こんにゃくの結び目を噛んだ瞬間強めの出汁が爆発したように口の中に広がっていく…まるでネタに詰まったときの小説家みたいだよ!美味しいよ!ありがとね!はいお代!」チャリ

 

 

 

チビ太「なんかわかんねぇけど喜んでもらえて嬉しいぜ!てやんでい!」

 

       五日目

 

 

乃梨「本当にここにあの美味しいおでんを作るおでん屋さんがあんの?」テコテコ

 

 

なずな「はひっ!私もヒロさんも見たもん!あのおでんは美味しかったもん!」プンスコ

 

 

茉莉「そのおでん屋さんはト◯ロか蜃気楼かなにかですか?」

 

????「そこの皆何してるんだジョ?」 

 

反対側から三輪車に乗った児童が話しかけてきた。

 

????「もしかしておでん屋さん探してるんだジョー?それなら今日はこの道とは違うジョ〜。」

 

なずな「あ…あ…ありがとう。」フルフル

 

乃莉「こんな幼子にまで挙動不審になってるんじゃないよ。」

 

三輪車に乗った少年に案内されて三人はもと来た道を戻り商店街を抜けて土手を下る、当然なずなは道中盛大にずっこけた。

 

 

 

なずな「ありました!あれ!」

 

チビ太「お。この前のお嬢ちゃん。お友達連れて外食かい?」

 

乃梨「この坊やが?はっ!関東のおでんと関西のおでんの味は違うけどウチのおでんは鰹出汁なんだよ!私を頷かせるおでんをあんたに作れるのかな!?」

 

チビ太「誰が坊やでぃ!」

 

 

乃梨「まずは出汁だけもらうよ」

 

なずな「あの…竹輪麩と餅巾着を…」

 

茉莉「平天と卵ください!!」

 

 

乃梨は出汁を、なずなは竹輪麩と餅巾着を、茉莉は平天と卵を注文した。

 

乃梨「………!この出汁は!おかわり!」

 

 

なずな「じゃがいもと銀杏天を…」

 

茉莉「白滝と小玉ねぎください!」

 

チビ太「お!出汁の旨さがわかったか!」

 

乃梨「関西っておでんに限らず蕎麦やうどんもかつおだしだから塩分高めなんですよね。こっちのおでんは少し甘いかな。でも寒い冬って暖かくて甘いものを飲むと芯から温まるし美味しいかもしれません。」ほっこり

 

チビ太「だろぉ?」

 

 

乃梨「出汁おかわり!」

 

チビ太「具は食わねえのかよ!」

 

        七日目

 

立ち込める曇天の中、チビ太は屋台周辺に念入りに塩をまいていた。

 

チビ太「くる…!あの六人の悪魔がここまで向かってきやがる…!今日は店じまいでぃ!隠れろ!」

 

大勢の話し声が聞こえてきたのでチビ太は腹巻きの中にペラッペラに化けた屋台を突っ込むと柱の陰に隠れる。

 

 

胸を張りながら、やってきたのは我らが六つ子!こうやって最悪な形で六人揃ったのは今回が初めてなのかもしれない。

 

おそ松「あ〜腹減ったぁ!パチで三万勝ちしたからチビ太ちゃんのおでんでも食べに行こうぜ!」

 

チビ太(働けバカども!)

 

チョロ松「チビ太は僕らの親友だもんね。こまったときは助け合おう!」

 

チビ太(オイラ最近お前らに助けてもらったことねぇし!)

 

カラ松「おでん屋のソウルメイトを持って俺はなんてHappyなんだ!EverydayにTHANKS!」

 

チビ太(もう突っ込むのも疲れた…)

 

一松「何飲も…猫化酒あるかな…」

 

チビ太(ねぇよ!?そんな酒!)

 

 

十四松「あはは〜!お金お金いうけど僕たちは友達の家に来たときに出されたポテチ食べてる感覚でチビ太のおでん食べてるんだよね〜!」

 

チビ太(今までそんな感覚でオイラの生活源のおでん食っていたのかよ!ますます帰れ!)

 

 

トド松「母さんにそろそろ仕事探せって言われてるよ!こんなことしてる場合じゃないよ!帰って仕事面接練習しよう!チビ太のおでんを食べてから!」

 

チビ太(いいこと言ってるつもりだろうがお前もただ食いする気だろ!)

 

おそ松「待て!今日はやっぱり帰ろう!」

 

一松「どったの?おそ松。」

 

おそ松「アイツのことだ!そろそろ金払う気もなくおでん食べてることを感づいて【来るな】とか【帰れ】とか言ってくるかもしれない!ここはいい手を使おう!」

 

おそ松はバックの中をゴソゴソと探り、何かを五人に手渡し作戦を伝える。

 

 

チビ太「あほらしい。帰って出汁の研究でもやっか…」

 

 

          後日

 

 

チビ太がいつものように仕込みをしていると

 

???「あったあった!こんばんわ!また食べに来ちゃいました〜!」

 

 

チビ太「いらっしゃ〜いこの前のお嬢ちゃんたち!まだ出来てないんだ…おげげげ〜!!!!」

 

 

観客を迎え入れたチビ太はお玉を地面へ落っことしてしまった。

 

 

ガムテープでばってんを作って額に貼った(ゆののつもりの)おそ松「この前のおでんが美味しくてぇ〜また来ちゃいましたぁ〜。」

 

伊達メガネ(紗英のつもりのカラ松)「ノベルのアイディアに息吹が生まれるぜ…!」

 

白い軍艦ヘルメットを頭にくっつけた一松「わ…私…あの味が… 」

 

 

ノートパソコンを引っ提げた(乃梨のつもりの)チョロ松「は…早くしてください!」

 

黄色いママさんバーのロングヘアかつら十四松「あんさんのおでん美味しかばい!」

 

 

花の付いたリボンを付けて桃色のワンピースを着用したトド松「はぁ…馬鹿ばっかり…」

 

そう!彼らの考えた作戦とは(ひだまり荘の住人に化けておでんをタダ食いしよう)というしょうもない作戦であった。

 

チビ太は顔を真赤にして怒鳴りつけた

 

チビ太「気持ちわりぃんだよ!何してんだ六つ子共!」

 

 

ゆののつもりのおそ松「六つ子ぉ?私達…やまぶき高校生でーす!今日はあなたのツルッツルの禿頭を絵に書きたくて来ちゃいましたー!お腹… 」

 

六人のハゲタカがたわけ事を言い終わらないうちにチビ太の怒号が響き渡った。

 

チビ太「いいかよく聞け!」

 

 二十歳になっても甘ったれたゲス根性の情けない六つ子友達に憤怒爆発寸前の彼は屋台の手押しレバーを掴み後ろへ後ずさったあと、屋台を引きずりながら助走を六つ子めがけて走り始めた。

 

 

チビ太「えぇい!何にせよ金も払わず!親に収入も入れず!ただくだらねえ作戦ばかり考えてタダ飯を食ってばかりのニートのてめえらに食わせるおでんは…ねぇぇぇぇぇえ! 」ズドドドドドドドドドドドド

 

おそ松「待て!話し合おうよチビ太くん!」

 

おそ松が宥めるがもう彼にはそんな親友の言葉も耳には入らない。レバーを放すとチビ太は大砲の砲丸の如く6つの的をめがけて吹き飛ぶ。

 

 

チビ太「うるせぇ!覚悟しやがれ!チビ太渾身の黄金頭突き!ろ!」

 

 

おそ松「何故バレたぁぁぁぁぁぁあー!」ダァ〜ン!

 

チビ太「く!!」

 

十四松「おにぎり食べたいィィィィぃー!」ドバッコ〜ン!

 

チビ太「れ!!!」

 

トド松「そこは弁慶の泣き所ぉぉぉ!!」ドッシーン

 

チビ太「ん!!!!」

 

カラ松「ガッデ〜〜〜ムゥゥゥ!」ズギャシャッ

 

チビ太「ぱ!!!!!」

 

チョロ松「そんなバカなぁ!」ゴッチーン

 

チビ太「つぅ!!!!!!」 

 

一松「ニャギャシャー!!!!」バッカーン

 

暴れ牛を思わせるチビ太の突進で、それぞれの方向へ弾き飛ばされる六つ子。

 

チビ太は呆れながら埃を払い屋台の調理場へ戻る。

 

お、今度は向こうから晩御飯の買い物帰りのヒロさんがやってきた。

 

ヒロ「おでん屋さん。この前はタオルありがとうございます。」スッ

 

チビ太「お…何時でもいいのに!ありがと〜!」

 

ヒロはタオルとともに大きめの新品タッパーを渡す

 

ヒロ「屋台頑張ってくださいね。あとこれ、家で作りすぎた煮物です。それでは。」スッ

 

 

ヒロを見送ったチビ太は、彼女の姿が夜の闇に溶けると、汚れていない箸を出して煮物を食べ、「旨いや。こういう日もあっていいかな」と微笑んで鼻の下をすすると嬉しそうに鍋をかき混ぜ始めたのでありました。




次回!素直になれない夏目とカラ松と…
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