カランカラン
扉が開く
「いらっしゃいませ」
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店の中に入り、まず目に入るのはその内装だろう。
全体的に和風の喫茶店だ。
ほんのりと鼻に香るのはコーヒーの匂いだろうか?
意外と悪くない。
そんなことを考えながら席につこうとすると、
何やら大きな声が聞こえた。
「あぁ~、げっごんじだいよぉー!キーッ!!」
声の方を向けば、この真っ昼間に酒を飲んでいる女がいるではないか。
赤いフレームの眼鏡をかけている。緩やかなウェーブ長いブラウンヘアの女だ。
(いや、そもそも喫茶店で酒ってどうなんだ?)
喫茶店で酒を飲んで叫んでいる女を俺はこの人生で一度だって見たことがない。あぁいう酔っ払いは無視したほうが良いだろう。
そう考えながら席につく。
「ご注文は?」
その時、俺に話しかけてきたやつがいた。
静かな声だ。
肌はかなり褐色だ。こちらも眼鏡をかけている。
足が悪いのか、杖までついている。
まぁそんなことはどうでもいいか。
そう思い、とりあえず注文をしてみる。
「…コーヒーセットで」
そう答えると、この店の店主?らしき奴は、一度おじきをし、
厨房らしき所に下がっていった。
コーヒーなど最後に飲んだのはいつぶりだろうか?
そんなことを考えていると、酔っ払いの女がこちらに気づいたようだ。
「んぁー?なぁんでこんな時間帯に学生がいんのよぉ?」
不味い、絡まれてしまった。
(そもそも俺は学生などと言っていないのだが)
何故学生とバレたのだろう?
いや、普通に身長からか。
だがこの場合どう答えるのが正解なのだろうか。
俺は学校じゃいじめられてた。
そもそもこの世界では学校に行っているかすらわからない。
どうやってこの酔っぱらいから逃げようかと考えていると、厨房から出てきた店主が酔っ払いの女に声をかける。
「ミズキ、相手が困っているだろう。」
「えー」
酔っ払いの女はミズキと言うらしい。店主のお陰で助かった。
「こちらコーヒーセットになります。」
そう言って出てきたのは、コーヒーとサンドイッチだった。
サンドイッチは卵やハム、トマトなどの具材が入っている。
とても美味しそうだ。それにこのコーヒー。ナッツのようなほんのりと苦く甘い香りが鼻孔をくすぐる。
「美味い…」
今まで自分はインスタントのコーヒーなら飲んだことがあるが、これ程美味いとは…。
サンドイッチも、パンと挟んだ具材がいい感じにマッチしている。これ程美味いならこれからも来る価値がある。
そう思わせるほどのものだった。
ある程度食べ終わってゆっくりしていると、この店の扉が開いた。誰か来たのだろう
カランカラン
「千束がきましたぁーっ!」
そう言って喫茶店に入ってきたのは、さっき俺とぶつかった奴だった。
元気な奴だ、この静かな喫茶店では場違い感が否めないが。
「あれぇ?今日はあんまり人いないねぇ」
そう、そもそも今この場には俺と酔っ払いと店主、あと今入ってきた女ぐらいしかいない。今日は、ということはいつもは結構いるのだろうか?平日に喫茶店でのんびりする奴は仕事がないニートか何かだと思うのだが。
そう考えていると、女はこちらに気づいたようだ。
「あー!来てくれたんだ!!」
そう俺を指さして言ってきた。
「何よ千束、あんたがこのガキンチョを呼んだの?」
この酔っぱらいも俺を指さして言ってきた。
俺に指を指してんじゃねえよババア。
「いやぁ、そうそう。今日ちょっと行ってる間にぶつかっちゃってさぁ!時間もないからうちにおいでよって誘ったんだ!」
「少女漫画かよ!あぁ~あ、いいなぁ。私にも出会いを渡せー!!」
「ププッ、どうせまた結婚相手が見つからなかったんでしょ!そもそもミズキの理想が高すぎるんだっての!」
「なにぃおぅー!」
そう答えながらミズキと呼ばれたやつと白髪が取っ組み合いを始めてしまった。
店主はその光景を見ながらため息をつく。この光景を見ても止めないあたり、どうやらコレが日常のようだ。
そんなこんなでしていると、先に音を上げたミズキをおいて白髪がこっちに来た。
「いやぁーごめんね!さっきはぶつかったのに禄に謝ることもできなくって」
「いや、…こっちもよく前を見ていなかった。
…それに、このチケットももらったんだ。気にしてない。」
「本当!それならよかったぁ!あっ!そういえば自己紹介してなかったね!私の名前は錦木千束!よろしくね!」
かなり元気な奴だ。名前は千束と言うらしい。
名前を聞かれたが、本当の名前を言うべきなのだろうか?
こいつが星人という可能性も捨てられない。
味方なんていない状況で情報を与えるのはバカのすることだ。
そんなことを考え、俺は偽名を答えることにした。
別にいいだろう。どうせこっちの世界では俺を知っている奴などまずいないのだから。
「玄野計」
死ぬ前に同じ部屋に飛ばされていたやつの名前だ。
「計くんかぁ!よろしくね!」
いきなり下の名前で読んできた。距離の詰め方が早すぎる。
他人の名前だから、呼ばれてる気はしないが、これにも慣れなければいけないだろう。
「ねぇねぇ!計くんは何歳?私は17歳なんだ!よかったら私のことは千束お姉さんっていってもいいんだよ!」
「千束、玄野君が困っているだろう。」
「えー!でも最近は私より年下の子ってなかなか来ないからいいじゃーん。」
いや、そっちの事情などどうでもいいのだが。
とりあえずなんとかして抜け出そう。
「もうそろそろ僕も帰らなきゃ行けないから…」
こういう時中学生という立場は便利だ。
門限があるからと言う理由ができるから。
「そっかぁ!うん。わかったよ。」
どうやら納得したらしい
「じゃあさ!今度はいつ来る?」
そんなことを聞いてくる。その言い方では俺がまたこの店に来るような言い方だが…
「…暇だったら。」
気づいたらそんなことを口にしていた。
「ウヒヒヒッ」
特徴的な笑い方だな…
そんなことを考えて、会計を済ませたあと、俺は店を出た。
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千束side
「いやぁー!まさかもう再会することになるとは!」
そう口にしながら、私は今日のことを思い出していた。
また来てくれるといいなぁ!
そう考えていると、先生が話しかけてくる。
「千束、仕事だ。」
「オッケー、今回はどんなの?」
「リコリスが人質になっているらしい。時間はない、急ぐぞ」
「はぁーい」
まずは仕事をやってから考えていきますか!
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事件は事故に
悲劇は美談に
物語が始まる
この世界に星人は…
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いるに決まってんだろ何言ってんだ
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どっちでもいいよ
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入れたら殺す
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そんなことよりドーピングだっ!!