鍵を手に入れ正面玄関の鍵を外して外の門へ。
先ほど開かなかった鉄の門には鍵と同じ紋章がこれでもかと言うぐらい禍々しく飾ってある。
「ん?」
ふと犬の鳴き声がしたと思った。なぜこんな所に?と思っていたがレオンを見ると後ろを振り向いていた辺り気のせいではないらしい。
(まさか?)
こちらの視線に気が付いたレオンから見に行こうのハンドサイン。頷いて静かに、急ぎ足で近付いてみる。
家の裏手、先ほど勝手口から入った道の途中のトラバサミに掛かった犬がいた。
「何でこんな所に・・・?」
記憶が確かならばゲーム冒頭、直ぐの所のイベント。
それがこんな所で?思考を巡らせている間にレオンが罠を外しに行った。
「犬?狼か?どちらにせよお前も被害者か?」
フッと言う掛け声と共に罠に隙間が出来る。足が抜け、飛び出すように逃げた犬を確認した後で手を挟まないように引っ込める。派手な音と共に罠が閉じる。
レオンが立ち上がると犬がこちらを見ていた。お互いに目を合わせると満足したかのように、足を引きずりながらも逃げていった。
「もう捕まるなよ?」
届かない呟きは、しかし後になって確りと帰って来ることを知っている。だが、
(もしかして俺の記憶が色々間違っているのか?)
もう十年近く前だ。正確にどれぐらい前と言えば最早分かりもしない。だが、車から降りてしばらく行った先で罠に掛かって死んでいる犬を見た。記憶違いと言うにはいろんな所に違和感を感じる。何度もこの記憶に頼って良いものかと。「斉木」の記憶そのものに少しずつ不安を抱えるようになってきた。先ほどの恐怖も「斉木」の記憶がもたらした「先が解る」故の勘違いだとしたら?そもそも「斉木」なんてただの妄想なのでは?自分に自信が持てなくなるほど解らなくなる。
だが、覚えているのだ。この先の展開、
教会にとらわれているアシュリー。
湖の怪物。
村長との死闘。
古城、孤島、ラストバトル。
レオンに説明したら笑ってスルーするだろうか?
それとも頭を抱えて困るだろうか?
俺は、自分を信じて良いのだろうか?
「ローグ?ローグ!」
体を揺すられて初めて自分が異常なほど考え込んでいたことに気が付いた。
「どうした?何かあったのか?」
レオンに言うべきは今ではない。きっといつか機会が訪れる。そう先延ばしにすることで今は気をまぎらわす事にした俺は、
「すまない、少し・・・不安になってな」
思ったより弱気な発言してしまい、直ぐに後悔する。
レオンが困り顔をしたからだ。
「分かるよ、ここはあまりにも異常だ。ゾンビではなく、人間が襲ってくるのだから仕方はない。」
俺も経験がある、と笑いながら言うレオンの気遣いに異常なほどの説得力があった。その理由も知っていた。
「ラクーン事件・・・」
「ああ、あのときは大変だった。何せ初日から・・・!」
歩きながら雑談していたレオンの気配が変わる。見れば銃を構えて門に近付いていた。
「レオン?」
呼び掛けると短く一言だけで状況を伝えてきた。
「構えろ」
誰かいる。
村人なのか先ほどの大男なのかここからは見えない。
レオンの居た場所まで行くと門の外にうなり声をあげる犬が見えた。
「鍵はまだ開けていないから大丈夫・・・」
「飛び越えてくるかもしれないぞ?」
銃を構え直した。
とは言え門はでかい。レオンの身長よりも大きいそれを少し大きめの犬が飛び越えられるとは思えなかった。
そしてそれは、門の近くまで行くと踵を帰して逃げていった。
「なんだったんだ?」
「さぁ?だが油断はするなよ?」
黙視できる範囲の警戒をしながら鍵を開ける。予想より軽い音をさせながら開く門を通って目指すは広場で見た同じ形が刻まれたドア。
途中にある小屋から小銭を入手し先へ進むと犬の遠吠えか聞こえた。
「さっきの犬か?」
「さっきってどっちの?」
「どっちが良い?」
レオンの問いに苦笑ぎみで答える。彼なりの気遣いかもしれない。
「こう言う時の予感は」
「ああ、嫌な方ほど当たる。」
木で出来た頑丈そうな大扉を開けると広場にあたった。
そして嫌な予感は当たる。
しんと静まり返った広場には誰もいなかった。
予感が外れて拍子抜けしていた俺と違い、レオンは警戒を怠らない。
「静かすぎる。」
言われて気が付く。
烏と鶏がいる以外で生き物の姿はない。が、村人第二陣がいたはずだ。いや、過去の記憶みたいなのにはもうとらわれたくはないのだがどうしても気になってしまう。
「まるで危ないやつだな」
小さく呟く独り言がどうかレオンには聞こえていませんように。まるで意味のない願いを心のなかで付け足して村の中心へ。警官が燃やされていた場所に近付くと改めてその惨さがよく解る。
「酷いな」
「ああ、全くだ・・・仇はとるからな。」
正直直視できるような状態ではないそれを見てこの教団の異常さに怒りがわいてくる。
目の前の紋章の付いたドアに決意新たに歩き始める俺たちに爆音が降り注いだ。村にある高い塔が根本から爆破されこちらに倒れてきたのだ。
「嘘だろおい」
とっさに下がって回避する。土煙が立ち込めて視界が閉ざされる。辛うじてレオンのいる場所が見える位だ。
「無事か?レオン!」
「問題ない!そっちは?」
直ぐに帰ってくる問いには別な答えが必要だった。
「なにかいるぞ!」
土煙から揺らめくなにか飛び出してきたのは門の前にいたあの犬だ!しかも一匹じゃない!
「くぁ!きっ、気を付けろレオン!犬だ!」
「このままでは戦えない!こっちだ!」
呼ばれるがままに裏手へ、レオンを援護し倒れていた梯子を立てて屋根へ。ショットガンのあった家は先はどのグレネードで階段が壊されていて犬では上がってこれないはず。
「危なかった!」
下を見るが犬達は回りをうろうろ走り回っているだけだった。
「取り敢えずは安全かな?」
そう呟いて一休みしようとする俺をレオンが制した。
「それがそうも行かないみたいだ。」
レオンの見ている方を俺も見る。
一際でかいのがいた。どうやって上ってきたのか屋根の上に。
その答えは直ぐに解った。
犬が身震いすると背中からどこに入っていたのかと言うぐらいのでかい触手がはえてきた。その触手を使い更に高い屋根へと飛び回る。
「こんな奴ばっかり!」
「泣けるぜ」
俺は弱音を、レオンは愚痴を。
それぞれの言葉がそのまま戦闘開始の合図になった。
序盤から辻つまあわせが噛み合わない!
と、言い訳しつつ何周目かの周回をしております。
次回
群れる恐怖
狩り
進むべき道
だんだん予告じゃなく予定になった来た(汗)