転生バイオハザード レオンと俺と生き抜く世界   作:黒世界

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第二十話 踏み込むべき場所 生きると言う呪縛

「うひゃあ!」

 

豪腕が振り下ろされる。

その腕を必死になって避ける俺の後ろで土煙が上がる。

振り返ると地面に結構な穴が空いていた。

 

「あわわわわわ。」

 

当たれば一瞬。悪ければどこかがつぶれて苦しんだ上に二度目はない。逃げ続ける以外に選択肢がない俺と無駄に大振りばかりするがどこまでも追いかけてくるデカブツとでは時間の問題だった。

だが他に選択肢がない。

しかし、

 

「逃げ場が・・・」

 

直ぐに端に追い詰められる。

それはそうだ。いくら此処が広いと言ってもこいつには狭すぎる。

数歩で届く巨体に全力で走って逃げ続ける俺との差は最早一種のゲームである。ただし俺は楽しくはない!

巨人が腕を振りかぶるそのまま横薙ぎに振り下ろしてくる。避ける場所の無い俺は思いきって足元に逃げ込む。

映画よろしく姿勢を低く。

ぎりぎり、は無理なので出来るだけ余裕をもって。

直前で前転などして危機回避!

 

「あだっ、」

 

現実は映画のようには行かず。前転の換わりにつまずいてこける。

その真上を豪腕が通りすぎた。

どう考えても当たったらアウトなその勢いは通りすぎた風圧が物語る。飛ばされるはないものの、全身を薙いでいく風に体が縮こまる。

だがそうも言っていられない。

巨人が振った腕を戻すと同時に体を捻ると右足を上げる。踏みつけてくるつもりである。

 

「あわだばだばば」

 

訳の解らない悲鳴を上げつつ四つん這いのまま回避。轟音と共に先ほどまで居た場所に大きな足跡がつく。

距離を取り立ち上がって息を整えながら振り返る。

巨人がゆっくりと振り返り、こちらを目視で捉えてきた。

ゲームの世界では足元を潜るだけで完封できる相手が目の前に居るとこんなにも難しいとは。

ゆっくりと後ろに下がると巨人が前傾姿勢を取る。

 

「うっそだろ?」

 

肩を前に出してタックルの構え。

そして、

 

「まてまてまてまて!」

 

巨体から繰り出されるその速度はのろまなイメージとはかけ離れた圧力があった。

咄嗟に横に飛び回避に専念する。転がって更に距離を取るが相手も苛立ったのかこちらに振り返り咆哮を上げる。

耳をつんざく程の声量に思わず耳を塞ぐが視線だけは外すわけには行かない。だが防戦一方でも埒が明かないのもまた事実であった。

 

「どうすんだよこれ?」

 

一人愚痴るが答えは出ない。

戦えない。だが、死にたくもない。恐怖があっても体が動くのは「ローグ」の訓練がまだ体を動かしてくるているからだ。だが、

 

「ジリ貧も良い所だ」

 

巨人が目の前まで来た。歩いてくる勢いで前蹴り。

体を上体反らしの要領で回避しそのまま後ろに倒れる。柔軟性があって助かったが顔を近づけて更に威嚇の咆哮を繰り出してくる。そして、

 

「やっば!」

 

右腕を振りかぶってのパンチを必死の回避。転がり、駆け出し、土だらけになりながらも生きることに執着した体が動いてくれる。

だが極度の緊張と無駄な動きが呼吸と体力を根こそぎ奪っていった。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、」

 

最早息が整わない。心臓の鼓動が痛い程高鳴り汗が吹き出る。

だが敵は待ってはくれなかった。一歩、二歩、射程距離はそれしかない。

 

『死にたくない』

 

巨人の手の届く範囲、逃げる?どっちに?考える程嵌まる泥沼にそれでも尚もがきながら生き抜くことを止めようとしない。

しかし、それを悟ったのかのように巨人の次の一手は

『振りかぶらずに押し潰す』であった。

ゆっくり来るその手はその重量だけで捕まれたら逃げられないのは明白。こちらを睨んで離さないその目が今度は逃がさないと訴えていた。

ゆっくりと近づく巨大な死に、同じぐらい恐怖がゆっくりと近づく。

呼吸が、心臓が、目が、決まらない覚悟が、その全てが今を否定して離さない。

 

「来るな」

 

目の前、最早触れることすら出来そうなその迫力に動くことすら出来ずに。ただ震える。

 

「来るなぁ!!!」

 

目を見開き、それでも目の前の現実から反らすことが出来なかったのは恐怖か経験か。その視線が迫ってくる手からはなれない。

呼吸が荒々しく、止まることを知らない。

今にも掴んできそうなその巨大な指が折り曲げ・・・。

 

「え?・・・は?」

 

られなかった。

いや、目の前の出来事がよく解らない。

だが実際にそれは止まっていた。

そう、迫り来る手が止まったのだ。

それどころか手を引っ込める。一歩、二歩と後ろへ下がる巨人が最早訳が解らない。

上から何かの呪文のようなものが聞こえる。

見れば鹿頭がなにかを唱えながらカンテラを振っている。

すると巨人が頭を抱えた。と思ったら最初のように咆哮を上げてこちらに来る。

 

(もしかして、話し通じるとか?)

 

物は試しと立ち上がり迫り来る巨人に告げる。思い出したかのように脇に納めたホルスターからセンチネルを取り出し、構える。よくある警察ドラマのワンシーン。

 

「止まれ!」

 

止まらなかった。

興奮状態なのか先ほどの冷静さの欠片もなく腕を振り回してくる。

 

「何でだよぉ!」

 

幸い逃げ道はできた。外周に反って全力疾走。まだ走れる事に驚きながらも打つ手がない事に変わりも無かった。

尚奇声を上げて迫る巨人。振り返らずとも後ろにいると解る圧と音に限界であるはずの足が動いてくれる。その証拠に、もつれて転びそうになっても絶えず動いてくれる。

何かが後ろでブォンブォンと空を切る。止まればそれが切るのは空ではなくこの身である。

 

「くっそっ!」

 

体を捻って狙いをつけ引き金を引く。

驚くほど重く、びくともしない。やはり引けなかった。

 

「あんぜんそうちぃ!」

 

確認してないが何となく解るのはローグの記憶か?だが見もせずに解除まではできないしその余裕もない。

背後で轟音が鳴る。顔だけで振り返ると後ろに追って来ていたはずの巨人の姿はなかった。

 

「嫌な予感!」

 

そういいつつ走るのを止めない。

更に轟音が鳴る。

風圧と土煙に体が吹き飛ばされる。転がり体を捻って起き上がりそちらを見て何が起こったのか解った。

巨人が飛んだのだ。

その肉体を弾にして上空からこちらを狙い撃ちしてきた。それがギリギリでこちらの真後ろに落下した。土煙より高く巨人が立ち上がるが、見失っているのか辺りを見渡す。

 

「よし、」

 

小声でしゃべりながら安全装置を解除。最早撃てないとか言ってる場合じゃない。

こちらからは丸見えである。狙いを頭に定め、今度こそ引き金を引く。銃声が轟、顔面に当たったのか手で顔を押さえる。体が覚えているのか、やはり先ほどまでのように銃は撃てた。ならば問題は、

 

「後は気持ちの問題!」

 

それが一番問題だと解りつつも銃口から火を吹かす。二発、三発。さすがに腕に阻まれるがその隙に距離を取る。一度止まったせいか足が恐ろしいほど重い。脇腹がいきなり痛み出す。

暫くして、足が止まった。

ゆっくりと振り返ると巨人がこちらを見据えて近づいてくる。左手で脇腹を押さえ、右手で銃を構えた。

その時、近づく巨人に何かが飛びかかる。

白い何かがぐるぐる回り威嚇を始める。

 

「お前はあの時の?」

 

トラバサミからレオンが助けたあの犬。ゲームと同じようにこちらを援護してくれるのか?

有り難いと同時に閉められた出口から声が聞こえた。

 

「おい!誰かいるのか!?」

 

「レオン!」

 

聞きなれた声に思わす安堵が漏れた。




長くなりましたがまだ長くなります(笑)

次回
覚悟!
勝負!
変化
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