「レオン!」
閉じられたドアにすがるように。
声の聞こえた方へ求めるように。
直ぐ側に、レオンが来てくれた。
だが、
「ローグか!?何があった?!何故其処に居る?!」
矢継ぎ早な質問の最後、何故と問われると答えることが出来ない。だが何かを感じ取ったレオンが質問を繰り返す。
「ローグ、状況を報告しろ!」
言われた瞬間はっとする。
状況の報告、つまり。
「現在、入り口出口ともに封鎖され巨人と戦闘中。屋敷で助けた犬が巨人の気を反らしてくれています。」
「あの犬か?」
記憶に新しいせいかすぐに理解してくれた。
「其処から出られそうな場所はあるか?」
「周囲岩壁に囲まれていて登るのは困難かと。」
しばしの無言。報告中背後ではあの犬が吠えて必死に注意を反らしてくれている。巨人も賢くないのかおいかけっこに夢中だ。
「解った、ローグ。」
「レオン、俺はどうすれば良い?」
「何処かにそっちに行ける場所があるはずだ。すまないが着くまで自分で何とかしてくれ!」
「何とかって?レオン?」
扉からはなれていく気配を感じパニックになりかけるが疲れてるせいか膝から崩れる程度ですんだ。そのまま振り返って壁に背中を預けるがそのとき初めてあの犬が側に来ていることに気がついた。吠えた先にこちらを見据えた巨人が歩いてきたのも。
「やっばい!」
痛む脇腹を押さえて立ち上がる。視線の先は威嚇している犬よりもこちらを狙っていた。
背後は壁、逃げ道は少なく決める覚悟もない。
考える暇もなく巨人が足を振り上げてきた。蹴り上げるより踏み潰す気だ。
「くそっ!」
悪態を着いて前転回避。幸い今度はうまく行く。立ち上がり見上げれば踏み抜いた体制でこちらを振り返ってくる。
最早威嚇している方には見向きもしない。
その体制から顔に向かって銃を当てるが却って怒らせたのか咆哮を上げて追いかけてきた。
其処にあの犬が割り込む。軸足に噛みつき痛むのか足を振り上げて振り放そうとする。
チャンスとばかりに狙いも定めずに全弾打ち込むと当たりどころがよかったのか膝から崩れて背中から寄生虫本体が見えた。
逃げ回ってばかりの中初めてのチャンス。
頭のアドレナリン全開でゲームよろしく倒れた敵の背中に飛び乗り、
「うぉっ!」
足を滑らせる。
背中から着地の為、吸った酸素が吐き出されてもがいていると。チャンスタイムが終わってしまい再び巨人が立ち上がる。こちらも立ち上がって距離を取るが背中の本体は出たままだ。
(レオンが来るまで逃げるか?それとも)
巨人は尚こちらに向かってきた。腕を振り回し地面に叩きつける様は最早災害と言っても良いほどの迫力があった。
考える隙もなく逃げ惑う。が、既に限界は越えていた。
「グハッ!」
振り下ろされるかのような裏拳がこちらの脇腹を捕らえた。吹き飛ばされ距離こそ取れたものの鈍い痛みと呼吸困難が身体中を襲った。
「あぐぅ・・・。はぅぁ。」
それでも顔だけは上げて巨人から目を離さない。体が軋み、次がないことを確信させてくる。震える足で必死に立ち上がるとマガジンを落として震える手でリロードする。
(レオンが来るまで持たないかな?)
小屋の事を思い出す。もう戦えないと思っていたのに、泣き腫らして失望までさせたのに。
死に直面してこんなにも意地汚くもがいている。
「調子の・・・良いことだ事。」
全く、本当にその通りだと。さっきまで泣き叫んでいたのが嘘のようだった。
「死にたく」
聞いてくれる人も、聞かせるべき人もいない呟きを。それでも尚誰かに聞かせたかった言葉を。
「無いなぁ」
震える手で銃を構える。
狙いも最早定まらない。
泣きながら、それでも足掻くために。
俺は。
「まだ、死にたくないんだよ!」
近づく巨人の足を犬が再び噛みつく。
先ほどと同じように足を振って振り払う。
吹っ飛び、転がりながらも威嚇を続ける犬に狙いを着けて、先ほどのタックルを繰り出す。
だがそれを器用に躱し岩肌に激突させた。
「!!!」
振り返った巨人の上に崩れた岩が落ちてくる。たまらずうずくまる巨人の背中はがら空きになった。
「うおああぁぁぁぁ!」
隙だらけになった寄生虫本体に当たるかどうかの全弾発射!最早動くことすら困難なためこれが最良と本能が判断した。だが、
「マジかよ・・・。」
何発かは当たりはしたものの、止めを指すには至らず。三度立ち上がる巨人。だが諦める訳にはいかなかった。
レオンは必ず来る。
そう信じて出きる事をするだけ。
(訓練を思い出せ)
レオンから言われた言葉が脳裏をよぎる。
再びリロード。
手が震えてうまく入らない為、手元を確認しスライドを引く。
視線を上げた時には、巨人が目の前にいた。
その巨大な手でこちらを掴み持ち上げる。両手で持ち直すと押し潰しにかかった。
「うぉあぁぁ・・・。」
身体中から嫌な音が出る。
と同時に頭に血が一気に流し込まれるような感覚。
視界がぶれ、真っ赤になる。
「レッドアウト」と呼ばれる症状のせいで更に視界が悪くなる。
「は・・なせ・・・。」
よく見えず、震える手て狙いを着ける。うまく力が入らないが何発か撃つと急に体が解放された。
身体中にしびれるような感覚が走り、視界が一気にもとに戻る。その代わりめまいと吐き気が俺を襲った。
仰向けになりぼやけた視界で空を見る。
(待たせたな)
そう言われた気がした。そこに映った光景に思わず笑みがこぼれた。
「遅いぜヒーロー。」
銃声が奏でる1音が、エルヒガンテの背中の寄生虫を寸分たがわず撃ち抜いた。
状況を整理していくとうまくかけているかどうか不安になりますがともあれ投稿ですよふふふふふ。
次回
再会
教会
救助