「ローグ!」
殴られたとは言え女性の力とは言え燭台が固いとは言えよくみるとかわいいとは言え。
「来ないで!」
再び燭台で殴りかかるがレオンに捕まれ投げ捨てられる。
「落ち着け」
呼び掛けるが警戒心を解くことはない。
そこに、
「きゅうじょにきました~」
緊張感の欠片もない声。
気絶しなかったのが嘘のようにくらくらする。フラフラしながら立ち上がるとゾンビのように手を伸ばして近寄る。
そして転ける。
「ちっ、ちょっと!大丈・・・ぶ?」
さすがに不安になったのか近寄ってきて心配し始める。
ここぞとばかりにレオンが追い討ちをかける。
「素人にやられるとは・・・。」
頭を抱えている姿も様になるが今は。
「あいたたたた。あ、初めまして。俺はローグ。」
体を起こしての無理矢理な自己紹介。
頼りないにも程があるが。
「うふ、フフフフフフ」
顔を伏せたかと思うと、
「アハハハハハ!」
手で床を叩いて笑い始めた。
「何それ?助けに来たって?頼り無?!」
なお笑い続けるアシュリーに場の警戒は完全に解かれていた。そして、
「ハイハイ。あたしアシュリー、アシュリー・グラハム。宜しくね。」
と言って先に立って手を伸ばしてくる。もう何度起こしてもらっただろう?
「あぁ、ありがとう。俺は」
「ローグね?救助に来たってことはパパの側近?」
「これでもエージェントだ。」
「え?嘘?」
二人して疑いの眼差しを向ける。
情けない姿を見せたのだからレオンは解るが、単純に二倍になるのはきつい。しかも一人は初対面。
「すいません、本当です・・・。」
強気にも言えず、情けなさに拍車がかかる。
見た目はそれなりに屈強で筋肉質。見た目にも悪くないのにこの体たらく。
ここだけしか知らなければ立派な見かけ倒しである。
「さて、合コンはこれで終了だ。大統領が・・・。」
(彼らを追え)
突如頭のなかに響き渡る声。頭痛と共に押し寄せるそれは否応無く叩き込まれてくる。
(迷い子が逃げる)
頭を抱えながら顔を上げると二人も同じように苦しんでいた。
(哀れな子らに・・・)
なお送られてくる声にわずかなビジョンが流されてくる。恐らくこれが、
「サドラーか!」
本編では直接の対峙だったが、恐らくプラーガを使った共振のようなもの。しかも一方的な。
(救いを)
言い終わったのか頭痛が収まる。開放的な感覚に安堵していると外から扉を開ける音が響いた。
「レオン」
「ああ」
扉前に銃を抜いて待機。そっと扉を開けて部屋の外を確認。
一階に見える村人が松明と武器を手に中へ入って来た。
「さっきの声か?」
「恐らくは。」
俺の問いにレオンが短く答える。
声の主がここに呼び寄せたのだろう。恐らくアシュリーを取り戻しに。
「ねぇ、あれ見て。」
いつのまにか窓際にいたアシュリーが呼んでくる。
顔を見合わせた後二人で窓辺に行くと大量の村人が教会を囲っていた。
「どうしよう?」
アシュリーが聞いてくる。その声は先ほどとはうって変わって不安が入り交じっていた。
元々はこのはずだ。
誰も信用できない中、たった一人でこんな所に閉じ込められ。会話もままなら無い大人に囲まれ不安でたまらなかったに違いない。
「君のお父さんに頼まれた。」
安心させるかのように、レオンが語りかける。
「だから俺を信じてくれ。言うことを聞いてくれないか?」
目を見て、言い聞かせるように。出きるだけ優しく。
「必ず、君を無事に帰す」
「分かった。分かったわレオン。」
功を奏したのか二つ返事で即答される。
いや、そもそも他に選択肢等無いのかもしれない。
それでも、俺達を信用してくれる。
そして、俺達はそれを遂行する。
エージェントだ。
「レオン、どうする?」
「まずはここを出ないと。奥に進んでみよう。強行突破よりはマシかもしれない。」
二人顔を見合わせ、そしてアシュリーへ振り返る。
彼女も頷き、三人での行動を開始した。
しかしすぐに突き当たりに出会う。
「レオン、あれ。」
上を指すと折り畳み式の梯子があった。
いつかのように俺が下になりレオンを持ち上げる。
上に行ったレオンが梯子を落とすと意外と大きな音がしたが不思議な事に奴らが気づく気配がなかった。皆口々に何かを呟き続ける。
「他に出口がないみたい。」
俺が上ると先に上ったアシュリーが辺りを見渡していた。
暗闇が続く中、ライトで照らされた屋根裏らしき場所は窓だけが唯一の光源だった。
そこから下を覗くレオン。
「ローグ」
呼ばれて窓に寄る。下を見て顔を見合わせるとレオンが飛び降りて見せた。
アシュリーが駆け寄るが下ではレオンが平然と立っていた。
「嘘でしょ?」
これぐらいの高さならなんとかなる。が、いかんせん度胸がない。アシュリーが、ではなく俺がだ。しかし、
「大丈夫だ、受け止める。」
勿論俺にではない。不安がっていると飛べないかもしれない。そう思った俺は精一杯の笑顔で彼女の背中を軽く叩く。
こちらをみるアシュリーの顔が不安そうにこちらを見つめてくる。
「大丈夫、レオンを信じて。」
促されるまま窓辺に腰かける。
「信じろ、さあ!」
躊躇していたがやがて小さな悲鳴と共に飛び降りた。
下ではレオンがお姫様抱っこで彼女を受け止めていた。
「あ、ありがとう・・・。」
ゆっくり下ろしてどういたしましてと返した後で上をみる。
「早く来い!」
アシュリーが上をみると窓辺にぶら下がった俺が今まさに手を離すところだった。
「ぬぅお!」
着地、転がる。
「いたたたた」
「良くできました」
レオンが皮肉を、アシュリーが笑顔を振り撒く。
そりゃないぜ?と思いつつもとりあえず立ち上がる。
更に下へ先に降りたレオンがハニガンに連絡を取った。
「HQ、ターゲットを保護した」
「ほんとに?彼女は無事なの?」
「ああ」
「さすがねコンドル1!すぐにヘリを向かわせる。そちらに回収地点の座標を送るから、彼女を連れて今すぐそこへ向かってくれる?」
「了解」
「急いで、天気も崩れてきてるから。それじゃ。」
通信が終わるとこちらに振り返る。
「アシュリー、合流地点にヘリが来る。もうすぐ帰れるぞ?」
「ほんとに?」
流石に信じがたいのか聞き返してくる。
「本当だ。だからもう少しだけ我慢してくれ。」
「・・・うん、分かった」
「大丈夫だ。必ず守って見せる。」
そういって励ましていた。彼がこちらに来て地図を見せる。
「ランデブーポイントはここだ。行けるな?」
「ああ、ああレオン。大丈夫だ。」
肩を叩き、任せたの合図。ここからは自分よりアシュリーを守る。これが任務だ。自分に言い聞かせるように呟く。雨で二人に聞こえないのが幸いだった。
「この先は危険だ、離れるなよ?」
棚で塞がれた道を開けてレオンが警告してくる。つまり、
「行くんだな?あの場所。」
「他に道があったら嬉しいんどけどな。」
そういって先に進む。
予想通り、教会入り口前には敵がいた。
その一人を、レオンが静かに忍び寄り背後から首をナイフでかっ斬る。
「ひっ!」
しまった!と思った。ゲームではなんともなさそうだったが中身は平和に暮らしていた大学生である。
「アシュリー、悪いけどこの先もっと酷くなるかもしれない。我慢してくれ。」
すると
「あなた、平気なの?」
(おまえ、へいきなのか?)
ほんの数時間前の出来事。たったの数時間で、俺はこの状況に慣れつつあるらしい。
「平気じゃないよ」
言いつつ頭を撫でる。不安そうな目がこちらをつかんで離さない。もう一度頭をポンポンと叩くとレオンに視線を戻す。
みれば二人目を片付けたところだった。
「行こう。」
促し、立ち上がるとしまっていた銃を抜く。塀から少し離れて柱まで移動すると側にあった岩場に隠れる。
「奴ら、うようよいやがる」
「どうする?」
「ポイントはこの先だ。一気に行って回収してもらう。」
「良い案だ、サイコー。」
そう言うとレオンがサイドバックとショットガンを差し出された。
「交換だ。後ろ頼むぞ?ヒーロー。」
聞こえてたのか?と思いたくなる一言に黙って受けとる。後ろでアシュリーがクスクス笑っていたのが分かる。
レオンなりのジョークか?と思い腰のバックを一つ差し出す。中身はハンドガンの弾と傷薬だ。
安全装置を確認し撃てる状態へと持っていく。
レオンもサイドバックを装備し直した所だ。
「レオン!伏せろ!」
言うやいなや早速ショットガンを構える。と、同時に低くしゃがむレオン。発砲!
すぐ後ろにまで迫っていた村人の頭を吹き飛ばす。
「やった!」
この子も案外タフだな?そう思いつつ薬莢を排出。
「いや、まだだ!」
警戒を解かないレオンの視線の先。倒れた首から先に出てきた寄生虫へハンドガンを撃ち込む。
「だと思ったよ」
言いつつトドメを指した先、見つめるのは一面に広がる松明の灯りと場を埋め尽くす村人達。
背後から声がして振り向き構えると、教会の中に居た村人もこちらにやってきた。
「行こう!」
「了解!」
「OK!」
三者三様の反応と共に強行突破が始まる。
この先に待っている絶望に吸い込まれるかのように。
本日の気温32度!
予定より進んでませんが暑さのせいです。
眠れないせいか少しハイテンションです。
そのくせ体調は悪いです。
次回はいつになることやら?
次回
強行軍
走れ!
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