「ウォームアップはしとけよ。準備は良いか?」
「ああ、後はそっちが口を閉じればな。」
ルイスの軽口に若干うんざり気味のレオンが反応する。
「つれないな?カウボーイ」
本気なのか冗談なのか?全く解らないルイスの反応はさておいて近くの棚で窓を塞ぐ。窓は三ヶ所だが一ヶ所だけでも状況は少しでも良くしておきたい。
「プレゼントはテーブルの上だ、好きに使ってくれ。」
ルイスからのサービス品は弾、ナイフ、手投げ各種。残弾を考えればありがたい限りだが外の数が数である。
「助かるよ。飛んだり揺らしたらもっとでないか?」
「情熱的な台詞ならいくらでも?」
「無駄口以外で頼む」
「余裕がないねぇ?それじゃモテないだろう?」
先に始末したろかこいつ?と若干思い始める。
まぁ三回誤射すると容赦なく撃ち殺されるけど。
ここではどうかな?
「来たぞ!」
レオンが叫ぶと同時に三ヶ所の窓が一斉に割られる。棚のある場所はともかく、他の窓からは続々と敵が押し寄せてきた。
すでに建物は取り囲まれ、逃げるどころか侵入を防ぐので精一杯の状態。
「ローグ、後ろで援護頼む!」
「わっ、解った!」
さりげなく気遣ってくれるレオンに甘える。しかし、敵はそこまで甘くなかった。
リロードの間に生じる誤差が敵を室内へ招き入れる。
「棚も壊れた!雪崩れ込んでくるぞ!」
ルイスの言う通り棚は倒されそこからも敵がなだれ込んで来る。
一人がこちらにターゲットを絞って走り込んでくる。
「くっ!」
俺はそばに合った椅子を蹴り上げ向かってくる敵にぶつける。
ぶつかってのけぞった敵の頭を寸分違わずレオンが撃ち抜いた。
「ナイスレオン!」
そちらを見ればすでに二人に囲まれていた。そこにスコップを持った敵が走り込んでくる。
すかさず援護のために銃を構える。だが、
「ふっ!」
という掛け声が聞こえたと思えばレオンが振り下ろされたナイフを腕ごとくるりと回転させたかと思うとそのまま背後から羽交い締めの体制へ、頭の横から片腕で走り込んでくる敵に向かって銃弾を浴びせた。
頭が弾けた敵を見もせずにもう一人へ捕まえた敵を後ろから蹴り飛ばす。
ぶつけられた敵はお互いに抱え込んで倒れる。
そこにルイスがすかさず落ちてた斧で頭をかち割った。
そのルイスの後ろから来ている二人を今度はレオンが撃ち抜いた。
「お客様?見学はもう少し後ろでお願いします。」
ルイスが顔だけこちらを見て煽ってくる。
「てっ、敵が多すぎるんだ!」
そう、今までの広い空間ではなく限定された狭い戦場に目まぐるしく変わる状況。俺は完全に雰囲気に飲まれていた。
構えればレオンが撃ち、援護に回ればルイスが目の前を通る。射線管理が出来ずにおろおろしている様はもはや滑稽である。
「ローグ!後だ!」
レオンが叫ぶ。どこから入ってきたのか真後ろに敵の姿があった。
「うわぁぁぁ!!」
叫びながら銃を乱射。
当たった衝撃で敵が壁まで下がってぶつかる。
「このっ!」
がら空きになった喉元にナイフを突き立てると敵はすぐにおとなしくなった。
「初体験おめでとう」
「うるさい!」
ルイスの軽口にイライラしながらナイフを抜く。
「ローグ!上だ!梯子を掛けられた!」
上を見ると丁度敵が降りてきた。バックステップで下がると敵意むき出しの顔をこちらに向けた。
「このっ!」
本日二度目の気合い入れ。
しかし今度は首を狙ったハイキックである。
ゴキリッ!というけして心地よいとは言えない感触と共に敵が吹き飛ぶ。
「キリがないな」
ルイスの言う通り。もはやどこからでも敵が沸いてくる。狭すぎてグレネードも使えない。しかし、
「なっ、こいつら!」
レオンの方を見ると、気色悪い音と共に首から触手が生えてきた。
この空間であの攻撃範囲は驚異に他ならない。
「レオン!援護すぬわぁ!」
背後から組着かれる。誰かと思えば先ほどの敵が首をおられたまま首を絞めに来た。
「放せ、このっ、こいつ!」
じたばたするが振りほどけない。触手を生やしたのも一匹ではない。
視界のはしに転がるレオンが見える。
防戦一方になりつつある状況を変えたのはルイスの放った一言だった。
「二人とも!目を潰れ!」
言葉の後に強い光があたりを照らす。
急いでつぶった目に強い光の残滓が差した。
少しして目を開けると、
まともに食らった敵は視力を奪われ行動不能に。
俺の首を絞めていた敵はなぜか動かなくなっていた。
そして触手は、
「死んでる?」
触手は、それぞれ血を噴き出してしぼんで倒れていた。
「プレゼントだ。気に入ったかい?はっ!」
気合いの入った後ろ回し蹴りであたりの敵を吹き飛ばしていく。
「どう言うことだ!?」
「こいつらの本体は強い光に弱い。強個体なら曇り空なら出てくるが基本こいつらは強い日差しの下にはでない。だから!」
気を取り直したレオンが一緒に片付けて回るがそうこうしている内に敵の次軍が来た。
「そのためのフラッシュバンか!」
レオンが答える。
フラッシュバン。
またの名をスタングレネードや閃光手榴弾とも言うそれは、視覚と聴覚を奪う武器ではあるが、あくまでも一時的なものである。しかし、
「ここじゃ意外な武器になるな」
攻略法が見えてきたが、以前敵の数はそれほど減った気がしない。
やはり、
「二階を何とかしないと。」
「そうだな、それじゃ!」
レオンが二階にフラッシュバンを投げる。
今度は床が遮って光が来ないが上の連中は怯んだはずだ。
「行けるな!ローグ!」
「よっしゃ!」
これまで頼りない姿を見せた反面、期待された部分に答えたい気持ちで上に駆け上がる。
二階では三人がのたうち回っていた。
「まず一人!」
一番そばにいた敵の頭をショットガンで吹き飛ばし、階段そばに有る駆けられた梯子を蹴り飛ばす。
下から悲鳴が聞こえるが気にしないで次に向かう。
道すがら一人の頭を吹き飛ばすが、さすがに三人目は回復しかけていた。
「レオン直伝」
駆けよって身を捻る。さんざん近くで見たレオンの必殺技!
「回し蹴り!」
勢い良く右から左へ敵を吹き飛ばす。二階から叩き落とされた敵は下でグシャリと音を出した。
「おい!俺を巻き込むな!」
下で誰かが文句を言っているが気にしないでおこう。
ベランダに出ると今まさに上りきろうと来ている敵と目があった。
なぜかこちらを指差して叫んでいるが登りきらないならと梯子ごと前蹴りで吹き飛ばす。
何かを言いながら吹き飛んでいったが意外と爽快である。
上から敵が来にくくなると空気が変わってきた。
「よし、このまま押しきるぞ!」
階段横の窓に掛けられた梯子を再び倒し、下からレオンの檄を聞く。いつまで続くか解らない状況にもかかわらず何故か負ける気はしなかった。
上から見える敵をハンドガンで撃ちながら反対側の梯子へ向かう。
その途中だった。
ズガンと一際でかい音。
「なんだこいつは?」
レオンが何かを見てうろたえている。
「レオン?どうした!?」
「今日の主役のお出ましだ!」
ルイスの答えに疑問符が浮かぶ。ここで強敵?誰か居たか?
「構っていられるか!」
「おいおい、失礼な奴だな。スターを笑顔でお迎えしようぜ。」
下から聞こえてくる軽口もなれてきた頃だ。ベランダの梯子を再び蹴り倒して下へ向かう。
「無事か?二人とも。」
「馬鹿!後ろだ!」
とっさに前転。さっきまで居た場所をブォンと何かが通りすぎた。
避けた先で見たのは、
「お前はさっき、止めは差したはずだ!」
二人が俺を見てから視線を戻す。
そこに立っていたのは。
吊り橋の前で俺が頭を吹き飛ばした。
全身を真っ赤に染め上げ、被り物を自らの血で深紅に染めた牛頭の化け物であった。
自分の小説を読み返してみると「あれ?これおかしいな」とか「展開がおかしい」と気が付く話数になってきました。
とはいえまだ序盤。
大事に書いていきたい所ですが、もちっとペース上がらんものかと(汗)
次回
猛攻
撤退
解散