階段を上がると誰かが大声で叫んでいた。まだ残った住民がいたようだ。足音を出来るだけ殺し、見つからないように進む。まだ見ていない部屋を探しに突き当たりを右へ行くと更に階段があった。
怒鳴り声は今も続いている。気付かれた気配はない為先へ進む。上った先のドアに差し掛かるとレオンは再び銃を抜く。それを見た俺も又形だけ構える。
レオンが顔で合図を送るのでうん、とうなずく。
ドアはゆっくりと開かれた。
入るときは素早く、クリアリングをする。誰もいないことを確認すると俺を部屋にいれて鍵をかけた。
辺りを見渡すと蝋燭に照らされたテーブルと地図らしき紙を見つける。レオンが近づくとそこに写真が張られているのを見つけた。
写っていたのは気絶しているのだろうか?縛られ横たわるあの女の子だった。
「アシュリー」
そう言うと耳に手を当て通信機を起動させる。
「HQ。こちらコンドル1」
こちらの通信機も起動しオペレーターから連絡が入る。
「こちらハニガン。状況は?」
オペレーター、ハニガンと呼ばれた女性が応答する。
「ターゲット。大統領の娘はこの村に居る可能性が高い」
写真を見ながら現状の報告をする。俺はと言うと只突っ立っているだけだった。
「良いニュースだわ。さすがね。」
たんたんと切り返していくハニガン。
「湖に手がかりがありそうだ。誘導を頼む」
「了解。付近の情報を調べる」
地図を見ながら次の行き先を決めていく。手早く、的確な判断力に思考が付いていけない俺は情けなくも只眺めているだけだった。
「急いでくれ。なにが起きたか解らないが、この村はまともじゃない。」
いうやいなやドアを叩く音。次いで壊されていく。見えたのは斧、数は、解らない!
「悪いな、又後で。」
そう言って通信をきる。と同時にドアが破壊された。入ってきたのは三人。先ほどの事を考えるとハンドガンでは心もとない。なにより俺は戦えない!
どうする?とレオンを見ると顔であちらを見ろと促された。窓があった。少なくともここは二階、飛び降りて大丈夫かと言う不安よりも武器を待った村人への恐怖が勝った。
「邪魔したな」
言うと同時に襲いかかってくる。それを振りきるように窓に向かってダイブ。
レオンは窓を破り華麗に着地を決める。俺はと言うと。
「うぁ・・・」
受け身もとれずに背中から着地。あまり高くなかったのが幸いしたのか呼吸を整えるだけですんだ。怪我はないようだ。
レオンを探すとすぐそばにいた。目線の先の飛び出した窓からは村人たちが見ているが追ってくる気配はない。暫くするとゆっくりと引っ込んでいった。それを確認してからレオンがこちらに近づいてくる。
「立てるか?」
ああ、と言って差し出された手を取って立ち上がる。
呼吸を整えたおかげか少しばかり落ち着いた。歩きだしたレオンに続いて歩き出す。途中、朽ちた建物の机からハンドガンの弾やトラバサミのトラップ、少人数の待ち伏せこそ合ったもののレオンの的確な行動のお陰で取り乱すこと無く進む。
進みながら頭のなかを整理も出来た。
「斉木命」
これが前世の名前、前世の記憶。
「ローグ・アルビナス」
これが今現在の記憶。
訓練を経て特殊部隊へ、エージェントへの転向と経験の為ラクーン帰還兵の英雄と噂のホワイトハウスエージェント、レオン・S・ケネディのバディに選ばれる。それと、
「現実・・・なんだよな」
ボソッと呟いた言葉は幸いにもレオンには聞こえていなかった。「斉木命」の記憶のなかに確かにあるとあるゲーム。
「バイオハザード4」
シリーズ四作目の、ホラーゲーム。ゲームは好きなのでよくやっていたがもう二十年近く前だったはずだ。大まかな内容しか覚えていない。当時から「こんな世界で無双出来たら楽しいだろうな」などと思っていたが現実になるとそうも行かない。
まず弾がない。ナイフが消耗品なのは使っていれば壊れるからだ。予備に二本持ってきているが果たして扱えるかどうか。
そしてこちらでは樽、等と言う物もそんなにない。ためしに一個合ったので開けてみたが中身は腐ったなにかで、レオンが怪訝な顔でこちらを見ただけだった。ゲームではアタッシュケースだったがこちらも現実では腰のポーチだ。左右二つに大きめで扱いやすい。中には携帯食料や水、マガジンと予備の弾、簡単な包帯などの医療器具であった。
そして問題がもうひとつわかった。
「ローグ」の人生なのだがどうも「斉木」に引っ張られているようだ。訓練では過酷なサバイバルも行ったしbowの対策訓練も受けた。だが初めての実践のせいか恐怖心が勝る。
現に人を撃ったのは初めてではないはずなのにあの様だ。
この先レオンに面倒を見てもらうわけにも行かない。だがもし、そのせいでレオンに何かあればその時点でゲームオーバーだ。先ほどの恐怖がぶり返しては落ち着けと言い聞かす。
するとレオンが振り返って待っていた。目の前には木製の大扉。
追い付いて目を合わせる。一息にドアを開けた。
ドサッ
ひぃ、と息を飲む。扉の上の生首が落ちてきたのだ。
しぃ、とレオンが人差し指を口に当てる動作をする。うんうんとうなずくと先へ進む。見えてきたのは鉄の門だった。今度は開かれているこの先に、村はあった。
双眼鏡で見てみると、人が農作業をし家畜が歩き回り一見違和感がないように思える。たった一つを除いて。
村の中心なのか、廃材が積み上げられた上には縛り付けられた人間、よく見ると襲われたもう一人の警官だった。
「あいつ等」
言う終わるより先に松明が放り投げられる。火はすさまじい勢いで燃え広がりあっという間に男を炎で包んだ。
立ち上がり助けに行こうとする俺の服を掴んでレオンが止める。
手遅れだ、と。俺は知っている。知っていたはずなのに止められなかった。彼が生きている事も。助けられたかもしれないのに。
視線をそらした先にレオンがいた。指であちらに行くぞとサインをくれる。
最早引き返せない、覚悟を決めて一歩を進み出す。
その一歩が、これから起こる恐怖のプレリュードを奏でた。
やんでる時の方が筆が進むってのも何か納得がいきませんが。取り敢えず最初の山場です。出そうか出すまいか決めあぐねてますがチェーンソー。上手く書けるかなぁ?
次回
始まった狂気
覚醒しない理由
始まりの鐘の音