競馬界のレジェンドになったら…   作:展開郎

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言い訳になりますが、今回は難産です。
今日も夜にあと一話投稿します。

あと評価バーが真っ赤になってビックリしてます。評価してくださった皆さんには感謝を申し上げます。


第七話 川遊びは好きだろうか?

あの会食から数日後、16日は3勝で17日は2勝と合計5勝と目標の31勝までは十分なペースであった。

来週も更に頑張らなければいけないと気を締めて調教などに積極的に騎乗をしていると、ある日厩舎に電話がかかって来たのだ。

 

『ガチャっ』

「もしもし竹豊です。」

 

「あぁ、佐藤です。豊くんかい?」

 

佐藤という名は多いけれど、この声色からして佐藤修司調教師であろう。

そして恐らく俺に電話してきたという事は…

 

「遂に君に見せたかった馬が入厩出来たんだ。」

 

 

 

 

 

走って向かう事10分、ようやく佐藤厩舎に辿り着いた。スタッフが厩舎前で待っていくれて、僕の顔を見たら急いでこっちに駆け寄ってきて案内してくれた。

薄暗い厩舎の馬房の中にその馬はいた。鹿毛の馬体は、薄暗いこの場所を光り輝せてくれた。サッカーボーイとはまた別の輝きが見える。

後ろから、すっと佐藤先生は現れてこちらに話しかけて来た。

 

「どうだろう、大物だろう?」

 

「ええ、輝いて見えます。G1を勝てる素質が今の時点でも見えますよ。この馬にもし跨がれれるなら僕としては最高です。」

 

「君に言ってもらえるとありがたい。」

 

「血統は、どんな感じですか?短距離ですか中・長距離向けですか?」

 

「父はノーアテンションで、母父はインターメゾンで産駒にはグリーングラスがいたことでも知られている…まぁ豊くんは知ってることだろう。この仔は中・長距離向けだよ。」

 

「そうですか、この仔がもし丈夫に走ってくれるのなら三冠を取れるほどの素質はありますよ。」

 

そういうと、先生は困ったような顔をしてしまった。何か申し訳なさそうな、僕の発言に引っかかったところがあったようである。

それとは同時に嬉しくもあったようで顔を綻ばせるようにも見える。

 

「いや、この子は本来ならもう少し早めに入厩するはずだったんよ。おい、松村馬房を開けてくれ。」

 

「はい、先生っ!!」

 

馬房の扉を開けると、先生は腰を下ろして足を触り出した。僕も一緒に腰を下ろしてその仔の脚を見てみることにした。

 

「ほら、見てくれ豊くん。この仔、外向してるんだ。」

 

「そういうことですか、それは随分大変な…」

 

脚が外向してるという事はどういうことかというと、馬の足である蹄が真正面を向かず外に向いていることを表す。

そしてそれの何が悪いかというと外向してる蹄の一部に体重がよりかかり蹄が割れたり、外向してる蹄と普通の蹄が接触することによる怪我や故障が起きてしまう。

とは言っても、外向であろうと活躍した馬はたくさんいる。例えば“スーパーカー”と揶揄されたマルゼンスキーなどは極端に外向であったことで知られる。

しかし、それだけで難色を示すとは限らない。

 

「いや、それだけじゃないんだよ。この仔かなり病弱で入厩するのが遅かったのもそれが理由なんだ。それにこの仔、人見知りというか気に入った人以外は相手にもしない。色々とこちらも大変な子だけど素質だけはずば抜けてあるんだよねぇ。豊くんに興味を持ってくれたなら乗せたかったけど、この仔ピクリとも反応してくれないや、本当にごめんね。」

 

「そうですねぇ。いや本当、今日は良い馬見せてもらってありがとうございます。もし何か用があったら電話してください。」

 

そうやって馬房から立ち去ろうとした。

しかし動かなかった。体自身は動いている、しかしピクリとも動かなかった。まるで矛盾のように感じることが起きて頭が混乱してしまいそうだ。

確かに足も体も前へ動いているはずなのに止まるのだ。ただ僕の右腕だけが動く方向の逆にあった。ゆっくりと頭を振り向くと、どうやら僕の服をあの仔が咥えて引っ張っていたのだ。

これには先生ビックリして、口が塞がらず厩務員の人もビックリして持っていた物を落っことしてしまった。

皆一様に動かないので、しょうがなく僕は馬のように寄った。

 

「ハハハ、先生どうやら僕この仔に()()()されちゃいました。」

 

「………私の目に間違いはなかったのか………」

 

「先生………あれですけど厩務員の僕にも懐かなかったこの仔が、懐いてくれてるだなんて。」

 

「………豊くん、さっきの事は撤回しよう。君がその仔、()()()()()()()()の屋根になってくれ。」

 

 

 

 

なんと、なんと先生が見せてくれた大物の馬はあのスーパークリークだった。

“芦毛の怪物”オグリキャップと“大井の怪物”イナリワンと覇を競い合った平成三強の一頭“スーパークリーク”だとは到底思ってもいなかった。

サッカーボーイはその特徴的な馬体からすぐに判断可能であったが、スーパークリークには特徴的な馬体はなく、ただ単に強い馬だなぁと思っていたらまさかの…である。

 

「とりあえず、来年のクラシックはスーパークリークで確定として、あとは17勝か…大体1月で7勝すればいいのか。」

 

まるで夏休みの宿題の予定表みたいで、少し息がしづらいように感じてしまう。

あぁ、しかし自分が竹豊になり変わったけれど本当にあの竹豊のように勝てるのかが少し心配に感じてしまう。サッカーボーイの鞍上に志願する時も自分ではなく、彼がしてくれた。

俺は彼の幻影を振り切れるだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

逆指名

 

 

 




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