朝、目が覚めると、スマホの液晶にあなたからのメッセージがないか確認する。それが私の毎日の始まり。
今日はメッセが来ていた。うれしい。
あ(学校に行く前にベランダでお話ししよう。)
その言葉に嬉しくなった私は急いで身支度を整える。
髪を綺麗に整えて、いつものお団子もしっかりセット。
制服を着てママの作った朝ご飯を食べて。
学校へ行く準備が整った。私はベランダへ出る。
既に待っていたあなたに、おはようと挨拶を交わす。
「いつから待ってくれていたの?」
と聞くとあなたは笑顔で
「ん〜20分くらい前かな?」なんて言う。
20分も待たせていたなんて、凄く申しわけないよ…。
でも、あなたはそんな私の言葉に
「ふふっ、気にしないで歩夢ちゃん。私がこうして此処の景色を眺めながら、朝を迎える時間が好きなの。」と返した。
うん、私も大好きだよ。
ここから見える綺麗な景色も、
あなたと、なんてことないお話しをしながら過ごすこの時間も。
私にとってはその一瞬一瞬全てが、宝物なんだよ。
…と、そう、今までの私なら、きっとそれだけだった。
…でもね、今は、私の宝物は、もっとたくさん…。
とある休日
私は、あなたと宛もなくお散歩している。
私が、なんとなくお散歩しようかなって、外に出たら、あなたも同じ事を考えていたみたいで、外で偶然鉢合わせちゃったの。 なんだか凄いよね。
だから結局2人でお散歩しようって事になったの。
しばらくのんびり歩いていると、前方から金色の髪をした女の子が走ってくる。あれは、愛ちゃんだ。
「愛ちゃん、おはよう。」
「お〜、歩夢に君じゃん、おはよ〜!。2人は何してるの?」
「えっーと、なんとなくお散歩って感じかなあはは。」
「そっかー、愛さんはランニング中なんだけど、良かったらついてく?」
私たちは愛ちゃんのランニングについていった。
心地よい風を受け、街の景色を見ながら走ると気持ちいい。
愛ちゃんはランニング中でも色々なお話しをしたり、ダジャレを披露してくれたり、場を盛り上げてくれる。
…愛ちゃんは、一緒にいるだけでどんな時でも楽しくなっちゃうから大好き。
「…ふー、よく走ったー。歩夢お疲れ様。」
「はぁ…ありがとう、愛ちゃんは、やっぱり凄い体力、だね…。」
「いやー、歩夢もよく着いてきてるよ、前はもっとボロボロだったもん。」
「そうかな、私も少しは成長しているのかな。えへへ」
「2人とも〜、まって〜。…はぁ、はぁ、づがれた〜。」
「あはは!、君はもーちょっと体力付けた方がいいかもね〜」
「ははー…精進しまするー…」
「ふふっ。」
それから私たちは、愛ちゃんも加わり、3人で再び宛もない散歩を続けた。
しばらく歩くと
…公園で、猫さんと戯れている女の子がいた。
「ランジュちゃん、おはよう。」
「あ、歩夢、にみんな、おはよう。」
「何してるの?」
「ランジュ、あの猫さんと仲良くなりたいのだけれど、近づくと逃げてしまって、どうしようか悩んでいるの。」
その猫さんは、ランジュちゃんに気があるのか、少しずつランジュちゃんの方へ近づいてくる。でもランジュちゃんが近づくと何故かにげてしまう。
「うーん、猫さんは気まぐれだからね。」
「そーいえば歩夢、猫の鳴き真似得意だったよね、歩夢の鳴き声を使えば、猫さんの警戒心も薄れて近づいてくれるかも?」
「分かった。私、やってみる!」
愛ちゃんの提案を受けて、私はランジュちゃんの後ろで猫の鳴き真似をやり続けた。
「ミャ…、ミャーん。ミャーァ?ミャン!ミャァーん」
「おいで、猫さん。」
ランジュちゃんの誘いに乗るように、猫さんはじわじわと近づいてきて…、ついに、猫さんはランジュちゃんの腕にすっぽり収まった。
「やったわ。来てくれてありがとう、猫さん。」
すっかり打ち解けたのか、猫さんはランジュちゃんの腕から降りても、もう私たちから逃げ出す事はなかった。
「歩夢ーありがとー!」ギュ
「わ、わわわ。」
ランジュちゃんは私に飛びついて来た。
…ランジュちゃんは、いつも気持ちを真っ直ぐ伝えてくれる。
私はそんなランジュちゃんが大好き。
「…うん、良かったね、ランジュちゃん。」
それから私たちは、しばらく公園で猫さんと一緒に遊んでいた。
そして、ランジュちゃんも加わり、4人でまた宛のない散歩を続けた。
猫さんはあの公園が住処らしく、公園からは出ようとはしなかった、だから、また皆で遊びに来ようねと言い離れた。
…しばらく歩いていると、なんだか特徴的な芝居がかったような声が聴こえてくる。
「あぁ、力が、力が欲しいっ!!この絶望の闇を打ち砕く事ができる、誰にも負けない、世界を導く希望の光のような力が…!」
「せつ菜ちゃん?」
「我のこの祈りは…、…、あ、歩夢さん?それに皆さんも。」
「せつ菜ちゃんは何してるの?」
「私はですね、今度しずくさんと合同ライブがあるのですが、その時に演劇をやる事になったので、その特訓です!…、よかったら皆さんも特訓に付き合ってくれませんか?」
私たちはせつ菜ちゃんの特訓に付き合うことになった。と言っても実際にお芝居をやるのは私だけで、他のみんなは観客として見ることになった。
「歩夢さんには、氷の魔女の役をやってもらいます。」
そのお話しは、世界を壊そうとする氷の魔女と、それに立ち向かう戦士アランの戦いの物語、とのことらしい。
氷の魔女は冷酷で残忍な性格、私に務まるかな?
「それでは、いきますよ。」
「うん。」
劇の幕が上がった。
「……ふん、所詮その程度か、人の子よ。妾に歯向かうには100年早かったのう。さぁ、終わりだ…。」
「ぐぅっ!…、な、何を言ってる氷の魔女よ、我はまだ、力の半分も、出して、いないぞ…!」
「なに?」
「見ろ!この光輝く右腕を!これは、我が世界を旅して得た友たちの力が、集まったのだ。皆が我に力を貸してくれる。」
「な、なんだこのエネルギーは、こんなモノ見たことが…!」
「これが、世界の答えだああああァァァァァァァァァァァァァ!!」
「おおおおおおお!!妾は、妾はこの世界を、滅ぼす!こんな…、こんな、人間風情にぃぃぃぃいい!…」
ガクッ…、バタン。
「はぁ…、やった、はぁ…、世界を、救った…!」
……………………
はぁ…、せつ菜ちゃん凄かった。間近で感じるせつ菜ちゃんの迫力に引っ張られて、私も凄く気合いが入った演技が出来た気がする。
「…せつ菜ちゃん、凄かったよ。私も負けないように頑張れたし。やってて楽しかった!」
「歩夢さんも、とてもかっこ良かったです。私も全力でやれて楽しかったです。付き合ってくれてありがとうございました!」
ガシッ
私たちは自然と握手していた。
…せつ菜ちゃん。いつもスクールアイドルとしての自分を高める事を忘れない。どんな時も全力で真っ直ぐで、私たちを引っ張ってくれる。
そんなせつ菜ちゃんが私は大好き。
パチパチパチパチ
「せつ菜ー、かっこよかったわよー!」
「歩夢もー超良かったー!」
「2人とも最高ー!」
「皆さん、ありがとうございます。いい特訓になりました!。…ところで、私はこれから特に予定もないのですが、皆さんはどうですか?」
「実は私たち、なんとなくブラブラしてだけだったんだ。だから、せつ菜ちゃんも一緒に、これから遊ぼう!」
2人から始まった休日は、いつの間にか2年生の5人がみんな集まっていて…、
そんな風に自然とみんなが集まって過ごしているのも、私たちらしいのかもしれない。
…、それから私たちは、ゲームセンターで遊んだり、カラオケで歌ったりして、楽しく過ごした。
皆と一緒だと時間を忘れてしまうくらい、すっごく楽しい!
…気付けはもう辺りは暗くなっていた。
「はー今日は楽しかったー!」
「うん、とっても楽しかったね」
「はい!どれも全力で楽しめて最高でした!」
「ランジュ、まだまだ遊び足りないわー!」
「愛さんも、もっと遊びたーい!」
「……。ねぇ、愛ちゃん、せつ菜ちゃん、ランジュちゃん、あなた。私ね、みんなとこうして過ごす時間が大好き。みんなとなら、何気ない瞬間でも私には、宝物のようにキラキラした時間だなって思うの。だからね、みんな、いつもありがとう。」
なんだか急に皆の事が愛おしく感じた私は、気づいたら、そんな事をみんなに言っていた。少し恥ずかしい…。
最初は皆少し驚いた顔をしたけど、すぐに皆優しい表情になって…。
「はい!私も皆さんと過ごす時間が大好きです!いつもありがとうございます!」
「愛さんも、歩夢と同じ気持ちだよ。皆いつもありがとーね。」
「ランジュはいつだって皆の事がだーいすきよ!皆との思い出は、全部ランジュの宝物よ!」
「私も皆と同じだよ、いつもありがとう。…、また皆で遊ぼうね。」
「うん。」「うんっ!」「ええ!」「はい!」
皆で手を繋ぎ、夜空を見上げる。
美しい星たちに見守られながら、
ゆっくりと流れていく時間。
それはきっと、この世界でいちばんの、
キラキラした…、宝物のような時間。